34話 お鶴さんの夫『ひろし』
華憐が織り鶴たちに名前を付けてから一晩たった。
魔物の擬人化は寝てる間に起きるみたいなので、織り鶴たちは擬人化してるはず。
あのあと、今までの失敗談から擬人化後は服を着てない全裸状態で起きるって分かってるので、織り鶴たちはせっせと服を作りをしていた。
僕の服も作ってくれた! 痛シャツ卒業!!
最近は慣れちゃって気にしてなかったけどやっぱり胸のところに大きく『れん』って書かれてるのははずかしい。
正面にひらがなで大きく名前を書いていいのは女子のスク水だけなんだぞ!ってことをお鶴さんに熱心に演説したおかげで普通に無印のポロシャツ見たいのを作ってくれた。
僕は昨日お鶴さんが作ってくれたポロシャツを広げてみる。
ただ一つ解せないのが
「なーーんで、次は背中に『れん』って刺繍してるかなー」
そう、前に書かれなくなった代わりに後ろに書かれた。
どーせなら金色の龍とか書いてくれればいいのに、え? ダサい? まぁ、たしかに、ただでかでかと名前よりはよくない??
「しょうがない、今日も頑張って名前は入れない方がいいことを演説しよう」
まぁ、服を作ってくれたことはありがたいし、よかったんだけどもこの全裸問題をお鶴さんに言ったせいで華蓮が僕がお鶴さんの裸を見た事を思い出して怒り出した。
僕は正座させられてガミガミとお説教された。
それをいつもの調子でのらりくらりと聞き流してると、ミーナが「なら私の裸も見てください!」とかいう始末。
そしたら、華憐が「ミーナなにやってるんですか!」って止めてくれると思ったら「それなら私も脱ぎます!(私が蓮くんと一番長くいるんだから)そんなことさせるなんて許しません!」とか言うし、僕は困惑。
華憐って僕のこと好きなの? ミーナが僕のことを好いてくれてるのは知ってるけど、華憐も?って思った。
僕は難聴系主人公とか察しが悪い主人公とかじゃないし、どちらかと言うと察し良い方だから「華憐も僕のこと好きなの?」って聞いたら、「そんなのわかんない!」って言われた。
えー、僕の方がわかんないんだけどって思って、ついに華憐とじゃれあって着崩れたミーナの服がはだけてポロリと行きそうな時「汚物はお掃除スラ!」ってルンに水色スライムをぶっかけられた。
そんな感じで危うく溶けさせられるところだった。
この世は理不尽だ、まったく
「さて、昨日織り鶴たちには朝起きたら小ホールに服着て集合!って伝えたし、そろそろいくかー」
僕は背中に『れん』ってでかでかと書かれたポロシャツをきて小ホールにむかった。
うーん、やっぱり恥ずかしい。
………………………………………………………………
小ホールに行くと、既に織り鶴たちは集まってた。
華憐やミーナも一緒。
織り鶴たちなかなかカラフルだなー、戦隊モノできそう、今度やってもらおっと。
「さて、みんなおはよう! とりあえず今の状態だと誰が誰だかわからないから1人ずつ自己紹介をしてくれー」
と、言ったらまず最初に緑色の髪で緑色の着物を着た和風美人がきてくれた。
「おはようございます、お通です。どうぞお見知りおきを」
緑は『お通』っとふむふむ、カラフルだから色で覚えれば楽だな
その後も黄色は『お江』、青は『お初』、白は『お糸』、灰色は『お時』、空色は『お空』、菊色は『お菊』と覚えた。
全体的に青系統の色が多めだな、続いて男性諸君
茶色が『お鷹』、紺色が『お滝』、焦げ茶が『お拓』、黄色が『お武』、黄緑色が『お凧』、灰色が『お坂』、橙色が『お楽』と覚えた。
お江とお武は兄妹らしい、なるほどだから髪色が同じなのか
そして最後に自己紹介をしに来た人が来て僕は今世紀最大の後悔をした。
「Good morning! My name is Hiroshi. Nice to meet you.」
「oh......」
ひろしぃぃぃぃぃ!! おまっ……お前えぇぇぇぇぇぇ!! そんな顔でひろしなのかぁぁぁぁぁ!!!
やっぱりだ、昨日の不安は的中した。
ひろし全く容姿が日本人顔じゃない、まず金髪! 小ホール入った時から思ったんだよ、なんか違うのいるって
そして、顔のパーツも目はヨーロッパ人みたいに青いし、鼻は高いし海外のイケメン俳優のナイスガイな感じの顔してるもん
絶対ひろしよりマイクとかスティーブとかのほうが似合う!
もー、昨日「あ、なんだか足くさそう」とか思った自分を殴ってやりたい、華憐に名前絶対違う!って言ってあげればよかった……
ほら、華憐も口ポカーンと開けてひろしのこと見てるもん。
僕はわかるぞ、あの顔は「あ、やべ、やらかしちゃった」って顔だ!
「Oh……, okay?」
「い、Yes」
「Thank you for helping my wife, I wanted to thank you. (妻を助けてくれてありがとうございます、あなたにお礼が言いたかったです。)」
「No, please say to Karen instead of me. She helped Otsuru because she was.(いえ、お礼なら僕じゃなくて華蓮に言ってください。お鶴さんを助けたのは彼女なので)」
「Is that so, thank her too.(そうなのですか、では彼女にもお礼を言っておきましょう。)」
といって、華憐のところに向かうひろし
僕はこうみえて一応、英検準二級だ、簡単な英会話くらいならできる。
華憐はー、拙いけど一応ちゃんと話してるな、まぁ僕達の高校、進学校だったしあれくらいできるか
でも、華憐なら『言語』の能力で話せると思うんだけど、後悔で忘れてるのかな?
そんなこと思いながら華蓮とひろしを見てると
「うちの夫、良い方でありんしょ?」
と、お鶴さんが話しかけてきた。
「まぁ、はい、『ひろし』って感じじゃないですけど」
「あら? でも、夫は華憐様に付けてもらった名前気に入ってありんしたよ」
まぁ、気に入ってくれてるならいいのかな??




