表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/236

180話 氷界の竜人 (新たなライバル)

 


 ◇◇カレンside◇◇



「よしっ! 蓮くん、ティエちゃん借りていくね」


 蓮くんとの話し合いが済んだあたりで私はすかさずそう声をかけた。


「え? まあ、別にいいけど……その前にティエラが住む部屋とか準備して案内したほうがいいんじゃない?」


「それなら後で私がやっておくよ。あと、アーゼさんにティエちゃんが住むことになったことも伝えておくね」


「了解、それじゃあよろしく頼むよ」


「あっ、それと私の部屋にもコタツ作ってほしい」


「いいよ、後で城の広間用にのいくつか作る予定だったから。てことで、レオはもう少し僕に手伝ってね」


「それじゃあ、ティエちゃん。私の部屋にいこっか」


 そう、私はティエちゃんに呼びかける。


「えっと……」


「ほら、行きますよ! ティエラさん!」


 どこか戸惑っている感じのティエちゃんをミーナが圧をかけるように有無を言わせぬ勢いで手を取って蓮くんの部屋から出ていった。


 あ~あ、そんな不安そうな表情で蓮くんを見つめて……これはミーナの言う通り完全なる黒だね。私も確信した。そうなれば、ますます話し合いが必要になってくるよ。


 でも、ティエちゃんと蓮くんが出会ったのは今日が初めてのはず……いったいいつそんなフラグが立ったのだろう?


「とりあえず、しっかりと話し合うことね。よしっ! ルカとクルアもいくよ!」


 私は二人を呼んで、新たなライバルの予感を感じながら蓮くんの部屋を後にした。



 ■■



 私の部屋に入ってみんなでソファに腰掛ける。


 私の部屋の構造は蓮くんの部屋と同じで三フロア、広さも大体同じ。違いがあるのは、蓮くんの部屋の作業部屋になっているところは私の場合は衣装部屋になっていて、蓮くんの部屋のキッチンになっていたところはディスプレイになっている。そこには、蓮くんに頼んで作ってもらったフィギュアやグッズ、いわゆるアニオタな空間が広がってる。


 今は初対面のティエちゃんがいるからカーテンで隠してるけれど……え、何? 蓮くんと違って女子力がない? そんなこと言われなくても……しょうがないじゃん! 私がキッチンに立ってもご飯をレンジでチンしてふりかけかけるくらいしかできないんだから! これでも地球にいた時よりはできるようになったんだからね!


 まあ、今は私の悲しい現実より対面に座るティエちゃんのこと。ちなみに、私の隣にはアルカとルカが、対面に座るティエちゃんの隣にはミーナが至近距離から睨むように座っている。


 そんな敵愾心を抱かなくても……ほぼ確実だと思うけどまだライバルと確定したわけでもないんだし。ティエちゃんが居心地悪そうにしてるよ。


「それじゃあ、ティエちゃん! まずは私たちはティエちゃんがエリュシオンに来てくれたことを歓迎するよ! 改めてこれからよろしくね!」


「こちらこそよろしくお願いします」


 さて、形式的な挨拶は終わったし次が本題なんだけど、遠回しに聞いたほうがいい? でもコミュ障な私にそんな高等技術はできないし……。


「こほんっ、単刀直入に聞きますけど、ティエラさん。あなたはレン様のことをどう思っているのですか?」


 私がどうしようか悩んでいるうちにミーナが直球で投げかけた。


 瞬間、時間が止まったように部屋の空気が固まる。


 当たり前だよね。私も含めてここにいるみんなは蓮くんのことが大好きで同じ異性を奪い合う恋敵なんだから、新たなライバルが増えるかもしれない、それが同じ女でも見惚れそうになるくらいの美少女なんだから緊張しないほうがおかしい。


「えっと……私はレンさんのこと……」


 と、ティエちゃんはそこまで言うと俯いて押し黙ってしまう。恥ずかしいのかな?


「ふ~ん。っそ、あなたはその程度、だったっていうことね」


 そんな様子を黙ってみていたクルアがどこか失望したような、しかしふくみのあるようなことを言う。


「確かに、これじゃあレンを堕とすことなんてできないな、夢のまた夢ってやつ」


「そうですね、どうやら私たちの思い違いだったみたいです」


 クルアに続くようにルカとミーナもそんなことを言う。三人とも手厳しいなぁって私が苦笑をした時、


「………す」


 俯いていたティエちゃんが何かボソッとつぶやいた気がした。


「うん? なんて?」


 よく聞こえなくて私が聞き返すと、ティエちゃんは俯いていた顔をバッと上げて涙目になっている目で私たちをキッ! と、にらみつけると、


「うちゃ、レンさんのことが好いとー!」


 ぎゅっと目をつむって顔も真っ赤にしながらそう叫んだ。すごく勇気を出したのか、それとも私たちの言ったことに腹が立って怒ったのか、荒い呼吸をはいて肩を上下させている。


 そんな必死な様子に焚きつけた私たちは思わずあっけにとられるも、次の瞬間にはみんなでフッと笑みを浮かべた。


「なによ、ちゃんと言えるじゃない」


「うむ! その気持ち、しっかりと伝わってきたぞ!」


「まあ、私のほうがレン様を想う気持ちは負けませんけど、認めてあげます」


「ミーナは何様なのか……ティエちゃん、怒らせるようなこと言ってごめんね? でも、私たちにっとっては看過できない問題というか……」


 うん、まあなんていうか、ちゃんと言葉にしてほしかったんだよね。同じ人を想う親友になるためにも、ライバルになるためにも、気持ちをひとつにっ! みたいな。


 やっと落ち着いてきたティエちゃんは私たちのことを戸惑いの表情で見つめてくる。


「えっと……皆さんは、私がレンさんのことを想っていることに気づき、『よそ者がでしゃばってきなしゃんな!』っと、牽制されに来たのでは……?」


 おおう、妙に具体的なセリフ……というか、ティエちゃん、たまに博多弁かな? 方言が混じって来るね。この世界にも方言なんてあったんだ。


「どちらかというと、その逆よ」


「そうだな、私たちはこれから協力しなければならない」


「まあ、最初のまんまでしたら逆にあきらめてもらう予定でしたけど」


「協力? とは? 私たちは恋敵なはずでは……?」


 ティエちゃんは不思議そうにする。確かに普通ならそうなんだけどね……。


「ティエちゃん、甘いよ! 蓮くんはそんな一筋縄じゃ攻略できない。それこそ、協力プレイをしないととてもとても……」


 私たちは蓮くんがどれだけ堅物くんか、そして元カノのゆいりさんに今も未練たらたらでなかなか流されてくれないことや。私たちがこれまで蓮くんにしてきたアプローチや駆け引き、それでも落とされないため、私たちが協力し蓮くんの好みの服装、髪型、どんなアプローチをしたらどんな反応を返してくれるのかを教えあうことになった経緯とかを話してあげた。


「……だからティエちゃんも一緒に協力しようと思って……どうだろう?」


「あなたはまだ私たちにないタイプだからきっとレンの新しいことがわかるわ」


 確かに! 私が黒髪清楚担当で、ミーナが銀髪エルフの元お姫様かな? クルアがぺったんこ吸血姫で、ルカが天使で堕天なイタイお姉さん。それで、ティエちゃんは白髪のロリ巨乳な儚いドラゴン! うん、蓮くんったらより取り見取りでうらやましいことこの上ないと思うんだけど……。え? 私が黒髪清楚なのは見た目だけ? またまた〜〜。


「ぜひっ! 私にも協力を……いえ、私に協力してください! 今のカレンさんたちのお話を聞いたら私一人ではレンさんを振り向かせることなんかとてもじゃないけどできませんよ!」


 と、ティエちゃん。その気持ちは良くわかる。いい加減蓮くんには振り向いてほしい。


「ああ、私たちからもよろしく頼む! なんかこうなると思ったんだよね、ティエラとは出会ったときにシンパシーを感じたんだ」


 ああ、確かにルカはお城の前でそんなこと言ってた気がする。


「では、ティエラさん。私たちは今日から協力者です。けれど、言っておかなければならないことが一つあります!」


 するとミーナが突然そんなこと言って立ち上がりティエちゃんだけでなく私たちも見たうえで、


「レン様の正妻の座は私のもの! 誰にも譲りませんからね!」


 その瞬間また部屋の空気が固まった気がした。かくゆう私もちょっとむっとする。


「ミーナ、私だってまったくもって譲る気はないよ!」


 私が睨み返すようにそう言うと、


「そう、残念だけどあなたたちとは最後に雄雌決する必要があるわね」


「はっはっは! 望むところだ!」


「うちだって負けんけん!」


 クルアがルカが、そして新しくティエちゃんも負けじと言い返してくる。


 そう、私たちは同じ人を好きになった親友であり、同時にライバルでもあるんだ。それを再認識できた。


 そして、誰からともなくフッと緊張の糸が切れる。みんなの顔には自然と笑みが浮かんでいた。きっと私たちはずっと親友でいられる気がする。


「あっ! そういえばティエちゃんに聞きたいことがあるんだった!」


「はい、何ですか?」


「ティエちゃんは蓮くんのこどうして好きになったの?」


 まだ出会ったばっかりなのに気になったんだよね。それはみんなも同じようでティエちゃんの言葉を待ってる。


 ティエちゃんは恥ずかしそうにもじもじと太ももをこすり合わせながら、顔を真っ赤にして言った。


「えっと……一目見た時、ばりタイプで……一目ぼればい……」


 うっ……今のはなんていうかすごく儚くて不覚にもすごくかわいいと思ってしまった。


 それから、私たちはみんなでお互いの蓮くんとのなれそめを語り合ったり、蓮くんのどこが好きなのかを語り合ったりしてあっという間に時間は過ぎていった。


 ティエちゃんとはすごく仲良くなったし、その反面これはなかなか手ごわいライバルの登場だなっと感じたのだった。



いつも読んでくれてる方、ブックマーク、評価ポイントを付けてくれた方ありがとうございます!


緊急事態宣言でお家に引きこもりになって毎日2冊ずつラノベ読んでるんですけど、読み終わると「あぁ、やっぱり自分には才能ないなぁ」って、思っちゃいます。僕にも蓮くんみたいな<才能>の力が欲しいなー。あ、今日は『私に効果音をつけてよ、響くん!』って作品読みました。面白かったのでオススメです。


何が言いたいかって言うと、才能のない僕ですけどこれからもよろしくお願いします!ってことです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
https://ncode.syosetu.com/n3707gq/『父さんが再婚して連れてきたのは吸血鬼な義妹でした』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ