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202話 いざ行け! ブリリアント王国! (ランクスキップ制度)

 



 ◇◇レンside◇◇



 キャンベルさんの言葉を聞いた瞬間、僕を含めたみんなの動きが一瞬停止した気がした。いや、たぶん実際止まってたと思う。


「護衛の依頼は失敗したらギルドの威信に関わる可能性があるし、傭兵の依頼は命の危険が高いので上位ランクの冒険者のパーティーの場合以外原則Cランク以下の冒険者の受付は認められてないのよ。なに? レンくんたちは傭兵の依頼を受けようと思ってたの?」


「え、えーと。あはは」


 えぇぇぇーーーー! どうしよう!? 傭兵の依頼を受けられなかったら”冒険者”っていう肩書の大義名分で戦争に参加できないよ。


「そういえば、王都の方からサンクランド帝国との戦争の傭兵の依頼が来てたわね。もしかしてそれに参加する気なの? やめておきなさい、相手は複数人の勇者がいるって言われてるサンクランド帝国よ。そんなのに参加しても命を散らすだけ」


 そうは言われてもブリリアント王国に亡くなられると今度はエリュシオンが狙われる可能性が大きくなるし。まぁ、別に冒険者としてじゃなくてもエリュシオンとして参加できないこともないけど、そうすると表向きにサンクランド帝国と敵対することになちゃうしなぁ、どうしたもんか。


「……スキップ制度」


 すると、隣で僕と同じように悩んでたクルアがなにかを思い出したようにつぶやいた。


「キャンベルさん、確か最初から実力のある有望な新人冒険者が下級のランクで依頼の制限で受けられないで貴重な数年間を棒に振らせないためにスキップ制度があるわよね? それはできないのかしら?」


「えぇ、確かにその制度はあるけれど」


 詳しく話を聞いてみると、さっきクルアが言った通り実力があるのにいつまでもFランクやEランクで簡単な依頼ばかりやらせるなんてもったいない! 実力があるなら最初からそれに見合った依頼を受けてもらった方が遥かに利益になる! ってことでできたのがこのランクスキップ制度らしい。試験を受けその実力に見合うランクまでスキップしてもらうことができる。


 ただ、流石にBランク以上はだめなようで、スキップできるのは一人前といわれるCランクまでみたいだけど。それでも、傭兵の依頼はCランクからみたいだし、今の僕たちにはそれで十分だ。まぁ、Sランクになってみたいって気持ちもあるけれど。


「ただ、その試験は王都でしか受けられないの」


「それじゃあ、王都で冒険者登録すればいいわけだ!」


 どうせ、王都にはセラリアたちのためや、エリュシオンの主権を認めてもらうために行く予定だったんだから一つ予定が増えただけだ。


 そう思ったけど、それだけじゃ足りないようで。


「もう一つ条件が合って、Bランクの冒険者の推薦が必要なの。そういうのがないと自分の実力を過信したバカたちが後を絶たないのよ」


「ま、まじか……」


 いや、言ってることはわかるけどさぁ……それは今の僕たちにはちょっと厳しい条件だよ。まだ冒険者にもなってないのに一流冒険者のBランクの知り合いなんているわけないし。たぶんみんなもそんなコネはないだろうし。地道にランクを上げるっていうのもあるけど、そんな時間があるかもわからないし。


「しょうがない、なら今回は普通に冒険者登録してまた別の方法を考えよっか」


 そうみんなに行った時、キャンベルさんが大きなため息をついた。


「はぁ……まぁ、あなたたちにもきっと大事な事情があるのよねぇ……仕方ないわね」


 と、困ってる僕らを見かねたのかそんなことを言うと、


「ジャック! いつまでもそんなことしてないでちょっとこっち来なさい!」


 大声で未だに華憐と新人冒険者の洗礼委員にあほなことをしていた強面のにーちゃんことジャックさんを呼んだ。


「『ははっ! なんだよそのへっぴり腰はよぉ? そんなんで冒険者になれると思って……』なんだよ! 今いいところなんだから邪魔すんじゃ、ひぃっ!? わかった、今行くからそんなに睨むな!」


 一瞬不満そうにしていたけど、キャンベルさんが睨んだらすぐに従順になった。僕たちもいい加減華憐を回収しておこう。いつまでもあほを振りまいてるのは恥ずかしい。


「華憐もそろそろ話し合いに参加しろーー!」


「は~い!」


 そういうことで、二人が僕たちのところへとやってきた。


「それで、次は俺に何をさせようってんだ? もう無理難題を聞くのはごめんだぞ!」


「なによ、心外ね。さっきまで楽しそうにしてたじゃない。それに、無理難題で見ないわよ。あんた、ちょっとこの子たちと王都まで行ってランクスキップ制度の推薦者になってきなさい」


「あん? なんだ、そんなことか。それならかまわんぞ」


 ん? なんかキャンベルさんはジャックさんにちょっとお使いに行ってきなさいって感じにさらっと口にしたけど今すごいこと言ってなかったか?


「ちょっと待って、推薦者ってことはこの人はBランクなのかしら?」


 僕が思ったことをクルアも思ったのか代わりに聞いて強面のにーちゃんに怪訝そうな視線を向ける。


「そうよ? ジャック、プレート見せてあげなさい」


「ほれ」


 と、強面のにーちゃんが首からネックレスみたいになってるのを僕たちに見せてきた。みんなでそれをのぞき込む。


 強面のにーちゃんが見せてくれたのは名前が掘られたプレートでランクがBであることが示されてる。


 ほぅ、これが冒険者プレートか。やっぱりなんか特殊な魔法みたいのがかかってたりするのかな? プレートの説明はまだされてないからわからんな。


「ほんとにBランクなのね」


「ジャックさん、冒険者としてはできる人だったんだ……」


「人は見かけによらないってこういうことを言うのですね!」


「お前ら、まじで言葉が辛辣だな……まぁ、これで信じてもらえたろ」


 ジャックさんがクルアと華憐とミーナのコメントに苦笑し返す。


 でもまぁ、確かに。ギルドに入ってきて初対面した時とかではとてもBランクには見えなかったかも。


「ということで、あなたたちの推薦者はジャックになってもらうわ。これで王都の冒険者ギルドに行けば一応スキップ制度を受けることはできるわね。ただ、あなたたち色々問題おこしそうなのよねぇ……」


 おぉ! 流石できる受付令嬢キャンベルさん。今日知り合ったばっかりなのに僕たちの性質を良くわかってらっしゃる。華憐とかいう問題児がいるのでね。え? 僕も? またまた~!


「そうね、ちょっと待ってなさい。私が一筆書いてあげるわ」


 キャンベルさんはそう言うと受付の向こう側に消えていった。


「そういえば、クルアはスキップ制度とか冒険者ギルドについて結構詳しかったけど、どうして?」


 この際に少し疑問に思ったことを聞くことにした。


「あら? 言ってなかったかしら? 私、前に冒険者になってたのよ。もう結構前になるけど、ずっと依頼も何もしなかったから冒険者登録ははく奪されてるだろうけれどね」


 なるほど、流石長生き! 言ったら怒られるけど!


 冒険者は十年以上依頼を受けなかったりと何も音沙汰がないと死亡したと見なされて冒険者登録がはく奪され登録情報は抹消されるそうだ、もしもう一度冒険者をやる時に再登録が必要になる。引退をするときはそのことをギルドに報告すれば登録情報自体は残るため再復帰することがあればかつてのランクから始めることができる。


 クルアは冒険者登録をしたのはいいものを、それは単にその当時たまたま必要になるから冒険者になっただけで必要なくなったら冒険者としての活躍は何もしてこなかったそうだ。


「ま、こんなことになるならランクもBランクまで上げておいて定期的に魔物の素材を売りに来ていてもよかったわね」


 そんな話をしつつ、強面のにーちゃんことジャックさんと自己紹介をし合ってキャンベルさんを待っていた。




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