30話 橋建設
◇◇レンside◇◇
さっそくだけど今日は橋を新しく作ることにした。
巨木な我が家と地面をつなぐ湖の橋を。
前に、コロッケたちの力を借りて切った木の丸太で渡れるようにはしたけれど、さすがにこれはないだろうと、それと苦情出てくるようになったのとか色々と理由がある。
理由一つ目、見栄えが悪い。
正直渡れたらいいかーと思って、いい感じの長さの丸太を三本を湖に浮かべてるだけだし。見栄えもくそもないし。
パッと見、丸太が浮いているようにしか見えない! いや、実際浮いてるだけかもしれない。
理由二つ目、落ちる。
さっき言ったように、ほんとにただ浮いてるみたいな感じになってるからね。
だからだろう、渡ろうとすると丸太が回る回る。例えるなら、水上公園とかにありそうなアスレチックみたいな感じで。それに三本の丸太どうしの間に隙間ができていてよそ見をしているとその穴に落ちる。
たぶん、今いる人たちは僕以外は落ちてると思う。
僕はバランス感覚の才能で落ちずに渡れるだけど、うぬぼれるとたまに危ない時があるね。
あと、他にも落ちないで渡る方法がない訳では無い。
全力ダッシュをすれば滑らなければ運が良ければ渡りきれる。
あ、でもコロッケたちは意外と楽しんでだりする。よく華憐にイタズラをして怒られてる。
ただ、そのイタズラが結構悪質なんだよね。この前何やってるのか見てたけど、華憐が渡ろうとして丸太の中程までいったとき、コロッケが丸太を回し始めたから。
結果、華憐落下。華憐は泳げないから僕が助けに行った。コロッケはしっかり怒られてた。
まぁ、以上二つの理由で橋を再建することになった。
「わあああぁぁぁぁー!」
バッシャーン!
ほら、また一人エルフが落ちた。
早急に丈夫な橋を架けるとしようか。
■■
「さて、今説明した通り、橋を再建しようと思うがどんな橋がいいか意見はあるか?」
橋を作るために家具作り担当のエルフたち六人とコロッケたちくまっ子、ミーナと華憐で食堂のテーブルに集まってる。
「俺は今のままがいいぜ」
「コロッケそれは却下だなー」
「はいはーい! こう、どんっ!うぃーーん! ばぁーん!っていうのがいいとおもうぅー!」
「ハルちゃん、それ橋壊れてない?」
壊れてるっていうか、あれだ合体して橋になるやつ。そんな高性能な橋は作れん。僕たちの文明レベルでは不可能だ。
コロッケたちに意見を聞いたのは間違いだったかな。
「素材が木なので湖の水に付けるのは時間がたつと腐るので水につけない方法がいいですね」
「蓮くん! 手すり! 手すりは絶対に着けて!」
「ああー、華憐よく落ちてたもんねー」
「そ、そんなに落ちてないよぉー!」
そんな感じでミーナと華憐たちからの意見を取り入れた結果。
・水につけない 。
・手すりをつける。
・床は板にする。
・飛び込み台をつける。
ということになった。
■■
さて、さっそく橋を作り始める。
まずは床の部分、水につけないためには湖の幅よりも長くしないといけない。
けれど、さすがにそんなに長い丸太はないので何本かの丸太を繋げて長さを長くすることにする。
コロッケたちに丸太を並べてもらって、くっつけるために板状に加工した木で丸太をサンドイッチ。そのまま木に穴を開けたところに木の杭を打つ、鉄釘なんて鉄を製錬しないとできない大層なもんまだないからね!
正面
板板板板板板板板板板板板板板板
丸太空洞 丸太空洞丸太空洞 丸太
板板板板板板板板板板板板板板板
側面
板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板
丸太丸太丸太丸太丸太丸太丸太丸太丸太丸太丸太丸
板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板板
こんな感じ。
それから手すりをつける。
手すりは単純に角材を組んでつけた。
そして、飛び込み台は橋の真ん中あたりの手すりを無くすことで飛び込み台とすることにした。
こうしてみんなで協力して数時間で完成、橋!
「んー、なーんか味気ないなぁー」
「そうかな? 前よりは良くなったと思うけど」
「カレン様、前のと比べるのはよくないですよ」
そうね、前のは本当にただ浮かべいただけだったし。こうなんていうか武骨で花がないようなかんじがする。
「あ! わかった! 装飾だな!」
僕は手すりを装飾することにした。
角材で作ったから角張ってて頭ぶつけたりしたら危ないしね! あとは手すりとかも手が切れたりしそうだ。
僕は愛用の彫刻刀を装備!
何を彫ろうか、萌えがいいかな? いや、橋だしちゃんとしたやつのほうがいいか。
僕は無難に流れるシェ〇ロンのような龍を彫った。
「蓮くんさすが! 今にも動きだしそう!」
「レン様の装飾はいつも凄いものですが、これはまた……」
「レン! すごいねぇー! かっこいいよぉ!」
「ふっ! 僕にかかればこんなのちょちょいのちょいさ!」
華憐とミーナとハルが褒めてくれる。
思ったんだけど、この橋に華憐が『命名』で名前を付けたら擬人化するとかないよね? なんかありそうで怖いわ。日本には水辺観光を盛り上げるためとかで東京の橋をイケメンに擬人化させてたし。
考えるのやめよ。
■■
橋を設置したその数日後、華蓮は湖に落ちてた。
え? もう回らないはずなのになんで?!
「コロッケ! そこに直りなさい!」
どうやら、橋を渡ってる時、コロッケに飛び込み台のところで落とされたらしい。
僕は叱ってる華蓮と叱られてるコロッケを見て、
「なんだか、母親と子供だなぁ、華蓮がお母さんになったらあんな感じになるのかな? 夫にも厳しい鬼嫁になりそう。それと、相変わらず華憐はトロイ」
しみじみとそう思った。




