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41話 クルアの気持ち

クルア視点

 


 私はいつもは無い温もりを感じてその日は、というかもうとっくに日付感覚は無くなってるけど、目を覚ました。


 目を開けると目の前にレンの背中があった。


「っ!? 」


 私はレンに抱きついて寝てたみたい


 ど、どうしてこうなったのかしら?


 私はゆっくりと昨日のことを思い出す。


 私は昨日ガーディアンに挑んで、敗北した。


 大怪我を負った私はガーディアンと戦ったから魔力が底を尽きていて傷の回復どころか本来の身体の維持すら出来なくなっていて、魔物に見つからないようになんとかダンジョンを脱出しようとしていた。


 けど、さすがにこれほどの長さのダンジョンを深手を負った状態では戻ることなど不可能、そのまま少し広めの部屋に入って倒れてしまった。


 もうここで私は力尽きるんだわ、そう思って人生を諦めようとしていると、「しゃらくせぇぇ!!」って声がした。


 私はまだ死にたくなくて、必死に助けを求めた。

 はたして、私を見つけてくれたレンは私に血を分けてくれた。


 レンの血は暖かくて優しい味がしてとても今まで飲んだどんな血よりも格別な美味しさだった。


 だから、その時の私は理性の枷が外れてしまった。


 レンの血のついた指をあ、あんなにぺろぺろと……今思うと恥ずかしすぎる……


 それでも足りなくて、もっとほしくて、普段は絶対にやらない首筋からの直接吸血をしてしまった。


 絶対嫌われると思った、人間は吸血鬼を血を吸う化け物つまり敵として扱う。


 けれどレンは抵抗らしい抵抗を全くせず、私に自由にさせてくれた、だから満足するまでついつい飲んでしまった。


 私はやらかしたと思った、吸血鬼が人間を直接吸血すると『魅了』の力が働いて、私たちの傀儡になる、私はそれが嫌いだから血を直接吸うのはやらないようにしていた。


 けれど、レンは全く魅了されてる気配がなかった、吸血時の快楽に溺れず理性もしっかりのこってた。


 不思議だった、私の魅了にかからない人はいままで会ったこと無かったから、それにレンは神気を使えた。


 レンは神気を灯りのためだけに振り撒き散らしていた、本当に面白いやつと思ったわ。


 それにレンは魔法の初歩の初歩でも教えてやったりするとすごいすごいと褒めてくれる、褒められなれてない私は嬉しいのに素直に喜べない。


 私はレンに命を助けられたのだから、恩返しがしたくて私ができることならなんでもしてあげる事にした、たぶん身体を求められてたら重ねていたと思う、私はそれでも良かったけれど。


 けど、レンはそんなことよりガーディアンを倒して最奥に行きたいから手伝えと頼んできた、たぶん半分は私のためなのだと思う、3ヶ月も時間をかけて来たことを言ったから。


 私は正直嬉しかった、もっと邪険にされると思ってたから、人間にとって吸血鬼は忌避する存在だから、でもレンは全くそんなことなくて、さすがに胸を触られた時は男性経験なんてないからびっくりしたけどあれは事故だったし、しっかり責任もとってもらったからよしとするわ。


 それから、ここに移動してきて休もうって私が強引に休ませて、少し私の身の内を話した、私は先祖返りであることが嫌だったがレンはすごいと言ってくれた。


 それに、私は頑張りを認めてもらいたかった、レンは私が欲しい言葉で頭を撫でながら認めてくれた、とても心が満たされて、急に照れくさくなって、寝させることにした、私のせいだけど顔がほんとに真っ青だったから


 だけど、レンは頑なに寝袋を使おうとしなかったから、私が無理やり動かしたんだ、それでレンの温もりを感じたくて抱きついちゃった……?


 え、それじゃあこの状況は私のせいなの…??


 そこまで思い出した時、レンの体がピクっと動いて寝返りを打った、そしてそのまま目を開けた


 あ、目が合った……


 な、何か言われるかしら? 吸血鬼と同衾なんてさせちゃって……


 レンは何回か目をこすったあと、納得顔になって何かを探し始めた


 あ、レンはそういえば何も見えてないのだったわね


 私は何も無いところをパタパタしてるレンが面白くて笑いをこらえてると、手がこっち側に伸びてきた


 そしてそのまま、私の胸を鷲掴む


 え、ちょっ……


 私がビックリして声を出せないでいると、ちょっと強めに揉まれた


「んっ……レン? そこ私の胸なのだけど」


「え?! あっ、ごめん!! 見えなくて」


 そう言ってぱっと手を引っ込めて謝ってきた


 私はレンをじーーーっと見つめる、たぶんレンには見えてないけど


 暗闇は吸血鬼のテリトリー、主導権は私が掴んでる。


「ねぇ、レン」


「はい! 誠に申し訳ございませんでした!!」


 突然謝られた、けど私の言いたいことはそういう事じゃなくて、


「あの、その、ね、えーと、レンがそういうことしたいならちゃんと責任とってくれるならそういうことしてもいいわ……よ?」


 多分私は今、暖かい血なんて流れてないのに顔は真っ赤になってると思う、レンも真っ赤。


 その顔が愛らしくてたまらなくなって、少し無詠唱で微量の光の玉を作った。


 レンに私を見て欲しかったから


 私はレンの頬に手を当ててゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねようとして……


 レンに肩を掴まれて止められた。


 レンは少し悲しそうな顔で首を振って、


「そういうことは好き同士でやるもんだよ」


 って、言ってきた。


「私はレンが好きよ、レンは違うの?」


「違う、僕はクルアをそういう目で見れない」


 私はちょっと悲しくなった


「それは、私が吸血鬼だから……?」


「吸血鬼? そんなのは関係ないけど、単純に僕はクルアのことまだよく知らないし、それに僕はまだ責任をとれる覚悟がない、だからだめだよ」


 よかった、吸血鬼だからって理由じゃなくて、でも覚悟がないって自信がないってことなのかな?


「ね、ねぇクルア、できたらこの身体を縛る魔法といて欲しいなーって……思うのだけど」


 あ、そうじゃん、レンにサイコキネシスかけたままだったわ、たぶん寝起きの時は緩めだったけど、さっき無意識にきつくしちゃったのかしら?


 動けないなら強引にってのもいいかしら?


「レン、解いてあげるのはいいわよ、けどさっき私の胸を揉んだ責任はしっかりとってもらえるのよね?」


「そ、それは……はい、あれは僕が悪かったです」


「じゃあ、いただくわね」


「はいどうぞ……」


 言質とったわよ


 たぶんレンは血を吸われると思ってるはず、まぁ、血は吸うのだけど今回は首筋じゃないわよ


 私は首筋に噛むと見せかけて、唇を噛んだ。


 それから少しだけ噛みちぎって、出てきた血をちゅって吸い取る。


 顔を話すとレンは顔をポカンとさせて何が起きたか追いついてないみたい


 私はちょっと艶やかに舌なめずりをして


「レンは我慢できても、私は我慢なんてできないわ」


 って言ってみる、ワガママだったかしら?


 でも、レンには強引に行くのがいいわね


 レンは命を助けられて、不思議で面白くて優しくて温かい人で、私に欲しい言葉をかけてくれた人。


 こんなの好きになるのには十分な理由よ


 とりあえず私はレンにかけたサイコキネシスを解いてあげる


 それでスタッと立ち上がって壁際にしゃがみこむ


 私は今更になって自分のした事が恥ずかしくなってきて、顔を埋めて必死に羞恥心と格闘した。

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