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189話 いざ行け! ブリリアント王国! (エリュシオン会議)

 


 ◇◇レンside◇◇



「え~と……まじ?」


「まじ!」


「まじスラ!」


「まじか~……」


 僕がやっとこさ書類処理を終えて「さぁ、今日の夕飯が何かな~」って和んでたら、突如扉が思いっきり開かれて華憐とルンが僕の執務室に飛び込んできた。


 そして、僕たちにとって看過できないことを聞かされた。


 曰く、ブリリアント王国がサンクランド帝国に侵略をされるかもしれないということ。


 ブリリアント王国は僕たちがこのエリュシオンの主権を認めてもらい、国交を結ぼうとしてた第一候補の国だ。


 他にも近い国はサンクランド帝国と過激派エルフの国のラテスト王国があるけど、どっちもあまりいい印象がないために優先順位は低い。


 主権を認めてもらうだけならクルアのじーちゃんのアブソリュートが教皇を務めてるこの世界最大主教のアルメ教に認めてもらうっていうのもあるけれど、僕がなんか一方的にアブソリュートに嫌われてるせいで認めてくれなさそうなんだよね。認めてくれたとしても変な条件付けられそうだし。クルアを返せ~とかなんとか。


 それに、どっちにしろブリリアント王国とは面識を持ってもらわないとエリュシオンに人が流れてこない。そうなればエリュシオンはいつまでたっても発展しないだろう。


 やっぱりブリリアント王国が侵略されるのは看過できない。もし侵略されてサンクランド帝国の次の標的がエリュシオンになったりしたら目も当てられないし。言い方が悪いかもだけどブリリアント王国にはサンクランド帝国に対する盾になってくれたほうがいい。


「うん。とりあえず、エリュシオン会議をしよう。そこで話し合う。華憐はみんなにそれを伝えてきて。ルンは会議室の設営をお願い」


「わかった!」


「了解スラ!」


 二人はそう言うと、入ってきたときと同じように勢いよく執務室から出ていった。


 ちなみにエリュシオンとはエリュシオンの今後についてや重要なことを話し合う会議のこと。この下に種族会議があって、エリュシオンで決まったことは後で人間種と幻獣種のほうでも話すことになってる。


「はぁ、戦争かー」


 そりゃあ、国同士の問題だから戦争になるのも分からなくはないけど、日本人の僕には忌避するものであって正直何にも気が進まない。


「けど、エリュシオン作るって決めた時から覚悟は決めてたし。がんばろう」


 僕は改めて気合を入れなおしたあと、会議室に向かった。



 ■■



「あ、レン!」


 会議室につくとすでに数人が席に座っており、そこにはエリュとルカとティエラの姿もあった。


 ルカが僕が入ってきたのに気が付いてぶんぶん手を振られて呼ばれる。


 そういえば、準精霊探しを頼んでたんだ。書類に埋もれてすっかりそのことを忘れてたよ。あの様子だと首尾はよかったのかな?


「エリュ、ルカ、ティエラ、お疲れ様。巨木な我が家の準精霊は見つかった?」


「ふっ、精霊の開放には時が満ちるのを待つしかないのだ!」


「あ、はい。見つからなかったのね」


「……ん、結構探したけどエリュも精霊の気配は感じられなかった」


「レンさん、すみません」


「まぁ、ダメでもともとって感じだったし気にしないで。もしかしたら、ルカの言う通り時間がたてば現れるかもしれないし」


 そうティエラを励ますように言ったけれど、ティエラは俯いたまま。


 たぶんトンネルの時は僕のお手伝いって感じで今日頼んだ精霊探しはティエラに初めて出した仕事みたいなものだからすごく張り切ってたんだろうなぁ。そんな気にせんでもいいのに。ていうか、儚い……今にも消え入りそうな雰囲気がなんとも励ましたくなる欲がそそる。


「探してくれてありがとね」


「あ……えへへ//」


 うっ……可愛い。頭ぽんぽんしてあげただけなのに、そんな照れたように微笑まれるなんて破壊力抜群だ……。


「……む、レン。エリュも頑張った」


「うむ、我の頭もなでるがよい!」


 と、その様子に感化されたのかエリュとルカも頭を僕に向けてくる。


「はいはい、二人ともありがとう」


 それぞれ右手と左手でよしよししてあげると二人ともなんか犬みたいに頭を押し付けてくる。


 これくらいならベットに潜り込まれるとかよりは可愛げがあっていいね。こんど精霊を探すときは僕も同行しよう。


「ふんっ!」


「あてっ!?」


 じゃれてくる頭をひたすらなでてると、後ろからひんやりしたものが「ぺちっ!」っとあてられた。振り返ってみるとちょっとむすっとした顔のルンがいる。


「なんだ? ルンも頭なでてほしいいのか。仕方ないなぁ」


「違うスラ! 終わったスラ! いつまでもイチャイチャしてないで早く始めるスラ!」


 そう言われて円卓に視線を向けると僕たち以外のみんなが集まってた。華憐とミーナとクルアがルカたちをうらやましそうな目で見てるけど気にしないようにしよう。ていうか、噛みつくように言い放ったルンだけどなでようとしたら受け入れてくれるところがなんとも憎めないやつ。


 それから僕たちも席に座って会議が始まった。


 集まってるのはエリュシオンで重役についてる人たちだ。僕と華憐、クルアとミーナに人間族に詳しいルカとついでにティエラ、当事者のルンと宰相のアーゼさんは言わずもがな、ザリュさんとアルルーナもいる。あとは、ブリリアント王国のことってことでセラリアにも来てもらった。


 アーゼさんの仕事を分割したりしてまだまだ重職は増えてく予定。アーゼさんとルーナさんが人材の教育をしてくれてるけどまだまだ任せられないらしい。こういうのは全部アーゼさんに任せてる、僕がやってもできないからね。


 そしてまずは華憐とルンが今日トンネル先で見聞きしたことをみんなに伝える。


「まずはルンから話すスラ。今日、ルン、ポム、ピィナ、チュンで遊んでたスラ。それでピィナ達と空中鬼ごっこをしていたらいつの間にかエリュシオンの山も見えなくなって完全に迷子になったスラ。それでその時たまたま軍隊がテントを張ってたスラ。その時はブリリアント王国の軍なのかサンクランド帝国の軍なのかわからなかったスラ。けど、しばらくしてその軍から一人の人がルンたちのところに来たスラ。それで、ルンたちは魔物の直感で分かったスラがその人は勇者だったスラ」


 ルン、苦労しただろうなぁ。その四人で一番真面目なのルンだし。ピィナの制御ができるのはポムだけど、ポムも結構気分屋なところがあるから。


 ルンがそこまで言うとルカが手を挙げた。


「勇者? ルン、その勇者の名前や容姿は分かる?」


 ルカは天使族だからね。人間たちと関わり合いが深い天使族は生まれた勇者を把握している。だから、ルンが会った勇者がどこの国の勇者か判断しようとしたんだろう。


「わかるスラ。薄緑の髪色で身長はルンと同じくらい、宙に浮かぶクッションを持ってたスラ。確か名前はノノって言ってたスラ」


 ルンの返答を聞いてルカはしばし悩むそぶりを見せた後、思い出したのかそのノノって勇者について話し始めた。


「『夢』の勇者ノノ。正真正銘の神に選ばれた勇者。でもおかしいような、ノノはサンクランド帝国よりも西の小国の勇者のはず。あと、あの勇者は双子じゃなかった?」


「やっぱり、そうなんだね」


 ルカの疑問に答えたのは華憐だ。


 っていうか、神に選ばれた勇者ってことは僕たちと同じ転生者? もしくは転移者か? 


「たぶんそのもう一人ってネネって名前だったりする?」


「カレンの言う通り。『眠』の勇者ネネ。この子も神に選ばれた勇者だよ」


「そうだったんだ。実は、ルンちゃんたちがどこかに行ってる間、私とアルカちゃんはネネちゃんに会って一緒に昼寝をしてたんだよね。起きたらいなくなってたんっだけど」


 昼寝って、華憐はいったい何をしに……あ~でも、視察という名の息抜きみたいなものだから問題ないか。あの草原で昼寝したら気持ちよさそうだし、ゆっくりできたならよかった。


「それでね、その時私に手紙を渡されたんだけど、含みがあるようなことが書いてあって。今回すからちょっと読んでみて」


 華憐が手紙を端から回して、僕も回ってきたところで読んでみる。



 ■■



 ネネの寝る友になってくれてありがとうなの。


 カレンはあったかくて気持ちよかったの、また一緒にお昼寝したいの。


 でも残念、ネネは明日から大事なお仕事だから当分は会えないの、その木のところでお昼寝もできないの、しょぼーんなの。


 お仕事が終わったら今度はネネからカレンのところに行くの、だから待っててなの。


 それと、忠告なの。


 ネネの仕事が終わるまではこっちの方に来ない方がいいの。



 ■■



 う、う~ん? なかなか、個性的な手紙。なんていうか、この手紙で書いた人の人物像が浮かび上がりそう。とてもマイペースな性格の人だと見たね。あと、寝る友ってなに? 華憐は戦争がどーのとか言ってたけど、正直この手紙からはとてもその人が戦争するような人には見えない。ずっと昼寝しているような気がする。



 

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