32話 鶴の恩返し??
蓮くんとコロッケが川に行ってるころ、私はミーナと一緒に展望台で談笑してます。
「ミーナの国はどっちの方向??」
「私の国は向こうに二週間くらい歩いた場所にあります」
そう言って南側をミーナが指さす。
「じゃあ、人間の国は??」
「人間の国はこの近くにはないですよ、一番近い街でもあの山を超えたさらに先だと思います」
ミーナが指さしたのは西にそびえるエレベストくらい大きな山。
うーん、やっぱりそうですか、それは人間の国に行くのはまだまだ先になりそうです。
「カレン様の故郷はどのような国なのですか?」
「私の故郷? んー、そーだなー、まずエルフという種族はいなかったかな」
「え? エルフはいないのですか??」
「うん、そもそも、魔物もいないし」
ミーナには私と蓮くんは別の世界から来たことを教えてあります。
べつに隠すようなことではないですが、言い回す必要もないだろうってことで聞かれたら答えるってことを蓮くんと一番最初に決めました。
「それは、平和な国なのですね」
「そうでもないよ、戦争なんてしょっちゅうやってたし、でもまぁ、この世界よりは死亡率は低いだろうけど」
「戦争ですか、やはり国に戦争は付き物なのですね、
ちなみにレン様とはどこでお知り合いに??」
ミーナは本当に蓮くんのことが好きなようです。
こうやって話すことがあるといつも蓮くんの話をせがまれます。
「蓮くんと会ったのは実は結構最近なんだよね、いや前にもあってはいるんだけど話したのは最近」
「そうなんですか? お二人はとても気が合うみたいなのでかなり古いお知り合いなのかと」
「ううん、まだ十日前だよ」
「十日前というと、カレン様たちがこっちの世界に来た時ですか??」
「そうそう、死んでから知り合ったみたいなものだよ、それで趣味とかいろいろ気が合うことがあってこの世界にきて仲良くなった感じ」
「そうなんですか、ならあんまり私と変わらないのかもしれないですね」
む、それは聞き捨てならない、この世界で一番長くいるのは私の方!
「そんなことない! 私が一番だもん!」
「あらあら、カレン様はやっぱりレン様のことが好きなんですか?」
「それはこの前も答えたじゃない、わからないって……好きだけどそういう好きかはわからない」
私はそう言って少し遠くの空を見て黄昏てみます。
すると、見つめた先にこっちに向かって飛んでいるなにかがいるのが分かりました。
「ん~〜??」
あの白い羽根、どっかでみたことあるような、ないような~?
「あ、あれは織り鶴ですね! こんなとこにいるなんて珍しい」
「あっ! 思い出した! お鶴ちゃんだ! おーーいお鶴ちゃーーん!!」
どうしたんだろ、あっ! 恩返しにでも来てくれたのかな? 鶴の恩返し的なやつかな??
「知ってるのですか??」
「うん! 友達だよ!」
お鶴ちゃんは前に森の中で餓死しそうな所を助けた織り鶴っていう鶴のこと、美人そうな白い羽根だったからお鶴って名付けた。
でも、一晩だったらいなくなってた、蓮くんは会ったって言ってたけど、どこいってたんだろ??
ちなみに、痛シャツを作ってくれたのはお鶴ちゃんだと思う。
「鶴とお友達って、さすがカレン様ですね」
「キョロー、キョロー」
お鶴ちゃんが近づいてきて、展望台の中に入ってきた。
そしてお鶴ちゃんが光る、私は眩しくて目を瞑った。
光が収まったあと目を開けるとそこには、浴衣を着た黒髪のとても美人な人がいた。
つい見とれてしまうくらいの。
「カレン様、私の事を覚えておいてくれたでありんすね、あの時はちゃんとお礼も言えず旅立つことになって申し訳ないでありんした」
「……はっ! いえいえ!服頂きましたし、大丈夫ですよ」
美人で大人な感じの人だから、つい改まった態度で話してしまう
「あの時助けてくれた時みたく砕けた感じではなしてもらって良いでありんすよ?」
「いやー、お鶴ちゃん……お鶴さんなんだか大人美人って感じがしてそういうのは……」
「あらあら、ありがとうございます。それで今日はお願いがあってここに来たのでありんす」
「お願い? なんですか??」
「はい、ここに一族皆を住まわさせて欲しいでありんす」
なるほど、移住と言うことですか、正直とっても助かります。
お鶴さんたちがいてくれれば服関係がすっごい楽になるので、ただこの家はもう私たちだけの家じゃないし蓮くんにも意見を聞かなきゃ
「わかりました、今住んでるのは私たちだけでは無いので一応、その人達にも聞いてみますね」
「はい、よろしくお願いします」
「あら、エルフは問題ないですよ、ここはレン様とカレン様の家ですし」
ならコロッケたちは前にも会ったことあるから大丈夫だろうし、ルンちゃんと蓮くんに話を聞かないと
私たちはお鶴さんを連れて部屋に戻りました。




