49話 裁判の後で
裁判が終わったあと、蓮くんが再びリーアさんとレーアさんに連れられて牢屋室に戻っていき、みんなも撤収、日常生活に戻る。
ホールの裁判セットは……そのままでいっか
「皆さん、今日はつきあってくれてありがとうございました!」
私はこの茶番に付き合ってくれたみんなにお礼をする。
「さて、二人とも蓮くんを迎えに行こっか」
「そうですね!」
「わかったわ」
私達は牢屋の鍵を持って蓮くんの牢屋に移動ことにした。
「お二人は奴隷刑の執行いつするか決めてます?」
蓮くんのところに向かう道すがらミーナがそんなことを聞いてきます。
「私は決めてないわ」
「私もいつでも執行できるしね、そんなにすぐじゃなくても、ミーナは決めたの?」
「私は明日にでも執行したいですけど、レン様がいなかった一日でやるはずだったこととか出来てないのでゆっくりできる時に使おうかと、なるべく早い時期で」
私はいつ使おうか、奴隷にしてやらせたいこととか特にないですし。
「あれ? みんな??」
そんなこと考えてたらいつの間にか蓮くんのところまできてました。
「蓮くん、ちゃんと反省はしました?」
「えーと、はい、心配かけてごめんなさい」
蓮くんは囚人服を着たまま謝ってきました。
まぁいいでしょう、許してあげます。
私は鍵を取り出して牢屋を開けてあげます。
蓮くんは立ち上がって、牢屋から出てきてうーーんっと、一伸び
私はその姿を見て、なんだかほっこりして、蓮くんに近づいて思わずギュッと抱きついてしまいました。
「か、華憐? どうした?」
「本当に、心配したんだからね! 帰ってこなくて、何かあったのかなって思って……蓮くんなにも持ってってなかったし、お腹すいて倒れてるんじゃないかとか……」
本当に本当に心配したんです。
だから、いつもの蓮くんの姿をみたらホッと安心して、ああ……帰って来てくれたんだなって思って……
「ただいま、華憐」
「はい、おかえり、蓮くん!」
蓮くんは私の頭をポンポンと撫でてくれます。
やっぱりなんだか安心します、こっちに来てこんなに離れてたことなかったので
「レン様! 私も心配したんですからね!!」
「おっとと、心配かけてごめんて」
ミーナも蓮くんに抱きついてます。
まぁ、確かにミーナが一番心配してたしね。
「ミーナもただいま!」
「おかえりなさい、レン様!」
うん、やっぱりこういうのがいいですね!
裁判とかそういうのは全部口実で、あの時は確かに怒りましたけどやっぱり無事に帰ってきてくれたことが一番良かったです!
「僕がいない間何も無かった?」
「特に何も無かったよ、鶏舎が完成したのと、生簀をどうするかってなって、湖にロープで囲いをつくって作ってみたくらい」
「んー、ならそれは明日にでもだな」
「レン様、その耳飾りなんですか?」
「あ、それ私も気になってた、ピアスだよね?」
蓮くんはシルバーのリングの耳飾りと黒い宝石みたいなのが着いてるシルバーピアスを左耳に付けてます。
穴が空いてたのは気づいてましたけど、ピアスを付けてるのを見るのは初めてです。
かっこいいですね
「えーと、それについてなんだけど、とりあえず部屋を移動しよう」
私たちは蓮くんの部屋に行くことになりました。
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蓮くんの部屋にやって来ました。
「クルア、バックを出してくれる?」
「わかったわ……『宝物庫』」
クルアさんが空中に手をかざすと、その空間が歪んで中から何かが出てきました。
え?! 魔法!! 魔法じゃん!!! いーなクルアさん私も使いたい!!
「あれ、これ私のスクールバッグじゃん」
クルアさんが出したのは私がトラックに轢かれた時に持っていたスクールバッグ。
「やっぱり? ダンジョンの最奥に行ったら祭壇があってそこにあったんだよ、というかダンジョンの最奥は滝の中の洞窟に繋がってた」
え?! ちょっと待ってください、頭が追いつきません!
「えっと、なぜそんなとこに私のバックが? それに、滝の中に洞窟があるの?」
「それは僕にもわからないんだ、僕のバックもそこにあったし、祭壇から出口をみつけて行ったらそこに出たよ」
「神様の仕業なのかな?」
「たぶん、そうなんじゃないかな、神気解放したりしてみたけど交信とかはできなかった」
あ、なんかそのシーン容易に想像つきます、金髪になって両手を上にあげてそう
「中身は全部ある? 僕のは全部あったけど」
「見てみるね」
私はバックの中を見聞します。
筆箱に漫画に漫画に漫画に漫画に漫画、スマホにメガネ、ラノベに体操着にジャージに化粧ポーチ、まぁ何が入ってたかなんて覚えてないですけどおおむねあるでしょう。
「漫画持ちすぎじゃない?」
「そうかな? いつもこんなもんだよ?」
「まじかい」
スマホの電源は……着きますね
あー、でも電波と電池がないか、残念……
「僕もスマホ使えなかったよ、神様も親切じゃないよねー、使えるようにしてくれたらよかったのに」
「ほんとだね、これらのものどうする?」
「華憐が持ってればいいんじゃない? 僕は自分で持ってるよ使えるものは使うし、あとスポーツバックもあったから服とか靴とかいろいろあるし」
ああ、蓮くん陸上部でしたもんね
「じゃあ、私もそうしよう、ジャージとか部屋着にピッタリだしね」
「あ、そうだ、ミーナにもこれあげるよ」
「なんですか?」
「クルアにもあげたからね、ボールペン、文字が書きやすいよ」
「わぁ! ありがとうございます!」
スラスラかけるやつですね、私も愛用してます!
「それと華憐、無断でごめんだけどクルアに僕達のことは話した」
「知ってるよ、昨日たくさんお話したもん」
クルアは素敵な方でした。
吸血鬼でエッチな子でちょっとツンデレで蓮くんのことが大好きで、あれ? 属性多すぎません??
まぁ、なんにせよ前世の自分の荷物が帰ってきたのはいろいろ便利になるので良かったです。
「あ、そーだ、もうひとつ華憐に見せたいのがあるんだよ、外に行こう」
はて? なんでしょう
私たちは外に出ました。
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「クルア、フラン○ー将軍だしてー」
え? ○ランキー将軍?
「わかったわ………『格納庫』」
クルアさんが魔法を使って、また空間からなにか出します。
あれほんとに便利ですね、絶対教えてもらいましょう。
クルアさんが出したのは……
「ふ、フラ○キー将軍だ……え、どうしたのこれ」
なんの冗談かとおもいましが、ガチフラ○キー将軍です。
「いや、なんか最奥を守るガーディアンのゴーレムだったんだよ、それでぶっ倒して持ってきた」
「え、蓮くんこれ倒したの? ほんとにびっくり人間だよ……」
私は蓮くんの規格外ぶりに呆れるばかりです。
「それで、これどうするの?」
「華憐、核の作り方分からない? 核作ればもっかい動く気がする」
「うーーん、作り方は分かるけど材料がないよ」
「あ、それなら私がたぶん持ってるわよ」
お、さすが、クルアです!
「お、まじでー? じゃあ、これクルアと華憐に任せる!」
え、そんな勝手なー、まぁいいですけど
「じゃあ、レン、これがしっかりと直ったらご褒美ちょうだいよ」
「ご褒美? 何か欲しいものでもあるの?」
「内緒よ!」
クルアさんって子供っぽいのか大人っぽいのかわからないですね。
「ん? まぁ、いっか、それよりお腹空いたなー、クルアの歓迎会ということで今晩は豪華にいくかー!」
「あっ! それはいいですね! レン様!!」
「レンの料理は美味しいってみんな言ってたから楽しみだわ」
それから私たちはガヤガヤ騒がしく家にもどって料理の準備を始めた。




