114話 国づくりスタート!
家に帰ってきて数日間がたった。
エルフたちは最初のころはエレベーターの使い方とかが分かってなかったみたいだけどもう慣れてきた。
そして、お風呂となんと言っても料理がとってもおいしいと全員が言ってた。
レアやレオにも部屋を与えてここに住んでる、僕達に対する謝罪のために来たはずなんだけど、レオがレアにここに移住しようと言ってるのを最近耳にするようになった。
移民募集中だからここ住んでくれるのはまったくもって問題ないんだけど、むしろウェルカムなんだけど、伝説の幻獣種がいるってどうなんだろう?
まぁ、コロッケたちも厳重にいえば幻獣種であるからいまさらか。
僕はここ数日、華憐とアーゼさんと国づくりにおいての基本方針などを決めてる、国民問題の次のね!
アーゼさんはここに来てすぐにその元王様としての手腕を見せてくれた。
まずは地理、地図が欲しいということだが、こんなところにそんな大層なものは無かったため、華憐の『飛耳長目』でこの辺りの地形を見て描くことにした。
この辺り、辺りっていうほど狭くはないけど、ぐるーーーっと一周を山に囲まれてる感じでちょうど巨木な我が家が建っているところが中心だ。
それで、華憐とアーゼさんと話し合い、この山に囲まれた土地をエリュシオンの領土とすることにした、今のところ誰も主権を取っていない土地らしいから問題は無いという。
巨木な我が家を中心に北側は森が拡がっていて山を超えると元ハルツァナ王国があり、南側はここに来て最初に見た滝でその上も森になってるらしい、東側は森だが抜けると山岳地帯で、山を超えると獣人族の里がある、西側は川があって、森を抜けると草原が広がっている、西側の山を二つ超えるとブリリアント王国がある。
山に囲まれてる面積はだいたい約2200キロ平方メートル(華憐のスナイパー計測)で東京都と同じくらいの広さ、結構広い。
それで、巨木な我が家を中心に五キロ四方を首都として発展させていくことにした。
僕はてっきりこの巨木な我が家を城とかにするものだと思っていたがアーゼさんに却下された。
曰く、城というのは国の最後の砦であるからしてもっと頑丈にしなくてはならないらしい。
ということで、西側の草原のところには巨木な我が家の所にあるほど大きくはないが、それでも結構大きな湖があるため、その畔に新しい城を作ることになった。
そのまま巨木な我が家を中心に西側を迎賓区画とすることにする。
国が形になったら外部からの偉い人が来ることもあるだろうということを見越してだ。
次に、東側はすでに農地が広がってるため農業区画として人数が多くなることを見越してさらに拡げることにした。
最後に北側は住居区画と商工業区画として発展させていく、今はみんなで巨木な我が家に住んでるがお引越しをすることになる、あとは必要かなって思って適当な場所に作ってきた酒蔵とかの施設もここにお引越し。
一番悲しかったのはプールも取り壊しになったこと……華憐に泳ぎを教えたのはひと夏の思い出としてしまっておこう。
今みんなで住んでるこの巨木な我が家は改築リニューアルでもしてなにか別のことに使うことにしようと思う、例えば……会社とか? まぁ、後々考えよう。
南側は滝の上なため、まだ手が付けられない。
そのうち上に行ける階段でも掘って行けるようにしよう、でも確か中に神殿があったな……なにかに活用できるだろうか?
それで、人が来ないと街は発展しない! だから、この四区画を分けるためにも、アポ無しだけどブリリアント王国と獣人族の里に向かって道を繋げることにした。
そのうち両方に出向いて主権を認めてもらいに行かなきゃな。
北にも一応、元ハルツァナ王国跡の先にもうひとつのエルフの国、ラテスト王国があるが今のところいいイメージがないから道は広げる予定はない。
ここまでが領土とか土地活用に関することを話し合って決めたこと。
まぁ、ほとんどの大元はアーゼさんの提案で、僕達はそこに少し意見を入れただけだけど。
次に、税金とかについてだが、今はまだそもそも取れる税金とかがないからある程度発展するまでは今まで通り配給制とすることにした。
外交が始まったりしたら貨幣経済を入れていくことにする。
あとは、やっぱり国には特産品が必要なのだが、これに関してはノープロブレム! 僕らには僕らにしか作れない野菜や果物がある! これなら十分特産品足り得るだろう。
とりあえずこれだけのことをアーゼさんが来てすぐに決めた、さすがは元国王様だ僕が決められなかったことをあっという間に……
そして、それを決めた次の日に今、巨木な我が家に住んでる全員を一階の大ホールに集め、決めたことを伝えた。
それで、その日からまずは住民総出で西側に城作りから始まった。
なんだか、やっと本格的に国づくりって感じでテンションが上がるね!
ただ、僕はまだ一度も城作りには関与してない。
何故ならばアーゼ先生に国王様とは何たるかという大変ありがたい授業を受けているためだ。
そう、今の僕は久しぶりに学生に戻ってる、一応華憐も知識としては分かっているが教えて貰った方がいいだろうということで一緒に受けてる。
そして、今日も授業だ。
「起立! 気をつけ! 礼っ!」
「「お願いします」」
「はい、では今日は教科書『国王様とは何たるか』の215ページから始めます」
僕は今、いったいいつ作ったのか学ランを着て、メガネをかけて天才優等生全とした格好で授業を受けている。
華憐もセーラー服をきて丸メガネをかけてて昭和の学生みたいな格好をしている。
そしてなぜか、教科書『国王様とは何たるか』というものが作られていた。
全部華憐の仕込みだろうなぁ……
「君たちいいですか〜。人という字はねぇ、ひとりの「人」がもうひとりの「人」を支えている字です。つまり、人と人が支え合ってるから人なんです。人は人によって支えられ、人の間で人間として磨かれていくんです」
うーーん、これは本当に国王様になるための授業なのだろうか?
まぁ、外交に対してはーとか、内政はーとか言ってるからそうなんだろう。
僕はぼんやりと学校の教室風に改築された部屋の窓を見てみる。
みんなが木を運んだり石を運んだりするのが見える。
いーなー、僕もどちらかと言うとあっちの方が得意なんだけどなぁ……
「こら、アマミヤくん、よそ見してましたね? いけませんよ? わかったらページ217の8行目を読んでください」
「あー、はい、えー……天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
「はい、ありがとうございます、この文の意味は……」
なぁ、ほんとに国王様になるための授業なの? さすがに怪しいよね! この言葉こっちの世界の言葉じゃないもん、この教科書の著者は誰だよ! 絶対華憐の入れ知恵だ!
それでもってちょくちょく本当に国王様になるために必要なことが書かれてるからタチが悪い、この教科書。
「では、この問題をカレンさん、答えてください」
「はい! 少年よ、大志を抱け! です」
「素晴らしい! 正解です、よく復習が出来てますね!」
「ありがとうございます!」
華憐は席に座る時僕の方をちらっと見て、ニヤッと笑った。
え?! なに?! どういう設定なの?! もう僕わからんないよ!!
まぁ、ちょっと遊び入ってそうだけど一応、国王様からしたら必要な名言なのかもしれないね。
それから数日間同じような授業をして、テストを受けて、満点を取って無事卒業しました。
まぁ、僕、話を聞いてないように見えて意外とちゃんと聞いてるからね!




