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115話 三人でお風呂掃除

 


 ここ最近、久しぶりに学生に戻った気分で私は結構テンション上がってた!


 教科書も作ったし、折り鶴さんたちに頼んで生徒、教師衣装も作ってもらって、一部屋を教室風に改造した。


 設定は昭和の授業とライバル生徒関係! 蓮くんは分かってなかったみたいだけど。


 だけど、それも今日で終わり、アーゼさんから大体のことは教わってテストも満点をとって合格。


 一応、私も進学校ですから!


 明日からはみんなと一緒に城や住居とかを作っていく。


 けれどその前に、


「よし! 最後のお風呂掃除頑張るぞー!!」


 そう、今日は最後のお風呂掃除、私がひよこにピィナって名前をつけて隠してたのがバレた刑で1ヶ月お風呂掃除になったんだけど、夏は暗黒界に行ってルカを助けたり、レオさん襲来などがあったせいで延期延期となって、今日でやっと1ヶ月分のお風呂掃除が終わる。


 確か、蓮くんとミーナも今日でお風呂掃除の刑は終わりのはず。


 まぁ、でもルンちゃんが『お風呂掃除しなくてよかったから楽だったのに、またルンがこれからやるスラか……』って、ボソッと言ってたからたまには手伝ってあげよう。


 そんなこと考えながら、お風呂のドアを開けて中に入ると、


「さぁ! レン様行きますよ!!」


「いつでもいいぞ! 負けないからな!!」


「位置についてーーーー、よーーーい!」


「「どんっ!!」」


「はっはー! ミーナ、おっそーーい!!」


「むむむむむぅ!! まだまだこれからです!!」


「……………2人とも何してるの??」


 なんか、蓮くんとミーナが石鹸の上に乗ってアイススケートならぬ石鹸スケートをしていた。


 お風呂の床を、姿勢を下げて腕を右に左に振りながら結構高速で滑ってる。


「あ! カレン様! 世紀の大発見ですよ! 石鹸はこんなにも面白いものでした!!」


「おおー! 華憐も一緒にやる?」


 いい笑顔で私のことを誘ってくる蓮くんとミーナ、そんな子供みたいなこと私が……私が……私もやるに決まってるじゃん!! だって面白そうだもん!


「やる!!」


「おお! そう来なくちゃ!!」


「レースしましょう! レン様には勝てませんがカレン様には負けませんよ!!」


 それから、蓮くんとミーナに石鹸の乗り方を教えて貰った。


 最初は上手く乗れなかったけど、少し練習したら安定して乗れるようになった。


 コツはスケートやスキーと同じく足を八の字! 滑る時はイレブンの形でいち、に、いち、に、とペンギン歩きで滑れる。


 これを高速でできるようにして、ある程度早く滑れるようになり、ミーナとレースをすることになった。


「さぁ! もうすぐ始まります、第一回石鹸スケートレース!! 実況、解説、審判は石鹸スケート界の伝道師、雨宮蓮がお送りします!」


 蓮くんがブラシのスタンドマイクを片手にテレビでよく見る解説の人をする。


「それでは選手の紹介です! ひが~〜し〜〜、華憐の山~、に~〜し~〜、ミーナの海~〜」


 蓮くん、それは相撲の選手紹介じゃない??


「解説の蓮さん、この試合どうみますか?」


「はい、そうですね、ミーナの海は古参のベテラン選手でバランス型やはり安定した滑りを見せてくれるでしょう、華憐の山は最近石鹸スケート界に入ってきたばかりのニュービーで、力強い滑りか特徴なパワー型であるので、ニュービー華憐の山がベテランミーナの海の滑りの安定さをいかにして崩すかが勝負の分かれ目でしょう、おや? レースが始まりそうですね、楽しみです」


 蓮くんが一人で二役をやって、一人芝居をしてる、解説の蓮くんは正直何言ってるのか分からない。


「ピッピッピッピッ、ピーーーーーッ! On your mark」


 審判の蓮くんが右手をあげる。


「set…………パァン!」


 そして、思いっきり振り下げて口でパァン! って言ってスターターを務めた。


 私はスタートと同時に滑り出す!


 スタートは順調! そこからパワー型の名を恥じぬよう一歩一歩力強い滑りで加速する。


 ミーナは私の少し前を滑ってる、さすがはベテラン! だけど、負けないよ!!


「始まりました第一試合! スタートはお互い快調! ミーナの海が少し前に出てる状態です! もうすぐ1つ目のコーナーです」


「えぇ、しっかりとスタートを取ってくる、流石はベテラン選手と行ったところですね、華憐の山はこのコーナーで並列にはなりたいところです」


 解説の蓮くんの言うコーナーに入る。


 私はさらに力を入れて加速、無理やり内側に入り込んだ。


「なっ! やりますねカレン様! でも、まだ負けませんよ!!」


「おおっと! 華憐の山仕掛けてきた! ミーナの海も負けじと持ち前の安定性で減速せずスピードを保つ!」


「華憐の山はいい判断ですね、パワー型の力を存分に発してます、フィジカルが強いですね、山のようです」


 ちょくちょく入ってくる蓮くんの解説がちょっとウザイ! 解説と実況で声を変えてくるから尚更!!


 そのまま私が先頭で最終コーナーに入り最後の直線になる、そこでミーナがスピードを上げてきた。


「さぁ、最後の直線です! ミーナの海がグングンとスピードを上げる! 華憐の山、逃げ切れるか?! 接戦! 接戦だァーー!!」


 そして、ゴールまで残り10メートル近くでミーナに抜かれた。


「なっ!」


「カレン様! まだまだでしたね! ベテランにはかてな……わあああああ!!」


「おおっと! ミーナの海、最後に抜いたと思ったらよそ見! 転倒です! 油断大敵です! そのまま華憐の山がゴーール!! 勝者は華憐の山です!!」


「いやぁ、今のは有り得ませんねぇ、相手をニュービーだと舐めていたのでしょうか? ミーナの海はベテラン選手失格でしょうねぇ……」


「そ、そんな……私のばかやろう! です!!」


 こうして第一試合は私の勝利で終わった。





 ………………………………………………………………





「さぁ、第一試合の興奮が収まらぬ中、第二試合を始めたいと思います!! 実況、解説、審判はアマミヤレン様に変わりましてミサナリーナ・アタラクシア・ハルツィナがお送りします!」


 第一試合が終わったあと、少し休憩し、すぐに第二試合がはじまる。


 第二試合の対戦相手は蓮くんだからミーナが実況、解説、審判になった。


 あの子に審判はともかく実況と解説ができるのかな?


「それでは、出場選手を紹介します! 第一試合にミーナの海に勝利し、その頭角をメキメキと出してきているニュービーかーーーーーれんの海ぃぃぃぃーー!!」


 ミーナの選手紹介はプロレスみたいだ。


「そして、対戦相手は! 我らが石鹸スケート界のレジェンド!! スピード型のレーーーーーーンの空ァァァァ!!! きゃーーーー! レン様ーーーー!!」


 ちょっと実況?! 選手紹介に差別がありませんか?!


「ふっ、ニュービー華憐よ、良くぞここまでのし上がってきた! 争うからには全力で行かせてもらう!」


 蓮くんが腰に手を当てて胸を張って言ってくる。


「の、望むところだよ! 蓮くん!!」


「チッチッチッ、レジェンド蓮の空と呼べ!」


 え、ちょっとウザイや。


「解説のミーナさん、この試合どう見ますか?」


「そうですね、レン様が一位! レン様が最強! レン様が最速です!!」


「そうですよね! レン様が勝つに決まってます!!」


 ちょっと解説! 実況!! ちゃんとやって!!


「それでは、レースを始めます、選手はスタート位置に着いてください」


 よし! 蓮くんには勝てる気はしないけど、がんばって着いてくぞ!!


「それでは、見合って見合ってーーーーー」


 え?! え?! なんでここは相撲なの?! カオスすぎるよ!!


「のこった!!!」


 なんだか、気が抜けるスタートを聞いて、私は滑り出す。


「さぁ! 始まりました第二試合! おおっと、いきなりの大展開です! レン様の空が腕を組んだまま動きません! カレン様の山からどんどん離される、一体どうしたんでしょう! レン様ー! 負けないでー!」


「あ、あれは……レジェンドの技が……でます!」


 え?! 蓮くん?!


 私は蓮くんの方を見てみると、石鹸の上に仁王立ちしたまま一歩も動いていないみたいだった。


 まさか……舐められてる?! と、思った時蓮くんがニヤッと笑った気がした。


 そして、


「うそっ!!」


 スピード型の名の通り私の何倍もの速さで滑り出した。


「おおっと! レン様の空、滑り出しました! すごい速さです! カレン様の山とどんどん距離が縮まってきます!! レン様がんばってー!」


「さすがレジェンドのレン様です!」


 ちょっと解説と実況の人! 蓮くんにだけ贔屓しすぎだよ!!


 私は、追いつかれないように全力でスピードを出す。


 けれど、それがいけなかったのだろう、石鹸を制御出来なくてすごいスピードのまま、お風呂の壁に突っ込みそうになる。


「きゃあーーー!!」


「華憐! 危ない!!」


「カレン様?!」


 私は壁が目の前に迫ってきて、ギュッと目を瞑る。


「きゃーー! えっ?」


 けれど、いつまで経っても壁にぶつかる衝撃は訪れなかった。


「あっぶねー……間一髪だったね」


 瞑っていた目を開けると、金髪赤眼の蓮くんが私のことを支えてくれていた。


「カレン様! 大丈夫ですか?!」


「うん、大丈夫だよ、蓮くんありがとう!」


 ちょっと名残惜しいけど、お礼を言って蓮くんから離れる……筋肉質でかっこよかったなぁ……


「レン、カレン、ミーナ、お風呂掃除は終わったスラか? なんだこれスラ……」


 更衣室のドアからルンちゃんがやってきた。


 あ、今気づいたけど浴室の床、泡だらけだ……


「………汚物、これは一体どういうことスラ?」


 ルンちゃんが右腕をスライムに変えて蓮くんを拘束する。


 スライムってあんなことできるの? 便利だなぁ……


「え、えーと、ね、そのこれこれがこうで楽しくなっちゃって……」


 蓮くんがルンちゃんに何をしてたかをポツポツと話しだす。


 ルンちゃんはどんどん呆れた顔になっていった。


「判決、被告人汚物、カレン、ミーナは有罪スラ、お風呂掃除1ヶ月延長スラ!! ちゃんとこの泡洗っておくスラよ!!」


 裁判長ルンちゃんは無慈悲な決定を下して、ずんずんと更衣室に戻っていった。


「や、やっちゃいましたね……」


「で、出来心だったんだ……」


「ま、まぁ、またこれから1ヶ月よろしくね?」


 こうして私たちのお風呂掃除はまだまだ続きそうです。

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