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210話 いざ行け! ブリリアント王国! (討伐試験)

 


 ◇◇レンside◇◇



 魔法陣に集まった光は徐々にヒト型のような形になっていく。それも、一つ二つじゃなくて二十人以上の多さだ。


「へぇ、これは召喚魔法ね。この部屋自体が一つの魔道具みたいなものよ。冒険者ギルドってこんなすごいもを持ってたのね」


 クルアは魔法陣やこの部屋を眺めながら感心したようにそう言う。


 召喚魔法か、それは知らなかったなぁ。魔法陣の写メでも取ってエリュシオンに帰ったら模倣してみよう。


 そう思ってパシャリと魔法陣にシャッターを切った瞬間、どうやら召喚が終わったようで、


「「「「グギャギャギャギャ!!」」」」


 そんな醜い声が部屋中にこだました。


「ねぇ、蓮くん。アレってゴブリンだよね? うわ、すごく醜い……リアルだねぇ」


「確かに、世の中色々なゴブリンがいるけど、これは醜いゴブリンだ。あと、数多い」


 光が集まって召喚されたのは、異世界のお馴染みポピュラーな魔物のゴブリンだ。緑色の肌に、じゃがいものような歪な顔、薄汚い腰巾着のみの服装とおおよそ醜いゴブリンのテンプレートみたいなやつら。


「レン、これはただのゴブリンじゃないよ。この数にあの装備だからゴブリン軍団(レギオン)ってやつ。っと、『光輝の絶壁(シャイニング・クリフ)』!」


 魔物に詳しいのかな? 珍しくルカが解説をしてくれると、途中でゴブリンたちの方から矢や炎の玉などの魔法が飛んできて、ルカがそのまま光の壁で防いだ。


 なるほど、ゴブリンたちは正面に盾を持った奴、その後ろに槍を持った奴と剣を持った奴、最後尾に杖と弓矢を持った奴って感じで統率が取れていて軍隊と呼んで差支えなっさそうだ。


「それにしても、全く脅威に感じないんだけど。見てると嫌悪感しか感じないな。ゴブリンってもっと愛らしい奴だと思ってたのに」


「それはそうですよ、エリュシオンがある森はかなりレベルが高いですから、普段からそこに住んでるレン様や私たちには足元にも及びません!」


 うーん、ミーナの言う通りそれもそうか。僕はあの山に囲まれた森の中以外の魔物に会うのは初めてだし、ちょっと試験ってことで張り切りすぎたかな。そもそも、まだ試験の一つ目だからそんな強い魔物なんて来ないか。


「あの~、そろそろ防御魔法切れちゃうんだけど」


 っと、ルカが早く倒してくれませんかね? って感じで言ってきた。ルカはゴブリンが嫌いなのか光の壁を大きく広げて、ゴブリンたちがこっちに来ないようにしてる。ゴブリンたちはルカの光の壁に攻撃してるけど全く手ごたえは無さそうだ。とはいえ、ルカの魔力も無尽蔵じゃないしさっさと倒しちゃおう。


「どのように倒しますか? 竜人の私ならゴブリンの攻撃なんて痛くもかゆくもないですし、パンチで一発です。やってきましょうか?」


「ティエラ、ゴブリンは触るもんじゃないわ、イボが移るわよ。それに数が多いし、こういう時こそ魔法を使うのよ、だから私がやるわ」


 そう言って、クルアはルカの隣に立つと魔力を練り始めた。というか、ゴブリン触ったらあのイボイボが移るのか、それは触りたくないし嫌いになるわ。この世界のゴブリンはまじで世界の嫌われ者なんだな。


「『ボルケーノ』! …………よし、処理完了よ」


 クルアが魔法名を言うと、光の壁の向こう側が地面から噴き出した豪炎により焼き尽くされ、ゴブリンたちは全員もれなく灰になって消え去った。きっとゴブリンたちの心境は燃焼処理されるゴミだったろう。


 そんな感じであっけなく終わらせると、ぱちぱちぱちと拍手が響いた、ガウルさんだ。


「いやはや、あれほどの魔法を無詠唱で発動、恐れ入った。ゴブリン軍団(レギンス)などに後れを取るとは思ってなかったがあっけなさすぎたな、次はもう少し骨のあるやつにしよう」


 ガウルさんはすごく感心したようにそう言うと、再び召喚魔法を使用したようで地面の魔法陣が輝き、光が集まり始める。


 そうして、出てきたのは茶色い羽根を持った見た目は鷹を巨大化したような魔物。でも、鋼コンドルのストラトスさんや燃え鷹のカズナリ、幻影クジャクのマホロたちに比べれば、威圧感も存在感も足りないからあの三人レベルじゃないみたい。いや、あの人たちは特別だから比べちゃだめか。


「あれは、デザートイーグルだったような? 目が良くて飛ぶのが早い砂漠の方にいる群れを作る魔物だよ」


 っと、なぜか魔物に詳しいルカが教えてくれる。


「なぁ、なんでルカはあんなに魔物に詳しんだ?」


「天使族はよくヒトの手に負えなくなった魔物を討伐しに行くことがあるから、それで学んだんじゃないかしら?」


 ルカと幼馴染のクルアに聞くとそう教えてくれた。なるほど、天使族はそんなこともするんだな。


 そんな風に感心していると、突然僕の足元の地面が弾けた。そしてそれは僕の足元だけではなく、周りも次々と弾けていく。


「わわっ!? 何かが高速で飛んできてますよ! 羽根ですかね?」


「『魔力障壁(マジックバリア)』っ!」


 咄嗟にクルアが防御魔法を張り、デザートイーグルからの攻撃を防ぐ。ミーナはさすがの動体視力で飛んできたものが見えたみたいだ、僕じゃ神気解放しないと見えない。


 それから、しばらくたってデザートイーグルからの波状攻撃は止んだけれど、デザートイーグルたちは空を飛び続けて降りてくる気配がない。


「さっきはクルアさんとルカさんに頼りましたし、ここは私に任せてください! 私の弓の技術の出番です!」


 ミーナはそう言うと、背中に抱えてた弓を持ち矢をつがえる。


 僕たちの中で一番弱く戦う力がなかったミーナは僕たちが出かけるときに留守番になることが多く、それが悔しかったのか、僕と一緒に剣の鍛錬をしたり、体術やナイフの練習をしていた。そのなかでも、やはりエルフだからか弓の扱いはぴか一で、さらに歌唱魔法が使えるようにもなって今ではもう十分自分の力だけで戦えるようになっていた。


「~~~♪」


 ミーナはハミングで歌唱魔法を使い、歌を矢に乗せる。そうすると付与魔法が付いたようになる。


 そして、デザートイーグルに向けて矢を放った。狙いは十分、矢はそのままデザートイーグルに刺さろうと迫ったその時、


 パァン!         ドサっ!


 乾いた音がして、ミーナが射た矢が刺さる前にデザートイーグルは地面に落ちた。


「え? あ、カレン様! 今打ちましたね! 私が狙った獲物を!」


「へへ~ん! さっき私も活躍できなかったんだもん、こういうのは早い者勝ちだよぉだ!」


「むむむっ! いいでしょう! ならどっちが多く仕留められるか勝負です!」


「望むところだよ!」


 それから、デザートイーグル討伐はミーナと華憐の二人の独擅場だった。


 僕たちは何もしなくても次々と倒されていくデザートイーグルたち。


 銃を使うカ華憐に対して弓を使うミーナは不利に見えるかもしれないけど、実はそうでもない。確かに華憐の二丁拳銃の連射速度には負けるけれど、ミーナはいつの間にそんなに腕を上げたのか一度に五本の矢を放ったり、その矢に歌を乗せて追尾効果で確実に仕留めたり貫通力をあげて射線上にいたやつらをまとめて倒したりいい勝負をしている。


「これは私たちの助力はいらなそうね。まぁ、空を飛ぶのは苦手だから助かるけれど」


「私は空中戦したかったな」


「私だってドラゴンになれば……」


「「いやいやいや! 絶対やらないで!」」


「あぅ……」


 ティアラも活躍したいのかな? でもその気持ち良くわかる。ここにきてまだ何もしてないの僕とティエラだけだし。なんかみんなの戦いを見てるとうずうずして僕も戦いたくなるし。


 次の試練の魔物は僕に相性がいい奴がいいなぁ!




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