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233話 いざ行け! ブリリアント王国! (非処女ヒロイン)

 


 ◇◇レンside◇◇



「はい?」


 今、ルカは何て言った? 


 気のせいかなっておもった僕は聞き返してみて……。


「レンは非処女ヒロインってどう思う? 嫌悪する?」


 あ、やっぱり聞き違いとかじゃなかったや、はっきり非処女言っとる。


 で、そう言うルカはやっぱりどこか影が差してる感じがして、漆黒のドレスっていう服装も相まってかなんかどことなく闇墜ちしたような……。


「えっと……いきなりどうしたの? ルカ?」


「あのね、前にカレンが言ってたんだけど、この世には処女と非処女の二種類のヒロインがいるんだって」


 ……カレンかぁぁぁ……あの子何をルカに仕込んでんのさ!


「でさ、それを聞いて私は思ったんだけど、私っていわゆる非処女ヒロインじゃん? でも、世間一般的には処女の方が男の人はいいんでしょ?」


「う、うん? まぁ、そうなのかなぁ?」


「やっぱり……だからレンはこんなに私がアプローチしてるのに答えてくれないの? 私が非処女だから……」


 ん? んんっ⁉ え、なんか変なことになってない? ルカ、なんでこんなネガティブなの? ってか、なんかルカの後ろから黒いモヤモヤが出てるんですけど! え、やっぱり間に合わなかった⁉ 


「ち、違うから! 別にルカがそうだからってわけじゃなくて! 僕には好きな人がいてさ! カレンとかにもそう言ってるでしょ?」


「そうだけど……やっぱりレンも初物と使用済みだったら初物の方がいいでしょ? そっちの方がしまりが良いって言うし……」


「お、女の子が初物とか言っちゃいけません! あぁぁぁっ! 僕別にそんなこと気にしないから!」


 さっきとは打って変わって、絶望って感じはしないけどすごくずーんって感じに落ち込み始めたルカを慰めるため僕は必死にそんなことはどうでもいいことだって主張する。


「あ、ったた! ちなみに俺は断然処女ヒロイン派だぜ! あの突き破る感じがなんとも——ぐはぁっ⁉」


「あんたの性癖なんてどうでもいい、黙って」


 ずっと壁の置物になってたデモゴルゴンが何か言おうとした瞬間、ルカがぞっとするほど冷たい表情で黒い光線を放ってデモゴルゴンを黙らせた。


 ね、ねぇ……やっぱり堕天してないっすかルカさん。なんかめっちゃ怖いんですけど!


 デモゴルゴンを黙らせたルカは再び僕の方を向いてくる。


「気にしないってどういうこと? さっきまで私は散々デモゴルゴンに犯されて、こんな汚い身体だけど受け入れてくれるってこと?」


 そう言ってじっと見つめてくるルカの瞳には少し光がないように見えた。


 やっぱり、そうだよね。


 いくら乗り越えたって言っても、レイプされたらそう簡単に割り切れるものじゃないから、きっとルカは完璧に乗り越えた訳じゃなくて、たぶん無意識に僕から嫌悪されるのを恐れてるんだと思う。


 だから、僕が今やることは予定通りルカを支えて、今の絶望瀬戸際からちゃんと前を向けるようにしてあげること。


 僕もじっとルカの瞳を見つめ返して言う。


「そのままの意味だよ。僕は女の子をそういうのでは見ないから。それにルカの身体を汚いなんて思わないよ。スタイルもいいと思うし、男代表として十分魅力的だと思う。あと、ここは夢だから実際はまた犯されてたわけじゃないよ」


 なるべく優しい声音を意識して、ルカの頭を撫でながら包み込むように慰める。


 これで立ち直ってくれたらいいんだけど……。


「……レン」


 ルカは僕の掌を感じ入るように目を瞑ると。


「――じゃあさ、いいよね?」


 次に瞼を開いた時にはその瞳にはしっかりと光が戻ってきてた……ん、だけど……。


「あの〜ルカさん? この手は?」


 なぜかルカは僕が撫でてた方の腕をガシッと掴んできて。


「レンは何度私の身体が穢れたって受け入れてくれるから、なら我慢しなくてもいいと思って」


 そして、しなだれかかるように僕に倒れ込んできた。


「ちょっ、ルカ!?」


 突然の行動に思わず後ろに倒れそうになるけど。


 ――ぽふっ!


「えっ!? なんでここにベッドがあるの!?」


 僕の後ろには何故がさっきまでなかったはずの大きなベッドがあって、そこに倒れ込んだ。


「あのね、実は私さっきデモゴルゴンの媚薬くらって、なんでも無いように振舞ってたけど、本当は身体が熱くて、疼いてどうしようもなくて」


「ちょちょちょ! ちょっと待ってルカっ!」


「だめだよ、動かないで」


「うぇっ!?」


 ルカがそう言った瞬間、僕の身体は本当に動かなくなった。


「ここは私の夢の中だから、レンのことも自由自在なのだ」


 そのままベッドに倒れる僕にルカは乗っかってきて。


 普段は元気で厨二病な手のかかるおねーちゃんって感じのルカが、今は頬を上気させて瞳がトロンとしたどこか蠱惑的な天使……いや……。


「……ルカ? やっぱりこういうのようないと思うんだ! ほら、僕まだ想い人いるからさ」


 僕は身体は動かせなくて、唯一動かせる口で必死でルカを止めるように言うけれど、ルカは僕の上半身の服をゆっくりと脱がし始める。


「大丈夫、ここは感覚はあるけど私の夢の中だから。夢なら何してもいいはず、だって起きたらなかったことになってるし、だから裏切りとかにはならないよ?」


「いや……別に間違ってないけどさ、今これちゃんと意識あるわけだしね? たぶん起きた時に覚えてると思うんだよ、もしそうだったら良くないじゃん? もしも〜し、聞いてますか〜? 服を脱がすのはやめてくださいませんか〜? ……っ!?」


 そうして僕の上半身が裸になると、今度は自分の着ている漆黒のドレスに手をかけて……。


 なんの躊躇もなく脱いで、露になった雪のように白く美しいルカの裸体に思わず見とれてしまいそうになる。


「不安なの? 大丈夫だよ私がリードするし、だって私は非処女ヒロイン!」


 ……ま、ずい……まずいまずいまずい! ルカ本気だ、このままじゃほんとにあーなってこーなっちゃう!


「聞いて! お願いだから、話を聞いて! とりあえず服着て!」


「これは夢、だから安心してね? さぁ、レン! ずっとこの時を待ってた、一緒に堕ちよ♡」


 そうして、淫靡に微笑んで闇色の翼を広げるルカはまさしく堕天使。


 その瞬間、僕は悟った。


 確かにここは夢の中で、この夢を見てる支配者はルカで、つまり今のルカには逆らえない。


 ……だから、きっとこのままルカが目覚めるまでどこまでも堕とされるんだと。




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