118話 命名エンドレス
今、僕の前には折り鶴たちに名前をつけた時のように、一列に並ぶ鷹とクジャクとコンドル。
それを整列させる鶴。
うーーーん、インスタ映えしそう……写真撮っとこう、パシャリ。
「えーーと、あなたは……んーー『アヤタカ』、あなたは……えーとーーにごりほのかから『ホノカ』、あなたは……」
華憐は必死に名前を考えてる。
今、緑色の鷹にお茶の名前付け始めた……まぁ、イメージとしてはあってるからよしとしよう。
さすがに、コロッケたちの時みたいにお惣菜シリーズを増やし始めた時は止めたけど。
「そうだなぁ……あなたは『ヨシダ』ね! あなたは『ソウトウ』! あなたはーー、『フィリップ』!!」
ん? あ……ちょっとまてーーーーい!!
ヨシダ、ソウトウ、フィリップって、鷹の〇団の人達じゃなかった?!
「なぁ、華憐……それはパクリか?!」
「違うよ蓮くん! この人はそういう顔してるの! れっきとした私が考えた名前だよ!!」
ええー、、ほんとかなぁ?? 怪しいことこの上ない……華憐、仮面ライダーとか見てたみたいだし。
それから、華憐はテンポよく『命名』していく、時折怪しくて危なそうな名前を付けるけど、ギリグレーかな?
『命名』された鳥たちは折り鶴の人に従って、ルンが掃除してるホテル部屋に向かって、擬人化の眠りにつく。
ちなみに、やってきた鳥たちは64匹いて内訳は、燃え鷹が20匹、幻影クジャクが20匹、鋼コンドルが20匹、新しい折り鶴が4匹って感じ、オスメスは半々くらいで子供は全鳥6匹くらい。
新しい折り鶴たちはお鶴さんの元部下らしい。
お鶴さんって何者なんだろうって思い、聞いてみたところ、お鶴さんと古い友人の3匹は昔にフェニックス様とやらに仕えていて、不死鳥の四天王とか言われてたとか。
フェニックス……そんなのまでいるのか……
フェニックスはお鶴さんによると、結構昔にお鶴さんたちに自由にするよう言ってからどこかへ旅立ったらしい。
というか、お鶴さんは不死鳥の四天王とか呼ばれてたの? まぁたしかにお鶴さん強いけど……
そう、お鶴さんは折り鶴で生産系の鳥だけど強い。
硬糸と粘糸などを駆使して操糸術でこの辺りの魔物と戦ってるのを見たことある。
それをフェニックス様とやらに見初められてスカウトされ折り鶴ながらも不死鳥の四天王になったとか。
つまり、新しく来たお鶴さんの友人の3匹もお鶴さん並に強いと言うことか、結構な戦力増加だなー。
まぁ、それ以外にも人手が増えるのはすごく助かる! なんてったって今は建設ラッシュだからね! しかも飛ぶことが出来るため大助かりだ!
「レン、話があるスラ」
僕が華憐の名付けをぼんやり監視してるとルンがやってきて話しかけてきた。
「んー? どしたん?」
「ホテル部屋があと20個くらいでいっぱいになるスラ、いっぱいになったらどうするスラ?」
ほー、もうそんなに埋まるようになったのか!
たしか、ホテル部屋は61階から80階の20フロアでワンフロアにつき10部屋くらいの数に今はそれぞれ一人一部屋ずつ使ってるからもうすぐでここに住む人は200人を超えたわけか!
確かに、今回とエルフの難民を受け入れたことで大量に人が増えたからな、120人は増えたのか?
「うーーん、そうだな、住居が出来ればいいんだけど、まだ出来そうにないしな……一部屋に二人で生活出来る?」
「部屋のスペース的には問題ないスラがベットとかがないスラ」
「なるほど、ならエルフの人達に頼んでベットや家具を必要な分作って貰って、相部屋OKな人からプチ引越しをしてもらおう」
「わかったスラ、そういうふうにしていくスラ」
ルンが城作りをしてるエルフたちの元に向かう。
うーーん、ザリュさんも今は誰かを呼びに行ってるみたいだし、これ以上増えたら住めるとこなくなりそうだから、住居作りも並行してやってくか、結構人数も増えたしできるだろう、アーゼさんに相談だな。
そんなこと考えているうちに華憐の『命名』は終わった。
さすがに64匹もの名前を考えるのはきつかったみたいでぐったりしてる。
「華憐、おつかれー」
「カレン様、素晴らしい名前をありがとうでありんす、みんなも喜んでたでありんす」
「あっはは、そっか……それなら、考えたかいもあったっても……の……だよ……」
あ、華憐が倒れた。
頭パンクしたんだなぁ……
ここで、つけた名前を紹介したいところなんだけど、さすがに僕も64匹もの名前はまだ覚えてない。
てことで、
「お鶴さん、また名前入りTシャツを今日来た全員分お願いできますか? あと、明日の朝それを着て大ホールに集まるように伝えてください」
「はい、分かりましたでありんす」
「お鶴さんも帰ってきたばっかりなのに、大変なこと頼んでごめんね」
「いえいえ、私が連れてきたもの達ですし、服を作ることは私の本職ですので気にしなくていいでありんす」
うーーん、お鶴さんは大人だなぁー。
そんなこと思いながら、どんな見た目で擬人化するんだろうとちょっとワクワクしながら明日の朝を待つことにした。
………………………………………………………………
次の日。
僕は朝起きて準備をして大ホールに向かう。
燃え鷹と幻影クジャクと鋼コンドルの人達と挨拶するためにね!
「………レン、楽しそう」
「ん? そりゃー楽しみだよ! なんだかんだ僕も何かが擬人化するって結構テンション上がるんだよね」
「………私はちょっと不満、またレンに言いよる奴がいたら私が教育する!」
言いよるやつって……まぁ、自分で言うのもなんだけど昔からモテるほうではあったからなー。
でも、なんでもないのに一目惚れじゃない限り、好きになったりしないでしょー。
「あ、蓮くんおはよう!」
「挨拶。お父さん、おはよう」
「レン様、おはようございます!」
「おはよ」
「レンもあの暗黒の夜を生き延びることが出来たのか……祝福してやろう」
「おう、みんなおはよう」
大ホールの途中で華憐たちに会った。
そのままみんなで大ホールに行くと、赤とか青とか緑とか、カラフルな頭をした人達がたくさんいた。
お鶴さんやひろしさんたち折り鶴が整列させてる。
鳥類の人達はみんなあんな感じでカラフルなのだろうか?
そんなこと思いながら、僕は朝礼台みたいな台の上に立つ。
そして、そのまま待つ。
みんなが僕に気づき出した。
けれどまだ待つ。
何か話してる人たちも僕に気づき視線を向けてくる。
まだまだ待つ。
みんなが僕の方向いたかな?
よし、では……
「えーー、みなさんが静かになるのに七分かかりました。えーー、これからもっと早くなれるように努力しましょう。」
僕は渋い感じに声を出す。
「「「「「…………………………………」」」」」
「………ブッ! あっ」
華憐だけが吹いた。
華憐さんや、笑うならもっと豪快に笑っておくれよ、僕が滑ったみたいじゃないか!
まぁ、滑ったんだけど。
それにたぶん、華憐は滑った僕に対して笑ったんだろうな……
「あー、うん、今のは忘れて? はい! とりあえず、おはよう! みんな見た目すごく変わったなー、それで誰が誰だかわかんないから挨拶してもらおうと思う、そのために集まってもらった」
僕は台の上からみんなを見回す。
うーーん、実にカラフル!
「それじゃあ、それぞれの種族のリーダーからよろしく頼むよ、まずは燃え鷹から!」
「ならば俺から名乗らせてもらおう!」
僕が指示を出すと、赤髪を靡かせ一人の青年が前に出る。
「俺はカズナリだ! よろしく頼む、レン様!!」
元気いっぱいに挨拶してくる青年、お鶴さんの同僚で燃え鷹のリーダー、カズナリ。
なんか熱血系っぽいね!
なぜ、この名前かと言うと、華憐から聞いたら『黒〇のバ〇ケ』の高〇和成からとったとか、ホークアイの使い手だね! けど、鷹ってイーグルじゃなかった??
「では、次は私が! 我が名はアシタカ! カズナリさんの一番弟子である!」
と、これまた赤髪の青年。
そのうち『ヤックルー!』とか叫びそうだ。
というか、燃え鷹の男たちはみんな赤髪だ、シャ〇クスみたいのがわんさかいる。
次に挨拶してきたのが、多分燃え鷹の中で一番の年長者の『ソウトウ』。その息子の『ヨシダ』と『ボサツ』と『トウゲ』、ボサツとトウゲは子供だ。
あとは、『レオナルド』、『アンソニー』、『フィリップ』、『デラクシス』。
華憐が付けた名前は紛うことなき『鷹の〇団』っぽい名前だ、もうちょっとなんかあっただろうに……
ボサツとトウゲは何故か紫の髪だが、残りはみな赤髪。
計燃え鷹の男性たち10名。
「それでは、次は私が。私はアヤタカです。レン様、このあとお茶にしましょう」
と、次に挨拶してきたのが黄緑色っぽい髪色の女性。
最後に言ったお茶にしましょうは名前が名前だから言ったのだろうか?
それから、燃え鷹の女性陣が挨拶してくれる。
華憐が最初に付けたのがアヤタカだったため、他の人たちもお茶の名前が多い。
まず、にごりほのかからかな? 『ホノカ』さん。
きっと一番人気のお茶からだろう『ソウケン』さん。
アヤタカさんも入れたこの三人が燃え鷹女性陣で歳上層だ。
次に、大学生くらいの見た目の人達が『ハトムギ』さん、『ウーロン』さん、『ジャスミン』さん。
最後に子供たちで、『イエ』ちゃん、『トク』ちゃん、『ヤメ』ちゃん、『メグ』ちゃん。
イエちゃんはたぶん伊右衛門、トクちゃんはたぶん特茶、ヤメちゃんは八女茶、メグちゃんは巡茶からだろうな。
そう、燃え鷹の女性陣に華憐が付けた名前は全員お茶シリーズだ。
まぁ、実際みんな髪の毛お茶の色だからな。
男性陣10名、女性陣10名、計20名が燃え鷹の人達だ。
「次はうちがやるか! レン様ー! 私は幻だ! おぼいておいておくれや!」
レオと気が合いそうな青髪の女性、幻影クジャクのリーダーでお鶴さんの同僚の幻さん。
『幻』と書いて『まほろ』と読むから、痛シャツにドンッとでっかく『幻』!! って書かれてる。
幻影クジャクはみんな羽を広げた時の色がカラフルだったから色々な髪色の人がいる。
緋色の髪の『幻香』、桃色の髪の『幻美』、菜の花色の髪の『幻菜』、水色の髪の『幻季』、黄銅色の髪の『幻乃』、薄紫色の髪の『幻音』、藍色の髪の『優幻』、薄緑色の髪の『海幻』、薄赤色の髪の『亜幻』。
優幻と海幻と亜幻は子供だ。
みんなそれぞれ挨拶をしてくれる。
「では、次は某が失礼する。某は幻庵である、以後お見知りおきを」
たぶん、幻影クジャクの人達の中では一番の年長者の幻庵さん、髪の毛は………ない。
なんか、お坊さんみたいな人だ。
そして次に、
「ヒャッハー! 俺様は幻志だ! よろしく頼むぜ、レン様!」
「おおう! 血が滾るぜ!! 俺様は幻十郎だぜ! レン様!!」
「こっちみてくだせぇレン様! 俺ァ幻太だ!」
あ、ちょっと目線逸らしてたらバレた。
赤、白、黒の髪の毛を世紀末ヤンキーみたいなモヒカンにした青年たち、頭の色はパトカーカラーなんだけど、日本だったらあんたらが捕まりそうだわ。
というか、幻影クジャクの男達は幻庵さんと子供たちを除いて皆こんな感じだ。
桜色モヒカンの『幻人』、小豆色モヒカンの『幻弥』、草色モヒカンの『幻夢』。
なんで幻影クジャクの青年たちはこんな感じになってしまったのだろう……もしかしてリーダーがヤンキーっぽいからだろうか? 幻夢なんて頭から草生えてるようにしか見えん。
子供たちは大丈夫だ、ちゃんとした髪だ。
瑠璃色の髪の毛の『真幻』くん、褐色の髪の『正幻』くん、人参色の髪の『聖幻』くん。
いいか、君たちはあんな髪型にしたらダメだぞ!!
華憐は幻影クジャクたちはみんな名前に『幻』の文字を入れたみたいだ、まぁ分かりやすくていいかもね!
幻影クジャクも女性10名、男性10名の計20名だ。
「それじゃあ、最後にわしらコンドルが挨拶させてもらおう、レン様! わしはストラトス! 鋼コンドルのリーダーだ!」
ストラトスさん、お鶴さんの同僚の人だ。
鋼コンドルの人達はみんな茶髪で鋭い目付きをしてる、なんか常に獲物を狙ってるみたいだ、ちょっと怖い。
華憐になぜ、ストラトスって名前にしたのか聞いたところ、鋼コンドルは本当に結構なスピードで飛べるらしく、そこからスーパーカーの名前を付けたらしい。
だから、鋼コンドルたちの名前はスーパーカーシリーズだ。
男性が『カウンタック』さん、『ボーラ』さん、『パンテーラ』さん、『マングスタ』さん、『セルジオ』さん。
女性が『ミウラ』さん、『セナ』さん、『レヴィン』さん、『ラフェラ』さん、『ヴェネーノ』さん、『フェニア』さん。
みんなやっぱり鋭い目付きをしていて、なんだか強そう。
子供たちは燃え鷹、幻影クジャクと比べると多くて、『ゾンダ』くん、『エドニス』くん、『ディーヴォ』くん、『レゲーラ』くん、『ヘネシー』ちゃん、『エアロ』ちゃん、『シロン』ちゃん、『ウアイラ』ちゃんの8人。
まぁ、やっぱりちょっと鋭い目付きをしてる。
というか、華憐はなぜにスーパーカーの名前なんて知ってたんだ?
男性が10名、女性が10名で計20名。
こうして全員の挨拶が終わった。
三種族合わせて60名、名前覚えるの大変だなぁ……。
そんなこと思ってると、
「レン様! 俺たちはレン様に聞きたいことがある!」
「そうだね、うちらはこれからあんたにつかえるんだ」
「うむ、ゆえにお鶴から聞いたのだがレン様はフェニックス様と同様に神気を使えると聞いた、そしてその神気はフェニックス様を超えるという、ぜひ見せていただけないだろうか?」
と、三種族のリーダーたちが前に出て言ってきた。
なるほど、僕の力を見たいってことか、まぁ強い人に従うって野生のルール的なやつかな? いいだろう見せてあげるか。
「いいですよー」
あ、そうだ、フェニックス様とやらがどんな存在だったのかは分からないけど、たふん炎の不死鳥だよね! なら僕も炎を纏ってみるか!
「それじゃあ! 『神気解放:才気活発』!!」
僕の髪が金色になって眼が赤くなり、赤金色のオーラが吹き乱れる、ついでに義手の左腕に魔力を流し、炎を纏う。
レオの鱗から作ったからか、魔力を流すと僕も左腕だけ炎が纏えるようになっていた。
「おお!!」
「まじかよ……」
「これは、確かに……」
三人はなんか感動したように膝を着いた。
何故か、お鶴さんたち折り鶴も三種族の隣に並んで膝をつく。
ちなみに、お鶴さんが連れてきたお鶴さんの部下は男性2名が『お陰』、『お雷』、女性2名が『お陽』、『お雪』で4人ともお鶴さんと同じでエリートみたいだ。
もういいかな? いいよね? 神気解放疲れるんだよ!
僕は神気解放を止める。
「これで力は示せたかな??」
「「「「はい! 我ら不死鳥の四天王、レン様を主と認め仕え、御身のためにこの身を捧げることをここに誓います」」」」
え?! なにこれ?! 僕こんなの知らんのだけど?!
華憐たちの方を見てみると、華憐たちも何が起きてるのかわからんって顔してる。
まぁ、察するに、フェニックス様とやらに仕えていた時の挨拶みたいなものかな?
「それじゃあ、これからよろしくね!!」
「「「「はっ!!」」」」
なんだか、偉い人になった気分だなー!!




