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125話 みんなで巫女服を着る

 


 ◇◇レンside◇◇




 玄武の蛇のスネーアさんも交えて神社の鏡内の説明をしていく。


 とりあえずは社殿から案内することにした。こういうのはたぶん華憐の方が得意なんだと思うけど。


「ここは本殿ですね。一応この神社で一番大切なところです。ちなみに、この銅像はアマテラスって神様です」


 神社の仙人とスネーアさんの住居の扉を開けたらすぐそこは本殿。


 日本じゃ普段は入ることなんて出来ないけど、まぁここは日本じゃないし、そんな堅苦しいことはしない。


 神様に怒られるかな? いや、大丈夫か。ここの神様あまちゃんだし。一応ちゃんと御神体はあまちゃんにしたけど、メールすればすぐ返事かえってくるからあんまりありがたみがなぁ……。


 ブーーブーーブーーブーー!


 ブーーブーーブーーブーー!


 なんか、スタ爆が来た気がするけど気にしない。


「あっ! これがレン様と蜜月の関係であると噂のあまちゃんなる方からの秘密のやり取りですか?!」


 放置していたら、ミーナがそんなこと言い始めた。


「いやいや、誰がそんなこと言ったよ! 蜜月の関係なんかじゃないから!」


「え? ですが、カレン様が夜になるといつもレン様と仲良くしてる! って言ってましたよ?」


 それってあれだ……なんかここ最近のあまちゃん、初めてスマホ貰った中学生みたいに、真夜中の寝落ちするまで通話やらメールやらしてくるからだ。本当に神様なのか疑い深くなるよ。


「いいか? 仲良くしてるのは事実だけど、そんな濃密な関係じゃないからな? 普通の友達みたいなもの! むっつり華憐に感化されないで!」


 ここはしっかりと言っておこう。僕のことになると暴走しがちなミーナだ、おかしなことをしてくる可能性もある。


 ほんと、まったくあのむっつりは……今日の晩御飯、苦手なものでも出してやろーか。


「クスクス……レンさんは賑やかな人ですね」


 ちょっと、いつものようなノリでつっこんでたらスネーアさんに笑われた。なんていうか、こう初めての人にそんなこと言われると、さすがに恥ずかしくなってくる。


 あと、スネーアさん落ち着いた感じの人? 蛇? だから、なんていうか、空回りしてる気がする。


「ゴホンっ、すみません。案内続けますね!」


 仕切り直して、次は正面の拝殿にやってきた。


「えーと、まぁここは参拝者が拝礼をするところですね。それで、これが一応お賽銭箱、それと幣殿ですね」


 参拝者が来るかは分からないけど、神社だからね。ここら辺のものは必要だろう。もし来なかったら年末とかに僕が参拝すればいいしね。


 この世界に、年末に初詣とかの文化があるのか分からないけど、日本人としては世界は違えどしっかりと初詣はしたいところだ。


「なるほど、祠みたいなものですね。それならわたくしにもじいさんにも管理できそうです」


 僕が、この建物の目的とかをスネーアさんに説明すると、納得したように頷く。


 そういえば、仙人は神格化されていたんだっけ? それならスネーアさんも神格化されてるだろうから、自分の祠みたいのを持ってるのかもしれない。


「ちなみに、あの小さな小屋みたいのと、水がチョロチョロと出ているのはなんですか?」


 スネーアさんは砂利の庭の側に建てられてある建物と、レオの龍の姿の口から水が出ているものを指さして聞いてくる。


「あぁ、あれは御守りとかの販売所と手水舎ですよ」


「あっ、蓮くーーん! この建物何?! 神社?!」


 すると、橋の向こう側から華憐が手を振って駆け寄ってきた。アルカも一緒にいる。


「また本格的なの作ったね、あれ? その人は?」


「あなたがカレンさんですか? じいさんから聞いてます。わたくしは玄武の蛇のスネーアです」


「蛇? やっぱり蛇いたんだね! それがこんな綺麗な人なんて!」


 華憐も蛇がいると思ってたのか感動したようにスネーアさんの手を握って挨拶してる。


 そして、華憐は神社の中を見回すように鏡内を眺める。


「んー、何か足りないような……」


「足りない?」


「うん、ここに来る時なにか物足りない気がしたんだよね……あっ!」


「分かった?」


「蓮くん! 大事なのを忘れてる! 鳥居だよ! 鳥居!」


 華憐にそう言われて、僕も橋の方をみる。


「あ、ほんとだ。やってしまった……」


 やばい、ショックや。神社なのに鳥居を忘れてしまうなんて……。日本人として立ち直れない……。


「あと、巫女さん! 巫女さんがいないよ!」


 それは要らないんじゃって思ったけど、適任の人がいる。


「巫女さんはスネーアさんにやってもらおう!」


「わたくしですか?」


「そうだね! スネーアさんなら適任かも、蛇巫女さんだよ。さっそくお鶴さんに頼んで巫女服作って貰ってくる!」


 華憐はそう言うと、混乱するスネーアさんを置いてお鶴さんの元に向かった。


 まぁ、たぶん、巫女さんの説明は僕にしとけってことなんだろう。しょうがないからスネーアさんに巫女さんの仕事を教える。


 そんなに詳しいことは知らないけど、巫女さんのコスプレして鏡内の掃除してればいいんだよって感じでいいよね?


 それから、華憐に指摘された鳥居を作る。それと、スネーアさんの部屋を仙人の部屋の隣に作る。


 これくらいならそんなに時間をかけずにできるから、鏡内の入口に大きめのやつと橋のところにも小さめのやつを何個かつけておいた。


「スネーアさん、持ってきましたー!」


 しばらくすると、巫女服を持った華憐が戻ってきた。


「はい! これに着替えてください! みんなの分も作ってきたから一緒に着替えよ!」


 どうやら、作ってもらった巫女服は一つだけじゃないようだ。お鶴さん、仕事早くて頑張りすぎだと思う。


「蓮くんも神主さんの服作ってもらったから着替えてきてね! シャワンおじいちゃんの分もあるから」


「僕も着替えるの?」


「お〜~、わ~~し~~の~~も~~つ~~く~~っ~~て~~く~~れ~~た~~の~~か~~」


「もちろん! 蓮くんの神官の格好見てみたいもん」


「まぁ、それなら」


 僕と仙人も華憐から神官服を受け取って仙人の部屋で着替えることにする。


「んー、これどうやってきるんだ?」


「こ~~れ~~は~~、こ~~う~~じゃ~~な~~」


「仙人、着方わかるの?」


「あ~~あ~~、む~~か~~し~~き~~た~~こ~~と~~が~~あ~~る~~か~~ら~~の~~」


 へー、まぁウン億年生きてたら異世界でも神主の服を着ることもあるのかな? もしかしたらボケてるだけかもしれないけど。


 それから、仙人に手伝ってもらってなんとか着ることができた。本当に来た事があるのかもしれない。


 本殿の方に戻ってくると、すでにみんな着替え終えたようだ。


「あ、蓮くん! どう?」


 僕が戻ってきたのを一番最初に察知した華憐がその場でくるりと回って巫女服姿を見せてくれる。回る拍子に華憐の綺麗な黒髪が翻って、良くばえている。


「華憐が巫女服着ると、本当の巫女さんみたいだね! 似合ってるよ!」


「えへへ、ありがとう! 実は昔、神社でアルバイトしてたからね! 蓮くんもかっこいいよ!」


 華憐はそう、照れたように言う。てか、神社でアルバイト? なんか、動機が異世界に行けそうだからとかなきがするかさな。


「レン様、レン様! 私はどうですか?」


 ミーナも華憐と同じように袖を少し持ち上げてくるりと回って見せてくれる。


 ミーナの場合は、やっぱりエルフだからかコスプレ感が否めないけど、普段とは違った雰囲気があってなんだか新鮮だ。


「ミーナも似合ってる! かわいいよ」


「ありがとうございます! 襲いたくなります?」


 そんなこと言ってくる。


 ちょっと想像してみよう、こうちらっと魅惑な太ももが見えたり、袴がはだけて胸がちらっと見えて扇情的な格好になったり……エロい。


「な、ならないよ?」


「あ、今ちょっと想像しましたね? これは脈アリですかね?」


「む、蓮くん??」


「ない! ないからね!」


 なんでこう、女子ってそういうことに鋭いんだろうか、世知辛い世の中だ。


「…………ん、レン」


「期待。どう? 似合ってる?」


「ん?」


 すると、今度は僕の袖をクイクイっと引っ張られる。


 視線を向けると、少し小さめのミニスカート型のような巫女服を着たエリュとアルカがいた。


 ミニスカート型だと本当にコスプレみたいだけど、二人が着れば巫女見習いみたいな感じで可愛らしい。


「二人とも可愛いよ!」


「…………ん、嬉しい」


「絶賛。お父さんもかっこいい」


「おう、ありがと!」


 ちなみに、僕の袴は青色だ。正直こういう着物系はあんまり好きじゃないけど、たまにならいいかもね。


 スネーアさんも濃い青髪によく似合ってて、しっかりと巫女さんをやってくれそうだ。仙人も本場の神官に引けを取らないと思う。


「蓮くん、蓮くん、見て見て!」


「ん? おおっ!」


「おかえりなのじゃ! どうかな?」


「うん! 可愛い!!」


「わぁ! カレン様可愛いです!」


 華憐はどこから出したのか、キツネ耳とキツネしっぽをつけてコンコンしてた。控えめに言って結構可愛いかもしれない。ミーナもそう思うみたいだ。


 こう、どうやって動かしてるのか分からないけどピクッてしてる耳とか、フサフサして気持ちよさそうな尻尾とか。


「ん? 蓮はわらわのモフモフをモフりたいのか?」


 じーーっと見てたら、華憐がそんなことを言って尻尾をゆらゆらと僕の目の前で揺らしてきた。


 これ、触っていいの? お触りおっけい? いいよね?


 やはり、目の前でもふもふ尻尾を揺られたらたとえそれが偽物だろうとモフりたくなるもの、僕は真っ直ぐに手を伸ばす。


「ふゃっ! れ、蓮くん……」


「わぁ! 気持ちいい! セッテの尻尾くらい気持ちいい」


「ちょ、蓮くん! ひゃうっ! くすぐったい!」


「あぁ……」


 少し夢中になってモフモフしてたら、僕の手から逃れるように華憐が離れた。ちょっとやっかみすぎたかも。


「もう、まだ慣れてないからそんなに触られたらくすぐったいの! お触り禁止! ケモ耳封印!」


「あぁ……え? 無くなった?」


「「「え?」」」


 少し残念な気持ちで華憐の頭にあったキツネ耳を見てたら、突然なくなった。みんなも疑問に思ったみたい。


「華憐、ケモ耳は?」


「蓮くんがお触りするから消したの」


「いやいや、消したって、さっきのコスプレじゃないの?」


「ううん? ちがうよ、さっきのは私が作った魔法、『ケモ耳変身(モフモフになろうよ)』だよ! これはね、魔力で擬似ケモ耳とケモ尻尾を出すコスプレ魔法だよ、一応感覚もあるからほとんど自分の一部のような感じで動かせるの」


 そう言って、再びキツネ耳と尻尾を出す華憐。ピコピコ動いてるから本当に感覚が繋がってるんだろう。


 なんだそれ、完全に華憐の趣味魔法だな。魔力の無駄遣いと言われても仕方が無い。


「でも、いーなー、後で教えてね」


「しょうがないなぁー、それじゃあ、蓮くんがつけたケモ耳をモフらせてくれるなら教えてあげる」


「分かった、それでいいよ」


 ケモ耳とケモ尻尾が生えている感覚は気になるからね、それくらいならいいだろう。


「わぁ! レン様、私もモフらせて下さいね!」


「…………ん、私も気になる」


「同感。興味深い」


 みんなも言うので、約束をしておく。


 それから、みんなで巫女服を着た記念にスマホで自撮りをして、スネーアさんと仙人にこの神社の後のことは任せて、僕達は巨木な我が家へと戻った。


 スネーアさんと仙人には後できてもらって、みんなに紹介と一緒にご飯を食べることにした。


 今度はクルアやルカも巫女服を着せてみるのもいいかもしれないね!




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