27話 念願のお米
◇◇カレンside◇◇
私はルンちゃんを家に連れて行って『言語能力』を使って掃除を頼んだ後、南国エリアとして開拓してた蓮くんのところに戻って作業を終了。
そのまま昨日柿ピーでお米と小麦を願って植えたのを蓮くんの『開花能力』を使って一気に成長をさせようということになり水田にやってきた。
遂に、念願の白いご飯が食べれる! そう思うと、ルンちゃんに会えたことも加味されて俄然テンションが上がってくるね!
「わぁー! のびのびダンスしてるぅー!」
ハルちゃんが見てる先には農作業を頼んだエルフたちがいて、列になってのびのびダンスをしている。
「なんで、踊ってるんだ?」
蓮くんが痛いものを見るような目で見てるけど、最初にやりだしたのはあなたですよ?
「あら? レン様は知りませんでしたか? 初めてレン様があのダンスを見せてくれてから我々エルフの中では神聖な踊りとして農作業を終えるときみんなで畑の周りを一周してますよ?」
「さ、さいですか……」
「はい、お二人が神気を使えるのを知ってるのは私とリーアにレーアだけですから」
あ~、だからエルフの人たちが勘違いしてのびのびダンスが神聖な踊りとしてとらえれてしまったと。なんだか、蓮くんがふざけてやったことが凄いことになってるみたいだね。
さて、それじゃあさっそく『開花』してもらおう! っと、思ったけど、その前に柿ピーの残量の確認をしとこうかな。今回、穀物を作るために柿ピーを二個使ったから、今までに使ったのは、
我が家に一つ。野菜に一つ。果物に一つ。ニギリメシコシヒカリに一つ。お米に一つ。小麦に一つ。
で、計六つ。神様からは十五粒もらったので残り九粒、これからはもっと慎重に使いどころをみきめわなくては。
「レン兄ちゃん今日ものびのびダンスするのか?」
「私もするぅー!」
「んー、そーだな、今日は僕はやらないよ、その代わり華憐が一緒にやってくれるよー」
ん? 今、私の名前が出てきたような……?
「え!? なんでですか!?」
「えー? だって華憐が植えた柿ピーだし!」
いや、確かに私が植えたやつだけどさ! それは、蓮くんが植えたら願ってることが抽象的に願ったり、おかしな願い方をして思ったものが生えてこないから代わりにやったんだよ?
「やっぱり、こういうのは植えた本人が踊るべきだと思うな~」
なんか私が踊ることになってるんですけど! そもそも、踊らなくても蓮くんの能力でできるじゃん!
「カレン姉ちゃん踊ろうぜ!」
「そうだよ、カレン踊ろぉー!」
「ほら、コロッケたちも言ってるし、今日はカレンだねー」
うわ〜蓮くんがニヤニヤ顔のすごくいやらしい顔でこっちを見てくる。完全に愉快犯の顔だ。
仕方ない、コロッケたちにあんないい笑顔で誘われたら断るに断れないよ。
私は見世物になる覚悟を決めてコロッケたちと列になった。
■■
「ほらほらー、声が足りなーい!」
「カレン様〜〜可愛いですよ〜〜」
本当は一瞬でできるのが分かってるのに、かれこれ十五分近く踊らされてその様子を見られてる。しかも途中からエルフたちも合流して私が先頭で先導役。こんなの、幼稚園のお遊戯会みたいだよ。とっくに高校生な私にはあの頃の無邪気な心なんてなくしてしまったから恥ずかしすぎる、特に先頭っていうのが。
くっ……いっそ殺せ! 蓮くん、ミーナ、覚えてなさい! この屈辱絶対いつか払わせてやるんだから!
「はぁーー笑った、笑った! 面白かった。そろそろやるかー、『開花』!」
蓮くんが能力を使った瞬間、一瞬赤金色のオーラが田んぼに降りかかったと思ったら、金色の稲穂がスクスクと伸びてきて辺り一面金の絨毯になった。
「「「「「おおぉぉぉー!!!」」」」」
「神の恵みだぁーー!」
「この目で奇跡をもう一度見れるなんて……」
「やはりこの踊りは恵の儀式なのだ!」
あーあ、エルフたちが勘違いしちゃってますよ。
あ、でも神の恵みって言うのはあながち間違いでもないかも? だって、蓮くんのこの能力は神様にもっらた者だしね。
「いやー、いい踊りだったねー」
「はい! カレン様の踊りに神様も答えてくださったのでしょう!」
「ちょっ、そういうこと言わない!」
エルフたちがもっともっと勘違いしちゃうでしょ! 誰が責任をとれるの!
それから私たちは稲穂を狩って、エルフたちが作った千歯ごきで脱穀して籾をとり俵に入れて保存した。
そして、白いご飯を妄想しながらさっそく炊こうと思って気づいた、お米の精米どうやろう……。
どうやら、白いご飯にありつけるのはまだまだ先のよう……( ノД`)シクシク…。




