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38話 吸血鬼

 


 僕は今、陸上部長距離選手だった経験を活かして走っている。


「キー!キー!」


 なにか生き物の鳴き声が後ろから聞こえてくる、きゃあって言ってるけど絶対女の子じゃない。


 ちょっと振り返ってみる。


「いや、おおすぎだろぉぉぉーーー!!」


 僕の後ろからは凶悪そうな猿の魔物が追いかけてくる。


 ちょっとスピードをあげる。


 最初、僕の前に現れたのは一匹だった、それを殴って倒したら倒れる前に「キィィー!!!」って断末魔の叫びを発した。


 その声にどこにいたのかワラワラと猿たちが集まってきて一斉に僕に襲いかかってきた。


 さすがに多すぎ! 逃げるしかないな


 そして今に至る。


「迎え撃つか? いや、無理! 蓮ダッシュ!!」


 僕はさらにスピードを上げる、神気解放のオーラをまとってる時はかなりのスピードが出るようになる。


 そしてずっと直線だった廊下に右や左に曲がる道も出てきてたから、猿たちをまくために適当にぐるぐる曲がる。


「ふぅーー、まいたかな??」


 かなり早く、結構複雑に走ってきたから猿の声はもう聞こえなくなっていた。


「キィー!!」


 あ、うそ。


「しゃらくせぇー!!!」


 僕は突然現れた猿野郎の顔面に容赦なくぶん殴ってやる、断末魔の叫びを出させないくらいに。


 猿野郎はぶっ飛んでって闇の中に消えていった。


「はぁー、華憐がいないとどんな魔物なのかもわからんなー、それにしてもここはどこだろ? 結構適当に走ってきちゃったからなー」


 僕が逃げてきたのは、ちょっと広めの空間みたいだ。


 声が反響してトンネルみたいに重なって聞こえる。


 これ、輪唱できるんじゃない? 一人輪唱! やってみよう!


「かーえーるーのーうーたーがーーー、

  きーこーえーてーくーるーよーーー、

(かーえーるーのーうーたーがーーー)

  ぐあっ…ぐあっ…ぐあっ…ぐあっ…、

  (きーこーえーてーくーるーよーーー)

  ケロケロケロケロぐわっぐわっ『キィー!!』しゃらくせぇー!!!」


 しゃらくせぇー…くせぇー…せぇ…セェ…セェ…セェ


 くそ猿がー! せっかくの輪唱ががしゃらくせぇーになっちゃったじゃんか!!


 突然突っ込んできた猿は僕の回し蹴りをくらってピクリとも動かなくなっていた。


「そろそろ行くかー、ここにいるとまた猿に襲われそ」


 そう思って歩きだそうとした時


「そ……こに、だれ……かいる……の?」


 っと、どこからか掠れた女の子の声が聞こえてきた。


「お……ねがい、助けて!」


 ここはダンジョンだ、なにかのトラップかもしれないそう思って周りを見てみると、暗闇の中にぼんやりと光ってるところがあった。


 そこに近づいてみると、幼女がいた。


「大丈夫か!?」


 幼女は傷だらけで、服も所々破れたりしてそこから見える裂傷が痛々しい、幼くも整ってる顔にも肩までくらいに綺麗に整えられたアッシュブロンドの髪にも血がべっとりついてる。


「血を……分けて……」


 血? なんだかわかんないけどとりあえず言うとおりにしよう


「わかった」


 僕は自分の指の腹を少しだけ噛みちぎって……痛っ!、ちょっと噛みちぎりすぎた、まぁいいや、噛みちぎって出てきた血を幼女の口に垂らした。


「どう?」


「ん……っ!? はむ……ちゅっ……んっ……」


「ちょっ! ど、どうした?!」


 幼女に血を垂らしたら、ごくんと喉を鳴らして、ばっと起き上がって僕の血のついた指を舐め始めた。


「ん……はむ……ちゅっ、はむ……」


 幼女が僕の指を口にくわえて、傷から流れる血を舐めとる。


 僕の指に幼女の舌が絡みついて、ぴちゃとか、ちゅるとか湿った音が暗闇の空洞に反響していく


 わああああ、これは人命救助!! しかも相手は幼女なのに変な気分になっちゃうよ!! ロリに目覚めそう……


 僕は指を咥えてる幼女がなんだか艶めかしくて、反対の手を幼女の華奢な身体に……


 ダメだダメだ!!


 目を覚ませ僕!!


 僕はロリコンじゃない!!


 ロリコンじゃないが、今は『Yes! ロリータ! No!タッチ!』の精神で行こう!


「んっ……美味しかった」


 幼女がまたごくんと喉をならして、舌舐めずりをする。


 なんでこんなにエロティックなんだ……幼女のくせに


「大丈夫か??」


 とりあえず、僕は幼女の安否確認。


「…………」


「どうした??」


 幼女は僕のことをじーーーっと見てくる。


 そのとき気づいたが、幼女の身体はいつの間にか傷が無くなっていて綺麗になってる。


 僕はとりあえず、怪我がなくなってよかったと思って一安心。


 さて、このじーーっと見てくる幼女をどうするか、とりあえず見つめ返してみよっと


「…………………」


「…………………」


「…………………」


「…………………」


 僕達はしばし見つめあった。


 目を離したら負け! みたいな雰囲気がでたからとりあえず幼女の目を見つめていたら、幼女の赤い目が爛々としてきた。


「もう、我慢できない……」


「え? うわぁっ……ちょ、なになに?!」


「カプっ……チュー」


 幼女はいきなり僕に飛びついてきて、首筋に噛み付いてきた。


 あ、この子吸血鬼や、やられたー、僕死ぬのかな? でもなんか気持ちいい……


 僕はなんだか賢者な気持ちになったからやりたいようにやらせてやることにした、悟り開けるかも。


 しばらくされるがままになってると幼女に変化が出てきていた。


 なんだかさっきから体が重くなってきたなーって思ったら幼女の身体がだんだんと大きくなっていることに気づいた。


「んっ……あなたの血おいしい、もっと飲みたいわ」


 この幼女、いやもう幼女体型じゃないな、高校生くらいになってる、じゃあこの少女、まだ僕の血を飲みたいらしい、僕はもう結構倦怠感があるんだが


「もうだめだ、貧血気味になってきた」


「でも、私このままじゃ力が使えない、あなたの足でまといになっちゃうわよ?」


「血をあげたら、足でまといにならないと??」


「むー、失礼ね、私の魔法をなめないでほしいわ」


 ま、魔法かぁー、まだこっちの世界に来て見てないから見てみたいかも、できれば僕も使えるようになりたい!


「はぁー、わかったよ、はいどーぞー」


「ふふっ、ありがとう、大丈夫よ、そんなぶっ倒れるまで吸ったりしないわ……それじゃあ、失礼して……」


 そう言って少女は舌舐めずりをして僕の首筋に歯を突き立てる、ピアス開けた時みたいなチクリとした痛みがする。


 僕は昔ピアスホール開けたからわかる、こっちの世界に来てからはたぶん、トラックにはねられた時にピアスを無くしたから付けていない


 それから少女はチューチューと僕の血を吸っていった。


 んー、なんか気持ちいいな癖になりそう

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