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29話 ルンと擬人化の謎 【解】

 


 ◇◇レンside◇◇



「汚物、汚物、汚物は溶かしてお掃除スラ」


「う、うーーーん……冷たっ!」


 僕は脚に冷たさを感じて目を覚ました。


 目を開けたら水色の髪の少女が手から水色の液を出して僕の足にかけていた。


 はて? こんな子いたっけ?


「二股汚物はお掃除スラ」


「えっ!? 何!? 冷たっ! あれ?」


 冷たくて起きようと思ったけど身体が上手く動かない。


「……ん、れんくんはわたしの………ムニャムニャ」


「えへへ〜れんしゃま〜……ムニャムニャ」


 僕が身じろぎすると左右から女の子の声が聞こえてきた。どうやら昨日みんなで仲良く寝落ちしてしまったみたい。それで、僕の両腕は華憐とミーナの抱き枕にでもされていたのか抱きしめられてて、しっかり抱きついているから柔らかくなんだか離すのがおしく感じる。


「二股二股、汚物は溶かしてお掃除スラ」


 けれど、水色少女は許してくれないらしい。


「わわ、冷たい冷たい! 華憐、ミーナ起きてー!」


 謎の水色少女が再び冷たいのを足にかけてきて、その冷たさにびっくりして僕は慌てて華憐とミーナを起こす。


「ん〜〜?! れ、蓮くん?!」


「レン様、私は昨日の夜は一体……」


 二人も起きたら僕に抱き着いてたことに驚いたよう。頬を朱色に染めてぎゅっと自分の体を抱きしめた。


「大丈夫! 二人とも一切なにもしてないから! それよりこの子は誰?!」


「む~、また何もしてくれなかった………この子は誰です?」


「ついにレン様が私を選んでくれたとおもったのに ………この子は誰ですか?」


 二人もこの水色少女のことは知らないみたい。まぁ、そうだよね、昨日まで僕はこのこのことなんか見たことないし。


「ルンはルンだスラ、朝にこの部屋を掃除しようと思って入ったらまず最初に二股してる汚物を見つけたからお掃除スラ」


 するとルンと名乗った少女は僕の事を指さす。


 え、汚物って僕のこと?! ひどいぞ! 僕は何もしてない! 僕は無実だ!


「ん? ルンってたしか……」


 僕は無罪だーー! って弁解しようと思ったけれど、ルンって名前に聞き覚えがあってまじまじと水色少女をみてみる。


 背丈は中学生くらいの子で、水色の髪をショートカットにしたちょっと釣り目がちな可愛らしい少女だ。この色合い、やっぱり見覚えが……。


「私がスライムに付けた名前だよ」


「あ~~、なるほど」


「では、この少女はスライムなのですか?」


 まぁ、ミーナの言う通りだね。また擬人化ってところか、前々から思ってたけれど一体どうして擬人化するんだ?


「なぁ、ルン、いつからその姿になれたんだ? 昨日はスライムの流線ボディじゃなかった?」


「ルンは朝起きたらこの姿になってたスラ、ルンもどうしてこうなったのかはわからないスラ」


 んー、コロッケたちと同じで朝起きたら突然ってことか、いったい何が原因なんだろう?


 色々疑問が尽きないけれどとりあえず、冷たいから水色のドロドロしたやつをどかして欲しい。


「ルン、これ冷たいからどかしてくれ」


「汚物はお掃除スラ」


「僕は汚物じゃなぁーーーい!」




 ■■




 僕は華憐とミーナにも説得してもらって汚物認定をなんとか人間認定に格上げしてもらって、コロッケたちを起こしてルンを連れて食堂で朝食を食べることにした。ルンのことももっと詳しく知りたいしね。


「む、ルンは今まで魔物や動物の死骸やゴミしか食べてこなかったスラがおにぎりというのはちょっと高級なゴミと同じくらい美味しいスラね」


「んー、今までスライムだったからゴミを食べるのは普通なんだろうけどなんだか不憫な子だな」


「ルンちゃん、これからは毎日一緒にご飯食べようね!」


 華憐も不憫に思ったのかな?


 何はともあれ今はルンの事だ、なぜ擬人化したのかそろそろ謎を突き止めようではないか!


 僕はサングラス……はないからメガネ……もない、しょうがない葉っぱでいいや、葉っぱをメガネみたいな形にしてかけてみる。


 うん、前が見えない。


 そのまま机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってくる。本来は面接の時とかに相手に威圧感を出すためにやるらしいが僕はなんだか考えてる人の最終形態だと思ってるから、考える時はこのポーズをとる。


 そう、ゲン〇ウポーズだ!


「あ、あの、レン様その葉っぱはなんですか?」


「しっ! ミーナあれはたぶん、サングラスの代わりだよ! ゲン〇ウポーズをとってるんだよ! 指摘したら可哀想だから暖かく見守っておこう?」


「ゲン〇ウポーズ? なんですかそれ」


 華憐がゲン〇ウポーズの説明をミーナにしている。


 なんだか、失礼なことを言われた気がするが今は擬人化について考える時。


 うーーん、やっぱりサングラスじゃなきゃ威厳がでないかな?


 今まで擬人化したのは鉄クマのコロッケ、ハル、ポテトと折り鶴のお鶴さんにルンの五人、この人たちの共通点は魔物であること。それと……はっ!


「わかったぞ! 華憐!」


 僕は勢いよく席を立って、邪魔な葉っぱサングラスもどきを投げ捨てる。ルンがそれをスライムに戻した手で拾って吸収していた。おいしいのかな?


「な、何がわかったの?」


「擬人化の犯人は君だ!」


 僕はびしぃぃ! と、華憐を指さす。


「華憐、君が名付けると擬人化するんだ!」


「な、なんだってぇ〜〜」


 おお、さすが華憐ノリがいいね!


「なにか心当たりは?」


「わからないから、自分で見てみるね! ステータスオープン!」


 はい? 自分で見る? ステータスオープンって? そんな世界だったっけここ?


「えーと、あ! ほんとだ『命名』という能力が増えてる!」


 でも、どうやら僕の華憐のせいっていう予想は当たったらしい。それと、華憐は自分自身のことを『鑑定』することでステータスを見れるみたい。ステータスオープンはノリだって。よかった、マジでステータスオープンなんて言う人がいたらなんだか日本人として少し恥ずかしく感じる。


 それで、『命名』という能力は華憐が名前を付けてあげることで知能を与える能力のようだ。


 前にミーナたちと晩御飯を食べた時に魔物は長く生きて知能を得ることで幻獣種に進化、擬人化することができるようになるって話をしたけれど、それで華憐の『命名』を使うと無理やりに知能が与えられるから擬人化を起こすみたいだ。


 ただ、その自然と長く生きて知能を得て普通に擬人化する魔物はほとんどおらず、ドラゴン以外にはとても珍しく今までに数件しか確認されていないらしい。


 なるほど、じゃあここにはその珍しい事例が五回も起きてるのか、なんだかありがたみが無くなってくるな。


 え? ありがたいことじゃない? 知能を持った魔物はとても厄介?


 でも、まぁ、うちの子たちは優しい子たちだから危害を加えたりしないよね。うん、大丈夫!


 それから、ルンと話して彼女はうちの巨木な我が家に住んで、主に掃除を担当してくれることになった。


 こうして新しく、擬人化スライムのお掃除マニア潔癖症ルンが仲間になった。




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