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157話 レンのいない一ヶ月 (命名エターニティー)

 


 ◇◇カレンside◇◇



「これは……………………………どうしよう………」


 今、私の前にはたーーーーーーーくさんの魔物たちが綺麗に列を成して並んでる。コロッケたち幻獣種が声をかけて整列させてる。


 その量たるや、今まで折り鶴、燃え鷹、幻影クジャク、鋼コンドルを命名した時の比じゃない。それはそれは、夏と冬のアニメオタクたちの買い物戦争時のときのような列の量。


 私、今からその人数の人たちに名前をあげなきゃいけないの? ちょっと頭痛くなってきた………。蓮くんめ、絶対起きたら、嫌って言うまでこのことを言ってやろう。


 さっき蓮くんのことを見てきたけど、まだ起きてなかった。何やってるのかなーって見てみたら、神様と仲良くゲームをやってた。私は頑張ってたのに……起きたら絶対、報復してやる! 今のうちにネクさんに話とこ。


 既にピィナに乗ってきた方も帰ってきていて、本能のままに襲ってくる魔物たちもあらかた倒し終えた。前にシロ様とカレールさんを襲ったベンガウルとか、それなりに強い魔物もいたけれどクルアとルカが参戦して直ぐに収まった。


 本能のままに襲ってくる魔物は今並んでる魔物たちの倍以上はいたから、みんな相当頑張っててくれてたみたい。まぁ、レオさんが本来の竜の姿になった瞬間、大体の魔物は逃げていったけど。


 ちなみに、アーゼさんと話したことは私たちの不在時の時のこと。


 城が完成していつでも引越しができるということと、向かい入れの準備が出来てることと、この魔物たちのこと。


 まぁ、おおよそ予想通りで、逆に私の方から報告することの方が多かった。


 まずは目的の妖精族の人達のこと、ネクさんのこと、私たちだってことはバレてないと思うけどサンクランド帝国に喧嘩を売ってきたこと。


 妖精族のことを聞いて喜んだ後、サンクランド帝国のことを聞いて顔が青ざめてたアーゼさんは、魔物のこともあって色々取り乱してる感じが珍しくてちょっと面白かった。


 だけど、その後にピィナに乗ってやってきた妖精族たちを迎えるときには既に落ち着きを取り戻して、コヴィルさんと話し合って妖精族たちをまとめあげてたからやっぱり有能。


 妖精族はアーゼさんに任せておけば大丈夫。ピィナの上でセーヤさんとも話して仲良くなってたし、私が考えた現代日本の一軒家の設計図を見て色々議論しあって、もう既に建設を始めてるくらいだからね。


「はぁ………そういえば、もう少ししたら冬コミのだなぁ。今年はどんなグッズが売ってるんだろう……」


「現実逃避をしてないで、早く始めちゃいましょう。このままだと、いつまで経っても終わらないわよ」


「そうそう、私も手伝うからさ!」


「はい! もちろん私もです! それにしても、よくこんなに集まりましたね」


「「「ミーナのせいでしょうが!!」」」


「あはは……ちょっと、頑張りすぎちゃいました」


 まったく、 確かに森中のって言ったけど限度があるでしょう、限度が! こんな見えるだけでも数千もの魔物たち一人一人に私が名前をつけるなんてかなりきついよ……。


「応援。カレン、頑張って!」


 アルカちゃんが小さくガッツポーズをする。しょうがない、頑張ろう!


「ふぅ、それじゃあ今から『命名』を始めまーす! 順番を守って、呼ばれたらこっちに来てください! それじゃあ、最初のキミ、こっちに来て」


「ワン!」


 並んでる魔物たちに声をかけて、一番先頭にいる大きな黒い体毛の狼の魔物を呼んで、天幕の中に入る。この天幕は私が直感的に命名する、それ以外のことに注意をそらさないで集中できるように設えた。


 忠犬らしく座ってた狼の魔物はひと鳴きすると私の前でまたおすわりした。なんか、とってもお利口さん。


 いつもならここで『鑑定』をして相手のことを調べて、『言語』で一言二言会話をして、名前を決めるんだけど今日は無し。


 一人十秒話すだけでも全員とやれば本当に時間がかかって仕方ないし、こんなに大勢に『命名』を使うことなんて初めてだから、『命名』だけに集中したい。


「この魔物はインフェルノウルフね。それに、この大きさってことは群れのリーダーってところかしら」


 流石に、なんの情報も無しに名前を決めるのは難しい。だから、今回は魔物知識に豊富なクルアがサポートしてくれる。


 二人に聞いた魔物の名前と特徴で私は直感的に『命名』する。


 インフェルノウルフ……インフェルノ……焔……ホムラ!


「『ホムラ』! これがあなたの名前、これからよろしくね」


「ワン!」


 こんな感じに、本当に直感的に……捻ったりするのは本当に時間が無くて無理! 諦めなはれ!


 まぁ、でもインフェルノウルフ……ホムラはそんな嫌そうな顔はしてないし大丈夫だろう。


「はーい、カレン様に名付けてもらったらこっちにきてください!」


 そしたら、すぐ近くに座ってるミーナがホムラのことを呼ぶ。そこではミーナとルカがペンを片手に書類を書いてる。


 それと同時に私は次の魔物……また、インフェルノウルフだ、群れなのかな? を呼んで『命名』する。


 今回、これだけの数の住民が増えるのだから把握が必要だろうと思って、住民票を作ることにした。住民票って言っても住所なんてまだないから、種族と名前、特徴などを書くくらいだけど。


 それを、二度手間になるのを避けるために『命名』したらすぐ出来るよう、こうして流れ作業的に進める。


 その後はまた別の人に城か巨木な我が家に案内させられて幻獣種の進化の眠りにつき、起きたら服を支給して再び書類に今度は人間の姿の身体的な特徴を書く。


 そこからはアーゼさんの管轄になる。こうして、なるべく時間短縮を考え、効率よく『命名』していくシステムで今回はやってく!


「あなたは『ホカゲ』! これからよろしくね!」


 と、頭の中で説明しつつもしっかりと『命名』していくよ! それにしても、インフェルノウルフばっかりだなぁ。やっぱり、魔物といっても狼だし群れを作る性分なんだろう。


 あと、インフェルノって文字からどうしても炎系のイメージがくるから、直感的だとどうしてもそういう感じの名前になっちゃう。


 まぁ、今のところみんな誇らしげな顔………だよね、たぶん? 狼の表情は分からないけど……文句は言われてないから大丈夫なはず。


 数十分後…………。


「あ、カレン。次は違う魔物よ」


 おぉ、やっとインフェルノウルフが終わったよ。インフェルノウルフだけで相当な数いたんじゃない? 直感的に名前をつけることに全ての脳みそを使ってたから途中から数えてないけど。


「はーい、次は………また狼?」


 気合いを入れ直していこう! って、意気込んで見ると、次は真っ白な体毛の最初のインフェルノウルフと同じくらいの大きさの狼が座ってた。


「狼は狼だけど、違う魔物よ。この魔物はブリザードウルフね。それで、言わなくとも分かると思うけど、この大きさは群れのリーダーね」


 ふむふむ、ブリザードっと……あ、この子女の子だ! なら……、


「あなたは『ツララ』! これからよろしくね!」


「ワン!」


 ちなみに、魔物のオスメスの区別はしていない。分かればしているって感じ。ほら、パッと見て、あ! この子ちんちんついてる! って分かれば、それも私の直感閃きの要素に混じって男の子っぽい名前になる。


 今のところ狼ばっかりだから性別の区別が着いてるけど、もし分からなければ男性なのに女性っぽい名前になったり女性なのに男性っぽい名前になるかもだけど、そこはごめんなさい。


 ブリザードウルフのツララちゃんは満足そうにミーナの方へ歩いていった。


「わぁ! 次は真っ白なオオカミさんですね! かっこいいです! あ、お名前はなんですか?」


 ミーナの言ってること凄く分かる! 白い狼とか犬とかってなんかカッコイイよね!


 さてと、狼ってことは、また群れで来てるよね。当分は氷系の名前が続くかな。幸い今のエリュシオンは結構寒いし、出てこなくなることは無さそう。


 数十分後…………。


「次は………あらら」


「あなたは『ガゼル』! これからよろしくね! ん? クルアどうかしたの?」


「いや、ブリザードウルフはその後で最後。次はまた別の魔物よ」


 おぉ! そうなんだ! 次はどんな魔物だろう? インフェルノウルフ、ブリザードウルフって狼二連チャンだったから、そろそろ別の魔物がいいな。ブリザードウルフもインフェルノウルフに負けず劣らずの群れの頭数だったし。


「それじゃあ、次の方~! どうぞ~!」


「ワン!」


「え、ワン……?」


 私が呼ぶと、ここ何十分も聞き慣れた鳴き声が聞こえてくる。


 そして、天幕の中に入ってきたのは最初のインフェルノウルフのホムラと最初のブリザードウルフのツララと同じくらいの大きさの濃い青色の体毛の狼。


「えーっと、この魔物はテンペストウルフね。まぁ、見て分かると思うけどこの子が群れのリーダーね……って、どうしたのカレン?」


「いやいや! インフェルノにブリザードにテンペスト! 狼の魔物ってこんなに種類いるの?!」


 そして、どうせこの後また群れでバーーっているんでしょ?! 何これ、もしかして今回集まった魔物って狼ばっかりだったりするのかな?


「ん~、そうね。狼系統の魔物は確かに種類が多いわね。海の方だとオーシャンウルフっていうのもいるらしいわ」


「イーブイじゃん! ブイブイ!」


「いーぶい? とりあえず、続けましょう。大丈夫よ、狼系統は今のところテンペストウルフで最後」


「そ、そうだね! 分かった」


 くっ……やっぱり蓮くんじゃないとツッコミがわからない!


 というか今度、狼系統の進化前みたいのがいたら絶対に捕まえよう。もしかしたら自分の好きな属性に進化させられることが出来るかも。


 それより名前……テンペスト……嵐……らんま……


「うん! あなたは『ランマ』ね! 狼だけど」


「ワン!」


 テンペストウルフのランマはそうひと鳴きして、移動していった。


 そして、やってくるのはテンペストウルフの群れ。


 はぁ……まだたった三種類、この後にもまだまだ大量の魔物たちがいると思うと、なかなかきつい……。


 いや、これは私が言い出したこと! 頑張ろう、私!



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