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111話 大怪獣合戦とドラゴン姉妹

 

 ルカside


「ルカさん、これで怪我してる人は全員です!」


「わかった! 『導く運命よ 治癒の女神よ この者らの傷を癒し祝福を与えよ!………癒しの祝福(ブファルブレッシング)』!! 」


 一応、治癒魔法は無詠唱でも発動できるけど詠唱したほうが効果が高いから時間がある時は詠唱をするようにしている。


 私はレンに頼まれて、怪我した難民たちの治癒と保護所をトーアやお通、お鷹とほかのエルフたちと一緒につくった。


 本当は私もレンたちと一緒にミーナのことを攫ったやつを叩きたいけど我慢、私には私にしかできないことがある。


「ルカお姉ちゃん、空から見た限りもう人はいないよ!」


「全員運んできたプリ!」


「ありがとう! それじゃあ、二人は休んでて、勝手にどこかに行ったりしたらダメだからね 」


「「はーーい!」」


 この二人ならピィナはともかくぽむは頭がいいから危険なことはしないだろう。


 私は治癒した人たちを見てみる。


 難民の人たちはまだどこかにいるかもしれないけど今ここにいるのは60人くらい。


 そこまで重症の人はいなかったけど、細かい傷をいくつも作ってる人が沢山いた、あとは栄養失調の人とかが多いけど、これは怪我じゃないから魔法では治せない。


 連れてきた闘えるエルフたちの家族なのかお互いに再会を抱き合って喜びあってる人もいる、トーアもその一人だ。


「うん、ここは大丈夫そう、お通!」


「はい? なんですか、ルカさん」


「私もレンたちの所に行こうと思うからここは任せてもいい?」


「はい! 任せてください! 」


 その時だった、ドカーーンと大きな音がした。


「な、なに? いまの……」


「ルカさん! あれ!」


 お通の指さすほうを見てみると、城からなにかビームのようなものが空に伸びてるのが分かった。


 あそこは……レン達が行ったところだ! 何かあったのか?!


「お通、あとのことは任せるよ!」


「はい! 任せてください!」


 私は羽根を広げて空に飛び立つ。


 真っ直ぐ城の方に向かおうとした時、後ろからなにかすごい威圧感を感じた。


「なんだろう?」


 私は気になって振り返ってみる。


「……なっ、空の王者……?!」


 後ろから赤黒い鱗の空の王者が迫ってきていた。


 レンがもしかしたらエルフが空の王者は手を組んでるかもしれないって言ってたけど当たってた?


「ギュオオオオオオオオ!」


「あれは……バジリスク? こっちも幻獣種って……最悪の自体じゃ……」


 私は迷う、たぶんレンたちはバジリスクと戦うんだろうけど、さすがに空の王者と二体同時に相手にするのはキツいだろう、どっちかを足止めしないと……


 相手をするならバジリスクの方が私は相性がまだいいけど、レンたちは空を飛べない、なら空の王者を止めた方がいいかもしれない。


 もしかしたら足止めにもならないかもしれないけど、逃げて注意を引くことは出来るはず。


「よしっ! 我の死力の一撃をクラウがいい! 『黒より深き漆黒の闇よ 白より眩き純白の光よ 交わることなき礎を超え 今混沌し蝕め!………混沌の星蝕(カオス・エクリプス)』!!」


 私は今使える最大の魔法、光・闇混成魔法を放つ、最近編み出した私にしか出来ない魔法だ!


 だが、空の王者は私の魔法を避けた。


 けれど、それだけで十分! 避けたってことは通用するってことだ! それなら闘える!! 私はこれでも天使族の最高位階位『熾天使(セラフィス)』だったんだ!


 私は羽根に魔力を貯めて次の魔法の準備をする。


「ちょっ……て……さ…!」


 ん? 今なにか聞こえたような? 気のせいかな??


「ちょっと待ってくださいー!! 敵ではありませんー!!」


 いや、やっぱり聞こえる! 気のせいじゃない、ならどこからだ?


 私は声の主を探す……すると空の王者の上に誰か立って手を振ってるのが見えた。


 え?! なんであんな所に……


 空の王者は私の手前で止まって、背中で手を振ってた人が飛んでくる。


 よくみるとその人は女性で緑色の翼と尻尾が生えているのが見えた。


「あなたは幻獣種?」


「はい! 先日は姉が失礼をしてすみませんでした、本当にほんとうにすみませんでした! あなたが膨大な神気を持ってる方ですか? 見る限り天使族ののようですし……」


「いや、私はちがう、たぶんあなたが言ってるのはレンのことだ」


「そうですか……それならその方の元にお連れくださいませんか? あの蛇は私たちにお任せ下さい!」


「え、ええ、私もレンのところに行くつもりだったしいいけど」


「ありがとうございます! ありがとうございます! お願いします! お姉ちゃん、私はお姉ちゃんが迷惑かけた人の所に行ってくるから、あの蛇を倒しておいて! では、案内をお願いできますか?」


「わ、わかった……」


 な、なんか勢いのまま許可しちゃったけど良かったかな? でも、敵じゃないって言ってるし……それに空の王者を姉と呼ぶこの子は……もしかして、陸の女神……?


 私は内心かなり困惑しつつも、緑の少女を連れてレンたちがいる所に向かった。





 ………………………………………………………………





 蓮side


「うそ……空の王者??」


「やはりレン様が予測してたとおり手を組んでたのでしょうか?」


 まずいな、さすがに二体同時は厳しい……ん? でも、


「さっき空の王者(笑)はバジリスクに攻撃してなかった?」


「確かに……」



 ギュオオオオオオォォォォオ!!



 火炎弾で城の塔から落ちたバジリスクが雄叫びを上げる。


 そして、空の王者(笑)に向かって石化するビームを放った。


 やっぱり、仲間ではない? のか?


 空の王者(笑)はビームを避けつつバジリスクに接近、そのまま尻尾を鞭のようにして頭を叩く。


 ハリウッド映画バリの大怪獣合戦が開戦されていた。


 僕達はどうしたらいいか分からず、立ち尽くしてると、


「レン! よかった、無事だったんだね!」


 空からルカが飛んできた、後ろには知らない少女もいる。


「ルカ、難民の人たちは大丈夫なの? それと後ろの子は?」


「うん、怪我してた人は全員治したからお通とお鷹に任せてきた! それで、この子は……」


「あなたがレンさんですか?! すみませんすみません!! うちの姉が本当にご迷惑を……」


「ど、どど、どうしたいきなり?」


 ルカの後ろにいた少女は緑っぽい翼と尻尾を持ってて、髪の毛も緑色のロングヘア、ワンピースみたいな服を着ていて盛り上がった胸はルカバリの主張をしてる。


 そんな結構可愛い女の子がいきなり僕の前で土下座をし始める。


「ごめんなさいごめんなさい! その腕痛かったですよね、あぁ……どう謝罪したらよいか……」


 なんかすっごい謝ってくる。


「と、とりあえず君はどこの誰でなんで謝ってるの? 僕なんかされたっけ?」


「あっ……すみませんすみません!! 自己紹介もせずにすみません!! 私はレアです、人間たちからは陸の女神などと呼ばれてます、今は擬人化してますけど本来は竜です」


 え? 擬人化ってことは、この人幻獣種?!


 それから、レアと名乗ったこの少女から事情を聞く。


 彼女は今バジリスクと闘ってる空の王者の妹らしい、そんな姉がある日怪我をして帰ってきた。


 レアは何があったのか問い詰めたところ自分たちの領域に侵入してきたエルフがいて、領域に見ず知らずの人が入ってくることを極端に嫌う姉はそのエルフたちを潰しに行った。


 が、見つけたと思えば消え、また見つけたと思ったら消えを繰り返すエルフに嫌気がさして、むしゃくしゃして近くにあったなんだか超デカイ木に火炎弾を撃った。


『そしたらワラワラと人間がでてきたから憂さ晴らしに殺しとやろうと思ったら、思った以上に強くて撤退してきたぜ、あはははは!!』


 とか姉が言い出すものだから自分たちのような存在を殺せるかもしれない人間にちょっかいをかけてきたという事実に呆然となり姉を連れその当事者に謝るために巣を飛び出して来たという。


「本当に姉がご迷惑をお掛けしました! どうか、許してください!!」


 な、なるほど、確かに憂さ晴らしに殺されそうになったのはなんか腹立つな。


 けど、なんか凄い謝ってくれてるし、ここはレアの顔を立てて許すかーーと、思った時、


「蓮くん! バジリスクが!!」


「え? はぁっ?! ちょっと待てい!!」


 華憐に言われて大怪獣合戦が行われてる方を見てみると空の王者(笑)がこっちに向かってバジリスクを投げてきた。


「お姉ちゃん?! なにしてるの!!」


 空の王者(笑)はそのままワールドツアーに入った……てことは、あの炎の突進が来るの?! 僕たちの真上で?! そのまえにバジリスクが落ちてくる!!


「やばい!! 『神気解放:才気活発』!!」


 僕は神気解放をして、膝を曲げて思いっきり垂直跳び、降ってくるバジリスクに思いっきりライダーキックをくらわせる。


「はあぁっ!! 重っも?!」


 思いっきり蹴り飛ばしたけどバジリスクは重すぎて吹き飛ばすことは出来ず少し空中で停めることが出来ただけだった。


「オリビア、私たちだけここに来てまだ活躍できてません、ここでやります」


「わかりました、お姉様!」


 オリビアが腕をくんでしゃがむ、そこにオリアが助走をつけて組んだ腕を踏み台にして、オリビアがオリアを思いっきり投げ飛ばした。


 落下する僕のすぐそばをオリアが飛びすぎてく、そのままバジリスクの尻尾を掴んで、


「はぁぁぁぁぁぁ!! せいりゃああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!!」


 空中で背負い投げをした。


「ギュオオオオオオオオオオオ!!」


 バジリスクがオリアに投げられて吹き飛んでいく、オリア恐ろしい……


 そして、ワールドツアーから帰って来た空の王者(笑)がバジリスクに向かって炎を纏う突進をくらわせる。


「ギュアアアアアアアァァァァァ…………」


 バジリスクは断末魔の声を上げながら焼滅していった、相変わらず恐ろしい威力だ。


 オリアは足からしっかりと着地した。


「ふぅ、なかなかの重さでした、空中出なかったら投げられなかったでしょう」


 オリアさん、空中でもできるのはあなたくらいですよ!


「グアアアアアアァァァァァ!!」


 空の王者(笑)が勝利の雄叫び? を上げて、僕たちの近くに着陸した。


 そして、赤い炎を纏ったと思ったらドラゴンの姿は消えて人の姿があった。


「あっはっはっは、見たかレア? あいつ、ぎゅあああああって鳴いてたぞ! ぎゅああああああって! あははははは!!」


 空の王者(笑)が消えて、現れてた人は赤い翼と尻尾が付いていてワインレッドのロングヘアにスカジャンみたいのを着た、ちょっとヤンキーなお姉さんって感じで、なぜかめちゃめちゃ笑ってる。


 その女性にレアがスタタタタタと駆け寄って行って、


「おう! レア! 見てたかーー……ぶへぇっ!!」


 スコパーーーンとどこから取り出したのかスリッパみたいなので頭を叩いてた。


「お姉ちゃん! なんで、こっちに飛ばしてくるの?! レンさんたちを巻き込んで怪我させる所だったんだよ?!」


「いてててて……なんだよ、いーじゃんか、倒したんだし……」


「良くない!! はい、こっちに来る!!」


 レアが空の王者だった? 女性を連れて僕達のところに来る。


「レンさん、何度も何度も姉のレオがご迷惑をおかけして本当にすみません……ほら! お姉ちゃんも謝る!!」


 レアが隣に立つ姉の頭を手で無理やり下げさせる。


 レオって名前なのか……かっこいいな!


「な、なんだよ……怪我してないだろ、それに私の鱗使って腕作ってんだからいいじゃないかよ……」


「よくない! ほら謝る! 誠心誠意謝る!! お姉ちゃんが最初八つ当たりしなかったらそもそもレンさんが腕をなくすことは無かったの!! ごめんなさいは?」


「………………」


「ごめんなさいは?!」


「…………………わ、悪かったよ」


 レオはレアに迫られて渋々僕に謝ってきた、レアはまだ不服そうな顔してたけど、再び僕と目を合わせて、


「レンさん、本当に不出来な姉がご迷惑をおかけしてすみませんでした、姉は少し貧相な身体ですが責任を取らせるのでレンさんの好き勝手にしていいです、それでどうかお許しください!」


「「「「え?」」」」


 僕と華憐とミーナとルカの声が重なった。


「はぁっ?! おい! レア! 私はそんなこと聞いてないぞ! それに不出来とか貧相とか酷いぞ!」


確かに、妹と比べると慎ましいというか、主張が控えめというか……


「蓮くん、レオさんになにかする気?!」


「レン様! なにをなさるつもりですか?!」


「むぅ……私を差し置いて一体何を……」


「なにもしなーーーーい!! レア、そもそも僕はもう今はそこまで怒ってないし、殺したいとも思ってないよ、だからそんなに頭下げなくていいって」


「で、でも、それで私たちが納得できません! 『私は納得するぞー』 お姉ちゃんは黙ってて!!!」


 んーー、まぁたしかに、八つ当たりされたってわかった時はイラって来たしな。


「それじゃあ、とりあえず家に来てよ、そこでなにか頼み事するから、それでチャラにしよ?」


「わかりました、レンさんがそれでいいなら……改めて申し訳ありませんでした」


 なんか、面白い姉妹ドラゴンだなー……あの某ゲーム似のドラゴンには思えないんだけど……


 本当に僕は気にしてないんだけど、それからもレアはペコペコと僕に頭を下げていた。



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