35話 織り鶴の仕事と気になったこと
さてと、ひろしのことで後悔してもしかたないな、お鶴さんは本人が気に入ってるって言ってたし、気にしないようにしよう。
…………いや、やっぱ気になるな
えーい、いまは忘れる忘れる!
今はやるべきことをやろう。
とりあえず織り鶴たちにやってもらいたいこととか伝えよう。
僕はひろしショックから立ち直った。
パンパン(手を叩く音)
「はーーい、チューモーク!」
「……………………………………………あの、レン様なんでありんすか?」
「ちっがーーう! 『チューモーク!』っていったら『なんだー?』でしょ!!」
「ブッ…」
あ、華憐笑いやがった、あいつ知ってたな!
「じゃあ、もう一回! ……チューモーク!」
「「「「「な、なんだー」」」」」
「声が小さい!! もう一回!……チューモーク!」
「「「「「なんだー!!」」」」」
うん、まぁ、ギリギリ及第点かな
「今朝はビジネス、織り鶴の仕事にチューモーク!」
ふっ!毎朝 Z○Pを見ててやりたいと思ってたことができたぜ!
「えーと、織り鶴の皆さんには基本的に服飾関係や布関係を頼みたい、まぁ基本こっちからどんな服が欲しいとか、どんな大きさで形のどういう使用をするみたいにこっちから頼むからそれを作ってくれ」
エルフにも服を作れる人がいるのはわかってるが、こう言っちゃあれだが織り鶴のほうが上手いし、織り鶴は糸を作れて、織り鶴の作る糸は丈夫で綺麗だからな、服作るために生まれてきた魔物みたいなもんだろー
「あとはー、特にやることはないから自由でいいけど農業で収穫のときは手伝って欲しい、こんな所かな、なにか質問は?」
「はいっ!」
おっ、青髪の子だからお初ちゃんだな
「はい、お初ちゃんどうぞ」
「レン様の奥様はミーア様ですか? カレン様ですか?」
おいおい、仕事関係ないじゃん!
わー、見てるよ見てる、ミーナと華憐がこっち見てるよー。
「え、えーと、お仕事に関係ないことは質問しないように!」
「なるほど、どちらも違うわけですね!」
えー、何この子、読心術でもあるの?? また面倒くさそうなのが増えたよー。
「はい、他に質問はありますかー? お仕事関係にして下さーい」
「はいっ!」
あ、またお初か、うーん、あれは無視だ
「いますかーー? いませんねー??」
「はいっ! はーい! はいはーい!」
あー、わかったよもう、そんなに跳ねやがって
「はい、お初ちゃん、どうぞ」
「レン様の好きな女子のタイプはなんですか?」
だから、仕事関係ないじゃん!
僕はお初ちゃんの目をじーーっと見る。
お初ちゃんは僕のことをキラキラした目で見る。
はぁ、わかったよ、答えればいいんだろー
「はい、僕のタイプは優しくて可愛くて、僕のことを甘やかしてくれるような人でーす。あ、あと一緒にいて居心地がいい人、これは重要!てことでお仕事質問会は終わりにしまーす。あなた達のことは織り鶴族とします。代表者はお鶴さんとします。はい、では解散!!」
織り鶴のみんなはぞろぞろと小ホールを出ていく、織り鶴たちの部屋は61階から80階のホテルの部屋を使ってもらうことにしてある。
ルンちゃんがお掃除してくれていた、さすが働き者、大助かりだ!
そして、お初ちゃんだけは僕のところに来た。
なんでだ? まぁー、懐かれることは嫌じゃないけど、それにお初ちゃん見た目中学性だから妹が出来たみたいでいいかも。
あ、ハルがなんか親の仇を見るみたいな目でこっちみてる。
キャラ被るもんなぁー、仲良くやってくれよ
………………………………………………………………
お初ちゃん以外の織り鶴たちの姿が見えなくなって、僕は昨日から気になることを華憐に言うことにした。
「なー、華憐、野菜でも家具でもなんでもいいから名前付けて見てくれない?」
「はい? 蓮くん、さっき『チューモーク!』ってやった時に思ったんですけど、頭のネジ、ズレてます?」
失礼な、僕は至って真面目だ!
「いやさ、気になったことがあるんだよ」
僕は華憐に気になってることを話した。
僕が気になってる事は、華憐の<命名>の能力の範囲のこと、これはなかなかかなりチートな能力だと思う。
『名付けて知能を分ける』という能力、これの範囲が知りたい。
今まで魔物に<命名>することをやってきた。
魔物は知能を高めると擬人化する。
たぶん、動物も同じ、知能が上がって脳が発達すれば、自ずと人間のようになると思うから
魔物も動物も生きている、魂がある。
なら、野菜とか果物とか家具とか生きていないものというか、魂が無いものに<命名>し、高い知能を分けてあげるとどうなるのか気になった。
「なるほどー、蓮くんは面白いこと考えてるね!」
「私もそんなこと思いもしませんでした」
「そう、僕昨日から気になって気になって、夜も眠れない毎日を過ごしてるんだよ」
「あら、なら私がお相手してさしあげます!」
「なっ、ミーナ! あなたにはそんなことさせない!」
いつもみたいな言い合いを始めた二人を見て僕は少し悪い顔をする。
たしかに、気になってことには気になってた、が、本当は野菜とか果物とか家具とかに名前を付けて話しかける華憐が面白そうだから言ってみただけだ!




