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6話 二日目終了

 



 ◇◇カレンside◇◇



「蓮くーーん! ロープできたのでコロッケたちに運ばせますねーー!」


 私はロープをなんとか作り終わったのでその事を蓮くんに伝えようと思ったら、蓮くんはいつの間にか割と離れたところにいました。


 二十メートル×二十メートルの範囲が切り株ばっかりになってます。


 ちょっと早すぎませんか? こんなに沢山の木を今日中に運べるでしょうか? 七十本くらいあります。


「あははー……いつの間にかこんなに切ってたや」


 そうなんです。蓮くんは集中しちゃうと止まらないことがあります。


「体力なくならないんですか? まだ、昼前ですよ?」


「んー? 体力は元々ある方だよー、僕、部活陸上部で長距離選手だったし」


「蓮くんは陸上部だったのですか……どうりで……あんなに引き締まって……」


 おっと、いけません。


 また今朝のことがフラッシュバックしてきました。


 蓮くんが不思議そうな顔で見てきます、たぶん、私の言葉の最後の方の意味がわからなかったのでしょう。


「がおおおー」


「コロッケたちどうしたの??」


 私は動物の言葉が分かるようになりました。


 なんとなくですが、伝えたいことがわかります、昔うさぎを飼っていたので動物は好きです。


 どうやらコロッケたちはお腹がすいたみたいです、子供だから食べ盛りなんでしょう。


「蓮くん、コロッケたちお腹すいたらしいから川に連れて行って魚のとり方とか教えてあげてくれませんか?」


「んー、わかったー、ほれクマっ子川いくぞー」


 蓮くんがコロッケたちを川に連れて行ってくれたので、私は自分たちのお昼ごはんを作ることにしました。


 作ると言ってもコロッケたちのお母さんを焼くのですが……ちょっと可哀想なことしちゃいましたね、でも私達も食べなきゃ死んじゃうので……な〜む〜。


「お昼は少し工夫しましょう! 」


 昨日の夜からクマの肉、肉、肉でさすがに飽きてきました、なので今回は昨日採ってきたシナシナソウを使いたいと思います。


 このシナシナソウ、シナシナしてるのは水分過多だからみたいです、道理でジメジメしてるとこにたくさん生えているわけです、なので朝からずっと天日干ししておきました。


「華憐ちゃんの三分クッキング〜♪ テンテレテレテテテンテンテ〜♪」


 私はノリノリで料理?していきます、クマの肉をナイフで一口サイズに切って、シナシナソウを干したやつをちぎって振りかけたり、巻いたりしていきます、それを昨日の夜から燃え続けてる焚き火で焼いてきます。


 この焚き火昨日の夜から全然消えません、なぜでしょうか? これも蓮くんの才能なのでしょうか?


 そんなこと考えながら料理? 焼いただけを料理というのでしょうか? いえ! 私が料理と言ったら料理です! さて、クマ肉が香ばしい匂いを臭わせながら脂がジュージューしてるので食べてみることにしました。


「さてさて、血なまぐさいのは消えたかな?」


 ぱくりと一口、瞬間口の中に広がる肉汁、血なまぐさいのは気にならなくなって昨日や今朝より格段に美味しくなってました!


「やったー!!! おいしくなったー!!」


 けどやっぱり、調味料が欲しいですね、塩ってほんとにどこにあるんでしょう? 岩塩とかないのでしょうか?


「なんか、いい匂いするねー」


 すると、クマ肉の匂いに釣られてきたのか蓮くんが帰ってきました。


「はいっ! シナシナソウの干したやつと一緒に焼いたら血なまぐさいのが気にならなくなりました!」


「ほんとに? ひと串もらうねー…………おおっ! おいしいー!」


「がううう」


「もっと焼いていいー?」


「え? あ! そんなに焼いたらなくなっちゃいますよ!」


 蓮くんは美味しそうに食べてくれます、笑顔が可愛いです、コロッケたちも食べたそうにしてますがいいんでしょうか? あなた達のお母さんですよ?


 さすがに見聞が悪いので諦めてもらいました。


 その代わりに蓮くんがとってきたニジイロジャケという陽の光の角度によって七色に輝くシャケを焼いてあげるみたいです。


 このニジイロジャケ、『鑑定能力』を使ったのに分かったのは名前だけでした、なんだか謎が多い魚です、まぁ、シャケって名前なので食べられるでしょう。


「ほれほれー、シャケだぞーー」


「がおがお!!」


 コロッケと春巻とポテトがシャケをすごく美味しそうに食べてます、ずしんと座って手を器用に使って食べる姿は見ていて微笑ましいです。


 日本にはシャケを咥えてるクマの木彫りがありますが、コロッケたちとニジイロジャケでやったらすごく映えそう、白銀の獣毛とニジイロの鱗……絶対映える!!!


「さて、作業を再開するかー」


「そうですね、木を運ぶのは私とコロッケたちとやります」


「おっけー、じゃあ僕は畑を耕すことにするよー」


 そんな感じに今後の作業の打ち合わせをして私はコロッケたちとロープを持って蓮くんが切った木のところに向かいました。



■■




「本当に大きな木ですねーー」


 蓮くんが切った木は横に倒して二十メートルくらいのおおきな木です、ほんとうにコロッケたちは運べるのでしょうか??


「がうがう!!」


「わかったわかった、任せますよ」


 気持ちが伝わったのか「当たり前だろ! なめんなよ!」っと言ってきます。


 とりあえず、運ぶのに枝葉が邪魔なので蓮くんが作ってくれた小太刀で切っていくところから始めることにします。


「ふっ!! はっ!!」


 もちろん小太刀なんて使ったことの無い私には一苦労です、ノコギリの方がまだ切りやすいかも、まぁ、切れないこともないですしゆっくりやっていきましょう。


「がうがうがう!!」


 コロッケたちが、遅い私を見かねたのか枝葉を切るのを手伝ってくれます、器用に爪や牙を使ってます。


 三匹と協力したらあっという間に終わりました、私四本くらいしか切ってないのに……三匹は優秀です、褒めて遣わす!! ヨシヨシ。


「じゃあ、コロッケたち引っ張ってくれる??」


 ロープを引っ掛けるために残しといた枝にロープを引っ掛けてコロッケたちに運んでもらおうとしました。


「がうがう」


「がう? がうがう?」


「がうがう!!」


 コロッケたちは何か話し合ったあと、なぜかコロッケだけがロープを噛んで、残りの二匹は私のところに来ました。


「あれ? コロッケ一匹だけで大丈夫なの??」


「がうがう」


「まかせろって、ほんとに大丈夫??」


 なんだか不安な気分でコロッケを見ていると、


「がおおおー!!!」


 雄叫びを上げて、引っ張りました。


「おお、すごい!! 力持ちだ!!」


 なんとコロッケは一匹で、大きな丸太を運びました、いや流石に力持ちすぎません? ていうか、蓮くんあのお母さんと組み合ってませんでした?! 蓮くんはびっくり人間なんでしょうか??


「がうがーう」


「ああ、うん、そうだね」


 びっくりして固まってる私に春巻が「次やろーよ」と言ってくるのでそこからしばらく私とハルマキが枝葉を切り、コロッケとポテトが丸太を運んでく作業を続けました。


 木を運ぶことを始めて2時間くらい、残りの木は二十本くらいになりました。


 蓮くんは畑を作る予定の所を鍬で耕しています、ざっくざっくと耕してる姿は男らしくてついつい見とれてしまいます。


「華憐さーーーーん!!」


 蓮くんが手招きしながら私の事を呼んでます、正直呼び捨てで呼んでくれても構わないのですが……というか、呼び捨てで呼ばれたいです!!


「どうしましたか??」


「畑だいたい耕せたから柿ピー植えようと思ったんだけど、これってどうやって育てるかわかる?」


「そういえば、何も説明されてませんね、手紙にも書いてないんですか??」


「書いてないねー、どーすればいんだろ?」


「こういうのは私に任せてください!」


 私はさっさく神の実(ザ・シード)またの名を柿ピーを鑑定してみる。


■■


神の実(ザ・シード)


 神気を有しており欲しいものを一度だけ実らせる実。

 植える時に欲しいものを強く願って植える。水がなくても勝手に成長していく。


■■


「植えるだけでいいみたいです、ただ植える時に欲しいものを強く願わないといけません」


「ほー、欲しいものかー、今の生活ありすぎて困るなー」


「そうですね、とりあえず食糧はどうですか?? 昼食で蓮くんが食べ過ぎたせいでもうクマ肉もないですし、お肉ばっかの偏食だと体調壊す原因になります」


「うっ……悪かったってー、じゃあ食糧はやってみよう、なんの食べ物にする?」


「栄養価が高いものがいいですね、キャベツとか大根とか」


「僕はお米食べたいー」


「お米ができても炊くことが今のままだと出来ませんよ?」


「あー………ん? もしかして家とかもできたりするんじゃない??」


「家?? 蓮くんついに頭イッたんですか??」


「イったなんて失礼なー、ほらーよく考えてみー、世の転生者たちもやりそうなことじゃん」


「まぁ、確かにやりそうです、じゃあ家と食糧は結局どうします?」


「それも、栄養価が高い野菜いろいろって願えばいけんじゃないー?」


「そんなてきとうで大丈夫でしょうか」


「大丈夫大丈夫! まかせときなー!! じゃあ早速植えてくる!!」


 と、言って蓮くん行ってしまいました、大丈夫でしょうか、そこはかとなく不安です……。


 私はちょっと不安を抱えたまま残りの木をコロッケたちと一緒に運び終わったときは、もう日の入り前の夕暮れになってました。


「華憐さーーーん!! 夕ご飯できたよーー!!」


 木を運び終わって、運んだ木の上でコロッケたちと休憩してると、蓮くんがご飯を作ってくれたみたいで呼びに来てくれました。


「何焼いてるんですか??」


「ウサギの肉だよー」


「え……ウサギ??」


「そー、畑耕してたら突っ込んできて、そのまま鍬でぐしゃっと」


 ウサギさん、なんて不幸な……昔飼ってた動物を食べるってなんか拒否感があります。


 コロッケたちは蓮くんから少しですがもらって美味しそうに食べてます。


「どったの?? たべないん??」


 蓮くんが不思議そうに見てきますが、やっぱり昔飼ってた動物は拒否です。


「ウサギって昔飼ってたのでちょっと食べにくいので遠慮しときます」


「そーなの?? んー、他に食べ物ないしなー」


「大丈夫です、一日くらい食べなくてもなんとかなります、それより明日はどうします?」


「そうだなー、畑、家って出来たから次は服じゃない?? さすがに制服はもうボロボロだよー」


「そうですね、明日は服を何とかしましょう、それより畑はどこに作ったんですか??」


「えーとね、まず食糧は目の前の畑で、家って願った畑は滝の湖の真ん中の島っぽいところにしたよ」


「滝の真ん中ですか?? そんなとこでいいんですか??」


「そんなとこだからいいと思ったんだよ、ここら辺て意外と外敵多いみたいだし、湖が堀の代わりになってくれる」


「なるほど、さすが蓮くんです!!」


 蓮くんさすがです! そんなことまで考えてるなんて!


 はぁ、今日は昨日より疲れましたね。


「ふぁぁぁ〜……」


 あ、ついあくびが出てしまいました、恥ずかしいです……。


「今日も疲れたねー、華憐さん早く寝な、かまくらのなかに葉っぱとか敷き詰めといたから昨日より柔らかいよ」


「そうですね、疲れました、蓮くんは寝ないんですか??」


「僕は今日はここで寝るよ、夜のうちにできる事見つけたし」


「できること? なんですか??」


「小物作りだよー、熊の爪で彫刻刀みたいなの作ったから」


「すごいですね! でも、今日も一緒に寝たいです……」


「えー、だめだよー、僕が寝られなくなっちゃう」


 蓮くんと一緒にいたいから一緒に寝ようって誘ったのに断られちゃいました……寝られないって蓮くんは私と寝るの嫌なんでしょうか?? 一緒にいると心地よいのに……。


 とても残念で少し凹みましたが、昨日も迷惑かけちゃったし、今日はわがまま言わないでおこうと思います。


「じゃあ、蓮くんおやすみなさい」


「うん、おやすみー」


「がるるる」


 おや? コロッケたちは一緒に寝てくれるみたいです、かまくらにはいって葉っぱの上に横になります、コロッケたちが横で丸くなってます、撫でてあげるともふもふしてて気持ちいいです。


 こうして私は異世界生活二日目を終わりました。




■■



 ◇◇レンside◇◇




 華憐さんが寝静まっても僕は彫刻刀で木を掘り続けてる、コップとか茶碗とか彫ってる。なんだか眠くならない。


「……トイレしたい…………」


 この世界に来てから困ってることひとつ、トイレ事情。


 僕はいい、おしっこは立ちションでできるし、うんこだって別に潔癖系主人公を目指してるわけじゃないから、川でぶりぶりできる。


 だが、華憐さんは女子だ! さすがに僕みたいにはできないだろう、ていうか、トイレ事情どうしてるんだ?? 聞くのは野暮か。


「うーん、明日はトイレも作ることにしよう、」


 トイレに行きたくなった僕は川に行ってぶりぶりして戻ってきて彫刻刀で掘り続けてるうちにいつの間にか眠くなって寝落ちした。




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