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46話 華憐の尋問

 


 今、私とミーナは蓮くん粛清大作戦を決行中です。


 その一環で、蓮くんと一緒にいた女の子、クルアさんから話を聞いているところです。


 尋問と言えば飴と鞭!


 でも、さっき鞭役のミーナが少しやりすぎちゃって、クルアさんが幼児化、そして涙目、これじゃ聞けるものも聞けません。


 だからまず、慰めるところからします。


 それが正しい飴のやり方。


 昔弟とよく刑事ごっこで飴と鞭の尋問シーンをやってたからよく分かります。


 では、私の迫真の演技を始めます。


「悪いね、さっきのはうちの新人でね、まだ尋問に不慣れなところがあるんだ、大目に見てやってくれ」


 私は少し野太い感じの声を出して、クルアさんに話しかけます。


「ぐずっ……嘘じゃないもん、レンに胸触られたんだもん」


 蓮くんが胸を触った、これは私も正直あのヘタ蓮くんがそんなことできるわけがないと思いますが、姿が変わるとはいえ、今のこの幼いクルアさんにそんなこと言われると犯罪臭が臭ってきますね。


「わかったわかった、とりあえずこれでも食って、泣き止んでくれよ、嬢ちゃん、ほーれ華憐さん特製里芋コロッケ丼だ!」


 ほんとはカツ丼を出したいけどまだ肉がない、しょうがないから里芋コロッケをつくってもらった。


 クルアさんは里芋コロッケ丼をじーーっとみて食べ始めた。


 食べ始めるとどんどん体が大きくなっていき、元どうり私と同じくらいになりました。


 私は飴を続けます。


「おお、えぇー食べっぷりやなー、俺にもなぁ、嬢ちゃんと同じくらいの娘がいてなー、『さとこ』っていうんやけどな、だから嬢ちゃんくれぇーの女の子がこんなとこにいるのは不本意なんだ、だからホントのことはなしてな」


 私はなるべく優しい口調で、話すように誘導尋問する。


 なんか、同じくらいの娘のときにクルアさん目を見開いてたけどどうしたんだろう?


 さて、そろそろ食べ終わったね、質問を始めよう。


「落ち着いたか? 一応もう一度聞くけど、その、ほ、ほんとに蓮くんに、むむむ胸を触られた……の?」


「そうよ、私は夜目が使えるから暗闇でも見えるけどレンは何も見えないみたいでペタペタと触られたわ」


 ん? 夜目? 暗闇? どういうこと??


「ちょっとまって、ダンジョンの中は真っ暗だったの?」


「そうよ、真っ暗でレンは何も見えてなかったみたい」


 なるほど、それなら蓮くんが胸を触ったことも納得です! これは事件じゃなくて事故でした!!


「それならそう事故だって言ってくれればよかったのに、けどこれは蓮くんがギルティかな、それじゃあ次のこの、起きたら胸を強く揉まれたってやつも真っ暗闇で?」


「そうよ、私には夜でも昼間みたいに見えるから、それが普通に思えてつい忘れちゃうのよ」


 やっぱり、蓮くんにそんなこと出来ないからね、あんなえっちぃネグリジェ来たミーナに何も出来なかったくらいなんだから


 でも、次のが怪しいですね、おぼえてないって言ってるけど絶対おぼえてると思う。


「じゃあ、次、その胸をもまれたあとどうしたの??」


「そ、そそ、それはおぼえてないわ」


 うん、この反応は覚えてますね。


 さて、どう言い出させよう……


「最初に胸を触られた時みたいに責任は取らせなかったの?」


「と、とらせたわ!」


「どのように??」


「そ、それは、記憶にございません」


 む、ますます怪しい、何をしたの??


 ここは田舎のおっかさん作戦がいいかな


 私はまたちょっと低い声を出す。


「嬢ちゃん、正直に言うんだ、正直に言うなら悪いようにはしない、嘘なんてついても意味は無いんだ、さぁ、本当のことを話してくれ」


「な、何も覚えてないわ!」


「嬢ちゃん、本当のことを言ってくれよ、田舎のおっかさんが泣いてるぞ、安心させてやるためにも、な?」


 どう? どうどう? ミーナ、私の演技は!


 私はミーナがみてるあろう部屋の穴にドヤ顔を向ける。


「……………」


 あれー? なんでクルアさん何も言ってくれないの? ちょっとじとーーってした目を向けてくるし


「さ、さあ! 知ってることを全部話して?」


「わかったわよ、その……今から言うことはレンには言わないでちょうだい」


「わかりました、事の有無は確認するかもしれませんが」


「ええ、その……む、胸を揉まれた私は、欲情しちゃって、えと……エ、エッチなことしたいなぁって思って……き、キスをしようとしたら、止められて……」


 私はクルアさんがゆっくりゆっくり話していくのに耳を傾けながら頭が真っ白になっていきます。


 え? 蓮くんたち、ダンジョンで何しようとしてるの?! これはもう有罪だよ、有罪!! 事件は会議室で起こってるんじゃない、ダンジョンで起こってたんだ!!


「……でも、私は消化不良で我慢出来なかったからレンにお仕置きと称して、首筋に噛み付くと見せかけて……く、唇に噛み付いてしまいました……」


 蓮くん、私たちは……私たちはあーーーんなに心配してたのに何してるの!!


「分かります!! 分かりますよクルアさん!! その気持ち!!」


 私がどうしたもんかなって思ってるとミーナが飛び込んで来ました。


「私も、私もですね、決死の覚悟でレン様の寝室に行ったのに恋仲とかじゃないからなんとかって理由で抱かないんです! ヘタレン様なんです!」


「そうよね! 女が覚悟決めたんだから、好きあってるとかそんなんなしに抱きなさいって話だわ!!」


「全く持ってその通りです!!」


 ええー、それはどうなの?? そこに関しては私は蓮くんと同じ考えなんだけど……これが異世界との考えの違い??


「でも、ほら、やっぱりそういうのは好きな人のほうがいいんじゃない?」


「まぁ、確かにそれも分かりますけど……それでもですねー」


「そうよ、レンがヘタレすぎなのよ!」


「あなた気が合いますね! 仲良くなれそうです!」


「あ、私もそう思ったわ、一緒にレンを落としましょ」


「はいっ!!」


 ガシッ!と握手をするクルアさんとミーナ、なんか変な同盟出来てます。


「じゃあ、とりあえず蓮くんは有罪確定ってことで罰を与えないとね、でもその前に蓮くんに罪を認めさせて然るべき手順を踏まないと」


 そう、これは私とミーナが考えた蓮くん粛清計画、今はクルアさんに事象の有無の尋問と蓮くんを精神的に追い詰めるための放置期間。


 まだまだこれからが本番……ふふふ


 それから三人で色々なことを語り合うことにした。

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