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113話 帰還

 


「………うーーん、いててててて」


 まだ夜明け前だが起きると身体中が痛かった、久しぶりに雑魚寝なんてしたからだな。


「すぅーー、すぅーー、」


 目を開けると誰かがかけてくれたのか昨日僕が出したタオルケットがかけられていて、暖かいなって思ったら僕の隣にミーナが寝てた。


 まったく、なぜ男が寝てる隣で寝るんだか、でも今回はちょっと助かったかも……ミーナの温もりで寒くないし。


 もう夏も終わって秋に近づきずつあるため、だんだん涼しくなってきた、僕にとってはかなり肌寒い。


 ミーナのほっペタをちょんちょんとつついてみる、ぷにぷにしてて可愛い。


「……ん……れんさま……」


 ミーナは寝返りをうって、ヒシッと抱きついてきた、僕は抱き枕か。


 まぁいっか、昨日あんなにはしゃいでたし疲れたんだろうな。


 ミーナの頭をよしよしと撫でてあげる、あいかわらず綺麗な銀髪だ。


 そうしてると、誰かが近づいてくる足音が聞こえた、華憐か?


「……………レンさん、うちの娘になにしている?」


 あら? ちょっとドスの効いた声が聞こえてきたんだけど華憐こんな声も出せたっけ……?


 僕は振り返って誰が来たのか見てみると……華憐じゃなくてミーナのお父さんがいた。


「なんにもしておりません!!」


 僕はスタッと立ち上がって両手をあげる。


「……れんさま~〜~どこぉ〜」


 ミーナが抱きついてた僕を探すみたいに腕をフラフラさせてる。


 ミーナのお父さんはチラッとミーナを見て、


「お話があります、少し私に付き合ってください」


 と言って、込み入った話なのか少し離れたところに向かうミーナのお父さん……僕ちょっと冷や汗が止まらないよ……


 一体昨日ミーナは何を言ったのか……


 僕はちょっとビクビクしながらミーナのお父さんに着いてく。


 ある程度離れたところでミーナのお父さんが振り返った。


 あっ! ついに僕は怒られるんだ……


 僕はギュッと目を瞑って罵倒を受ける覚悟を決める。


「ミーナのこと本当に、本当にありがとうございます!」


「へ?」


「あの子のことを守ってくれて、支えてくれて本当にありがとうございます!」


 ちょ、近い近い近い近い!! あ、ちょっとダンディな香り……


 ミーナのお父さんは僕の手を取って超至近距離でお礼を言ってくる。


 ミーナのお父さんとお母さん、あった時思ったけどすごく若々しい、見た目20代前半くらい、けれど実年齢は三桁をいっているらしい。


 エルフは吸血鬼族や天使族みたいに永遠の命を持ってる訳では無いけど人間族よりは長命らしい。


「ミーナのお父さん、気にしないでください! ミーナは大切な仲間なんですから守ったり助けたりするのは当たり前ですよ」


「娘があなたみたいな人に出会えて本当によかった……それで、昨日ミーナと妻のルーナと話し合ったんですがレンさんは建国をするというのは本当ですか?」


 なるほど、話したいというのは今後のことかな?


「はい、そのつもりです! アマちゃん……神様から勅命を受けたので」


「なんと、神様ですか……ミーナから聞きましたがレンさんは本当に凄いお方なんですね」


 いやいや、しがない男子高校生ですから! かなり普通の高校生よりインパクトな人生だけど……


「それでですね、ミーナはレンさんの元を離れる気は断固としてないみたいなので、私とルーナ、それとここにいるエルフたちも連れて行って貰えないでしょうか? これでも私は元国王でした、きっとレンさんのお役に立てると思います」


 ミーナは、僕達と一緒にいることを選んでくれたんだ……すごく嬉しいな! それに、もともと人を集めることにしてたし、ミーナのお父さんなら僕のフォローなんておちゃのこさいさいだろう。


「もちろんです! というか、むしろこっちからお願いしたいところでした、正直に言うと、国づくりとか勝手がわからなくて」


「本当ですか?! ありがとうございます!」


 ミーナのお父さんと固い握手をにぎる。


 固く固く握る。


 固く握る。


 握る。


 …………握りすぎじゃない?


 え?! まって、離れない!!


「ところでレンさん、ミーナがキスがどうとか、言ってたんですがどういうことでしょう? それでレンさんには好きな人がいるとか」


 あ、待って! さっきまでいい笑顔だったのに、今はちょっと怖い笑顔だよ!!


「え、えーと……それはなんというか、その〜……」


「…………まぁ、レンさんにも色々あるんでしょう、私にも昔、遠い南国の少女に叶わぬ恋をしたことがあります」


 あ、だから褐色肌の美女の絵とかがいっぱいあったのか!


「それでも、ミーナのことも見てやってください、それだけです」


「…………わかりました」


「なら、私も安心です! それでレンさんは褐色肌の美女は好きですか?」


 おうっと! いきなりの話題転換! あ、そう言えば


「ミーナのお父さん、あなたの宝物は僕が守りました!」


 そう言って、僕は『宝物庫(チェスト)』から褐色美女の絵を取り出す。


「なっ……それは、あの時失ったと思った! れ、レンさんこれは?!」


「実は、城が崩壊したときにミーナが見つけて、中身を少しだけ内緒で持ってきたんですよ」


「おお! やっぱり褐色美人はいいなぁ! て……ミーナが見つけた……? ば、れてた……? 」


 おや? ミーナのお父さんが突然ガタガタ震え始めたんだけど……


「れ、レンさん! これは預かっていてください! 私は少し妻の様子を……」


 ミーナのお父さんのセリフは途中まで発せられなかった。


「あら、あなた、こんな所にいたのね」


 突然後ろからガシッ! と首を掴まれたからだ。


「る、ルーナ?! お、起きてたのか、おはよう」


「えぇ、おはようございます、レンさんも」


「おはようございます」


 にっこりと挨拶をされて僕も挨拶を返す……ミーナのお母さん目が笑ってなかったけど……


「それでね、あなた、昨日ミーナから聞いたんだけど階段の裏になにやら隠してたらしいわね、向こうで一緒に話し合いましょうか」


「えっと……ルーナ、それはだな……あぁ! レンさん! 助けてぇー!!」


 ミーナのお父さん、アーゼさんがミーナのお母さん、ルーナさんに首根っこを掴まてズルズルと引きづられてく。


 生きてかえってくるのだ……アーゼさんに敬礼っ!! ピシッ!!


「レンさん、ミーナのことよろしくお願いしますね? それと、その絵は燃やしておいてくださいな」


「は、はーい!」


 ミーナは、普段はアーゼさんみたいな感じだけど、迫ってくる時は迫力があるからルーナさんみたいな感じだから、二人の子供なんだなー。


 そんなこと、思いながら僕もみんなのところに戻る。


 夜はもう明けていて、朝日が登り始めた。


 みんなも起き出して、オリアとかは朝ご飯の支度をしてる。


「レン様、どこいってたんですか?」


「あぁ、アーゼさんにお話って言われてちょっとね」


「お父様と……そのお父様は?」


「えーと……ルーナさんに死地へと向かったよ」


「あー……なるほど、察しました……それで、レン様、お父様とお母様とここにいる人たちも連れて行って貰えないでしょうか?」


「うん! アーゼさんにもその事を言われたんだよ! もちろんいいよ! ていうか、僕はもしかしたら王国をやり直すためにミーナもここに残ると思ってたよ」


 僕がそう言うとミーナはプクーーっとほっぺを膨らませて、私、不機嫌です! って顔をした……


「むぅ……レン様! 私がレン様から離れるなんてこと天と地がひっくり返っても有り得ませんからね! もし、お父様とお母様がここに残ることを選んでも私だけはレン様たちと一緒に帰ります!!」


 心外です!! って感じにぷっくらと頬をさらにふくらませる。


「ごめん、ごめんて! そーだよな、もうミーナは家族みたいなものだもんな」


「はい! もちろんです! だから、私の帰る場所はあのでっかいでっかい木の家ですよ!」


「じゃあ、朝ごはん食べ終わったら準備して我が家に帰るかー」


「はい! あ、でもこの人数ピィナさんに全員乗れるでしょうか?」


 まぁー、確かに60人くらい増えたからから70人以上は乗せることになるけど、


「あの、お化けなニワトリなら大丈夫だろ、きっとまだまだ大きくなるんだから」


「それもそうですね!」


 それからモソモソと華憐も起きてきて、レアとレオも一緒にみんなで朝ごはんを食べる。


 そのあと、アーゼさんが難民のエルフの人達に僕達の所に来ること演説、反対する人も多々いたけど王様モードのアーゼさんの説得で納得してくれた。


 さっきまでルーナさんに絞られてた人と同一人物とは思えん。


 エルフの人達が持っていきたいものを僕と華憐の『宝物庫(チェスト)』に入れて、ピィナが巨大化のさらに巨大化、通常ニワトリ状態の16倍くらいの大きさになってみんなで乗り込む。


 エルフの人達は初見の人恒例のびっくらあんぐり口をしてた、目が飛び出しそうな人もいたな、レオが張り合ってドラゴン化してたけどピィナと同じくらいの大きさだったのはビックリだ。


「みんな乗ったプリ?」


「うん! ポムちゃんみんな乗ったよ、もう出て大丈夫!」


「わかったプリ! ピィナ、レッツゴーープリ!!」


「はーーい!!」


 ニワトリライダーポムの号令でピィナがバッサバッサと翼を羽ばたかせて飛びたつ。


 そのまま数時間の空の旅を満喫する。





 ………………………………………………………………






「あれ?! 私の火炎弾の跡どこにいったんだ?!」


「え?! お姉ちゃん、あのでっかい木に火炎弾撃ったの?! 馬鹿なの?! もし燃え広がったらどうするの!! ていうか、ここら辺一帯が焦土なのってお姉ちゃんのせいでしょ!! レンさん、ごめんなさいごめんなさい!!」


 ちょうど巨木な我が家が見えてきた頃、レオが最初に巨木に撃った火炎弾の跡がほとんどついてないのを見て驚き、レアはまたペコペコと頭を下げてきた。


 それから、ニワトリライダーポムの着陸技術で無事着地、一日ぶりの我が家に帰ってきた!


「れ、レンさんはこんなところに住んでるのですか?」


「す、すごい大きな木」


「へっへー! お父様、お母様すごいでしょう!! 後で案内してあげますね!」


 エルフたちはみんなピィナを見た時みたいにポカンとしてる。


 ミーナはちょっと両親に自慢げそうだ。


「レン! おかえりなさい、随分と人数が増えたわね」


「わーい! レンが帰ってきたぁーー!」


「部屋の掃除をしておいて良かったスラ」


 クルアとハルとルンがお出迎えに来てくれた。


「ただいまー、いやー、大変だったよー、向こうで幻獣種と戦ってさー、それで華憐が無双してて」


「ただいまクルア、はっはっは! そのうち華憐無双ってゲームが出たりしてね!」


「戻ったぞ我が眷属よ! さぁ、我らの帰還、盛大に祝うがいい!!」


「はぁ? 幻獣種? 無双? ルカはいつも通りね、なんだかよく分からないけど色々あったみたいね」


「クルアさん! 紹介します、私のお父様とお母様です! お父様、お母様、私の仲間のクルアさんです!」


 ミーナがクルアに両親を、両親にクルアを紹介してる。


 ほかにも、戦闘は出来ないから置いてきた残りのエルフたちと、こっちに連れてきたエルフ達にも知り合いがいたのか再会を喜びあってた。


 それから、クルアにレアやレオも紹介して、クルアがちょっとレオに怒って、ミーナは両親に家の案内をするって言って家の中に入って行って、クルアに向こうでなにがあったかを教え、僕達がいない間特に変わりがなかったことを聞いて、エルフたちにここでの生活の仕方を教えて、疲れたからゆっくりお風呂にでも入って休むことにした。


 お鶴さんとザリュさんはまだ帰ってきてなかった。

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