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215話 いざ行け! ブリリアント王国! (空の道中)

 


 ◇◇レンside◇◇



 冒険者ギルドでランクスキップ制度を受けた日の次の日の真夜中、僕とクルアとルカの三人は他のみんなが泊っている宿を後にしてサンクランド帝国軍がいるところへ向かうことにした。


 夜中に出発する理由としては、僕とクルアとルカなら空を飛んでいけるから、真昼間とかに飛んで飛び出していったら目立つことこの上ないからね。ちなみにこの日のお昼は王都で情報収集に勤しんでいた。


「それじゃ、行ってくるね」←僕


「うん、何か想定外のことが起きたらすぐ連絡してね!」←カレン


「レン様、ご武運をお祈りいたします! 無事に帰ってきてください」←ミーナ


「こっちのことは任せてください」←ティエラ


「激励。しっかりレンを守って!」←アルカ


「……ん、もちろん」←エリュ


「オリビアも後のことは任せたわ」←クルア


「はい、行ってらっしゃいませ」←オリビア


「くくっ、この私が行くのだ。敵は我が影を踏むことすらなく息絶えるであろう!」←ルカ


「わぁ! さすが天子様であられるルカさんです! 頑張ってください!」←ミライア


 っと、それぞれ言葉を交わして僕たちは夜の空に飛びたった。


 みるみるうちに王都の街並みが遠くなっていってあっという間に見えなくなる。


 クルアは空飛び酔いを起こすから超スピードってわけではないけれど、しかし空と陸とではやっぱり移動速度が段違いだ。毎日欠かさず翼の練習をしていたおかけで慣れたのか、もう違和感なく自分の身体の一部のような感じで空も飛べるようになった。


 のんびりとこの世界の星や二つある月を見ながら飛んでると、ルカからチラチラと視線を感じた。


「ん? ルカ、どうかした?」


「うーん、やっぱりレンの翼は綺麗でいいな。私のは……白と紫の単色だし、それに紫の方はアレだし」


 まぁ、僕の『原初の翼:夜明け』はあまちゃんから特別にもらった例外中の例外の翼みたいなものだからな。アレって表現をぼかしたのはアレか、僕もあまり思い出したくない。胸糞悪いし、僕も鞭で嬲られておかしくなったから。でも、ルカにも僕の翼に負けないいいところがある。


「いやいや、ルカの翼はすっごい肌触りいいじゃん。フワフワで柔らかくて、正直かなり羨ましいよ?」


 そう、ルカの翼は手触りが最高なんだ、それはもう超高級毛布みたいに。


 すると僕たちの会話にクルアもちょっとむっとした表情で入ってきた。


「本当よ、私のに比べたら全然いいじゃない。私のは色もあんまり綺麗じゃないし、肌触りもザラザラよ? まぁ、実用性はピカイチみたいだけれど私はあんまり飛行は得意じゃないし。それで羨ましいなんて言ったらその羽根もぐわよ?」


 キランと月明かりに照らされてクルアの紅い瞳が光る。


「い、いやもぐのは勘弁して! でも、確かにこのフワフワは私の自慢、毎日お手入れは欠かさないようにしてるし」


 ほ~、お手入れねぇ。僕のもお手入れしたらフワフワになったり……しないな。『原初の翼』は魔力的、神気的なものだから触ったとしても感触は魔力を触ったような感じしかしないし。


 ちょっと残念に思ってると、ルカは突然に爆弾発言を投下した。


「そういえば、前はたまに私の翼を触りに来てたけど、最近は触りたそうにしてても見るだけで触ってこなくなったね、どうかしたの?」


 それを聞いて僕は顔が引きつっていくのを感じる。


 そんなこと、今ここで言ったら……。


「え、えーとそれは……」


「へぇ、レンはルカにそんなことしての」


「いや、あの……」


「レンの触り方すごいんだよ。最初はかなり恥ずかしかったけど、だんだんそんなことも考えられなくなって、もう声を抑えるのに必死で必死で……最近自分でやっても満足できなくて……」


「ル、ルカ。もうそれくらいに、ね? あの時はちょっと何も知らなくて……」


「ふーん。レン、その意味わかってるのかしら?」


 クルアの瞳がさらに僕を追い詰めるように爛々ち輝く。


 翼をお触りする意味、特に天使族は大きな意味を持つんだろう。翼はたくさんの神経が通っていて繊細で感度が高くいわゆる性感帯であることが多い。だから不用意に有翼種の翼にお触りすることはマナー違反で『イエス! フィザー、ノータッチ!』の精神でいないといけないんだけど、そんなことを知らないルカと出会ったころはわざわざ翼を触らせてもらおうとルカの部屋に行っていたりしたわけで……。


 つまり、それはルカの部屋でイケナイことをしていたのと同義のようなもので……しかもしかも、あの時の僕は『他の天使族たちの翼はどうなってるんだろ?』とかなんとか思って、マールちゃんだったりクロウ、コロネ、マリアの部屋にも行ったような……。


 ぎゃあああぁぁぁぁーーー! 知らなかったとはいえなんて恐ろしいことをしていたんだ僕は! あの時誰か教えてくれればよかったのに、無知って恐ろしい……。もちろん、あまちゃんに教えてもらってからはそんなこと一切してないから!


「も、もう知ってるから! もうやってないから! そ、それより王都で知りえた情報に関して考えよう? そうしよう!」


 じぃぃぃーーっと睨んでくるクルアの追及を逃れるべく僕は必勝話そらしを使った。


「ま、いいわ。この話はまた後日、血でも貰いながら話しましょう?」


 ペロリと艶やかに唇を舐めて、淫らな微笑みを浮かべるクルア。それを見た僕は背筋がぞわっとした。お、大人の魅力や……。


「それで、王都で集めた情報よね? 確か、王と宰相が呪いにかかっている、だったかしら」


「華憐が城の調査をしたときにそう聞こえたって言ってたな。実際に王様らしき人も宰相らしき人も目の下に深いクマを作ってゲッソリしてたって」


 情報収集や調査とか言ってるけど、大体は華憐の戦果だ。彼女の神気の能力はそういうのにたけてるからほとんどの情報は華憐が集めてきたもの。


 っと、言っても華憐自身もただ見て聞いただけのことを教えてくれただけでだけど。でも実際市井に流れてない情報も掴んでくれた。


 実際、王と宰相が呪いにかかっているっていうのは噂程度に王都民たちには流れてたけど、その詳細は分からなかった。それを華憐は『飛耳長目』と『鑑定』の合わせ技で持ち帰ってきたわけだ。直接王様と宰相を鑑定することで、あの能力たち便利すぎる。


「三日目に悪夢を見て、それに食われて死ぬ呪いよね。それで、その呪いをかけられて今日で三日らしいけど王と宰相は寝ないでその呪いを回避している」


「なんか日本にそんな都市伝説があったな、猿夢っていう三回目の悪夢でひき肉にされるやつ。というか、ルカなら王様と宰相の呪いを解呪できるんじゃない?」


「うーむ、どうだろう? 一応解呪の魔法もつかえるけれど、勇者っていうのは規格外が多いから効かないかもしれない。それに解呪がトリガーになる可能性もある。結局のところ、呪いを消すにはそれをかけた人物を倒すのが一番いいよ」


 ふーん、僕にはこの世界の呪いがどんなもんなのか良くわからないし今はルカが言ったように『夢』の勇者さんを倒すのが一番か。まぁ、それはいいとしてだ、あの国にはもっと深刻な問題があったのが発覚した。


「サンクランド帝国とラテスト王国とは仲良くできそうにないからしょうがなかったとしても、本当にブリリアント王国を選んでよかったのだろうか……」


「そうね、まさか王位継承権を持つ王族が一人もいなくて、王は子供ができない体質だなんて」


「国としては断崖絶壁すぎる事態だよ。養子をとるにしてもいろいろと慎重にならないといけないのに、サンクランド帝国からの侵略&国のツートップが呪いにかかっているっていう」


 やばかった。ブリリアント王国、国としてかなりヤバい窮地に立たされていたわけだ。もし呪いを解呪できて王様が死ななかったとしても、今後エリュシオンを認めてもらい国交を結ぼうとしてるこの国は大丈夫なのだろうか……。


「「「はぁ……」」」


 先行きの見えない不安にため息がでる僕たち三人だった。




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