229話 いざ行け! ブリリアント王国! (とてもじゃないけど時間が足りない)
新作始めました!
「異世界から帰ってきた先輩のカノジョになりました!」
内容は題名のまんま、出来立てほやほやカップルがイチャイチャする話です!
ぜひ読んでみてください!
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◇◇レンside◇◇
「そんなのもう反則だろう……」
「そんなこと言ったらあなたの神様の力も反則に近いの~。能力は身体強化と単純だけれど、だからこそ尖りすぎなの~。ネネの『覚醒:第四段階』の何倍、いや何十倍? そんなのもうノノじゃ知覚もできないの~、だから『予知夢』も効かないの~」
そうだけど……うっ、まずいな。前は瀕死状態でたった三十秒、今はあの時よりも幾分か体の損傷はしてないし、少しは成長したけれど五分くらいが限界だ。タイムリミットがもうすぐ近づいてくる、もう今にでも内側から力が暴れまわりそうだし。
そんな自分の内心は極力表情に出さないようにして、スッとエリュシオンを構える。たったそれだけしか動いてるようには見えないが、実際はその間に何撃も放ってる。
すかさずノノちゃんは距離を取ろうとしたようだけど、その時点でもう遅い。
「かはぁっ……!」
再びノノちゃんの身体から血が噴き出し、地面に倒れた。
「……ふぅ」
呼吸を整えて身体を落ち着かせる。動くたびに力があふれ出しそうになるのを抑えるのはきついな。
倒れたノノちゃんの身体を見てると、キラキラと光ったと思ったらみるみるうちに傷が無くなってまるで何も起きなかったようだ。
「やっぱり、変わらないか? いや……」
「…………はっ!?」
そしてバッと勢いよく起き上がると、焦点の定まってない目で僕を見て不敵に微笑む。
「ハッ……ハッ……どう? 何度やっても同じことなの~」
確かに身体は無傷だけれど息も荒いし顔色も悪く、様子がおかしいのは分かる。
「それはどうだろう? 明らかに無理してるよね?」
「ふぅ~……それはそうなの~。これは死ぬことはないけれど何度も死の追体験をしてるようなもの、何度も死にたい人なんていないの~。何度もやれば精神的に参っちゃうの~」
「なら……」
「それでも、ノノはまだ負けてないの~。この世界にいる限りノノは負けないだから教えない。それにあなたの方こそ無理してるの~。あなたのそれは確かに常軌を逸した力だけど、まだ十全に使いこなせてないとノノは見たの~」
鋭いな、表情には出ないようにしてたけどバレてるか。もう十分思い知ったけど、ノノちゃんはかなり強い。洞察力にも長けてるわけだ。
「つまり時間を稼げればノノの勝ち。ほら、負けてないの~」
「その判断はまだ軽率だよ」
あまり気は進まないけど、時間が無い。体感で残り約三分、全力でノノちゃんを殺して負けを認めさせる。
「先に謝っておくからね」
僕は三度再びエリュシオンをスッと構え、ノノちゃんを切りきざ……
「そう何度も何度も同じ手でやられたりしないの~」
……めなかった。
「なんだこいつ!?」
明らかにノノちゃんは反応できてなかったが、エリュシオンの刃は彼女の目の前で止められてた。彼女自身の槍や魔法ではなく、黒い靄がかかった人の形をした何者かによって。
というか、こいつが持ってる剣に見覚えがあるような……。
(………エリュだ)
エリュの思念を聞き改めて見てみると確かに、エリュシオンと全く同じ剣だった。それを持ってるのはなんていうか黒い靄がかかってて分かりにくいけどどことなく僕に似てるような?
「ーー『造形の夢』。さっきは間に合わなかったけれど、今回は間に合ったの~。あなたたちももう予想ついてると思うけれど、これはあなたたちなの~。ノノの見た夢を具現化する能力でさっきの悪夢を具現化させたの~、どう? もう負けを認めるといいの~」
あぁ、もう! どれだけ持ってるんだよ、厄介な能力!
「でも、さっきの僕の具現化だって言うなら、さっきよりも強く、早く動けば!」
僕は黒い靄のかかった自分に切りかかる。
まるで鏡合わせのように打ち込んでくる黒い靄の僕の斬撃を避けて、素早くカウンターを返すも、流石僕というかなんというか、それをうまくいなしてカウンター返しをしてきた。
「だぁ! 何で僕なのに僕の邪魔するんだよ!」
思わず漏れた愚痴と共に、放たれたカウンターを紙一重で躱して一歩。黒い靄の僕の頭を掴んで『スタンガン』をお見舞いする。
一瞬の膠着を見逃さずに、僕たちが早すぎて見えてないのか見当違いな方向を向いているノノちゃんの背に接近する。
「もらった!」
そうして、改めてとどめを刺そうとして……。
「わぁっと! そっちだったの~!」
二人目の靄のかかった自分に遮られていた。
「もう一人!?」
「それはだって、ノノは二回悪夢を見たんだから二回とも具現できるの~」
本当に厄介だな! だけど、同じだ。こいつがさっきの僕ならさっきよりも早く強くなるか、さっきとは違う方法で倒せばいい。
僕は踵で軽く地面を叩いて魔法陣を組む。
「『山岳の一角』!」
設置型魔法『山岳の一角』、僕の目の前にいる黒い靄の僕の足元から鋭利な山が飛び出して、くし刺しにする。
僕が使えるのは剣だけじゃない。<才能>の力で魔法の才能も開花させてる。神気解放時は剣の方が強力だからあまり使うことはできないけれど不意打ちなら別だ。
「もう三回目だし、そろそろ負けを認めてくれ」
そう言ったとたんに、僕の足元に魔法陣が浮かんで見覚えのある魔法が発動してくる。『高山の一角』だ。
瞬時に回避して、魔法が飛んできた方を見れば、息も絶え絶えのノノちゃんと三人目の黒い靄のかかった僕がいた。
「はぁ……はぁ……まだ、なの~。まだ、負けてないの~」
すると、三人目の自分が地面を踵で叩いて再び同じ魔法を使ってくる。どうやら、あの三人目は『高山の一角』しか使えないらしい。
魔法が発動する前にその場から避けると、またしても魔法陣が浮かんできて避ける。すると避けた先にも魔法陣があり、それを避けるとまた……。
一体何回使ってるんだと思って避けながら三人目を見ると、僕が踵で魔法を発動したからか向こうはそれでしか発動できないようで、それで連続発動してるとなんだか……。
「タップダンスしてるようにしか見えん!」
でも、常に動いてないといけなくなったし、近づきにくい!
魔法を避けながらどうやって接近しようか考えてると、背筋に冷たい感覚が走った。
「っと!」
慌てて振り返ればいつの間にかスタンから復帰したらしい一人目と、再具現された二人目が切りかかってくる。
(エリュ!)
(………ん!)
僕はそれを無視してノノちゃんとの距離を一気に詰める。
一人目と二人目はエリュが神気障壁を張ることで防いだ。
「次こそ!」
僕の速さを追いきれないノノちゃんは隙だらけ、これで負けを認めてくれることを願いながら横なぎにエリュシオンを振ろうとして、目の前に山が現れた。
三人目の黒い靄の僕の『高山の一角』だ。
これは流石に避けられない。そう察した僕はエリュシオンにさらに神気を流し、大きくして魔法ごとノノちゃんを真っ二つに……。
「残念しょ~、来るのが分かっていればノノのモノなの~」
魔法が消滅していく中、その先に見えたのは真っ二つになった三人目の黒い靄の僕と指をこっちに向けてるノノちゃんの姿で。
「『ふっとべ』なの~」
ノノちゃんがそうつぶやくだけで僕の身体は後方に吹き飛んで行った。
「くっそ!」
吹き飛ばされながらも受け身を取って着地する。
ダメージはない、悪夢の具現化した僕ならともかくノノちゃんには今の僕を傷つけることはできないからだ。けれど。
「ぐっ……がはぁっ!」
盛大な吐き気がこみあげてきて、口から大量の血を吐き出した。
……このままじゃ、とてもじゃないけど時間が足りない。
本日もアクセスありがとうございます!
くどいかもしれないですけど! 新作始めました!
「異世界から帰ってきた先輩のカノジョになりました!」
内容は題名のまんま、出来立てほやほやカップルがイチャイチャする話です!
読みやすいと思うのでぜひ読んでみてください!
http://ncode.syosetu.com/n0104gm/
これからもよろしくお願いします!
 




