16話 擬人化の謎
◇◇レンside◇◇
僕は今、お風呂に入っている。
みんなはもうご飯も食べて、二時間前くらいに寝ている、僕はもちろん日課の小物作りをしていた。
ちょうど木桶を作っていたらお風呂に入りたくなったのさ
「ふぅー、やっぱり水だけと石鹸で洗うのとはちがうなー、あとは泡立たせたいからタオルがほしいなー」
華憐さんが作ってくれた石鹸は、華憐さん不器用だからちょっと心配だったけど、一応ちゃんと石鹸にはなってた、ただムクロジ百%なのかスースーするのなんのかんの。
もう、息子を洗った時なんてノーパンでスカイダイビングしてるくらいのスースー感!!
ノーパンスカイダイビングなんてやったことないけど!!
「石鹸も要改良だなー、えーと明日やることは果物と穀物植えたとこにたぶん芽が生えてるからのびのびダンスとその後の収穫と種まきとかだなー」
今日はがんばった! 農家さんバリにがんばった、世の農家さんはいつもあんなに重労働なのだろうか?
いつもありがとうございます!!
畑は巨木な我が家からみて西の森一帯を開墾した。
横幅は約80メートル、縦幅約50メートルの長方形で、湖に近い側を水田にしてある。
明日からは米が食えるぜ!!
果物を植える時は柿ピーに「僕の知ってるあらゆる果物」って願い、穀物の時は「私の名はニギ〇ヤミコハ〇クヌシ、これはニギリメシコシヒカリ」って願って植えた。
あ、ニギリメシコシヒカリじゃ米しか育たないかな?? まぁ、米が食べたいんだしいっかな? いや、小麦くらいは願えばよかった……
ま、植えちゃったものはもう戻らないし、しゃーなししゃーなし!!
「小物もたくさん作ったなぁー」
そう、最近夜寝れなくて日課になりつつある小物作り。
コップを主に箸、スプーン、フォーク、小皿、大皿、ボウル、手桶、籠、瓶、まな板……etc
小物以外にもテーブル、イス、棚など家具も作ってみた、ベッドも作りたかったが布団がないから今作っても意味が無い。
それから、なにも浮かばない時は直感に任せて無意識で彫った。
そしたらできたのがキ〇トくん、ア〇ナ、僕の推しだった金髪エロ吸血鬼やレ〇りん、さらにはコロッケ、ポテト、ハル、華憐さんのフィギュアみたいのを彫りだしていた。
いやー、アニメキャラたちのやつを見た時の華憐さんのテンションすごかったなーまぁ、たしかに自分でもビックリの出来栄えだけど、ふっ自分の才能が怖いぜ……
こんなこというと華憐さんに「調子にのってますね??」って冷ややかな目で見られちゃうからやめておこう。
「はぁー、そろそろでるかー」
明日も主に農作業になりそうだけどがんばるかー!
■■
お風呂をあがった僕はキッチンで水を飲んでいた。
「ぷはぁー、コーヒー牛乳のみたいなぁー」
そんな贅沢なこと思ってると
カリカリカリカリカリカリカリカリ
「ん? なんの音だ??」
カリカリと音が聞こえてきた。
音の出どころはキッチンの外の干物をする所、つまりキッチンベランダからする。
僕は慎重にベランダに向かい、扉を開けて覗いてみる。
「なっ……」
「おや? 誰でありんすか? 」
そこには、全裸で黒髪ロングの女性がいた。
月明かりに照らされて見える顔は日本人っぽい顔でありながら芸能人のような美人だ。
「ああ、たしかレン、というお方でありんすか?」
「え、あ、はい、蓮ですけど」
「やっぱり、寝ていてご挨拶もせずに申し訳ございません」
「いえ、あのぉー、どなたでしょう?」
「はい、私はお鶴でありんす」
「ん? お鶴? ってたしか華憐さんが助けたっていう鶴のことじゃ」
「はい、その助けて頂いた鶴が私でありんす」
「え、んー、擬人化できたんですか??」
「いえ、起きたら人の姿になっていたでありんす」
んー、なんかうちにくる動物たちみんな擬人化してない??
なんか起きてるのかな??
「それより、私は鶴でありんすが、今は人の身。さすがに布一枚も着ていない姿を見られるのはしょうしょう恥ずかしいでありんす」
「あ……す、すみません、えーと、じゃあおやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
なんだか、幻想的なものを見てしまった。
それより、なんで擬人化するんだろう? 世の動物たちはみんな擬人化するのだろうか?? コロッケたちのときはなんとなくそんなもんかなーって受け止めたけど。
そのうち原因解明しよう。
僕は新たな謎を抱えてその日は寝た。




