表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/236

23話 『神気解放:才気煥発』

 


 ◇◇レンside◇◇



 森を走って、森を走って、森を走って、日本にいた時より明らかに早く景色が移り変わってく。これは、僕の走力が上がったのか、<才能>の力なのか。そういえばハルから話を聞いてついカッとなって飛び出してきちゃったけどどっちに行ったか考えてなかった。それに、水浴びしてそのままだから上着もきてないし。


「これは、やらかしたかも……」


 と、頭が冷えて冷静になれてきたとき、微かにだけど女の子の悲鳴が聞こえた気がした。


「………向こうか」


 悲鳴が聞こえたほうに行くとエルフっぽい男が二人、銀髪の女の子を囲んでるのが見えた。


 ミーナか? けど、確かミーナの髪色は金髪だったよな? いや、こんなとこでエルフに囲まれてる時点でおかしい。状況証拠は十分だ。たぶん何らかの理由で金髪に隠してたんだろう、きっとミーナだ。もし、違っても愛想笑いで退散すればいい。


 てことで、女の子のところに行く。


「やーーっと、見つけた」


 遠目から見たら銀髪でミーナかどうかわからなかったけど、困惑顔で覗かせた顔はやっぱりミーアだった。よかった、人違いじゃなくて。


 僕は綺麗な銀髪の少女を撫でてやる。


 だって泣いてたから。


「ほら、泣くなよ、ミーナは笑ってる方が可愛いよー」


 うん、ちょっとは泣き止んだかな?


「おい、てめぇ何やってんだ? あ?」


 なんか強面のエルフが喧嘩腰に話しかけてくるんだけど怖い怖い。まぁ、でもここにミーナがいるってことはこいつらが誘拐犯だよね。


「ん? 誰この人? チンピラ? それともハイなエルフ?」


「おいおい、ガキンチョそいつは忌み子だぞ? よくそんなきたねー髪触れるな」


 もう一人のエルフの男も話しかけてきた。こっちも喧嘩腰でチンチンぴらぴらしてる。


「なんだ? 忌み子って、それに綺麗な銀髪じゃなんか、いーなー中学の時銀髪に憧れてたんだよね」


 そう、中学の時は僕は銀髪になりたかった。だって〇魂の銀さん好きだったから。


「おい、ガキ痛い目見る前にさっさと失せろよ」


「いやいや、痛い目みるのはお前たちだと思うんだけど」


 だって、ねぇ? 僕、今かなり頭に来てるもん。それはもう目がすわってるくらいには。そしてすごく強くなった気がする。


「あ? 舐めた口聞いてんじゃねぇぞ? 死ねよっ!」


 たぶんハイなエルフの男がパンチをしてくる。


 うわぁ、スローモーションにみえるんだけど、のろのろパンチだ。


 僕は、ミーアを横抱きにして抱えてその場を一瞬で離脱する。


 たぶん男たちには瞬間移動したようにみえるだろう。


「なっ……」


「いつのまに!」


 自分でもわかる、身体の中心から湧いてくるこの力は、怒り。


 僕はここで何があったのか、ミーナが過去に何があったのかわからない。


 わからないけどミーナが泣いてた、それを見た瞬間すごく苛立って、身体の中から神気かな? たぶん神気が溢れてくるのがわかる。


 苛立ちを感じた瞬間はすごく暴れたくなるけど、それはダメだ、じーちゃんがいつも言ってた。


 苛立ち、怒りを覚えた時こそ冷静であれと、だから不思議と周りがよく見える。それに感覚がすごく鋭くなってる気もする、なんだか人間の皮が一枚向けたような。


「蓮くん! え、ミーナ?」


 華憐さんが追いついてきた、ハルとコロッケも一緒だ。


「うん、この子がミーナ、少しだけミーナの事よろしくね」


「蓮くんその赤いオーラ、神気?」


「たぶんね。すっごい力が湧いてくるのがわかる」


 そう、今僕の周りには赤金色のオーラのようなのが吹き乱れてる。まるで僕の感情を代わりに表してるように。


「おい、よそ見してんじゃねーぞ!」


「蓮くんうしろ!」


 後ろから男の部下みたいなやつが剣で斬りかかってくる、華憐さんが忠告してくれるけど、もちろん気づいてた。


 僕は男の剣の腹を振り向きざまに蹴り飛ばす、そのまま唖然として固まってる男の腹に拳を練り込む。


「がはっ……」


 男はそのまま吹き飛んでって気絶。


 僕はもう一人の強そうなやつに目を向ける。


「なっ、てめぇのそれ神気か」


「ありゃ? たぶんそうなんだろうけどあんたも知ってるの?」


「そりゃあ、俺もハイエルフだしな」


 あり? こっちはハイなエルフじゃなくてハイエルフだった、でもミーナと違って濁ったような目をしてるな。


「そう、じゃあさっさと失せな。僕、君たちに興味無い」


「へへっ、俺はそういう訳にはいかないんだよなぁ、なぁ? 取引しよーぜ、その忌み子を言い値で買ってやる」


 ん? ハイエルフの男は戦いに挑んでこないのかな? せっかく構えてたのに。それにそんな取引受けるわけがないじゃないか。


「却下だ、仲間を売るわけないだろばーか、いいからはやく失せろよ」


「くそっ、わかったよ」


 そう言ってもう一人のエルフを担いでどこかに行く男。はっはっは! たぶん僕とのあまりに隔絶した戦闘力に恐れをなしたんだな!


 おおっと、釘さしとかなきゃ。


「おい、次に僕達の誰かに危害を加えたら、お前達の国滅ぼしに行くから、覚えとけよー」


 男は聞こえたのか聞こえなかったのか唾を吐き捨てて帰って行った。


 うーーーん、なんだか嫌な感じだなー。




 ■■




 僕は深呼吸をして、自分を落ち着かせて赤金色のオーラが落ち着いたのを確認してから華憐さん達のところにもどった。


「ミーナ大丈夫?」


「はい、ありがとうございます、レン様……」


 銀髪の子はやっぱりミーアだ。なんで銀髪なんだろ? なーんか忌み子とかさっきの男たち言ってたし、まぁ色々察せるけど気にしない方が良さそうだな。


「ああ、そうだ、これってミーアのでしょ? ………ほい、着いた」


 さっき男たちのところに落ちてたネックレスを首につけてやる、すると銀髪だった髪がたちまち金髪になっていく。


「おおー、これって魔道具ってやつ?」


「はい、髪の色を変える魔道具です、その……レン様ありがとうございました」


「いいよいいよ、大丈夫! 気にしないで! ミーアも大丈夫なら戻ろっかエルフのみんなが心配してる」


「そうですね戻りましょう……うっ」


 ミーナが立ち上がろうとしたが、お腹を抑えてうずくまった。


「あんまり、無理しないで、失礼するよ?」


「えっ……?」


 僕はミーナを横抱きすることにした、いわゆるお姫様抱っこ状態、華憐さんがなにかを訴えるような目で見てくるけどさすがにこれは無視!


「ほら、華憐さんも戻るよー」


 そう言って家の方向に歩き始めた。


 家に帰る道すがら華憐さんがさっきの僕の状態を教えてくれた。


 さっきの僕は、赤金色のオーラをだしていて金髪に赤眼だったらしい。


 うわ、日本じゃ絶対恥ずかしい容姿!


 華憐さんの『鑑定』でみたら『神気解放:才気煥発(さいきかんぱつ)』という状態だったらしい。


 実際どんな状態だったのかはわからないが意味から察するに優れた才能が外にもれ出すって感じだろう。それと、すごい身体能力強化ってところかな? それならあんなに速く走れたりしたのも納得がいく。


 ていうか、華憐さんの『鑑定』能力成長してない? いつのまにステータスなんて見れるようになってるの?!


「あの、レン様、カレン様、私は……」


「ん? ああ、いいよいいよ大丈夫! 今は話さなくても、何かワケありっていうのは最初に会った時からなんとなくわかってたし、もし話したくなったらその時に教えてくれたらいい、華憐さんもそれでいいでしょ?」


 少しは話を聞いておこうって思ったけど、さすがに髪色まで変えるようなことだとは思ってなかったからいいや。


「はい! 異論なしです!」


「は、はい、ありがとうございます……」


「そ、れ、よ、り! 蓮くん気づいてます? あなた上裸ですよ?」


「え? あ、ほんとだ」


 忘れてたよー、だからミーナがさっきからちょっと恥ずかしそうだったのか! そーいえば脱いで乾かしたまんまだったなー。


 こうしてミーアを連れ戻した僕たちは、他のエルフたちにも感謝されることになった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
https://ncode.syosetu.com/n3707gq/『父さんが再婚して連れてきたのは吸血鬼な義妹でした』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ