28話 生活レベル向上の話とカレンダー作り
◇◇カレンside◇◇
エルフさんたちが来てからの生活向上の話をしようと思います。
私は今、ハルちゃんとお風呂に入ってる。巨木な我が家のお風呂は日本の銭湯みたいに大浴場。
「お風呂きもちいねぇー!」
ハルちゃんはすっかり風呂好きになった。最初の頃は熱いお湯が苦手だったのか、おそるおそる入ってたのに、今は身体を洗ったら全力でダイブして、そのまま一時間くらい上がってこない時があるほどに。
そう、身体を洗うと言ったら、私が作ったあの石鹸、初めて使った時はハッカみたいにスースーして全身にみんな大好きメンソレータムリップを塗りたくったような感じがしたんだよね。
それがなんということでしょう、あの敏感なところがちょっとヒリヒリしたメンソレータム石鹸が今では花の香りいっぱいのお花石鹸に生まれ変わりました。
エルフさんたちの中に石鹸を作れる人がいて材料を持っていたらしく改良してもらたんだ。
そしたら私が作ったのより泡立ち量も格段にアップ、香りもついてスースーもしなくなった。
そのエルフの人に作り方を見せて貰ったら、私と全く同じ作り方だった。
どうして、私の作ったやつはスースーするんだろう? 私の知識通りにやっても、石鹸エルフさんと一緒に作ってみてもスースーする。そういうのが好きな人には需要があるかもだけれど残念ながらそんな人は家にはいなかったわけで、石鹸づくりは戦力外通告をもらった。解せない……。
お風呂事情は他にも、タオルを使えるようになった!
これもエルフさん達のおかげ!
それでも一応繊維は暇な時に何かの役に立つかもと作り続けてるけど、やっぱ天日干ししてるだけだからね、手触りなんかはエルフさんたちが持ってきてくれた奴のほうが断然いいし、そもそも私じゃ繊維から編むことができなかったという悲しい事実。誰か、そういうのが得意な人がいたら活用してもらおう。
「カレンあがろぉー」
「ちゃんと水切ってからでなさいよー」
「はーい」
脱衣所から出ると、前の廊下をスライムのルンちゃんがぽよぽよ跳ねて移動してる。
ルンちゃんはこの家の人が住んでる部屋を中心に掃除してもらってる、だから跳ねているところをよく見かけるようになった。
「ルンはお風呂入らないのかなぁ?」
「うーん、どうだろ? お風呂掃除はしてくれるかもだけど浸かりはしないんじゃない?」
一緒に入ったらルンちゃんはぐで~~っとしそうだね。
「ルン、冷たくて気持ちぃー!」
ハルちゃんはルンちゃんをギューってしてる。ルンちゃんは逃げようとぽよぽよ動いてる。微笑ましい。
ルンちゃん冷たいもんね。あと、すっごい綺麗好きっていうことも分かった。蓮くんが泥を廊下に落としたときとかぽよぽよ跳ねて抗議してたからね。
「じゃあねぇールンおやすみぃー!」
私たちはルンちゃんと別れて水を飲みにキッチンに向かうことにする。
■■
キッチンで水を飲む時は蓮くんが作ってくれたコップをいつも使はってる。
私の最近のマイブームコップはヒ〇アカの轟〇凍くんが掘られてるコップ! なんだかひんやりしそうだから!
相変わらず蓮くんの彫るアニメキャラはリアリティが高い。
生活向上といえば食料問題はかなり解決した。
蓮くんの『開花能力』は柿ピーのやつ以外にも効果があるようで、暇があったら片っ端から『開花』をしているみたいで割と倉庫いっぱいに様々な種類の野菜果物が置いてあったりする。
そんなことしてるからエルフさんたちが恵の踊りーって信仰しちゃうのにね。
ただ、最近は才能のないのが増えてきたのか『開花』を使っても育たない野菜果物も多いみたいで「才能のない野菜ばっかだ」って蓮くんが文句言ってるのを聞いた。
野菜と果物の才能ってなんなのかよく分からないけど。
ニギリメシコシヒカリの木はいつもおむすびで満開になってるんだけどね。玄米はあるのに精米ができないから白米が食べられない……だから仕方なしにニギリメシコシヒカリを食べてる次第です。
それから、まただけどエルフさんたちが持ってきてくれた油やオリーブオイルなどなど、料理の幅が広がってありがたいわ~って蓮くんが言ってた。
もちろん私も作り方はわかる!
わかるんだけど私が作るといつも失敗する。
やり方はあってるのに……くっ、なぜだ……。
「あら? カレン様とハルちゃんじゃないですか」
と、キッチンで水を飲んでると、蓮くんにべったりの銀髪エルフがやってきた。
「ミーナ、どうしたの? こんな時間に」
「はい、レン様のお部屋に行こうと思ったのでお飲み物でもと思いまして」
む、日中あんなにベタベタしてたのに、まだ足りないの? 今日の夜は私とカレンダー作る約束なのに! なんかもやもやするなぁ。
「残念でしたー、今晩は蓮くんと約束があるからミーナは自分の部屋に帰ってください!」
「あら? レン様とカレン様は実はそういう関係……」
「ち、違うから! 一緒にものづくりするの!」
「じゃあ、私がいても大丈夫ですね!」
むー、蓮くんといる時間が一番長いのはこの世界で私なのに!
あーだこーだ言いつつも、結局みんなで蓮くんのところに行くことになった。
■■
蓮くんの部屋に行くとコロッケとポテトもいて、ハルちゃんとミーナの四人でちょっと前に暇だねーって言って蓮くんと作ったトランプで遊んでる。
私と蓮くんはカレンダー作り。
カレンダーを作ろってなったのは蓮くんが「日付がわからん!」って言ったから。
私は年と月と日にちに曜日、時間も秒まで<知識>の力でしっかりと分かるから今まで大丈夫だったんだけど蓮くんは分からないみたいで、だから普段、蓮くんが私に時間とか日付とかを聞い来るんだけどいちいち聞くのがめんどくさくなったのか作ることになった。
ちなみにこの世界にやってきた日は六月十五日、今日は二十八日だから地球ではもうすぐ夏休みだね。
「まず、どんなカレンダーにするかなー」
「紙はまだないから木で作ることになるよね」
「そうだね、無難にサイコロのやつとかかな?」
「それがいいと思う! とりあえず一個作ってみよ」
ということで、蓮くんがまず土台作り、私はサイコロ型の木に0〜9までの数字を掘っていくことになった。
私は不器用じゃない、私は不器用じゃない………。
「そういえば、華憐の誕生日っていつなの?」
必死に数字彫りをしていたら土台を作り終わった蓮くんが話しかけてくる。そういえば、そういう話はまだしたことなかったけ。
「私の誕生日は五月三十日だよ、蓮くんは?」
「もう過ぎてたのか、僕は四月三十日だよ、華憐とは一月違いだね」
「レン様、カレン様誕生日がどうかしたのですか?」
と、トランプは終わったのかミーナが話に混ざってくる。今は私と話してたのに……むぅ。
「ああ、こっちの世界だとどうかはしらないけど僕達の世界では誕生日を祝ってプレゼントを上げたりするんだよ」
「なるほど、レン様の誕生日は四月三十日と……」
「ミーナはいつなの?」
「私は三月七日です、まだまだ先ですよ」
「なら誕生日が、来たらみんなで祝わないとねー」
蓮くんが七日のサイコロをもう一個作ってそこに『ミーナ』と書いて、次に三十日のサイコロを作って、『かれん』って書いてくれた。なんだか、ほっこりするなぁ。私も後で蓮くんの誕生日メモッといて来年は祝ってあげよう!
私たちはそのままカレンダーを作り続けてたら(途中から入ってきたミーナも欲しいと言い始めたからふたつ作った)みんなでいつの間にか寝落ちしてた。
コロッケたちもいつの間にか寝息たててたみたいで久しぶりにみんなで雑魚寝といきこんでたみたい。




