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57話 華憐のファーストキス

 


「karen! karen! Help me!!」


 私はお風呂をあがって自分の部屋に戻ろうとした時、英語で呼ばれた。


 英語ってことはひろしさんだよね? どうしたんだろ


 後ろを振り向くと腰にタオルを巻いただけのひろしさんとひろしさんに担がれてる蓮くんがいた。


「ひ、ひろしさん?! 服は?!」


 ひろしさんの身体、がっちりしてて筋肉質。


「Ren fell down!! (レン様が倒れた!!)」


「え?」


 私は担がれてる蓮くんを見る。


 蓮くんは汗がすごく吹き出てて、息が荒く、ぐったりしてる、脱水症状だ!!


「ひろしさん、蓮くんをすぐにベットに!」


「OK!!」


 ひろしさんは蓮くんの部屋に向かう。


「カレン、そんな大声出してどうしたのよ」


 クルアが声が聞こえたのかやってきた。


「クルアいい所に、蓮くんが脱水症状になってるからすぐに氷とお鶴さんに頼んで袋をもらってきて!」


「レンが……? わかったわ! すぐに持ってく!!」


 クルアはお鶴さんのところに向かっていった。


 私はキッチンに行って水差しに水を入れてコップを持って蓮くんの部屋に向かう。


 急がなきゃ蓮くんが……そんなのやだ!!


 私は全力で走った。



 ………………………………………………………………




「蓮くんっ!!」


 扉を蹴破る勢いで蓮くんの部屋に私は入った。


 蓮くんは腰にタオルを巻かれた状態でベットに横になっている。


 ひろしさんは近くでオロオロしてる。


「ひろしさん、ありがとうございます、服きてきてください、あとは私に任せて」


「OK!」


 ひろしさんは服を着に戻っていく。


 蓮くんは苦しそうに息荒く呼吸をしてる。


「とりあえず、水を……」


 私は水差しを蓮くんの口に持ってって水を飲ませてあげる。


「蓮くん水だよ!」


 けど、飲み込めないのか口の端から瑞が零れてくる。


 どうしよう、こういうときってどうすればいいんだっけ……あっ!


 でも……でも、いいのかな?


 私は蓮くんを見てみる、苦しそう……


「ごめんね、蓮くん」


 私は水差しから直接水を飲み口に含んで、蓮くんにキスした。


 や、やわらかい……


 そのままゆっくり口移しで水を流してあげる。


 ごくん……ごくん……と、蓮くんの喉が動いて水を飲んでくれる。


 全部飲んでくれたら、もう一度水を飲んで蓮くんに口移しする。


 何回か繰り返して水差しの水が全部なくなった。


 私は急に我に返ったみたいに場違いに顔が紅潮するのを感じた。


 やっちゃったやっちゃった、私はなんて大胆なことを……初めてのキス、蓮くんでよかったなぁ〜、蓮くん勝手にキスしてごめんね……


 軽くパニック状態になってるとドアの向こうが騒がしくなってきて


「カレン、氷持ってきたわよ!!」


「レン様! ご無事ですか?!」


 クルアとミーナが入ってきた。


 私は、はっ!っと我に帰って二人に指示を出す。


「氷を袋に入れて脇と首を冷やして」


「わかったわ」


「わかりました!」


 私はきゅうちゃんを実態化させて風を吹かせることにする。


「きゅうちゃん! 『そよ風(ソフトウィンド)』!」


「ヒヒィーーン」


 きゅうちゃんはちょっと不満そうにしたけど魔法を使ってくれた。


 蓮くんほんとに嫌われてるなぁー


 しばらくみんなで蓮くんを冷やしてあげてると呼吸が落ち着いてきて、すやすやと眠るようになってきた。


「ふぅ、これで安静にしてれば大丈夫なはず」


 まだ目は覚めてないけど大丈夫そうでよかった……


 そんなこと思ってると、


「レンの身体、汗でベトベトね拭いてあげましょう」


 クルアがそう言って濡れタオルを手にする。


 クルアが蓮くんの身体に触れようとしたその時、ガしっ! とクルアの方に手を置いた者が……


「クルアさん、その大役私がやりましょう!」


 と、ミーナ


「なによ、ミーナはそこにいなさい、私がやるわ!」


「いえ! これは私でなくてはできないことです!」


 いつもどうりの二人の争いが始まりました。


「二人とも、今は蓮くんが寝てるんだよ、静かに!」


 私もいつもどうり仲裁に入ります。


「でも、カレン様、レン様のお身体がベトベトです、これは拭かなければ!!」


「そうよカレン、これはやらなければならないと思うわ」


 た、確かに汗でベトベトは気持ち悪しなぁ


「な、なら私が……」


「ならその役目、私がやろう」


 私がやるって言おうとしたら第4の声にさえぎられた。


 せ、せっかく勇気出そうと思ったのに!! だれ?!


 やってきたのはシロ様とひろしさんだった。


 なぜか白い帽子に髪の毛を全て入れてマスクをして白い手袋をした手を上に向けて、エプロンみたいのを着ている。


 なんでそんな医療ドラマみたいに手術中にやってくる奇跡の医師みたいな登場なの?!


「同性の私なら問題なかろう」


 そう言ってクルアから濡れタオルをとるシロ様。


「さぁ、おさんか〜た、たいしゅ〜つをだっぺ」


 ひろしさんに促されて私たちは廊下に出た。


 廊下に出るとコロッケが心配そうな顔で廊下を行ったり来たりしてる。


「あ、カレン姉ちゃん、レン兄ちゃん大丈夫か?」


「大丈夫だよ、男風呂で何があったの??」


 私はひろしさんとコロッケからことの事情を聞く。


「なんかレン兄ちゃん、水がぼおぉぉーーって出るところで修行で仙人になるとか言って頭から浴びてたぞ!」


「……………なにやってるのよ」


「レン様は仙人になりたかったのですか?」


「蓮くんってやっぱりアホ……」


 私たち三人はちょっと、いやかなり呆れ気味、これは元気になったら罰を与えた方がいいかな?


 それからひろしさんからも話を聞いた。


 たぶん脱水症状になったのはこっちの方だと思う。


 だって二時間サウナって普通の人がやることじゃないもん!


 というか、なんで二時間サウナで喋り続けてたひろしさんは大丈夫なの?!


 ひろしさんもビックリ人間? 鶴だから鳥? でした。


 そんな事思ってると、蓮くんの部屋のドアが開いて


「無事、汗を拭き終わりました、もう部屋に入っても大丈夫ですよ」


 と、マスクと白い帽子を取りながらシロ様がでてきた。


 いや、だからなんでレジェンドドクターがひと仕事終えたみたいな感じなの?!


 心の中でツッコミをいれつつ、私たちは蓮くんの部屋に入ります。


「すやすや寝てるね」


「レン様、よかっです」


「まったく心配かけないでほしいわ」


 私はすやすやと眠る蓮くんの寝顔をみて安心して、蓮くんの手を握ってそのまま眠りに落ちました。



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