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110話 華憐無双とバジリスク

 


「俺を兄と呼ぶなぁぁぁぁー!!! このクソエルフがっ!! お前のせいで俺がどれだけ苦労したと思ってるんだ!!」


 敵さんの首謀者のリーダーみたいな人、ミーナのお兄さんなのかな? が、唾を飛ばしながら怒鳴り散らす。


 ていうか、敵のリーダー、ミーナのお兄さんなの? 全然ミーナと似てないじゃん。


「はぁ、そうですね、今から消えるあなたに兄と呼んでも仕方ないです、それはどうでもいいですが、一つだけ聞きたいことがあります、お父様とお母様はどうしたんですか?」


 ミーナが聞きたかったのは両親のことか。


「俺が消える? はっ、何を馬鹿なことを! それであの忌み子なんて産んだゴミ共のことか? そうだな、せっかくお前自身がのこのことこちらに来てくれたんだ教えてやるよ、おい、持ってこい!」


「わかったっす!」


 敵のリーダーがいつか見た男エルフの部下に何事か指示を出した。


 男エルフの部下が持ってきたのは……


「っ!! お父様! お母様!」


 手足に杭を打たれて磔にされた男女だった。


「なぁ、知ってたか? この女もお前と同じで忌み子だったんだぞ? 俺を騙して国民を騙してたんだよ、あ? なんだもう死んでやがったのか」


 敵のリーダーが女の人の方をペシペシと頬を叩く。


 なんなんだあいつ、僕の神経を逆撫でするの大好きなのか? 不愉快だな。


(………レン、もう少し我慢)


 無意識にエリュを掴む手に力を入れてたのかエリュが諌めてくれる。


「あなたは、どうしてそこまで……実の親を殺すほど私のことが憎かったのですか!」


「あ? あぁ、憎いよ、お前みたいな忌み子が居るだけでウザかった、それで国を出たんだ! だが、ラテストでもお前が忌み子だったせいで俺は軍師止まりだ! 本来なら今頃王子としているはずだったんだぞ! だから決めたんだよ、俺はこの国で嫌いな奴を贄にして奴を復活させる! それを掌中に収めればラテストでの俺の地位は向上するはずだ!!」


 敵のリーダーがガミガミと叫ぶように言い放つ。


 奴を復活ってことはここになにか封印でもされてるのか? 面倒なことにならなきゃいいけど……


「ぐはっ……がはっ、はぁ……はぁ……」


「お父様!!!」


 磔にされてる男性の方が咳き込んだ。


 よかった、まだ生きてるみたいだ、でも危ない状態なのは変わらないな、はやくルカに治してもらおう。


「はっ、安心しろ忌み子、もうすぐお前もここの仲間入りだよ!」


 敵のリーダーが腕を上げた、すると後ろの扉や玉座の脇などからわらわらと大量のエルフの兵士が出でくる。


 なるほど、時間稼ぎをされていたわけか……意味ないのに。


「いいか! 忌み子は捕獲だ! 久しぶりにいたぶってやるよ!! 他の奴らは殺して構わん!! いけっ!!」


 敵のリーダーが手を振り下げると兵士たちが剣や槍を構えて襲ってきた。


 僕達も戦闘態勢をとる。


 蹂躙が始まった。


 僕は目の前に迫ってきた兵士にエリュで切り伏せようとしたとき僕の目の前で何かが閃光を迸らせながら飛んできて敵兵士の頭が吹き飛んだ。


 首から上が無くなったそのまま兵士はパタリとその場に倒れる。


 うぇ、僕スプラッタ苦手なんだよ……


 何かが飛んできた方を見てみると、


「ふっ! はっ! とりゃっ! 右! 左! 後ろ! 前! 」


 華憐が無双してた。


 たぶんアルカであろうレボルバー式ネオ・レールガンとサブウェポンにと渡したレボルバー式レールガンを両手に持って、ものすごい早打ちで僕達に敵が接近する前に一撃でヘッドショットを決めて敵を屠っていく。


 アルカもレボルバー式レールガンを食べたのだろうか?


「よそ見してんじゃ……」


 また僕に迫ってきた敵兵士が何が起きたかもわからず頭が吹き飛んで即死する。


「私たちの! ミーナを! 悲しませる奴は! 私が! ぶち抜く! 」


「カレン様……」


 華憐は右に左に後ろに前に銃口を向けて視認もせずに目にも止まらぬ早さで引き金を引いていく。


 華憐の足元には空になった薬莢がカランカランと落ちて散らばってく。


 弾がなくなれば空中リロードという高度な技術を繰り出してる、いったいいつもの不器用さはどこに行ったんだ……銃を持たせたらここまで変わるとは。


 紫と青の閃光が玉座の間を埋めつくしていく、パァン! っと鳴って最後の一人の頭が吹き飛んだ。


「あとはあなただけ、ミーナに謝って!」


 カチャと、華憐が敵のリーダーに銃口を向ける、やべぇ……華憐かっけぇー。


「嘘だろ……あんなに居た兵士たちが……お、お前は何者だ!!」


「私? ミーナの親友だよ、早くミーナに謝れ」


 華憐も僕と同じで憤怒憤怒ギャラティクッカクリリンのことかぶっちんボルケーノみたいだ、あーーつまり超怒ってるってこと。


 敵のリーダーは華憐の迫力に後退する……が、ニヤって笑った気がした。


(………レン、ミーナの後ろ)


 エリュに言われてミーナの後ろを見てみると少し空間が歪んでるのがわかった。


 なるほど、ミーナを人質に取れば勝ち目はあると思ったわけだ。


「後ろがから空きだぜぇー! ぐはぁっ!」


「お前に忠告したよな? 次ちょっかいかけてきたら潰すよって」


 ワープから出てきたハイエルフの男の首を出てきた瞬間に右手でつかんで宙ずりにする。


「は……なせ、いぎが……」


 ハイエルフの男がバタバタと暴れる。


「悪いけど、僕に慈悲の心はもうないから、約束通り潰してあげる」


「おい! アルフォート! 何をやっている!! 」


 敵のリーダーがハイエルフの男に向かって怒鳴ってる。


 こいつの名前アルフォートっていうのか、チョコレートかよ……


 アルフォートの野郎を思いっきり地面に叩きつける。


「グハァッ!!」


「それじゃあ、プレスのお時間だよー……『粉砕衝撃波(ブレイクバースト)』!!」


 左腕の機能の一つをアルフォートの野郎の腹部に思いっきり食らわせてやる。


 床がひび割れてアルフォートの野郎が押しつぶされていく、そしてそのまま床が崩れていく。


「わわわっ!!」


「きゃあ!」


「ミーナ様!!」


 あ、やべ……ついイライラしすぎて周りみてなかった……


 華憐はオリアに支えられてミーナはリーアさんに支えられて他のみんなは自力で崩れる床から逃れる。


「ちょっと蓮くん! もうちょっと周り見てよ!!」


「ご、ごめんなさい……」


破砕衝撃波(ブレイクバースト)』の跡は、クレーターになってた、アルフォートの野郎の姿はどこにもない。


「レン様は相変わらず凄いですね! あれ? お兄様は……」


「ん? あ! あいつどこに行ったの!! まだミーナに謝らせてないのに!!」


 今の衝撃で逃げたのか敵のリーダーの姿もいなくなってた、それとミーナのお母さんのご遺体もない。


「………いた! 奥の方だ! 私行ってくる!!」


「あ! 華憐まて!! ミーナ、お父さんの保護を頼む!」


「わかりました! お兄様のことはお任せします!」


 僕は飛び出してった華憐を追いかける、いくら華憐が運動音痴でも神気を使ってたら普通の人じゃ追いつけない、まぁ僕はまた別だけどね!


 華憐にはあっという間に追いついた、僕は陸上部だしね!


「華憐、奴の場所はわかってるの?」


「わっ! 蓮くんか、ビックリした……うん! わかってるよ! そこの階段を下がったところ」


 華憐の案内で敵のリーダーのところに向かう、階段を降りると何か神殿のような場所に着いた。


 中央に大きな魔法陣が描かれていて、その中央にミーナのお母さんのご遺体がある、敵のリーダーはその魔法陣の前でなにかブツブツと呟いてる。


「あなた! ミーナのお母さんに何してるの!!」


「………………………」


 敵のリーダーは華憐の声を無視してブツブツとなにかを唱え続ける。


 僕は何が起きてもいいようにエリュを構える。


(………レン、なにか嫌な予感がする)


 やっぱり? 僕もそんな気がするよ、待ってやる必要ないよな。


「華憐、撃て! 嫌な予感がする!」


「わかった!」


 華憐が敵のリーダーに銃口を向けて撃とうとした時、


「隙ありっす!! 」


「きゃあ!」


「ブベッ!!」


「…………クッ! くそっ! だがよくやったアルフォートの部下よ!」


 パァン! と華憐が撃った銃弾は後ろから襲いかかってきたアルフォートの野郎の部下のせいで敵のリーダーの頭を狙ったのだろうけど外れて脚に着弾した。


 アルフォートの部下は華憐に殴られて気絶してる。


 魔法陣はいつの間にか紫に光り輝いていて、なにか魔法を発動したみたいだ。


「はっはっは!! 少し遅かったな忌み子の仲間たち、たった今封印解除の儀式が終わった!! まぁ、本当ならあの憎き忌み子を最後の生贄にするつもりだったが、この際仕方がない、もう半端だが母親も忌み子だ、これでも事足りる! さぁ! 蘇れ、バジリスク!!」


 敵のリーダーは足を引きずりながらも立ち上がって魔法陣に向かって両手を広げる。


 魔法陣は光がどんどん強くなっていって、


「ギュオオオオオオ!!」


 八本足を持った巨大な蛇が出てきた。


「華憐、あれ何?」


「『鑑定』! ………幻獣種、バジリスクみたい」


 げ、幻獣種か……またかよ! もう空の王者で懲り懲りなんだけど!!


「会話出来ないの?」


「やってるけど、聞いてくれない、なんか封印されてたからかなり怒ってるみたい、勇者を殺すとか言ってる」


 まじかー……また戦うの? 幻獣種と? やだよぅ……


「さぁ! バジリスクよ!! あいつらを殺せ!!」


 敵のリーダーがバジリスクに向かって指示を出す、けれど……


「おい! 何している! 早く言うことを聞かないか! 生贄をやったのは俺だぞ!! 言うことをき……」


 バジリスクに怒鳴り散らしてた敵のリーダーが言葉の途中でいきなり動かなくなった、そしてピキピキと灰色になっていく。


「い、石になった……?」


「ギュオオオオオオォォォォオ!!!」


 バジリスクは敵のリーダーを石にしたあと天井に向かってなにかビームを放ち始めた。


 ゴゴゴゴゴ! という音がして天井がどんどん石化、さらに風化しているのかボロボロと崩れていく。


「華憐! ここにいたらまずい! 一度ミーナ達の元に戻るぞ!」


「わかった!」


 僕達は来た道を引き返してミーナたちのとこに戻る。





 ………………………………………………………………





「レン様! この音は一体?!」


 ミーナ達のところに戻ると、みんな少しパニックになってた。


 ミーナのお父さんは磔から外されて怪我も一応治ってる、多分ミーナが歌ったんだろう、今はオリアが抱えている。


「ミーナ! とりあえず話は出口に向かいながら! もうすぐ多分この城崩れるぞ!」


「分かりました!」


 ミーナたちと合流して、そのまま外にまで避難する。


 道中、ミーナにバジリスクが復活したことを伝えると、


「ま、まさか、お兄様はそんなことを……それで私のことを誘拐しようとしたりしていたのですね、そしてお母様が……」


「ごめんね、ミーナのお母さんは奪い返せなかった、それに奴もバジリスクに石化されちゃって……」


「いえ、カレン様のせいでは無いです! お兄様も自業自得だと思います!」


「それで、バジリスクってなんなんだ? なんで幻獣種なんかがここに封印されて?」


「はい、私も詳しくは知らないのですが……」


 ミーナがバジリスクがなぜここにいるか教えてくれる。


 曰く、何百年も前ここは国ではなくてエルフの村であったらしい、そして当時の勇者がそこに泊まりに来ていて、その時幻獣種のバジリスクが襲ってきた。


 勇者はバジリスクと戦ったが当時の勇者はまだ未熟で倒すには至らず、封印という形でバジリスクの驚異からエルフたちを守ったらしい。


 そしてその封印をここに国を作り代々守ってきたのがミーナたちの一族らしい。


「まさか、封印の鍵が忌み子と言われる銀髪エルフの事だとは思いませんでした、だからお母様はずっと髪を隠していたのですね……」


 それから華憐にバジリスクを『鑑定』して分かった能力とかを教えて貰い、どうやって倒すか考えながら外に出た。


「あれが、バジリスク……」


「あんなのが私たちの国にはいたの?」


 リーアさんとレーアさんが驚きの声を出してる。


 外に出ると、バジリスクも外に出ていて城の塔に巨体を巻き付け、くるくると首を回して何かを探すように視線をさ迷わせていた。


「レン様、バジリスクと闘うんですか?」


 そりゃあ、あれが放ったらかしになってると色々やばそうだしね、なんだか怒ってるみたいだし。


「うん、半分くらいは僕達が復活させちゃったみたいなものだから、ちゃんと後始末はしておかないと」


「そうだね! 蓮くん、サポートするよ!」


 華憐がアンチマテリアルライフルのアルカを構える。


 銃を持った華憐はほんとに頼もしいなー。


「わかった、オリアはミーナの護衛を頼む、ミーナたちはルカと合流して」


「承知しました」


「わかりました! レン様、カレン様、あまりご無理はしないでくださいね、また腕が無くならないようにしてください!」


 もちろんそうしたいところだね、もうあんな痛くて暑いのは死んでも嫌だ!


「わかった、エリュ準備はいい?」


(………もちろん、いつでもいける)


 よし、それじゃあ、ちょっくら蛇退治をするか!


「(『神気解放:才気活発』!!)」


 神気解放をして赤金色のオーラが吹き乱れる。


 すると、バジリスクがこっちを見て叫んだ。


 どうやら、敵と認識されたみたい?


 さぁ! いくか!! と、、心の中で叫んで脚に力を入れた時だった、



 ドゴオォォォォォォオーーーン!!!



 どこかで見たことあるような火炎弾がバジリスクに直撃した。


「は? まさか……」


 飛んできた方向を見ると、赤黒い鱗の空飛ぶドラゴンがいて………

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