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159話 レンのいない一ヶ月 (色んな人が集まれば、色んな問題が出てくるよね)

 


 ◇◇カレンside◇◇




 アルカちゃんが手伝ってくれるようになってから三日間、少しずつ休憩を挟みながらなんとか約一万匹の魔物全員に『命名』をすることが出来た。


 いくら楽に『命名』できるようになったとしても、疲れるものは疲れる。私、アルカちゃん、ミーナ、クルア、ルカ、手伝ってくれた幻獣種の人達はみんなぐったりしてる。


「はぁ~~………私、頑張った。みんなもお疲れ様~~〜!」


「限界。もう、無理………クテッ」


「手が……手が疲れましたぁ……」


「もう、こんなのはやりたくないわね」


「我は虚無に還る…………スヤァ……zzZ」


 うん、当分はお休みにしよう。さすがに無理をしすぎた気がする。


 そうして、私も眠ろうと目を閉じようとした時、視界にアーゼさんがこっちに向かってくるのが見えた。


 あ、あれは、あの顔は………絶対面倒事だぁ~……。


「あぁ……私はまた働かされるのね……」


「カレン様、お疲れ様です。…………いや、本当にお疲れ様です」


 アーゼさんがこの周りの惨状を見て、苦笑しながら言ってくる。


 本当にそう思うなら、私を働かさないで……。


「えーっと、大変申し訳ないんですけど、至急確認して欲しいことなどが多々ありまして……」


「うぅ……やっぱり……」


「ほら、カレン。頑張りましょう、私も手伝うから、この中だと一番体力使ってないのは私だし」


「ううぅ……クルアァ~~……」


 クルアにそう諭されて、私は泣く泣く動き出す。


 これもどれも蓮くんが起きてこないせいだ……。起きてきたら絶対に私の苦労を分かち合わせてやるぅ……。


 フラフラしつつお城の方に向かう。もう既に私の荷物はお城の方に移されてて引越しは済んでる。


 実は、『命名』してるときの休憩中にエリュちゃんとルンちゃんがやって来て、引越ししてもいいかって聞いてきたから許可をだした。


 ちなみに巨木な我が家からお城に引っ越すのは、私と蓮くん、鉄グマの三人、アーゼさん一家とリーアさん、レーアさん、クルアとオリアさんたちメイド隊、ルカと天使族三人、ルンちゃん、ポムちゃん、ピィナ、アラティ達悪魔族、ミライア達人間族、レオレア姉妹、シロ様、カレールさん、シュテンちゃん、くらいかな。


 お鶴さんとかも引っ越せばいいのにって思ったけれど、服屋をやりたいとかで町の方に住むことになった。一応引っ越すのは自由だからそういう人もいる。


 それと、種族代表の人達の部屋は用意してあることも伝えてる。エリュシオンは私と蓮くんが国王で国にはなるけれど、これからも種族会議とかはやるつもりだからね。


 そんなことをぼーっと考えながらお城を目指してると、


「きゃあぁぁぁぁーー!」


「グルルルルアァアァァ!!」


 そんな、女性の悲鳴と獣の唸り声が聞こえてきた。


「え? なになにっ?!」


「あぁ、またですか……」


 私は何が起こったか分からないけど、アーゼさんは分かってるのか、ちょっと憂鬱そうに悲鳴が聞こえた方に向かう。


「こら! 街で暴れるな!」


「グルルルルル!」


 そこでは、ザリュさんが犬耳を生やした浅黒い肌の男性が暴れてるのを抑え込んでいるところだった。


「あぁ、そういう事ね」


 クルアが納得したように声を出す。私も現場を見て何が起きてるのかだいたい予想がついた。


「ザリュ殿、今肉を持ってこさせますので、少々耐えていてください」


「おぉ、アーゼさん! それに、カレン様にクルアさんも、ありがとうございます! これでケルベロスの件は三件目ですな。何とかならないでしょうか?」


「それを、今からカレン様と話し合うのでもう少々お待ちを」


 うわぉ、こうなるのもう二回も起きてるんだ……確かに、これは早く何とかしなくちゃね。


 しばらくするとリーアさんが狩った魔物の肉を持ってやって来た。


 それを、唸る男性にあげると、男性はヨダレを垂らしてそれにかぶりつく。


「クゥ~~ン」


 そして、そのお肉を食べ終わると男性は突然大人しくになってその場で寝始めた。


「あぁ! また、こんな本能で暴れよって! アーゼ様、本当にすみません! ザリュ様もいつもありがとうございます!」


「いえ、習性的なものですからお気にならず」


「私も、治安維持が仕事なので」


「ありがとうございます! 頑張ってなるべく抑えるようにしますので」


 すると、どこからか男性と同じような犬耳が付いた浅黒い肌の人がやってきて、突然寝始めた男性を抱きかかえて頭を下げた後、立ち去ってく。


 さて、今一体何が起きたのかというと。さっきのはケルベロスの幻獣種の人達だと思う。それで、ケルベロスは三つの頭をもつでしょ?


 その頭がそれぞれ『本能』、『理性』、『ワンコ』の意志を持っていて、表層に出ている意思が肉体を支配することになるんだけど、最初に暴れ回ってたのが『本能』が表層にでてたんだと思う。


 それで、リーアさんが持ってきたお肉でお腹が満たされた結果、『ワンコ』が表層に出できた。それで最後にワンコになった男性を運んで行ったもう一人の人が『理性』が表層に出てる状態。


 なんというか、ケルベロスは生まれながらに多重人格みたいな魔物なんだよね。それにしても、さっきの男性の本能が食欲でよかった。


 あれがもし性欲とかだったら本能のままに女性を襲うってことでしょ? これは、本当に早急に解決しないと行けない問題だ。


「カレン様、まぁ今のように色々と問題が出ています。早急に対策を考えないといけないでしょう。それと、それぞれの仕事ですね。今はほとんどの人が建築や土木工事をやってますけど、それも終わりがきますから」


「分かりました。頑張ります……」


 たぶん、あんな感じで他にも種族ごとの問題が沢山あるだろうし。まぁ、それもやる前からある程度分かっていたことだけどね。色々な種族でたくさんの人が集まれば、その分だけトラブルや問題が出るのは当たり前のこと。


 こういうのに関しては、蓮くんにも手伝ってもらいたいけれど、知識がある私の方が得意分野でもあるから頑張らなきゃ。


「それにしても、コヴィルさんたち凄いなぁ。流石は妖精族ってことかな?」


 コヴィルさんたち妖精族のみんなはエリュシオンに来てから、大量の魔物の存在に驚き、幻獣種の多さに驚き、巨木な我が家に驚き……と、驚きっぱなしだったけど、直ぐに建築の指導や建てることを始めてくれたおかげで、街はだいぶ日本の住宅街っぽくなってきてる。


「えぇ、本当に。滞っていた家の建設が見る見る間に進んでいきますらかな。まぁ、それでも一応問題がありまして、数人で住んだとしても人数に対して家が圧倒的に足りないです。それと、家具も全く足りてない状況ですな」


 あーー、こんな所にも問題があるのかぁ……。住むところはマンションとかアパートを作ればなんとかなるかな。家具とかは、ベッド最優先で行こう。この寒い時に寝る布団が無いのは可哀想すぎる。


 でも、そうすると掛け布団、敷布団とかの布製品の物が不足するか。布と言えば衣服もそうだよね、全員にとりあえず寒くないよう、下着と冬服っぽいのを一式渡してるけど、そんな少ないとすぐに着るものが無くなっちゃうし。


 あと、何がある? 食料はどうだろう? 一応お米とかは沢山蓄えてあるけれど、こんなに増えるとは予想だにしてなかったから、もし足りなくなるようなら何とかしないと。魔物を集めた時に本能のままに襲って来る魔物たちの狩ったお肉はあるけどそれも直ぐに無くなる可能性があるし。


 あーあーあーあーあー! 考えれば考えるほど問題が山済みだぁー!! これはまた、徹夜を覚悟する必要があるかもしれない。最近の私働きすぎだよ! これが俗に言う社畜というやつ……。


 いや、真の社畜はアーゼさんかな、たぶん今これだけしか問題が起きてないのはアーゼのおかげだと思うし。本当ならもっと大量のトラブルが起きてもおかしくないから。それは、アーゼさんの顔を見れば分かる。


 げっそりしてるから、私が『命名』やってる間、必死に抑えてくれていたんだろうな……うん、これは落ち着いたら残業手当みたいのを出そう。


 ん? 手当って貨幣だよね? エリュシオン、まだ貨幣経済じゃないじゃん! うわ、ここら辺も考えなきゃ……日本ってどうやって貨幣経済になったっけっ?! ていうか、この世界のお金事情どうなってるのっ?!


 うっ……なんだか、考えるだけで頭痛くなってきた。


 そう、ガックリと肩を落としながら、これから起きるであろう様々な問題を解決するために私はお城に足を進めた。



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