表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/236

54話 精霊

 


 私は今、朝ごはんを食べ終わって部屋に戻るところです。


 今日はクルアに蓮くんと魔法を教えてもらうことになってます。


 朝ごはんは、シロ様が炊いたご飯とポテトサラダと野菜スープで健康的な朝ごはん。


 シロ様は昨日からこの巨木な我が家に住むことになりました。


 蓮くんは「同世代くらいの男子が増えたー!」って喜んでました。


 どうも、うちのお米をたいそう気に入ってくれたようで「白米のことは任せてくれ!」って言って、主に白ご飯と稲の栽培をするみたいです。


 そうそう、昨日あの後、シロ様が「この米の銘柄は決まってるのか?」と聞いてきたので銘柄をつけることになり、みんなであーだこーだと会議して『ニギハヤミ』という銘柄に決まりました。


 さて、昨日の回想をしていたらそろそろ私の部屋につきます。


 今日は魔法の授業、魔力を目視しようと訓練して昨日なにか掴みかけた、だからきっと今日はできるはず!


 自分に気合を入れて自分のドアを開けると


「ヒヒィーーン」「モォ〜〜」


 翡翠色の馬と紫紺色の牛がいました。


「…………………」


 バタンっ!


 とりあえず1回ドアを閉めます。


「ふーーーー」


 長く息を吐いて


 ガチャり


 もう一度開ける


「ヒヒィーーン」「モォ〜〜」


 幻覚ではなかったみたい、でも少し透けてるような……


「こういうときはとりあえず蓮くん呼ぼう……蓮くーーーーん!!」


 それにしても、どこから来たんだろ?


 朝起きた時はいなかったし……


「どうしたー? え?! なぜ牛と馬がいる?」


「わかんない、部屋に戻ってきたらいたの」


「とりあえずここじゃ狭いから小ホールに行こう」


 私たちはとりあえず2匹を連れて小ホールに向かいました。



 ………………………………………………………………




「しかし、翡翠色の馬と紫紺色の牛なんて異世界ならではの動物だなー」


「そうだね、誰かが連れてきたのかな?」


 私たちは改めて馬と牛を見てみる。


 馬は鬣や目が翡翠色で体はうっすらと緑がかった白っぽい色、やっぱり少し透けている。


 牛は角は黒くて、全身が濃い紫色でこっちも少し透けて見える。


 あれ? この色合い最近どこかでみたような……


 私がどこで見たか思い出してるとクルアが来た。


「二人ともこんなところでなにしてるのよ、魔法教え……なんでこんなところに精霊がいるの?」


 クルアは途中まで何かを言いかけて牛と馬を見てそう言った。


 精霊? 今精霊って言った??


「クルナ、精霊ってこの牛と馬が?」


「そうよ、ほらちょっと透けてるじゃない、でも馬と牛の精霊なんているのね、誰かと契約してるのかしら?」


 誰かと契約してるならステータスを見ればわかるかな?


「<鑑定>してみるね」


 私は牛と馬を鑑定してみる。



 ………………………………………………………………



 キュウ(精霊馬(エレメンタルホース) 契約者:塔野華憐)

 属性:風

 年齢不詳 身長:測定不可 体重:測定不可

 スキル 『疾駆』『霊魂召喚』『胡瓜促進』

 状態 実体化中


 こなす (精霊(エレメンタル)(ミノタウロス) 契約者:塔野華憐)

 属性:風

 年齢不詳 身長:測定不可 体重:測定不可

 スキル 『遅動』『霊魂除霊』『那須促進』

 状態 実体化中



 ………………………………………………………………



「え……きゅうちゃん、こなすちゃん?」


「ヒヒィーーン」「モォ〜〜」


 うそ、あのきゅうりとナスに割り箸つけて名前を付けてあげたやつがこの子達?


「きゅうちゃん、こなすちゃんって、華憐の黒歴史のきゅうりとなすのこと? ま、まさか<命名>したから?」


「た、たぶんそうじゃないかな?」


 私と蓮くんは絶句した。


 さすがに野菜に知能を与えても特別なことは起きたりしないって思ってたし、今までと違って一晩たっても変化がなかったから。


 でも、違ったみたい、野菜に名前を与えたら精霊になりました。


「なぁ、クルナ、精霊って上位種族だったりする?」


「そんなの当たり前じゃない、人間よりは高位の存在よ」


「ま、まじかぁ〜」


 私も蓮くんと同じ感想です。


 だって、私が名前を与えただけで人間より高位の存在を作り出しちゃうんですから。


「ちなみに契約者はー?」


「私になってる、二匹とも」


「え……カレン、二匹の精霊と契約してるの?! 一体どうやって……」


 あ、そっか、クルアはきゅうちゃんとこなすちゃんを私が連れてたの知らないんだった、クルア来る前の話だったしね。


 私はクルアにことの成り行きを教えてあげました。


「え、カレンが野菜に名前をつけると精霊になるってこと?」


「多分そういうことだよ」


「はぁーー、レンも大概だけどカレンもぶっ飛んでるわね」


 なにそれどういうこと! 蓮くんよりはぶっ飛んでないよ!!


「この二匹、きゅうりとなすに割り箸で足つけたやつだったよねー?」


「そうだよ、蓮くんそれがどうし……あっ! なるほどだから馬と牛なのか」


「何? まだ何かあるの?」


 私はクルアに説明してあげます、なぜ馬と牛で精霊になったのか


 日本ではお盆にきゅうりとなすに割り箸をつけて玄関前とかに置いておく習慣があります。


 きゅうりは足の早い精霊馬を模していて、先祖の霊が乗って早く帰って来れるように、ナスは足の遅い精霊牛を模していて、なるべく長くこの世に残っていられるようにという意味です。


 だからあのスキルだったのか、納得納得!


 『霊魂召喚』ってお化け召喚するのかな? それはなんかやだな、おばけ怖いし。


 それに、『胡瓜促進』と『那須促進』は絶対きゅうりとなすで作ったからだね


 もしかしてこなすちゃんにのったらあの世に連れてかれる?!


「もし、この推測があってたらほかの野菜だったら精霊じゃないかもなー」


「蓮くん、もうやらないからね、あんなみんなに生暖かい目を向けられるのはい、や、だ!」


 そう、あの時は本当に恥ずかしいことをしました。


「それにしても、でっかい馬と牛だなー、沢山霊を運べるようにかなー?」


 そういえば、状態は実体化ってなってた、ということは霊体化もできるのでしょうか?


「きゅうちゃん、こなすちゃん霊体化!」


「うぉっ、消えたよ、どこいった?」


「レン、霊体化よ」


 やっぱり透明になれるみたいです、ちなみに私には見えてます。


「二匹とも、実体化!」


「おー、霊体化かかー、ちっちゃくとかもなれるの?」


「んー、やってみる、二匹ともちっちゃくなれる?」


 私がそう言うと、二匹はみるみるうちに小さくなって、私の膝くらいの大きさになりました。


 え! メルヘンチック!! かわいーーー!!


「ちっちゃ! ちょーちっちゃくなるじゃん、かわいいな……いてっ! なにしやがる!」


「なんだかコロコロしてて可愛いわね」


 蓮くんはきゅうちゃんを撫でようとして噛まれて、クルアはこなすちゃんをコロコロしてる。


 蓮くん嫌われてるのかな?


「カレンが精霊使いになったなら魔法はもう使えるわね」


「え?どういうこと??」


「精霊と契約してるなら精霊の使える属性魔法なら使えるようになるはずよ、それにカレンは魔力も見えるようになってると思うから」


 じゃあ、きゅうちゃんもこなすちゃんも風属性だから、風の魔法が使えるかな?


「じゃあ、さっそく試してみよう!!」


 私たちは魔法の練習のために家の前の広場に向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
https://ncode.syosetu.com/n3707gq/『父さんが再婚して連れてきたのは吸血鬼な義妹でした』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ