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5話 親の仇?

 


◇◇レンside◇◇



 昨日は特に話し合うこともせず寝てしまったため、今後の方針を立てて、僕達はとりあえず、道具を作ることにした、鍬、スコップ、斧、剣などなどを。幸い材料はあるし。


 材料は昨日狩った鉄鋼熊(アイアンベアー)の鉄とちょっと太めの木の棒、あとはツタを使えばできるらしい。


 ツタは昨日のうちに華憐さんがとってきていて、<知識>の能力で見たら作り方とかも分かったみたい。なかなか便利な能力だ。


「うんー、ここをこうして……ここら辺でグルグルして……」


 華憐さんはクマの背中についてた薄い鉄の塊と、木の棒を必死にツタで巻いてるけど、不器用なのか上手くいかないみたい。


 僕はクマの牙でナイフをつくって、長めの爪で小太刀くらいの長さの剣を作ってみた、今は華憐さんが川で見つけてきた砥石で鋭くなるように削ってるとこ。


「大丈夫ー? 貸してみ」


 さすがに時間かかりすぎて、ちょっと見かねたので、僕がやってみることにした。


 やっぱり、ここでも<才能>の力で華憐さんよりうまくできる。


 作り方は分からずともなんとなくどこをどうすればいいのか分かる。


「はぁー、蓮くんはやっぱり上手いですね、流石です!」


「でも、たぶん、<才能>の力だからなー、僕自身あんまり器用じゃないし」


「そんなことないですよ! 上手です!」


「そう? ありがとー」


「はい!」


 褒められるのも悪くないけど、そんなこんなで黙々と作って、

 ・鉄クマのナイフ

 ・鉄クマの小太刀

 ・鉄クマの鍬

 ・鉄クマのスコップ

 ・鉄クマの斧

 が出来た。


「よしっ! とりあえず色々できたから、まずは木を切るかー」


 サバイバル生活するならとりあえず木を切ることだよね? ゲームとかそうだよね? けどゲームと一緒にするのは良くないか。


「そうですね、木を切れば色々出来ますしね」


 まぁ、でも、華憐さんも木を切ることには賛成みたいだ。ただ、


「だけど、でかいんだよなー、木」


「大きいですねー」


「倒したら運べる気がしないよー」


「さっきのツタでロープ作って引きずってみます?」


「いやー、それでもさすがに二人じゃ無理じゃない?」


「ですよねー、困りました」


 そう、木は切れるかもしれないけど、パッと見える範囲の木たちだけでもかなりの大きさだ、とても運べるとは思えない。こんな感じでいきなり非常事態にぶつかった。


 まぁ、それでも何もしなければ進まないわけで、とりあえず、木を切ろうと斧を持って近づく。


「本当にでっかい木だなー」


 そんなこと思いながら斧を構えて少し腰を落とす。正直、木なんて切ったことないし、そもそも斧を持ったことすらない現代っ子だけど、なんとなくこうすればいい、というのが分かる。これも、きっと<才能>の力だろう。


 そして、深呼吸してから思いっきり斧を振った。


「はっ!」


 僕が振った斧は真っ直ぐに木に入って、幹の真ん中くらいまでバリバリっと突き刺さった。


 そして、そのまま自重を支えられなくなった幹が半ばから倒れていき、「どごおぉぉぉーーん」と、大きな音を立てて倒れた。


「……………」


 まさか、一発で切れると思ってなかった僕は動揺を隠しきれない。<才能>の力ありきにしても、ちょっとおかしくない? 身体能力でも上がってるのかな、昨日もクマにキックした時とか少し人間離れの動きをした気がするし。


「蓮くん! 大丈夫ですか?」


 付近で、なにか探索でもしていたのか、木が倒れた音が聞こえたようで華憐さんが心配そうにやってくる。


「……ん? ああ、大丈夫だよ、びっくりしただけ、まさか一発で切れるとは……恐ろしや」


「綺麗に切れてますね、さすがです!」


 華憐さんは褒めてくれるけど、たぶん<才能>の力だよ。貰い物だと、やっぱり嬉しさがなー。


「でもやっぱ、運ぶのが大変だなー」


 やっぱりネックなのはこの大きな木をどうやって運ぶかだ。そうやってまた、どうやって運ぼうかうんうんうなってた時だった。


 森からカサカサと音がした。


「なんだー?」


 僕はとっさに腰に下げていた鉄クマの小太刀を抜いて構える。華憐さんも同じように小太刀を構えていた。


 最近思ったけど、華憐さんって結構肝がすわってるよなー。現代っ子のオタク女子とは思えないよ。


 そんなことを考えながら、音がした方を睨んでると、


「がおおお!」


 昨日の鉄クマのがちっちゃくなったような子グマが現れた。


 毛皮は鋼色でツヤツヤしていて、もふもふしてそう、しかも一匹だけじゃなくて三匹もいる。


 僕は油断なくしっかりと睨みつけていると、


「わぁ! なんて可愛いんでしょう!」


 いつのまにか小太刀をしまって前に出ていた華憐さんが子熊に近づいてた。


「華憐さん! 危ないよ!」


 クマは子グマでも危険って聞いた気がする。それに、ここは異世界で昨日は鉄グマさんのような日本にはいないような生き物がいたんだ。すかさず注意するが、華憐さんは子熊に夢中みたい、でもなぜか、子熊の方はおとなしい、なぜ?


「蓮くん、この子達お腹が空いてるみたいです」


 僕が子グマたちと戯れている華憐さんを注意深く見守っているとそんなことを突然言われた。


「お腹? その子熊がなに言ってるのか分かるの?」


「はい! なんか、いつもはお母さんが持ってきてくれるけど今日は朝まで待っても帰ってこなかったって言ってます! 蓮くん、もしかして昨日の……」


 華憐さんはハッとしたと思ったら顔色を悪くしてそんなことを言う。そういえば、この子グマたちの色どこかで見たような? 僕はギギギっと首を動かして昨日狩った鉄グマの方に顔を向ける。


 そして、そのまま子熊のほうをもう一度見て、納得してしまった。


 君たちのお母さん殺したの僕です。


 ごめんなさい。


「蓮くん、この子達お腹すいたと言ってます」


 そうだよね、お母さん僕が殺しちゃったんだから、ご飯貰えないとお腹が空くよね。


「う、うーん、わかった、ちょっと待ってて」


 僕は罪悪感を感じながら、子熊たちにご飯をあげるため川に向かった。今の手持ちの食料は昨日のお肉しかないけど、さすがに親の肉を食わせるような残虐なことできない。


 川で、頑張って六匹の巨大魚(タイラントフィッシュ)を素手で捕まえてきて、戻ってきた。今日の朝に素手で捕まえたのはまぐれじゃなかったみたいだ。本当は巨大魚(タイラントフィッシュ)以外のがないか探したんだけど、いなかった。


 子熊と華憐さんは一緒に遊んでて随分と仲良くなってる様子。ほんとうに言葉がわかるのかな?


「はい、魚とってきたよー」


「あ、蓮くん、ありがとうございます。ほら、お魚さんだよー」


 子熊たちは僕がとってきた魚をおいしそうにガブガブと魚を食べている。


 でもちょっとスプラッタ……一口でいってよ。


「華憐さん、本当になに言ってるかわかるの?」


「わかりますよ、今は美味しい美味しいって言ってます。あ、こら弟の分とらないの!」


 華憐さんがちょっとファンタジーっぽいこと言って、真ん中の子グマが左隣の子グマの魚を取ろうとしたのを叱った。


「兄弟なの?」


「はい、真ん中が兄で、左が弟、右が妹みたいです。教えてくれました」


 どうやらこの子熊たちは三兄弟らしい、ちょっと僕には見分けがつかない。というか、動物の言葉が分かる……やっぱり神様の力なのかな?


「その、言葉がわかるのも<知識>の力?」


「多分そうだと思います。『言語能力』だと思います」


 あぁ、よく異世界転生系主人公が持ってるなぜか異世界の言葉が分かっちゃうスキルみたいなやつか。あれ? 僕、<才能>の力なんだけど……言語大丈夫かな?


「なんか、ここの世界の言葉を勉強しないといけないような気がしてきた……それにしても、動物と話せるなんてメルヘンだなー」


「そうですね。動物とお話できるなんて夢みたいです! あ、兄熊が蓮くんに『俺の母親を殺したのはお前か?』ですって、なんて答えます?」


 そう言ってくるってことはことはやっぱり昨日の鉄グマさんはこの子達の母親のようだ。悪いことしちゃったかな?


「んー、正直に答えていいよ」


「いいんですか? わかりました」


 特に隠すようなこともないし、正直に答える事にする。しかし、動物と話せるなんて羨ましいなー、僕も<才能>の力で話せないかなー? 無理か。


「兄熊は怒ってないみたいです。弱肉強食は世の常識って言ってます。ただ、ご飯が食べれなくて困るので面倒を見てほしいそうです」


「んー、まぁ、いろいろ手伝ってくれるならいいよー」


「わかった、よろしくお願いする。だそうです、やったーー! もふもふですよー! 蓮くんも触ってみては?」


「んー、じゃー失礼して」


 僕は子熊を撫でてみた、もふもふふわふわで毛並みも触り心地がいい、ほんとに野生なのか? シャンプーをしたあとみたいだ。


「あ、私考えつきました、コロッケたちならあの木運べないでしょうか?」


 と、さっき僕が倒した木を指差して華憐さんが言う。ん? コロッケ?


「コロッケって?」


「この子の名前です! 兄がコロッケ、弟がポテト、妹がハルマキです! 今考えました!」


 と、華憐さんは自信満々に胸を張って言ってきた。


 うーん、なぜ揚げ物料理? 飼って将来揚げるんだろうか?


 まぁ、でもさっきの提案の木を運んでもらうのはいいかもしれない。


「そうかー、じゃああとで僕は三匹の見分けがつかないから見分けつくようになにか目印つけといてー、あと木を運ぶの手伝ってもらえる?」


「はい! わかりました! スカーフでもつけときます! 手伝ってくれるそうなので、私は木を引っ張るためのロープを作ります!」


「じゃあ、僕はその間にここら辺の木を切っとくよ」


 それから僕たちは分担して、華憐さんがロープを作り、僕が木を切り、コロッケたちは僕が切った木でのんびりと爪を研いでいた……手伝う気ないやん。





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