123話 初心に戻って巣箱を作る
さぁさぁさあ!
受験が終わったぜー!
無事に浪人は無くなったぜー!
◇◇レンside◇◇
昼食を食べ終えたあとの休憩時。
「んふ〜〜♡ おいしい! 久々だよ〜」
「さすがレン様です!」
「フワフワね」
「……甘美で至福」
「わたくしのハチミツを使ってこんな美味しいものを作るなんて……」
女の子って甘い食べ物好きだよなー。上から華憐、ミーナ、クルア、ルカ、そしてチミさんたちのセリフね。
昨日はおじいちゃん亀のショワンさん……僕は仙人って呼んでる、とザリュさんが連れてきたジャイアントハニービーのチミさんが来た。
華憐がチミと命名したハチは朝起きるとハチミツ色の髪をしたお姉さんになってた、あとは背中からハチの羽を生やしたり触覚がついてたりする。
女王蜂なのか頭に王冠見たいのを被ってて妖精みたいなお姉さんだ。蜂だけど。
「………ん、おいしい」
「同意。おいしいは正義!」
「レン! これどうやってつくるのぉー?!」
「こんなにおいしいのいくらでも食べられます!!」
「レンお兄ちゃんおかわりーー!!」
「ピィナ! もっとゆっくり食べるプリ!!」
「ポム!! 人の心配してないで自分の心配するスラ! カステラ落ちそうスラよ!」
JCズからも結構好評。上からエリュ、アルカ、ハル、お初、ピィナ、ポム、ルンのセリフ。
オリアさんや天使三人組もいる。その隣ではアラティ、セッテ、ミライア、トーアたち四人組がお上品に食べてて、不死鳥の四天王の四人、レオレア姉妹etc……たちも美味しい美味しいって食べてる。
みんなが食べてるのは僕が作ったハチミツカステラ、それをみんなで試食中。自分でも食べてみたけど結構美味しかった!
ジャイアントハニービーのチミお姉さんは『蜂蜜生成』っていうスキルを持ってた。『蜂蜜生成』は花の蜜やチミお姉さんが食べたものから名前の通りハチミツを生成するスキルみたい。
そう、ハチミツだ。栄養たっぷり疲労回復、美容健康などなど効能たくさんのハチミツさん。調味料としてもいいよね!
僕は陸上部だったから、よくレモンのハチミツ漬けとかミカンのハチミツ漬けとか作ってた。
それで、せっかくだし何か作ろうと思って華憐の要望に答えてハチミツカステラを作ることにした。
カステラなんて作ったこと無かったけど、知識だけはある華憐にレシピを聞いていざ挑戦! さすが料理の才能を持つ僕! ふっくりフワフワあまあまカステラの完成!! って感じで今に至る。
チミお姉さん……あ、なんでお姉さんって呼んでるのかというと、まぁ見た目お姉さんなのもあるけど、それ以外に包容力があってなんかハチミツの甘さくらい甘やかしてくれるから。
カレールさんも包容力はあるけど甘やかすようなタイプじゃないからお姉さんって感じがしない、大人の女性って感じ。
今は二人でなにか話してる。さっき僕がカレーの隠し味にハチミツいいですよ! って言ったからかな? あの二人はなんか仲良くなりそう。
さて、今日はチミお姉さんと仙人のために巣箱と神社を作ろうと思う。エリュシオンに住んでくれるからね、僕からのささやかなお礼みたいな感じかな。
巣箱はいい、たぶん大きさにもよりけりだけど三十分で作れる。DIYも慣れたもんだね! 住居、僕が作る第一号はサザエさん宅にしようかな。
問題は神社のほう。神社なんて作ったことないしな……まぁ『想創』ならなんとかなるかな? 建物自体はそれで作って装飾は手ずからやることにするか。
「レンお兄ちゃん! おかわりーー!!」
「ピィナまだ食べるプリか?!」
「はいはい、ちょいまちー……あ、もうないじゃん」
「えーーー」
ピィナが心底残念そうな顔をする。しゃーないなー……。
「はい、食べていいよ」
「いいのっ?! やったー! ありがとうレンお兄ちゃん!!」
僕は自分の分のカステラをピィナにあげる。カステラの甘さに釣られて僕も甘くなったのかもなー。
カステラ試食を終えて、その場は解散。みんなそれぞれのやることをやりに行った。まぁ、やることと言ってもほとんどの人が城作りや家づくりに駆り出されてるけど。
さて、僕もやるべきことをやるとしよう!
いつも通りエリュを連れて今日は巨木な我が家の前の広場にやってきた。今日やることはさっき言った通りチミさんの巣箱作りと仙人の神社作りだけど、まずは簡単な巣箱作りから終わらしちゃおう。
「とりあえず、木だな」
「………ん、切る?」
「いや、ここはエルフたちが使ってるのを貰った方がよか」
「じゃあ、私の番ですね! すぐに頼んで持ってくるので待っててください!」
そう言って、木材置き場のところに走ってくミーナ。今日は、ミーナが一緒に着いてくるみたいだ。たぶん、華憐とルカはお城のほうでクルアはアブソリュートに絡まれてるのかな?
「「「わっしょい! わっしょい! わっしょい!」」」
「おらおらー! 声が足りないぞー!」
「「「やー! いえっさー!!」」」
なんか、暑苦しい声が聞こえてきてそっちを見てみると、
「………ミーナっていつからあんなキャラになったんだろうなぁ……」
「………ん? 前は違かったの?」
メガホンみたいのを手にして、木の板を運ばせてるミーナの姿が。
「そうだなぁ……あった初めの頃はもう少しお淑やかだったんだけどなぁ……」
エリュが知ってるミーナは、もう華憐に影響されてしまった残念なミーナなのか。え? 僕の影響も受けてるって?! またまた〜、そんなわけないじゃないですか!
「ストォォーーっプ! レン様、これくらいでいいですか?」
「うん、とりあえずはこのくらいで。足りなくなったらまた運んでくるから」
「分かりました! ヤローども! ご苦労だった! 持ち場に戻れえーい!」
棟梁ミーナの号令で、木材を持ってきてくれたエルフの男たちは「さー! いえっさー!」って言って戻っていった。
さて、持ってきてくれた木材の長さはだいたい僕の身長と同じくらい。チミさんの身長も僕と同じくらいだから、高さはこの板二個分くらいでいいかな。
大きさは日本の一般家庭のリビングくらいの大きさでいいか。
「よし! そうと決まれば、釘とトンカチ!」
僕は、『宝物庫』から釘とトンカチを出す。昨日の夜に作っておいたものだ。
「………むぅ、トンカチは武器。ハンマーに似ているから嫌」
すると、エリュが僕がトンカチを持つと露骨に嫌そうな顔をする。まぁ、予想通りの反応。しかし、
「エリュ、毎日洗ってあげるって約束した時、鍬とかの道具はおーけいって言った。トンカチは武器じゃなくて道具!」
「………………むぅ、分かった」
「分かってくれてありがと。とりあえず、はい!」
良かった。ちゃんと約束を守ってくれるみたいだ。渋々みたいだけど。そんなエリュに苦笑しながら僕はトンカチを差し出す。
「…………なに?」
「一緒に作ろうってこと。僕一人じゃ結構時間かかっちゃうし」
「あ! なら、私も手伝います! これでもエルフですからね! こういうのは得意です!」
まぁ、そう言うだろうと思ってたからトンカチは一応何個か作って置いた。そのうちの一つをミーナに渡す。
「エリュはやらない?」
「…………一緒にやる」
たぶん、トンカチを僕が使うのと自分が使うのが不満なんだろうけど、仲間はずれは嫌なのかエリュもトンカチを受け取った。素直じゃないなぁ、まったく。
「よし、とりあえず壁になるパーツから作ってこっか!」
「はいっ!」
「………ん」
まぁ、普段なら魔法でチョイチョイっとやっちゃうんだけど、たまにはこうやって魔法無しで初心に帰って何かを作るのもいいと思って今日は魔法は禁止にする。
今日の僕は大工になる!
トンカントンカン
トンカントンカン
三人でやれば随分と早く出来てきた。ミーナはエルフだから心配してなかったし、僕もそして僕の神気……<才能>の力を使えるエリュはしっかりとトンカチを振る才能も持ってるので失敗することなく順調に進んでいく。
もし、ここに華憐がいたりなんてしたら「あうっ!」とか、「あてっ!」とか、言って指にトンカチを打ち付ける姿がありありと浮かびそうだ。あの子不器用だし。
「ふぅ……なんとか、壁と床になるパーツは出来たかな」
「はい! 結構あっという間でしたね!」
「………ん、エリュのおかげ」
「そうだな、手伝ってくれて助かるよ」
とりあえず、パッとパーツは完成した。エルフたちが板と板どうしを繋げやすく組み立てやすくしてくれているのか、板と板が噛み合うように加工されてるから本当に思ったよりも早くできた。
「じゃあ、次は組み立てだな!」
「はい! 頑張りましょう!」
「………ん」
今度は三人で協力して壁を立たせて組み立てていく。
しばらくすると、だんだんと形になってきた。まぁ、ただ板で大きな正方形を作ってるだけなんだけど。
そうして、屋根を除いた壁と床ができた。
「レン様、レン様! 扉を作るの忘れました」
「あ、ほんとだ。やってしまった……」
おっと、ここで痛恨のミスが発覚。これは、バラしか? バラシなのか?! 否っ! こんな時のための剣精霊エリュシオン!
「エリュ」
「………ん?」
僕はエリュに右手を差し出して手を握る。エリュはよくわかってなさそうだったけど、僕のやりたいことは分かったのか、キラキラと姿を変えてロングソードになってくれた。
「よし、ミーナ。なにか、書けるもので大きさの目安を書いて」
「分かりました!」
ミーナはいつかあげた僕のボールペンで扉の形に線を書いてく。普通の巣箱みたいに穴でもいいかなって思ってたけど、チミさん人になっちゃったからね、扉の形のほうがいいだろう。
「レン様、書けました!」
「はいよー、じゃあエリュお願いね」
(………ん)
僕はエリュを構える。
「………はっ!!」
そして、ミーナの書いた線通りに、扉型に切った。
「ふぅ……エリュありがと」
「………ん」
「さすがレン様です! 剣筋が見えませんでした!」
ふっふっふー! まぁ、毎日稽古してるからね! こんなこともできるようになったのだよ!
「私が書いて、エリュさんとレン様が切る。なんだか夫婦の共同作業みたいですね!」
ん〜〜、ん? それはどうだろう……?
「まぁ、それは置いておいて、ちゃっちゃと屋根までつけちゃおう」
それから屋根を作っていって、なんだか箱じゃあ味気ないかなーって思ったから、普通の家みたいに斜めの屋根にしてみた。
「んー、木につけたらログハウスみたいになるね」
外見はそんな感じになった。中に入ってみると、
「真っ暗ですね」
「まぁ、外見家だけど、これハチの巣箱だし。灯りは要らないんじゃない?」
「それもそうですね。あとは、これを上に持ってくんですか?」
「そうだなー、それはピィナにでも……」
頼もうって言おうとした時、外から声がかけられた。
「お? レンか、これなに作ってるんだ?」
やってきたのは赤髪ロングヘア褐色肌のカレールと、
「レンさんですか?」
ハチミツ色の髪で背中に羽が生えているハチの幻獣種のチミさんだ。
たぶん、仲良くなったカレールがチミさんに巨木な我が家を案内してたんだろう。
ちょうどいい、せっかくだから見てもらって要望を聞こうかな。
「チミさん、今チミさんに言われた巣箱作ってるんですけど、どうですか?」
「わたくしのですか? そうですね……」
チミさんはまだ何も無い中を見回して、床が気になるのかポンポン飛んだり、壁をコンコンと叩いたりしてる。
まぁ、よく見てくれや、たぶんチミさんの仕事場はここになるんだから。
「……広さも申し分ないですし……はい! これで大丈夫ですよ! あとは、上に運んでもらえれば、わたくしの方で作っていきます」
よかった、特に不備はないみたいだ。本当にただの箱の中みたいな感じだけど、まぁ人間の僕に巣箱の内装がどんなのかなんて知らないしね。
「じゃあ、これを上に運んじゃいますね。ピィナにやらせるんで置く場所はピィナに指示してください」
ということで、カステラでお腹が膨れたのか、すやすや眠ってたところ悪いけど、ピィナとニワトリライダーのポムに起きてもらって巣箱を運んでもらった。
木の枝に乗っかった巣箱は、まぁ強風が吹いたら落ちそうだけど、それはチミさんが何とかするだろう。さっそく、どこからか何かをとってきて作業を始めてるし。
実にログハウスみたいな巣箱が出来上がった。
こんばんは。もしかしたらこんにちは?
久々の登校だからなんだか緊張しました。
久しぶりに書いたものだからもしかしたら語彙力とかが低下してるかも……まぁ、そもそもそんなに文章書くのを上手いとも思ってないですけど。
けれど、なるべく早くレンくんやカレンの感覚を思い出して、面白く書けるように頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
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三人称視点で書いてみようと思ったものです。よろしければこっちも読んでみてください!




