207話 いざ行け! ブリリアント王国! (王都と呪い)
◇◇カレンside◇◇
「ここまでの道のりが無駄死にでなかったことの証明の為に……!」←カレン(* • ̀ω•´)キリッ
「再びエリュシオンの理想を掲げる為に……!」←レン( ー`дー´)キリッ
「国の建国、成就の為に……!」←ミーナ(ง •̀_•́)ง
「「「王都よ! 私は帰ってきた!」」」( ¯﹀¯ )どや( ¯﹀¯ )どや( ¯﹀¯ )どや
「…………あなたたち、ここにくるの初めてでしょうに」
っと、王都の門をくぐって腕を掲げてる私たちにクルアからの的確なツッコミが入った。でもなぁ、クルアのツッコミはキレがないんだよね。
「……何よその目は」
「あはは、楽しそうですね」
「ミーナも向こうに行ったのか」
「はい! ルカさん、なかなか楽しいですよ! 今度はルカさんも一緒にやりましょう!」
うんうん、ミーナがいい感じに私色に染まってきてくれてノリが良くなって嬉しいよ。
まぁ、そんなわけで気を取り直して。私たちはブリリアント王国の王都にやってきた。
いや~、すごいよ! 王都だよ! アムニスの都市でもすごいと思ったけど王都はもっとすごかった! 城壁から面構えが違ったね!
人の数も、建物の数も段違いだよ。それから何といっても、ここからでも遠目でも見えるお城! やっぱり否が応でもテンションが上がっちゃう! まぁ、さっき神気使ってここから間近で見た感じでは我らがエリュシオン城の方が上だけどね! どやぁ?
っとっとと、またこうボルテージ上げてっちゃって向う見ずになるとクルアにどやされちゃうな、少し落ち着こう。すーはーすーはー。
「それじゃあ、オリアさんたちが宿はとりに行ってくれたし、なんだか目立ってきたし、そろそろ行こうか……王都観光へ!」
「お~!」
ぺしんっ! ぺしんっ!
「「うごっ!?」」
「ここに来たのは王都観光じゃないでしょう? もうさっそく冒険者ギルドに行くわよ!」
「「はい、すいませんでした」」
蓮くんの掛け声に意気揚々と腕を振り上げて歩き出した私たちは後ろからクルアにどつかれた。そうだった、まずは冒険者ギルドからだったね。それから今のツッコミはさっきよりもキレがあったね。
「それじゃあ、案内頼めるかしら? ミライア?」
私たちはもともとこの王都に住んでたミライアさんに今回の王都の道案内を頼んでる。
「わぁ、帰ってきた……はっ!? すみません! さっそく案内しますね!」
声をかけられたミライアさんはちょっと感慨深そうにしていた。そりゃあ、あのデモゴルゴンに誘拐されてからやっと帰ってきたんだもね、ミライアさん達が育った孤児院にも後で行ってもらおう。
「はぁ、全く参っちまうよな。毎回毎回検問のたびに事情聴取されるってのは」
「あ、ジャックさん。早くしないと行っちゃいますよ?」
それから、王都の検問のところでその悪人面のせいで騎士さんに事務所に連れてかれてたジャックさんも合流して私たちは移動を開始した。
ジャックさん、根は善人なんだけどなぁ……。
■■
◇◇『眠』と『夢』◇◇
レンたちが王都に到着する前日の真夜中。ブリリアント王国の王都の王城に近づく二つの小柄な影があった。
「くあぁ……眠いの……」
「ネネ、寝ちゃダメなの~。ノノだって眠いの、我慢してるの」
それは、宙に浮く枕を持って必死に眠気を我慢しているサンクランド帝国の勇者、『眠』の勇者ネネと『夢』の勇者ノノだ。
「全く、今何時だと思ってるの。ネネたちはもうとっくに寝ている時間なの」
「おおいに同感なの~。でも、耳元であんなにゴロゴロされたら起きるしかなかったの~」
二人はぶつぶつと自分たちの上司に文句を言いながら、ふわふわと王城に近づいてく。
「それで、私たちは何をすればいいの?」
「ネネ、聞いてなかったの~?」
「実は寝起きだったせいで、命令が全く頭に入ってこなかったの」
「あ、それはノノも一緒なの~」
「「…………」」
ノノがそう言った瞬間、二人はぴったと移動をやめて事態の深刻さを思いしる。
「ど、どうするの? 今から聞きに行くのじゃもう……」
時刻はもう丑三つ時、二人はこっくりこっくりと居眠りしながら軍を置いているところから飛んで来たため、今から帰ってもう一度王都へ来ればすっかり夜が明けてしまう。
二人は必死に命令された時のことを思いだそうとする。
「えっとえっと、確か言われたことは……今夜、王都」
「あとは、バレるな、王様? って、言われた気がするの~」
「ということは王様に何かすればいいの? 暗殺なの?」
「う~ん? でも、暗殺なんてしたらバレちゃうの~。ノノ、知ってるの。ここの筆頭魔法師はなかなかやっかいなの~」
「それじゃあ、いつもの呪いなの?」
「たぶんそうなの~」
「それじゃあ、さっそくかけるの。ネネは早く帰って寝たいの」
そうして、マイペースな二人は高度を上昇させて、王城の城壁を無視して王城の敷地内に踏み入る。
「王様がどこにいるかわかるの?」
「ノノがそんなの知ってるわけないの~。しらみつぶしに部屋を探していくしかないと思うの~」
「あっ、でも大体予想はつくの。王様っていうのは大体自己顕示欲が高いの、だから大抵高いところにいると思うの」
「それは一理あるの~」
相談し合った二人はこれから呪いをかけに行く雰囲気ではなく、ひたすらマイペースにお城の塔の窓をのぞき込む。
しかし、ネネの予想に反して塔のてっぺんは倉庫だったりして、人がいる気配はしない。
「むぅ、ネネ違うんじゃないの~?」
「そ、そんなことないと思うの。ほら、最後の一つはなんか明かりが灯ってるの。きっとあれは王様に違いないの」
ネネが向いてる方は確かに光が窓から漏れてて中に人がいることを示してた。二人は「行ってみるの~」っと何の緊張感もなく近づいて行った。
中を覗いてみると、眼鏡をかけたいかにも自己顕示欲が強うそうな眼鏡をかけた男性が机でなにか仕事をしていた。
「ふふっ、この案を私が国王に提案し、認めてくだされば、私の出世も間違いない! しかし、今は先にサンクランド帝国を……ん? なんだ? って、何者っ!?」
男性は窓の外からネネとノノの姿を見て甲高い驚愕の声を発する。
「あ~、見つかっちゃったの」
「そんなことより、あなたは王様なの?」
二人は見つかったことを気にすることもなく、開いていた窓からふわりと部屋の中に入る。
「だ、誰……だ……zzzZ」
声を上げようとした男は、しかしそれはかなわずネネが人差し指で額に触れた瞬間に眠り落ちてしまった。
「ナイスファインプレーなの~。叫ばれたら面倒なことになってたの~」
「いいな、ネネも早く寝たいの。ところで、この人は本当に王様なの? ちょっと無防備すぎるような気がするの」
ネネは、この部屋に入った瞬間、とくに侵入者防止の警報などが感じられなかったことからこの男が本当に王様かどうか怪しいと思った。
「確かに、ならちょっと覗いてみるの~。夢の中なら本当の王様の居場所とかの分かるかもしれないの~」
ノノのそう言うと、ネネが眠らせた時の様に男の額に人差し指を当てて目をつむる。
なぜこんなことをしてるのかというと、『夢』の勇者のノノは通常時、眠ってる対象に触れることで相手に夢に入り込むことができる。そこで、色々と聞こうという魂胆だ。そして『眠』の勇者のネネは通常時、対象に触れることで瞬時に相手を眠らせることができるのだ。
「ん~?」
しばらくすると、ノノが難しい顔をしながら目を開けた。
「どうしたの? 何が見えたの?」
「んとね、まずはこの人は王様じゃなかったの~。それでも、王様に近しい身分の人みたいで王様の居場所は分かったの~」
「なら、どうしたの?」
「いや、本当はばれないように王様に呪いかけるはずだったの~。だけど、この人にはバレちゃったの~」
「なら、この人にも呪いをかければいいの。そしたら二人とも三日後には死ぬの。王様が死ぬんだから一人も二人も関係ないの」
「それもそうなの~、なら……『夢ノ幻槍』」
ノノが静かに呟くと、ふわふわと浮いていた枕が姿を変えて大きな槍になる。
ノノはその槍を持つことなく空中で操ると、男の額に刺した。
「『三度目の悪夢』なの~」
しかし、男からは血が噴き出すことも、傷が残ることもなかった。
ノノが使った『三度目の悪夢』は、それがかけられた対象は今日から三日、悪夢を見ることになり、悪夢を見るたびに衰弱していき、三日目の悪夢を見ると問答無用でそのまま即死という『夢』の勇者が使える即死の呪い。
「それじゃあ、同じことをこの国の王様にもやるの~」
「お~なの!」
意気込んだ二人は呪いをかけた男を放置し、結界が貼ってあった王様の寝室をバレることなく侵入してなんなく同じ呪いをかけ、サンクランド帝国軍まで戻り翌日の夕方まで惰眠を貪るのだった。
かくして、ブリリアント王国国王アレクと、宰相グリニッジの眠ることができない日々が幕を開けた。
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