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3話 神様からの贈り物

 


 私は塔野華憐です。


 十八歳で、アニメ、漫画、ラノベなどなど大好きないわゆるオタク女子です。


 同世代の同性の人にこのことを言うと変な目で見られて引かれます。


 解せない……。


 さて、私はトラックに轢かれて死んだはずでしたが、神様に助けて貰って生き返ることが出来ました! そう! 異世界です! ずっと夢見ていた異世界転生です! やっぱりできるもんですね、諦めなくてよかったです。


 それで、私の他にも一緒に転生した人がいます。


 雨宮蓮くんです。


 私がトラックに轢かれそうになったときに助けてくれようとしてくれましたがまきこまれて一緒に死んでしまいました。


 すみません……。


 最初は怒られると思いましたがそんなことありませんでした。


 蓮くんは心が広い良い方です!


 そんな蓮くんですが、彼は本を読むことが好きみたいで私とも趣味が合うところがあり、すぐに打ち解けられました!


 もし、オタク文化に偏見のある方と一緒だったら、上手くやっていけなかったかもしれません。


 今は、蓮くんと別行動で蓮くんは家作り、私は食料確保のため森を探索してます。


 お腹鳴っちゃったときははずかしかったなぁ……(照)


 この森ですが、どこを見渡しても木ばっかりです。


 それも背が高い、上を見ればなにか実がなってるのですが高すぎて取れません。


 なので、下を向いて食べれそうな草などを神様からもらった<知識>の力の鑑定能力で探しながら移動していきます。


 それにしても、この鑑定能力便利です。


 調べたいものをじーっと見るとその物の名前や使い方、他のものとの併せ方や育てかたなど、ありとあらゆることが分かります。


 調べるのが楽しくてお腹がすいたことも忘れてついつい時間が経ってしまいます。


「あ、またシナシナソウみーつけた! これほんとに食べれるのかな?」


 私はさっきからこのシナシナソウを沢山見かけます。


 鑑定能力によると食べられるみたいですが、葉っぱがシナシナしててまずそうです。


 しかも、量だけは大量にあってポケットとかがいっぱいです。


 そろそろ帰ろうかなと思った時、穴を見つけました。


「なんだろ、あの穴、なにかいるのかな?」


 不思議に思って近づいてみると、何かがキラッと光りました。その瞬間……


「ぐぐおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」


「きゃあああああああぁぁぁ!!!」


 私は叫び声を上げて回れ右、来た道を全力で逃げ始めました。




■■




 ◇◇レンside◇◇




「きゃあああああああぁぁぁ!!!」


 叫び声が聞こえた、僕は声が聞こえたほうを見た。


「なんだ、なんだ?!」


 ドスドスドスドスと、なにかが走ってるような音が聞こえたと思ったら、華憐さんが全力で走ってきた。


 その後ろには体が鋼色に光る大きなクマが華憐さんを追いかけていた。


 その瞬間、僕はあの時の光景を思い出した。


 トラックに轢かれたたあの時のことを。だから、気がついたら走ってた。


 たぶん、あのクマに轢かれたらもう一度死ぬ。そしたら、もしかしたら次は生き返ることなんてできないかもしれない。次は絶対助けなきゃ!


 一瞬でクラウチングスタートの準備、今まで生きてきた中で全力で走って、クマが近づいてきたら反動をつけて、全力でジャンプ、そのまま勢いに任せてクマの顔面に飛び蹴りを繰り出した。


「フギョッ!」


「蓮くんっ!」


 クマは変な鳴き声を出して、華憐さんが僕の名前を叫ぶ。僕は反転してとりあえず安否を確かめよう。


「大丈夫? 怪我はない?」


「はい! 大丈夫です! でもクマがまた……」


 華憐さんは大丈夫そうで一安心。


 クマは僕達が逃げないのが分かったのか、立ち上がってゆっくりと近づいてくる。


「ふんっ! クマっころが、僕を舐めるなよ!」


 僕はなんだか負ける気がしなかった。


 アドレナリンでも出てたのかな? 僕は近づいてくるクマっころと組合う。


「ぐぐぐっ……痛い痛い!! 」


 やっぱ無理! 痛いよ痛い痛い!! なんかミシミシ言ってる!! 絶対折れちゃうやん!!!


「蓮くんっ!!!」


 華憐さんが必死に僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。


 クマをみると、なんか首周りを掴めば倒せそうなきがした。


 だから、脇をしめクマの首元をつかみ引き付け、腰を落として、腕をがっちりつかんで、背中に乗せて、重心をしっかりと捉えたことがはっきりとわかり、思いっきり投げ飛ばす。


「ギャアアアアアア!」


「え?」


 クマは頭から思いっきり地面に激突、しばらく叫んだと思ったらピクリとも動かなくなった。たぶん、首の骨でも折ったんだろう。


 その光景をみる華憐さんはお目目まん丸で口が空いてびっくり仰天。


 でも、一番驚いてるのはたぶん僕なんだけど。空いた口が塞がらない。


「あ、」


 数秒たって僕は唐突に理解した。


 走った時は短距離走の才能、ジャンプのときは高飛びの才能、飛び蹴りのときはプロレスの才能、最後の背負い投げは柔道の才能で<才能>の力を使ったことを、なるほど芸術だけではなかったのか。


「あはは……自分でもビックリだ……」


 さっきから華憐さんどうしたんだろう? そうおもって華憐さんの方を見てみると


「蓮くん!」


 いきなりぎゅっと抱きしめられた。


 いきなり抱きつかれてびっくりしたけど、なんかいい匂いで柔くくて温かくてずっとこのままでも……イカンイカン! 煩悩滅殺っ!


「華憐さん、大丈夫? 怪我してない?」


「蓮くんこそ! 大丈夫なの? あんなことして! びっくりしたんだよ?! 心臓に悪い!」


 華憐さんを心配したら、なんか僕が怒られた。


 解せぬ……。


「僕は大丈夫だよ、ごめんごめん、ビックリさせちゃったね、まぁ、僕のほうもびっくりなんだけど……それより、あれどうしたの?」


「グズっ……なんか……グズっ……スビュィィ……なんか、穴があって……中覗いたらいたの……」


 華憐さんが泣きながら教えてくれる。


 でもなんで、僕の制服で鼻水かんでるの? 涙には貸すけどさすがに鼻水はなぁ……まぁ、いっか。


 とりあえず、泣きやんでーーーどうどう、どうどう。


「グズっ……怖かった……怖かったよぉぉーーうわぁぁぁぁぁん!!」


「ほらほら、大丈夫だから、どうどう、泣き止んでー、とぅーるとぅーる」


 しばらくして華憐さんが泣き止んでくれた。泣き止ます才能ってあるのかな?


「このクマどうする? なんか、鉄っぽいけど」


「ちょっとまってね、『鑑定』!」


 華憐さんが鑑定してくれてこのくまの正体がわかった。


 このクマは鉄鋼熊(アイアンベアー)という名前のクマで、名前の通り体が鉄でできてて、鉄を食べ、鉄を作り出すことができる。


 作られる鉄は純度百%、人間の血液中の鉄分が大好物の肉食のクマ。


 お肉は食べられないことは無いが鉄臭い。


 鉄分が少ない女性に人気! って、こんなことも分かるのかな?


「食べられるのかー、鉄臭いって……美味しいのかな?」


「美味しいんじゃないかな? 私、貧血気味だから鉄分ありがたい」


 まぁ、華憐さん、さっき走ってる時はすごい早かったけど、普段は気弱そうだしね。貧血と気弱そうなのは関係ないか。


「ま、大切な食料だ好き嫌いはしない」


「それより、蓮くんお家できた?」


「ふっふっふっ……見よ! あの傑作を!」


 バサッ! と、振り向いて、僕が作った粘土かまくらを指さす。


 その先にはキ〇トくんと、ア〇ナの描かれた洞穴のようなかまくらがあった。


「おおおぉーーー! キ〇トくんだ! すごーー! 今にも『〇ターバー〇ト・〇トリーム』! って、やりそう! ア〇ナもリアルすぎてやばー!」


「ふっふっふっ……そうだろうそうだろう」


 予想通りの反応で、満足気にうんうん頷く僕。華憐さんこういうのテンション爆上がりだよね。


「でも、なんで粘土なの??」


「木が切れなくてさー、とりあえず何か代わりになるものと思って粘土があったの」


「ああ、そっか、道具の作り方教えとけばよかったね、ごめんごめん」


「まぁ、それはおいおい。そろそろ日が沈みそうだしクマの血抜きして、焚き火の準備しよ」


「うん、わかった! 血抜きは私が尖ったナイフ作ってやっとくから蓮くんは焚き火の準備をお願い」


「おっけー、任せたよ!」


 それから僕はちょっと大きめの石を拾ってきて丸型に並べたら、まだ何か動物がいないか気をつけながら手頃な枝を集め始めた。


 しばらくして、日が落ち始めたので戻ってくると、さっきのクマが木の枝に引っかかって干されてた。


 木元の血溜まりが結構グロい……。僕あんまりグロイのは好きじゃないんだよね。


 華憐さんはどこだろうと周りをキョロキョロしてみると、かまくらの前に華憐さんがいた。


「お疲れ様ー、焚き火の準備できたよー」


 と、声をかけると「はーいっ!」といって、振り向くと……。


「うわわああああぁぁぁぁ!」


「きゃあああああああぁぁぁー!」


 片手に血の着いたナイフに頬を血で真っ赤に濡らしたスプラッタ華憐さんが降臨していて、ビックリしてつい叫んでしまった。


「うわぁぁぁぁ………あ? 華憐さん? 」


「きゃぁぁぁぁ……蓮くん……?」


 お互いに叫びあって、ふと我に返る。


「なんだ、華憐さんかよかった、てっきりゾンビが出たのかと……」


「なによぅ……ゾンビじゃないもん……血が着いちゃったの!」


「ごめんごめんー、川で洗ってきなよ」


「うん!」


 華憐さんが川に洗いに行ってる間に僕は焚き火を開始することにした。


 確か、火の起こし方は枝と木の板を擦り合わせて…………。


 しばらくギコギコして火種が着いて、火を起こすことに成功! しっかりと焚き火の完成! パチパチと木の燃える音が耳に心地いい……そんなことを考えてたら華憐さんが戻ってきた。


「火起こし上手ですね!」


「んー、たぶん<才能>の力のおかげじゃないかなー」


「それでも、すごいですよ! 」


「そう? クマの血抜き終わったかな? そろそろ晩御飯にしよ!」


「はい! そうですね、ご飯にしましょう!」


 僕は血抜きの出来たクマを持ってきて解剖をすることにした。


 僕、スプラッタなのあんまり得意じゃないんだけどなー。


 華憐さんからナイフを借りて、クマのおしりの穴から、喉にかけてオープン! そっからはちょっグロイから……オェェェェェ;'.・ .○| ̄|_。


 まぁ、なんとか解剖が終わって、肉を木の棒に刺して焚き火で焼き始める。


「そういえば、華憐さんはなに採ってきたの?」


「えーっとね、シナシナソウがいっぱいです!」


「シナシナソウ? 食べれるの?」


「私の鑑定能力によれば大丈夫! けど、ちょっと不安だからお湯作りたいんだけど……お湯をわかせられるものがないね」


「んー、それはどうしようもない、明日色々作ろう

 !」


「はい! 異世界転生一日目の夜ご飯はクマ肉ですね!」


 まぁ、クマでも初日からお肉にありつけるのはいい事だろう。


「そろそろ焼けたかな??」


 僕はクマ肉をとって食べてみる。


 うーん、塩とか胡椒とか調味料がないから血なまぐさくてあんまり美味しくないな。


「……血なまぐさいですね、料理改革が必要です」


「こればっかりはね、早いうち香辛料とか調味料探そう」


「そうですね、明日は何しましょうか」


「とりあえず、道具だねー、あとは柿ピー使う?」


「あ、柿ピー忘れてました! 畑を作りましょう!」


「そうだなー、あのクマの皮に着いてる鉄で道具作れる?」


 僕がそう言うと、華憐さんは干してあるクマに近づいて目をこらす。


「ちょっと待ってくださいね、『鑑定』! ……あ、大丈夫です、道具作れますよ」


「お、それは良かった! 明日はやることがいっぱいだなー」


「じゃあ、今日は早く寝ましょう」


「そうだねー」


 と、僕と華憐さんは明日のやることを話し合って、僕の作ったかまくらで寝ることにした。


 そこで気づいた、かまくら一つしかないや……あちゃー。


「ごめんー、ド忘れしてたや、テヘペロっ☆」


 とりあえず謝っとこう、今のてへぺろよかったかな? しかし、しょうがない今日は僕は外で寝よう。


「今日は僕、外で寝るね、おやすみなさい」


 と、外で寝ようとしたら、後ろからピトッと制服の裾を引っ張られた。


「……中、ちょっと暗い……暗いの怖い……」


 華憐さんは暗いの苦手みたいだ、でもなー、さすがに男女だし……。それに……まぁこれはいいか。


「華憐さん? でも、俺たち異性だよ? 良くないよ?」


「……一緒に寝ましょ……? 隣にいてくれるだけでいいから……」


 まぁ、トラックに轢かれクマに轢かれそうになったら怖くもなるか。


 それにしっとりと濡れた黒曜石のような目で、捨てられる犬みたいに見つめられたら、さすがに放置できなかった。


「わかった、今日は一緒に寝よう」


 僕の言葉に華憐さんは安心したような顔をした。やっぱり怖いよね。


 それから、二人でかまくらの中に入って、横になった。


 少ししてから隣からすやすやと寝息が聞こえてきた。


 すごいなぁー、華憐さんもう寝たのか。まぁ、今日色々あったしねー、僕は枕がなくて寝れないよ、首痛い。


「明日この辺も何とかしなきゃなー」


 そんなこと、考えながらぼーっと天井を見つめてると、背中に暖かい感触がした。


「か、華憐さん?」


「ムニュムニュ……蓮くん……」


 うーん、無防備……こんなの意識しすぎて寝れないよぅ!


 煩悩滅殺っ!


 僕は一晩中モヤモヤした気持ちで、ゆっくりと瞼を落とした。




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― 新着の感想 ―
[良い点] サバイバル生活スタートなのに、なんだかほのぼのしていて楽しい雰囲気がいいなと思いました!二人で仲良くやっているところが、とても好感が持てました! [一言] ブックマークさせていただきました…
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