11話 衣服問題
◇◇レンside◇◇
「レンにーちゃん、早く早く!」
「ちょっと待ってろー」
コロッケに催促されて僕は魚の塩焼きを焼いていく。
魚を焼くことももう慣れたものだ。美味しく焼けましたー♪ って、ハンター家業もやって行けるかもしれない。
「ほらほら、そんなに顔を近づけると火傷するからもう少し離れて」
コロッケたちはそんなにハラヘリータなのか、知らず知らずのうちに顔を近づけてくから、ちゃんと注意しておく。
ヨダレをジュるって垂らす姿は確かにクマだな。
「はいよ、もう食べていいよ」
「やったぜ!」
「美味しぃー!」
「いただきます」
許可を出してあげると、三人は競争するように食べていく。そんなに急がなくったって誰も取りはしないのに。これも、クマだった習慣みたいなものなのかな?
「蓮くーーん!」
僕も焼き魚を食べてると、どこに行ってたのか森の中から出てくる。
華憐さんがどこから見つけてきたのか大きな葉っぱと里芋のような実を持ってきて戻ってきた。
「蓮くん! みてくださいお化け並みの大きさの里芋です!」
やっぱり里芋みたい、あの葉っぱ里芋のだもんね。ひと一人包めそうだけど、てかあの大きさを担いでくるのは結構力持ちだよねワイルドだなー。
「なんだか、サバイバル生活が板に付いてきたなぁー」
「はい? なんですか?」
おっと、心の声が漏れてしまった。
「いやー、なんでもない、それどうしたの?」
「蜘蛛いないかなーって探して向こうの方行ってたらみつけました」
「えー、蜘蛛はいいよー、いらない! てか、危ないからあんまりブラブラしないほうがいいよー」
本当に華憐さんはオタクだったのだろうか……男の僕よりサバイバルしてる気がするよ。
華憐さんに塩焼き川魚を渡して、僕は里芋の葉を見てみる。
本当に大きな葉で、触ってみると意外とツルツルで引っ張ったり破こうとしても結構丈夫、これなら簡素だけど大事なとこを隠すくらいなら何とかなるかも。
それから家からロープと錐を持ってきて、もちろん錐は鉄グマ製、葉っぱを適当な大きさに切り、錐で葉っぱに穴を開け、穴にロープを通してみる、ロープの端と端を結べば、
完成! 蓮さん特製簡易ミニスカート!
「ハルー、こっちおいでー」
「なにぃー?」
ハルマキのことは、なんか春巻だと可哀想だからハルって呼ぶことにした。
ハルの腰にさっき作った里芋の葉ミニスカートを着せてやる、あと同じ要領で作った胸隠しも、すると、
「うん、なんだか妖精さんみたいで可愛いねー」
「えへへー、ありがとぉー!」
ハルは花が咲くようににっこりと笑う。なんだか、妹ができたみたいだ。
あぁ、でも僕には妹なんていなかったからどちらかと言うと、仲が良かった後輩のことを思い出すな。あの子小柄だったから、元気にしてるかなぁー。
「あ! ハルマキだけずるいぞ!!」
「はいはい、ちょっとまてまて」
コロッケとポテトの分も作ってやる、腰巻きみたいにしたやつを着せてやると、なんだか民族衣装みたい。コロッケに妖精さんはないな。
まぁ、もともと野生児みたいなもんだったしね、それにクマのときは素っ裸と同じだったから服を着るということが新鮮みたいだ。
「なぁ、なんでハルだけ胴体のがあるんだよ! ずるいぞー!」
「いや、お前男の子だろーに、胸当てなんているか?」
服という概念を知らないから布面積? 葉面積? が多い方がいいと思ってるのかな?
僕はコロッケにそこら辺の諸々のことを教えてあげる。人間とクマの常識が違うと色々と苦労しそうだ。
「やっぱり蓮くんはなんでも作れますね!」
「華憐さんのぶんも作ってあげようかー?」
「わ、私はあれはちょっと露出多すぎません……?」
「贅沢いうなよー、葉っぱなんだからー、それに水着みたいなものだし」
「うんー、じゃあお願いします」
華憐さんのぶんも作ってあげた、ちょっと葉っぱ部分多めで。
なんだかんだ簡易衣服を受け取った華憐さんは作ったかまくらへいそいそと着替えにいった。
「ど、どうですか……?」
「おおー、可愛いよ!」
華憐さんがモジモジと着替えて出てきた、肌色部分が多めの華憐さんはスラリとしていて綺麗なお腹、前に水浴びを覗いちゃった時も思ったが、着痩せするタイプだったのか意外と胸も大きい、出るとこはしっかりと出ている。
「は、恥ずかしいです……」
うん、恥じらってるのがなんとも可愛らしい。
でも、サバイバル生活にむいてるとは思えない格好だな。虫に刺されるかもしれないし。
「じゃあ、はい! これでも羽織っときな」
「ありがとうございます」
僕は制服のブレザーのジャケットを貸してあげることにした。自分の分はまだいいや。川入ったから寒いし。
さて、これでまぁ、衣服問題は一応何とかなったかな? 今度は布を見つけたいところ。




