48話 裁判
僕は今、玄関の前で正座している。
昨日、華憐とミーナにクルアが連れていかれてから、また外に閉め出されて、さすがに何かしらやらかしたのかと察してとりあえず正座しといた。
正座して一晩を過ごしたのは初めてだ
「僕は何をしたんだ……」
閉め出されてからちょくちょく、エルフとか出てきたけど話しかけてもみんなに無視される。
さすがにコロッケに無視された時は涙が出るかと思った。
「やっぱり、早く帰らなかったから心配かけすぎちゃったのかなー?」
僕はなにをやらかしたのかぐるぐるぐるぐると考えてるとガチャりとドアが開く音がした。
はっ! と顔を上げてみるとドアのところに腕を組んで華憐とミーナとクルアが立っていた。
え?! クルアもそっち側になったの?! いつの間に……
「一晩中正座してたの? 大丈夫?」
華憐が心配してくれる、ならドアを開けてよぉー
「ごほんっ……カレン様、甘やかしたらダメです、レン様正座とはいい心がけですね」
ミーナはいつからそんなに高圧的な子に……僕、そんなふうに育てた覚えはありません!!
「さぁ、レン様、ついてきてもらいますよ」
ミーナが手をパンパンって叩くと後ろに控えていたリーアさんとレーアさんが僕の腕を掴んで立たせた。
だから、いつからそんなに高圧的に……
「レン、逃げようとしても無駄よ? 私には魔法があるんだから」
「もともと逃げるつもりなんてないよ」
僕は腕を引っ張られて連れていかれた。
「あ、蓮くんその前にこれに着替えて」
そういって、華憐に渡されたのはシマシマの囚人服みたいな服
「なに? これ」
「いいから着替えて!」
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着替えさせられて連れてこられたのは61階のホテル部屋がある所。
そこに鉄格子があって牢屋みたいになってる部屋。
え? こんな部屋あったっけ?! なにここ!!
「蓮くん、ここに入って自分の罪と向き合って」
そして、布紙を大量に渡してきた。
「これは?」
「そこにダンジョンであったあることないことを全て書いて、嘘と隠し事はだめだよ、こっちにはクルアがいて嘘を書いてもすぐにわかるからね」
「まぁ、それは、わかってるけど、ないことは書けないからね?」
「それじゃあ、裁判の準備ができるまで待っているように」
そう言って立ち去ってくみんな
え? 裁判?! なにそれ、なにするの?!
「まぁ、それはいいか、この紙は……」
僕の前にはそれはもう大量の紙がある、本当に全部書けってことなんだろう
「しょうがない、向こうにはクルアがいるし、全部正直に事故のこととかも全部書こう」
僕はダンジョンに入ってから出てくるまでのことを全て、すーべーて事細かに書いた。
はぁー、でもよかったな、とりあえず牢屋だけど家に入れてもらえて、あのまま閉め出されたままでみんなに無視され続けたら精神的に病んでた所だったよ。
てか、裁判ってなんなんだ? これ絶対、華憐の入れ知恵だろ、実はドッキリ的なやつでしたーって感じのやつなのかな?
そんなこと考えてるとリーアさんとレーアさんが来た。
「レン様、出てください、裁判の準備が整いました」
「は、はい」
なんで、二人は女警官みたいな衣装を着てるんだろう? ここに連れてくる時は着てなかったよね?
てか、似合ってるなぁー、本職の方たちと遜色ないくらい似合ってる。
二人は僕の腰にロープをまいて僕を前後で挟んで逃がさないように小ホールに連れていった。
だから逃げないってば
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小ホールの内装はなんか様変わりしていた。
何も無かった部屋がまるで裁判室のようになっている。
僕はリーアさんとレーアさんに促されて被告人席みたいなとこに座らされた、二人はぼくの隣に座る。
僕の後ろには傍聴人なのか、柵の先にエルフたちや折り鶴たちが座ってる。
裁判では警察側が座るところに華憐とミーナとクルアが座っていて、なんかスーツ着てる。
弁護人側にはお鶴さんとひろしさんとポテトが同じくスーツを着て座ってる。
ひろしさん似合うなー、仕事が出来る男!!って感じがする。
裁判員が座るところにはコロッケとハルが座っていて、気になる裁判長は……
バンバン!
「では、これから汚物人、もとい被告人、雨宮蓮の裁判をはじめるスラ」
ルンが法服を着て裁判長席に座っていた。
汚物人ってなんだよ……
てか、折り鶴たちちょっと頑張りすぎじゃない??
めっちゃコスプレ衣装作ってるじゃん、よくそんな時間あったな!
「まずは人定質問スラ、人名雨宮蓮、年齢十八歳、職業汚物、本籍住居巨木これに間違いはないスラか?」
職業汚物ってなんだよ……ルンはそんなに僕を汚物にしたいの??
「被告人答えるスラ」
あー、はいはい、僕の番か
僕は真ん中のところに立つ。
「えーと、職業は汚物じゃない……です」
「汚物じゃないならなんだスラ」
僕の職業ってなんだ? 農家?絵師? 彫刻師も冒険者もちがうな、わからん。
「えーと、不詳です」
「つまり汚物スラね、わかったスラ」
え?! なんでそうなるの!! あーもー、はいはい解ったよー
「次に起訴状スラ、警察側」
「はい」
ミーナが立つ
「罪名及び罰状 刑法第二十五条 ヘタレ罪、刑法第三十六条 私の心配を返せ罪、刑法第五十条 ダンジョン強姦罪以上です」
まってまって知らない罪名多いんだけど!! てか、五十条もあるの?! いつの間にそんな考えたんだ……。
ヘタレ罪ってなんぞや、2つ目のなんて完全に私情じゃん!!
最後のは本当にありそうだけど事故だ! てかどちらかと言うと僕がされそうになったんだぞ!!
「被告人、間違ってることはあるスラか?」
「えーと、1つ目と2つ目の罪状がよくわかんないのと、3つ目のは事故というかなんというか」
「1つ目は私とクルアさんの勇気を不意にした罪、2つ目はカレン様があんなにも心配していたのに女の子に鼻の下を伸ばしていた罪、3つ目はクルアさんの胸をまさぐった罪です」
なっ、勇気を不意にってあれか? 迫られたときのやつ?? 鼻の下を伸ばしてたって、まさか華憐全部見てたの?!
「3つ目のは事故だ! 暗くて何も見えなかった! それに、強姦されそうになったのは僕の方だ!!」
「そんなっ! あんなに強く私の胸を鷲掴みにして、私をあんな気持ちにさせたくせに……」
クルアが顔を覆ってうずくまる……演技をする。
「おい、あのレン様が女の子を」「やっぱりレン様も男だったのね」「よかった、実は男色なのかと思ってたわ」
傍観席がざわめき出す。
おい、最後の僕はホモじゃないぞ!!
「レン様、ならその暗闇でクルアさんの胸を触った時、ちょっとでも『あ、ラッキー』とか思わなかったのですか?」
ぐふっ! く、ちょっと思ってしまってる。
「そ、それは……僕も男だし少しは……」
「なら、罪を認めますね?」
「わ、わかったよ、一応認める」
「ふむ、一応ですか、しぶしぶって感じですね、反省が足りないのではないですか?」
「反省してます、すみませんでした」
「ふむ……裁判長、被告人の行為は極めて悪質な上、反省の情が中途半端、罪の意識が低く今後も同じことを繰り返す可能性が高いと思われます、よって私たち三人の一日奴隷刑を求刑します」
ええーー?! 反省してるって言ったじゃん!! なんて理不尽な……
「ちょっ! 反省してます! とっても反省してますよ!!」
「汚物人静かにするスラ」
汚物って言った! この裁判長また汚物って言ったぞ!!
「弁護人、なにかご意見はあるスラか?」
お鶴が立ち上がる、頼むぞー、弁護してくれー
「ないでありんす」
「なんで来たのーー?!」
お鶴さんー! 何しに来たのさー!
「では、判決を言い渡すスラ、判決………カレン、ミーナ、クルアの一日奴隷刑スラ、なお刑の実行に関しては本人たちの自由とするスラ」
こうして、なんとも理不尽な裁判が終わり、僕の有罪が確定。
僕の人生の三日だけ三人の奴隷となることが決まった。




