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39話 クルア=フォン=スタッド

長め

 


「ふぅー、ありがとう、おいしかったわ」


 そう言って吸血鬼であろう少女は僕の首筋に埋めていた顔を上げてニコッと笑った。


 やべっ、、可愛いんですけど、華蓮とかミーナとかで可愛い子耐性はついてると思ってたけど、まだまだみたいだ。


 この子の顔、幼女体型の時から思ったけど抜群に整ってる。


 今は高校生くらいの少女だけど、幼さが残っているのに血を吸った後にする舌舐めずりとかが妙に大人びてて、そのギャップについついドギマギしちゃう。


 さらに言うと、僕は彼女とかの髪型とかをあんまりとやかく言う気は全くないが、好みの髪型くらいはある。


 僕は、長めの髪より短めの髪のほうが好きだ!


 華憐やミーナはたしかに可愛い! 可愛いし長い綺麗な髪も似合っていてとても良いと思う、思うが、たまに短くなったらどんな感じになるんだろー、とか考えてしまう。


 そして、この少女、髪の長さは少し長めのボブカットって感じで割と短め、それにアッシュブロンドの髪色、この髪色が地毛とか羨ましすぎる!!


 アッシュブロンドは銀色が混じった金髪みたいな色で光の角度によっては銀にも金にも見える。


 やばいな、この少女、性格はわかんないけど容姿だけなら僕のどストライクなんだけど


「あなた、不思議な人ね、普通吸血鬼に血を吸われると『魅了』されるのに」


 少女の笑顔に少し見とれてたら、少女が僕に口をひらいた。


「『魅了』? 操られるみたいな? まぁ、たしかに僕はさっきの君のニコって感じの笑顔に少し見とれてたけどマインドコントロールされてる感じはないなー、それに吸血されてる時も、ちょっと気持ちいいなーってくらいの感じだよ?」


「そう、吸血鬼に吸血されると吸血鬼のスキルで『魅了』させられてあやつり人形になるのよ、それに私くらいの吸血鬼ともなれば普通の人間だとあまりの快楽に骨抜きになるはず、なのにあなたはなってない、だからあなたは普通じゃない」


「まぁ、たしかに僕は普通じゃないけど『キィー!!』しゃらくせぇー!!!」


 くっそこの猿さっきから割り込んできやがって! ふざっけんなよ! 会話を止めさせるな!!


 僕はまた突然どこからか現れた猿の顎にアッパーカットをぶちかました。


 猿は天井に激突して落ちてきてピクリとも動かなくなった。


「驚いた、まさかカゲザルを一撃で倒すなんて」


「カゲザルとはなんぞ?」


「知らないの? カゲザルは……」


 少女がカゲザルのことを教えてくれる、こういうのはいつも華憐がやってたからちょっと違和感。


 少女によるとカゲザルは名前そのまま影に潜む猿らしい、なんてやっかいな。


 そして、瀕死になると声を上げて叫んで仲間を呼ぶ習性を持ち、下手をすると200~300のカゲザルと戦わなくてはならないらしい。


 対処としては声を上げさせないように倒すか、声を上げる前に一撃で仕留めるか、逃げる。


 声をあげさせないように倒すのはなかなか難しいらしい、一撃で倒すのもそれなりの体力があるから相当パワーがないと無理、だから基本は逃げるのが鉄則。


「……だから一撃で仕留めたことに驚いたんだけど、あなたどんな魔力強化を……なるほど、神気が使えるのね」


「魔力強化? そんなことできるのー?」


 魔力とかで肉体を強化するのだろうか?


「当たり前じゃない、魔力で身体を包んで強化する、あなたも神気でやってるじゃない」


 やっぱり魔力で強化するみたい、けど僕は神気でそれをやってるらしい、知らなかった、神気解放の実態は神気強化みたいなもんなのかな?


「それにあなたの神気も見たことない、神気が使えるなら有名人だと思うのだけれどあなたのことも今日初めて知ったし」


「そりゃあー、今まで人間とかに会ってないしな、鎖国なエルフと魔物しか会ってないし」


 エルフはエルフ同士でしか国交とかを結んでないらしい。


「なるほどね、というかあなたいつまで神気使ってるのよ」


「え、だってこれ消したら真っ暗で何も見えなくなっちゃうじゃん」


 と言うと、少女は鳩が豆鉄砲くらったみたいにポカーンとした。


「………ぷっ! あははははは! あなた本当に面白い!! あははははは……」


 なーんか突然大笑いされた、そんなに面白かったか?? 笑いの道はそんなに簡単じゃないと思うのだが


「あははははは!! はぁはぁ、はー笑った、久しぶりに声出して笑ったわ、そんなことに神気使ってる人なんて初めて見たわ、大丈夫よ、それに神気使うのは疲れるでしょ?」


「えー、でも、まじで見えなくなるんだよ?」


「だから大丈夫って言ってるじゃない、まったく信用しないな」


 えー、そこはかとなく不安なんだけどいきなり襲って来たりしないよね?


「はぁー、まったく分かったわよ、『光源(ライト)』はい、これでいいでしょ」


 少女がライトと呟いたら目の前に光の玉が現れた、すげー! これが魔法?! テンション上がっちゃうんだけど!!


 とりあえず、まぁこれなら見えなくなることは無さそうだから神気解放をやめよう


 僕がふぅーっと脱力すると髪の色が金から黒に戻って目の色が赤から黒に戻って周りの金赤色のオーラも霧散していった。


 そして、少女が作り出した光の玉だけが暗い空間を照らす、それがなんだか幻想的で


「綺麗な魔法だね」


 なーんてくさいことを呟いてた。


「そう? こんな初歩魔法誰でも使えるわ」


「そうなのかー、まぁ僕は初めて魔法をみたから他の人のは知らないけど君のこの魔法はほんとうに綺麗だと思うよ?」


「こ、こんなことで褒められても嬉しくないわよ、それよりあなた本当は黒髪に黒目なのね、珍しいわね」


 あれ? この少女、ツンデレ属性? ちょっと顔赤いし 可愛い性格してるじゃんか


「そうなの?」


「そうよ、普通は魔力の適正属性とかで髪の色が鮮やかな色になったりくすんだ色になったりするのよ、黒髪は本当に珍しいわ」


 へぇー、魔法関連は今まで使える人がいなかったからあんまり詳しいことはわからないな


「君は色々知ってるんだねー、すごいな」


「あ、あたりまえじゃない! 私は魔法科学者よ、こんなの初歩の初歩よ!」


 魔法科学者なんて職業あるの? なんだか魔法なのか科学なのかはっきりして欲しい職業だな


「まぁ、僕は魔法に無知だから君がすごいと感じるんだよー、あ…自己紹介がまだだったね、僕は雨宮蓮、蓮でいいよ」


「レンね、わかったわ、私はクルア=フォン=スタッドよ、クルアって呼んでちょうだい」


「よろしくねークルア、それでクルアはこんなとこで傷だらけで倒れてて何してたの?」


「私がここで倒れてたのは……」


 クルアの話によると、このダンジョンの入口は巨木の我が家からずーーーっとさきにある森の外にあって、長すぎるダンジョンとして有名らしい。


 それゆえ、ダンジョンの最奥には、やれ使えきれないほどの金銀財宝が、やれなんでも願いを叶えてくれる魔法の鏡がとか憶測の噂が飛び交っていた。


 クルアはそれを聞いてダンジョンの最奥に何があるのか確かめることにしたらしい。


 そしてダンジョンに潜ってかれこれ3ヶ月、本当にほんとーーーに長い道のりを進んでついに最奥の扉を発見、この時点でクルアが相当な実力者であることがわかる。


 そんなクルアでも扉を守るガーディアンは倒せずガーディアンに深手を負わされ惜しくも逃走を決意。


 ガーディアンはゴーレムのようで肩から筒状の爆薬を飛ばしてきたり、手を丸型にしてそこからビームを放ってきたらしい。


 待ってそのゴーレムってフラ○キーとかだったりしないよね? 大丈夫だよね?


「命からがらここまで何とか逃げてきたんだけど、道中も魔物に襲われてついに力尽きて死ぬ所だったのをあなたに助けられたって感じね」


「なるほど、じゃあ僕はクルアの命の恩人になれたわけだ、よかったよかった」


「ほんと、感謝してるわ、私に出来ることがあればなんでも言って、ちゃんとお礼をするわ」


 なんでもするなんて女の子が言っちゃダメだろー、特にクルアみたいに誰が見ても可愛いってわかる人は。


 それにしても、最奥にはガーディアンがいるのか、それもかなり強力な、僕も奥に何があるのか気になるな、それにその強力なガーディアンも気になる。


 華蓮にお土産お願いねーって言われたし、そのガーディアンのゴーレムでいっかな


 ならどんなお礼をしてもらいたいかは決まったようなもんだなー


「じゃあ、早速お願いしていい?」


「なにかしら、私に出来ることならよろこんでやらせてもらうわ」


「僕と一緒にガーディアンを倒して奥に行ってみよー!」


「レンは馬鹿なの? さっき言ったじゃない、ガーディアンには勝てないって」


「それはクルアが一人でって場合だろー、僕と一緒なら勝てるかもじゃん、それにクルアも奥に何があるのか気になって来たんでしょ? 3ヶ月もこんな暗闇に潜って、なら絶対見に行かなきゃー」


「まぁ、たしかにそうだけど……もぅ、わかったわよ! 私に出来ることならなんでもって言っちゃったし」


「そうこなくちゃー、あ、そのなんでもってやつあんまり人に使わない方がいいぞー」


「なんでよ」


「よからぬ事を考える人もいるかもじゃん? クルアみたいに可愛い子だとエッチいことさせようとする人もいるかもだし」


「そ、そ、そんなことしないわよ!」


 顔を真っ赤にしてそんなこと言う、仕草とかエロいのに意外とウブなのかな?


 うわー、これは流されて色々いつの間にかやらされるやつだ、前の世界でビデオでそういうやつ見たもん、気をつけてもらいたいね!


「じゃあ、改めてこれからよろしくね、クルア」


「こちらこそ、本当に助けてくれてありがとね!」



 こうして僕とクルアはダンジョンの最奥に行くことになった。

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