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25話 華憐の気持ち

 



 ◇◇レンside◇◇




 ミーナが出て行ったあと、僕はモンモンとしていた。


 いやいや、あんな可愛い子に抱いてっ! とか・恋仲にっ! とか言われたら誰だって興奮するでしょ!


 しかも、あんな大胆な格好で!


 まぁ、でも僕は今は誰も受け入れるつもりはないんだけど。今は、じゃないか。たぶんこれからも。


「ふぅー、展望台でもいくかー」


 僕は火照った身体と、ほとばしるエロスを抑えるためと、少し感傷に浸りたくなって夜風に当たることにした。




 ■■




 ◇◇カレンside◇◇




 見ちゃった見ちゃった見ちゃった!!


 聞いちゃった聞いちゃった聞いちゃった!


 私はミーナが蓮くんの部屋に行くのを見てつい尾行、そのままドアに耳を当てて会話を聞いていました。


 だって! あんな大胆な格好でミーナ行くんだもん! 気になるよ!


 それで聞いちゃったのがミーナの蓮くんに対する気持ち、ミーナは蓮くんのことが好きだと言うこと。


 なんだか複雑な気分、応援してあげたいけど……うーーんって感じ。


 私は蓮くんのことが好きなのかな?


 嫌いではないのは分かってる、だけどそれで恋人になりたいくらい好き? って聞かれると分からない。


「私は蓮くんのこと……」


 ガチャリ………パタン。


「はっ!?」


 そのとき蓮くんの部屋の扉が空いて蓮くんが出てきた、そのままエレベーターに乗って上昇していく。


「どこ行くんだろ?」


 エレベーターは百階で止まった、どうやら展望台に行ったみたい。


 私はどうしようか少し迷ったあと、エレベーターに乗って追いかけることにした。




 ■■




 展望台について蓮くんを探してみる。


 あ、いた。


 蓮くんは滝の方ではなく南の方、森が広がってる方を見ている。


「蓮くん、こんな所にいたら風邪ひいちゃいますよ?」


「ああ、華憐さん、こんなとこでどうしたの?」


「蓮くんがエレベーターに乗って上に向かうのを見たので追いかけてきたんです」


「そっか」


 沈黙が訪れます、蓮くんはじーーっと外を見ています、何を考えているのでしょう?


「どうかしたんですか?」


「ん? いやー、異世界だなーって思って」


「? はぁ……? 今更じゃないですか?」


「そうだねー、ほら月が二つあるから」


 そういって蓮くんは空を指さします。


 確かに空には月が二つある、赤い月と蒼い月、それに明かりが無い分よく見えるたくさんの星々。


「たしかに、綺麗ですね」


「うん、そうだね。たまに、なんだかすごく遠くに来ちゃった気がして、家族とか後輩とか友達とか、後は……ううん、そういう人たちを置いてきちゃってよかったのかなって思うんだよね」


 私は少し驚きました。


 蓮くんがそんなこと考えてるなんて、いつも馬鹿みたいに面白おかしく毎日を過ごしてて、そんなしんみりしたことを思ってたんだなんて。


 でも、確かに今の蓮くんはなんかここじゃないどこかで誰かを探しているような感じがします。


 その様子がとてもさみし気に見えて、蓮くんが今何を考えているのか私は気になりました。


「蓮くんは今、何を考えてますか?」


「それ!」


 蓮くんはいきなり私の顔を見てそんなことを言ってきます。


 ……今、たぶんですけど、話を遮られたような……?


「なんですか……?」


「その、敬語? みたいなのやめてよ、コロッケたちとはもう少し砕けた感じで話してるんだから砕けた感じでも喋れるんでしょ?」


 ああ、私が蓮くんにこんなふうに話すのは敬意を持ってるからです。


 私みたいにトロイやつのことを助けようとしたり、いつも頼れる方だから。でも、そうですねー、なら……。


「じゃあ交換条件です、蓮くん私の事を華憐さんってさん付けですよね? だから、これから華憐って呼んでください」


 そう、蓮くんは私のことを華蓮さんって呼びます。


 ハルちゃんはともかく最近やってきたばかりのミーナだって呼び捨てなのに一番最初からずっといる私がさん付けなのはなんだか嫌です!


「んー、いーよ!じゃあ……華憐?」


「は、はい、蓮くん」


 私は蓮くんに名前を呼び捨てで呼んでもらえて、なんだか不思議な感じがします。


 決して不快ではないけど。


「うん、華憐! こっちのほうが僕もいいかも!」


「そ、そうですか」


「うん! それにしても畑、大きくなったねー」


「そうだね、まぁほとんど大きくしたの蓮くんだけどね」


「んー、コロッケたちの力も大きいかなー」


「そうだね、コロッケたちも頑張ってたもんね」


「うんうん、地盤も固まってきたしそろそろ、どこかの街に行ってみるのもありかもねー」


 蓮くんはそんなことまで考えてたんだ、私はてっきりずっとここで過ごすものだと思ってたのに。


「さて、そろそろ冷えてきたし、戻ろっか」


 そういって、蓮くんは部屋に戻ろうとします。


 だけど、エレベーターの手前で振り返って、


「ねぇ、華憐はこっちの世界に来れてよかった?」


 そんなことを聞いてきた。


 その顔はなにか、苦しそうな、悔しそうな、どこか地球でやり残したことがあるような顔。


 どうしてそんな顔してるのか気になる。聞いてみよう。


「え、どうして?」


「いや、ううん、なんでもない、明日からもよろしくね相棒! おやすみ」


 そうはぐらかすように言って、いつもの表情になった蓮くんはニコッと笑って拳を突き出してきます。


 私は蓮くんの笑顔にちょっとドキッとして、同じように拳をコツンと当てました。


 こんなことやったの初めてだから気恥ずかしくて、でも嬉しくて。


「こちらこそ! おやすみなさい」


 蓮くんはエレベーターにのって戻ってしまいました。


 私はそのままもう少し外を眺めています。


 蓮くんに名前の呼び捨てで呼ばれるのは自分から言っといてなんだけどやっぱりちょっと気恥しいかも、明日から意識しちゃいそう……。


 この感じが恋なのかもわからないし蓮くんのこともなんだか分からないことが多い、蓮くんがミーナと仲良さそうに話してるとこ見るとちょっとムッとするのとかあるし。


 まぁ、私友達少なかったし蓮くんとは気も合うから取られるのがいやなのかも、独占欲? わからないや。


 でも、今日のさっきまでの時間で蓮くんとの仲は縮まった気がするし、もっと仲良くなりたいし……そしたら、なんであんな顔したのかも聞けるかな? なにか含みがあるような感じだった。


「はぁ、蓮くんさっきはなにを考えていたんでしょうか?」


 蓮くん、あなたのことをもっとたくさん知ってもっと仲良くなりたいです。




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