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127話 お節介をやく

 



 ◇◇カレンside◇◇




「ん〜〜?」


 お昼過ぎ、私は今、厨房に来ている。


 そこは、なんだか微妙な空気になってた。


「おや? カレンかい、どうしたんだい?」


「あ、カレールさん、お疲れ様です。ちょっと、お水を飲みに来たんです」


 厨房をチラッチラッと覗いてたら、なんか微妙な空気を露ほども気にしたことなく、食器洗いをしてた褐色肌のお姉さんのカレールさんに気づかれた。


「そうかい、じゃあ、私は失礼するよ」


 そう言って、厨房を出ていくカレールさん。素っ気ない感じだけど、悪い人じゃないしいざとなったら頼れる大人の人って感じの人だ。


 そして、そのカレールさんの出ていった姿をじーーっと見つめるもう一人。


「はぁ……」


 そして少し、落胆したようにため息をついた。


「ん〜〜、これは黒だね!」


 私の恋愛センサーがビンビンと警報を鳴らしてるよ!


 私は、厨房に入って、シロ様に話しかける。そう、さっきため息をついたのはシロ様だ。


「シロ様、どうしたの? そんなため息ついちゃって」


「おや? カレンか、いや気にするでない」


「そう? シロ様、カレールさんのこと好きなんでしょ」


「なっ?! ど、どうしてそれをっ?!」


 そりゃー、頻繁に横目でチラチラ見てたり、話しかけようと口を開けて、結局閉じたりってしてたら誰だって分かるよ。


 それに私も恋する乙女だし!


「あ、やっぱりそうなんだね! シロ様わかりやすすぎ」


「………カマをかけられたのか、全く人が悪いぞ」


「それで、もっと話しかけたりしないの?」


「それが、話しかけようと思うんだが……」


 それから、所々言い淀むシロ様にどんどんと先を促して、事情を聞き出してく。こういう人の恋路って結構好き! シロ様はなんだか諦めたよう顔してた。そして、なし崩し的に話してくれる。


「ふむふむ、つまり意識しすぎて上手くできないって感じ?」


 シロ様は、カレールさんのカレーを食べて胃袋を掴まれて、一目惚れって感じで、蓮くんにも相談してアドバイスとして一緒にいる時間を少しでも多くしようってことを言われたと。


 それで、今日みたいな感じで一緒にいる時間を増やそうとしてるけど、上手く話しかけることが出来ずにっ言うことかな。シロ様意外とピュア?


 ていうか、今この厨房にシロ様とカレールさんしかいなかったのはほかの料理する人が空気を読んでだろうな〜、それくらいわかりやすい空気だったし。


「まぁ、その、情けないことだがそういう事なのだ。カレンはなにかいいアイディアはないだろうか?」


 あのシロ様がねぇー、初めてあった時は凛々しい感じだったんだけど……。


「うーーん。いいアイディアねー……」


 力になってあげたいけど、自分自身の恋愛もまだ成就してないしなぁ。


「頼む! 手伝ってくれたら、私もカレンがレンにアプローチする時になにか力になれることがあれば手伝おう」


「えっ?! シロ様、気づいてたの?!」


「うん? それはわかってた。なんとなく、レオが攻めてきた時位から目が変わった気がしていた」


 そんなに、分かりやすかったかな? 別に蓮くんへの気持ちを隠してるわけじゃないけど、改めて言われると恥ずかしい気持ちになるね。


「そ、そっか。うーん、恋仲になれるかどうかは分からないけど、お互いの距離をグッと縮められるかもしれない方法はあるよ?」


「ほ、本当かっ?!」


「う、うん」


 わぁお、凄い食いつきようだよ。そんなに切実なのかな?


「それで、どうしたらいいのだ?!」


「はいはい、今から話すから落ち着いて」


 私は、シロ様に思いついたことを話して、シロ様とカレールさんの仲をくっつけよう作戦を開始することにした。




 ■■■




「えーと、カレールさんはーーーと、いたいた!」


「む? あれは、アーゼか?」


 私とシロ様はシロ様とカレールさんの仲をくっつけよう作戦の概要を話したあと、作戦を実行するためにすぐに行動を起こした。


 まずは、カレールさんを探しに来て、予想通りカレーのルーの木の所にいた。


 でも、そこにミーナのお父さんで元エルフの国のハルツァナ王国の国王だった人なんだけど……なんか、カレールさんにデレデレしてない?


「ぬぐぐ、アーゼはいつも何かとカレールの近くにいるんだ」


 これはいつもの光景なのかシロ様はその様子をアーゼさんを睨みつけるように見ている。


 そういえば、アーゼさんは褐色肌の巨乳の女性が好きなんだったかな? お城の階段の裏に褐色肌巨乳の壁画とかあったの見たし。


「あ、ルーナさんだ」


 すると、銀髪が綺麗なエルフの女性のミーナのお母さん、ルーナさんがやってきた。


 なんか、アーゼさんが焦ってる。これはもしかして痴話喧嘩かな? あ、ルーナさんがアーゼさんの耳を引っ張って連れていった。きっと今から沢山怒られるんだろう……な〜む〜。


 というか、あそこの夫婦大丈夫なのかな? 今の妻に不倫現場見られたようなものだと思うんだけど……あとで、ミーナにそれとなく報告しておこう。


 カレールさんは、アーゼさんが連行されていったのを特に気にしたことも無く、再びカレーのルーの木の見聞をしている。


「よし、それじゃあ、作戦通り行くよ」


「わかった、よろしく頼む」


 シロ様と視線を交わして頷きあってから、私達はカレールさんに近づいてく。


「おーーーい! カレールさーーん!」


「ん? カレンか、どうした?」


 手を振ってカレールさんを呼ぶと、気づいてくれたみたいでこっちにやってくる。


 よし、それじゃあ作戦開始だね!


「あのね、カレーにすごく合う付け合せを作ろうと思うんだけど」


「なに? カレーの付け合せだと? それはなんなんだい?」


「うん、福神漬けって言うんだけどね」


 よしっ! この口実ならカレールさんなら確実に食いついてくれると思ったんだ! なにせ、カレーのスペシャリストだし。


 そして、福神漬けはまだこっちの世界では作ってない。いつもカレーを食べる時なんだか物足りないな〜って思ってたんだよ。それを思い出したの。


 私は福神漬けの作り方を説明した。


「ほぅ、それは確かにカレーに合いそうだ。さっそく作って今日の晩御飯で食べてみよう」


「うん、それでね、福神漬けといえば赤なんだけど、このままじゃ材料が足りなくて赤くならないんだよね」


 福神漬けは本来茶色っぽい色だ。スーパーとかで売ってる赤い福神漬けは着色料を使ってるはず、だけど私は福神漬けといえば赤! 絶対に赤だと思ってる。茶色いカレーに茶色い福神漬けとか、見栄えが悪いもん。


「ふむ、ならその材料を取りに行けばいいんじゃないかい?」


「うん、それをシロ様とカレールさんにお願いしたいんだ」


 そう! 今回の作戦は、福神漬けを作る為にシロ様とカレールに赤の着色料になる花をとってもらいにいって二人で共同作業をし、協力して難を乗り越え、互いの距離を縮めてもらおうという作戦なのだ!


「わかった、それで何を取ってくればいいんだ?」


「えーーっとね、カーサマスっていう赤いお花を取ってきて欲しいの」


 カーサマスの花は、着色料になる花で<知識>の力で知り得た。


「ちなみに、場所は……」


「あら? それなら、わたくしが知ってますよ」


 カレールさんとシロ様に場所を教えようとした時、誰かが声を挟んできた。


「お、チミじゃないか」


 やってきたのはジャイアントハニービーのチミさん。この前エリュシオンにやってきてら私が名前を付けた人。カレールさんとはハチミツカレーで仲良くなってたっけ。


「カレールは本当にこの木が好きなのね。それで、そのお花を取りに行くんでしょ? わたくしが……」


「ちょっと待ったぁぁぁぁ!」


「え?」


「チミさん、こっち来て!」


 チミがなにか余計なことを言おうとしたので、私は慌てて腕をとって、カレールさんとシロ様から離れる。


「チミさん! いいですか、今カレールさんとシロ様が………かくかくしかじかで……まるまるさんかくなんです」


 私はカレールさんとシロ様の仲をくっつけよう作戦をチミさんに話す。


「あら、そういう事なの、それはごめんなさい。それなら私も協力するわ」


 ということで、チミさんもこっち側の人間になった。


 改めてカレールさんとシロ様にカーサマスの花の群生地を教えることにする。


「…………という感じで、向こうの川を渡った所にあるんだけど、カレールさんとシロ様によろしく頼めるかな?」


「わかった。さっそく行ってこよう。シロ、行くよ」


「しょ、承知した」


 そう言って、チミさんと私が示した方へ二人は向かっていった。


 チミさんが知っていたけど、一応私も『探知能力』と『飛耳長目』で分かってたからね!


 シロ様、なんだか緊張してるみたいだったけど、大丈夫かな? やっぱり、あの映画の人とは全然違うんだね、名前負けしてる気がするよ。


 さて、私も二人が帰ってくるまでに福神漬けの準備をしておこう。


 七福神の野菜とか準備しておかなくちゃね!




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