表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/236

194話 いざ行け! ブリリアント王国! (チラ見が止まらない、チラっ。)

 


 ◇◇カレンside◇◇



「あれ? ミーナはどうしたの?」


「ふーふー」と、荒い息を吐いているティエちゃんを横目にさっきまで倒れてたミーナの姿が見えないのでクルアに尋ねてみると。


「ミーナはもう助からないわ、諦めましょう」


 そんな無慈悲な宣告がされた。


「えっ、ミーナさんもうダメなんですか?」


「えぇ、あの子は完全に魅せられちゃってるわ。だから馬車に放置よ。あの子がいても戦力にならなそうだし」


「あ、死んやわけじゃなかったんやなあ。よかった……」


 ミーナ、今回のことでかなり残念な子認定されてる気がする。そしてクルアの言ってることもあながち間違いなさそう。ミーナが正気に戻ってもまたすぐにぶっ倒れる未来しか見えない。


「それよりも早くレンを何とかしましょう。このままだとここら一帯が鼻血の雨になるわよ」


 クルアの言う通りだ。でも、あの蓮くんをどうしたらいいの? 私たちでさえ直視できないというのに。というかそもそもどうしたらいいのかな? 蓮くんに着替えて髪も直していつも通りにしてしまう? いや、でもなんかそれはもったいない気がする。


「そもそもなぜレンがあんなにもかっこよく見えるだ。いや、その理由は分かってるけど予想以上というか。それに、レンに惚れている私たちならともかく何でもない女性たちまであんな風に」


 ルカの疑問に私は少し考えた後答えた。


「ギャップ萌え……」


 普段の蓮くんは周りのみんながかしこまらないようになるべく気さくに、その私にはない圧倒的コミニケーション能力を持ってフレンドリーに声掛けしてる。みんなにもその姿勢は好印象でまるで身分なんて無いように友達的感覚なんだとおもう。


 それが今日いきなり普段着ている緩い感じではなく、きっちりと着こなした服装に髪型でその格差に萌えるのだ。かくゆう私たちもまさかきめた髪型で来るなんて思ってもなく、いや普段から蓮くんに接してきたからこそいつもと違う蓮くんにドキリとして機能不全に陥ってしまったのだ。そして女の子はみんな王子様が大好き! 蓮くんは王様だけど。


「なるほど、確かにその通りかもしれないわね」


「でも、それじゃあそれが分かったところでどうしようもなくないか?」


 そうなんだよね。ただ、根本的な問題を直せば大丈夫になると思うけどそれは……。


「……蓮くんに普段通りの髪型と服装にしてもらうとか」


「「「それは却下!」」」


 ですよね~。そんな強い口調で言わなくても私もそう思ってたので言ってみただけです。はい。


「それなら、私たちが慣れるのはどうでしょう」


 次に意見を出したのはティエちゃんだ。


「慣れる?」


「はい。私たちがレンさんに慣れて直視できるようになれば大丈夫です」


「でも、また機能不全にならないかしら?」


「そこでお互いに監視をしあいましょう。もし、堕ちそうになったらその人が目を覚まさせれば」


「なるほど、取り合えずやってみましょう」


 ということでティエちゃん考案の蓮くん見慣れよう作戦をすることになった。


 私はティエちゃんと組んでクルアとルカが組むことになった。


「じゃあ、私から見てみるね。堕ちそうになったらちゃんと起こしてね」


「はい。もし、普通に起こしても起きなかったらカレンさんの胸を揉みしだきますね」


 あっ、ティエちゃん。もしかしてさっきの根に持ってたりする? というか、ティエちゃんに胸を触られるのはちょっと……「あ、私の方がおっきい。勝った!」って思われるのは屈辱……ティエちゃんはそんなこと思わないにしてもなんだか負けた気がして……いや、事実負けてるけど。なんだか考えてて悲しくなってきた。とにかく、ティエちゃんに揉まれるのは嫌だからちゃんと理性を、強く意識を持っていざ!


 私はだらしない顔をしないように引き締めて、ティエちゃんの背中に隠れてる蓮くんをゆっくりと見た。そう、見てしまった。


「はぅ……//」


 それはちょうど蓮くんが振り向いたところで、自分でも分かるくらい心臓がはねた。頭からつま先まで一瞬で電流が流れたような気がして、いつの間にか目が離せなくなって、もう何も考えられなくなりすっと意識が飛ぶような感覚。


 あぁ、蓮くんかっこいいな。もっと見ていたい。こっち向いてくれないかな。なんであんなに輝いて見えるんだろう。おぉ神よ、蓮くんを作ってくれてありがとう。蓮くん、生まれてきてくれてありがとう。それからそれから……。


「カレンさん! カレンさん!」


「……」


「カレンさん! えいっ!」


「きゃんっ//」


 はっ!? 今、私はなにを……。というか、胸が触られて……。


「あれ? カレンさん、意外と……。ばってん、うちん方が……」


「んっ……ティエ、ちゃん。私、起きたから、あんっ……」


「う~ん、やっぱり……。あっ、カレンさん起きたんですね。それじゃあ、次は私の番です」


 っと、どこか得意げな顔でティエちゃんは私との位置を交代した。


 この子、絶対い今勝ったって顔してる。具体的に何が、とは言わないけど。


 くっ、でも悔しいかな。それは事実でそんな表情もどこか儚さが感じられて可愛らしく憎めない。


「ティエちゃん、油断したらダメだよ。危ないと思ったらすぐに目をそらして」


「はい、心得てます」


 そして、ティエちゃんはすーっと深呼吸をした後、


「では、ティエラいきまーーーす」


 そんな掛け声とともに蓮くんの方に視線を向けた。


 うん、ティエちゃんもだんだんとこっち側の世界に入り込んできてるみたいで嬉しいよ。私ももっともっと布教していこう、アニメを!


「はぅ……//」


「あ、これダメなやつだ」


 ティエちゃんはもうすでに目がハートになってた。


 蓮くん、まさかこんなにも魔性の男だったなんて……。


 それからまたティエちゃんの胸を揉みしだいて正気に戻して、何回か繰り返し蓮くんになれる訓練を続けた。


 けれど一向に慣れるなんてことは無く、何度も何度も「はぅ……//」と、言わされ、隣ではクルアとルカが理性が決壊してのかどっちが長く蓮くんを見たってことで言い合いを初めて、私はこの作戦の失敗を悟った。



 ■■



「はぁ……はぁ……はぁ……この作戦も失敗だよね。チラっ」


「ふぅ、そうね。でも、成果がなかったわけじゃないわ。チラっ」


「はい、チラ見ならなんとか見れるようになりました。これを続ければそのうち直視もできるようになれそうです。チラっ」


「それは時間がかかりすぎるから別の作戦を考えよう。チラっ」


 しばらくみんなで同じことを繰り返してたけど、三十分くらい繰り返してチラ見できるようになったあたりであまりにも時間がかかりすぎるために私たちは別の作戦を考えることにした。


 でも、チラ見ができるようになっただけ大きな進歩だと思う。ただ……。


「それで、チラっ、次はいったいどうするのだ? チラっ」


「そうですね。チラっ、私も必死に考えてますけど、チラっ、さっきよりいい案が浮かびません。チラっ」


「クルア、チラっ、何か使えそうな魔法はないのか? チラっ」


「そうね、チラっ。魔法はないけど、チラっ。一ついい案が浮かんだわ、チラっ」


「おお! チラっ。流石クルアだ、チラっ。我が僕よ、チラっ」


「ぜひ、チラっ。聞かせてください、チラっ」


「いつ私が、チラっ。あなたの、チラっ。僕になったのよ、チラっ」


 そう、会話をしながら蓮くんへのチラ見が止まらなくなってしまったのだ。正直これがものすっごく会話しずらい。


「ねぇ、チラっ。蓮くんを、チラっ。チラ見しながら、チラっ。会話、チラっ。するの、チラっ。止めない? チラっ」


「そういうカレンが一番チラ見してるじゃない、チラっ」


「しょうがないじゃん、チラっ。止められないのぉ! チラっ。不可抗力なのぉ! チラっ」


「わかる! チラっ。カレンの気持ち我にも良くわかる! チラっ」


「私も気づいたら見てしまうんです、チラっ」


 今度は「はぅ……//病」から「チラっ病」になった私たちだった。


 チラっ。いつになったら、チラっ。ブリリアント王国に、チラっ。行けるんだろう、チラっ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
https://ncode.syosetu.com/n3707gq/『父さんが再婚して連れてきたのは吸血鬼な義妹でした』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ