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101話 蓮、復活!

 


 僕は困惑していた。


 だって、おきたらキスされてたんだもん、ビックリだよ!


 しかも、どーせまた、ミーナかクルアかルカだろうと思ったら華憐だったこともだ。


 そして、僕は華憐に告白された。


 断ろうと思って口を開いたら言わせないって口を塞がれる始末。


 僕はいったいどうしたらいいのだろうか、そろそろ本当にゆいりのことを忘れて前に進んだ方がいいのかな?


 僕にそんなことできるかな? できないよなぁ……自信が無い。


 まぁ、華憐のこともびっくりしたけど、もう一つびっくりしたことがある。


 華憐に抱きつかれたとき、泣いてたから相当心配かけてたんだろうなって思って、それに関してはちょっと後ろめたいことがあるから苦笑いしかできないけど、安心させるために抱きしめ返そうと思ったら左腕がなかったことだ。


 確かに、あの時の左腕はそれはもう目も当てられないものだったけど切断までとは思わなかった。


 今はもう、身体のどこも痛みは感じないけど左腕がないことで違和感がすごい、右側だけ重たい。


 身体の部位が無くなったら結構ショックって言われてるけど、思ってたよりショックじゃなかった、ちょっと覚悟はしてたし。


 ただ、僕は左利きだからちょっとこれから不便になるなぁーって思ったくらい、右手もまぁ、すごく使えないって訳じゃないし、そのうち慣れるだろう。


「はぁ……とりあえず、起きよう」


 僕はベットから降りて二週間寝たきりで凝り固まった身体をほぐす。


 首とか腰とかボキボキ言わせてると、ベットの傍にエリュシオンが置かれてるのに気づいた。


「あぁ、そっか、神気が切れたのかな?」


 エリュシオンを手に取って、神気をかなり多めに流し込む、するとエリュシオンはキラキラと光となって人影を作っていく。


「…………レンっ!」


「おっととっ!」


 剣から人になったエリュシオン……エリュは完全に擬人化する前に僕に飛び込んできた。


 右手だけで抱きとめようとして、上手くできなくてそのままベットに倒れる。


 やっぱり慣れないなぁ……


「………よかった、ずっと目を覚まさなかったから」


「いやー……あはは、心配かけてごめんね、もう大丈夫だよ」


「………うん!」


 エリュとコミュニケーションをとってると外が騒がしくなってきた。


 そして、バタンっ! と勢いよくドアが開かれて、


「レン様!!」「レン!!」「目覚めの時が来たようだな!」「レン兄ちゃん起きたのか?!」「レン、おはよぉー!!」「無事で良かったです……!」「レン様、やっとお目覚めになられたのですね!」「この部屋早く掃除したいスラ、起きたなら出てくスラ!」「レンお兄ちゃんお腹空いた!!」「ご主人様が起きたプリ!!」


「うおっ! ちょ、まて!! いっせいには無理だって!!」


 ミーナ、クルア、ルカにコロッケたちちみっこ組が僕に突っ込んでくる。


 その後ろには、お鶴さん、ひろしさん、ザリュさん、ガルさん、リーアさん、レーアさん、天使3人組など年長者組の面々もいる。


 あぁ、本当にこんなに心配かけて悪いことしたなぁ……と、もみくちゃにされながら思った。


 僕は聖徳太子じゃないからそんなに何人も声をかけられても全員にこたえられないんだけど……


 みんなにされるがままになっている時、最後に華憐が入って来た、その顔は下を向いてちょっと肩を震わせてる、その手には僕のスマホを持っていて、


「ねぇ、蓮くん……」


 そして、部屋にそんなに大きくないけど何故かよく通る底冷えするような声が響いた。


「この、『アマちゃん』って誰なの? さっき、蓮くんのスマホを媒体にしてこの人を『飛耳長目』で見てみたけどすごく綺麗で可愛い女の子が私に手を振ってたんだけど?」


 な、なぜ華憐がアマちゃんのことを……それに『飛耳長目』で見た?! いつの間に華憐はそんなことできるようになったんだ…….


 僕は冷や汗をかいてきた。


「それに、蓮くん寝てる時に寝言で『アマちゃん』って言ってたよ? あと、今もなんかメール来て『早く連絡をくれないと手取り足取り教えてくれた二週間のことを神託で告げますよ』とか言ってるんだけど?」


 な……あの、アホ神があぁぁーー!!


 僕はもう冷や汗が止まらない。


「どういうことが説明してくれるよね? ね?」


 みんなも僕の方を見て、一体どういうことかと目で訴えてくる。


 僕は両手……今はもう右手だけだった、右手を上げて降参のポーズ。


「はい、ご説明させていただきます、その前にその人に連絡をさせてください」


「はい、どうぞ?」


 なんでこんな、浮気がバレた夫みたいになってるのか……すべてはこのスタ爆をしてくる神様のせいだ。


 とりあえず、電話をかける。


『あ! やっと、電話をくれましたね! 向こうに戻ったらすぐに連絡してくださいって言ったじゃないですか!』


 電話はコールもせずに繋がった。


「アマちゃん!! アマちゃんのせいで僕今、窮地なんだけど! ちゃんとこの二週間のことを僕に代わってみんなに説明して!」


『えー、嫌ですよ、私そんなに暇じゃないですし』


 嘘つけー!! 暇ならスタ爆なんて絶対しないぞ!!


『まぁ、しっかり戻れて問題なさそうですし、しっかりと電話も繋がったので大丈夫そうですね! あっスタミナ回復した! イベントイベント……それじゃあレンレン、私は忙しいので切りますね』


「え?! ちょっ、まて!!」


『それでは!』


 ティロロンと、電話が切れる音が虚しく響いた。


 あの神様、スタミナとか言ってなかったか? 絶対忙しくないだろ……


「それで、蓮くん? 一体どういうことなのかな??」


 ひいいいぃぃ、華憐が怖いよぉ……


「はい、えーとですね、まずアマちゃんというのは……」


 僕はこの二週間のことをみんなに説明する。


 まず、僕は反動でぶっ倒れた後、再びアマテラス様に魂の祭壇に呼ばれた。


 曰く、ちょっと教えて欲しいことがあるから呼んだとか。


 教えて欲しいこととはスマホの使い方で、メールと電話しか使えなかったアマテラス様にカメラとかの他の基本機能を教えていた。


 最初はそれで帰る予定だったのだが、なんとこの前来た時は気づかなかったけど魂の祭壇は電波が繋がっていることに気づいた。


 僕はかなり歓喜して、青い鳥のアプリや動画アプリで僕達がいなくなったあとの日本を調べて、ついでに、音楽をさらにダウンロードしてきた。


 僕が本当に嬉しそうにやってたからか、基本機能をマスターしたアマテラス様が僕がやってる事に興味を持ち、SNSの使い方や動画アプリ、音楽アプリのダウンロード方法とかも教えてあげて、ゲームのことも教えて2人でオンラインゲームをして遊んだ。


 みなさん知ってますか? 神様も銃を打ちまくってたりしますよ。


 仲良くなった僕達はお互いを『レンレン』と『アマちゃん』って呼び合うようになりかなり意気投合した。


 そして魂の祭壇に来て4日くらいたち、そろそろ帰ろうとおもってアマちゃんに頼んだら、アマちゃんは駄々を捏ねた。


 たぶん、スマホの偉大さやオンラインゲームの楽しさに気づき、今までこんなことしたこと無かったからだろうから名残惜しいんだろうなって思ってもう少し付き合うことにした。


 だからこの二週間も寝ている必要はなかった。


 身体が治ったらいつでも戻れたんだけど、まぁ僕も楽しかったし僕が見てなかったアニメとかも一緒に見てて帰るのを忘れちゃったんだよ。


「それで、アマちゃんに戻ったら電話が繋がるか試したいから直ぐに連絡してくれって言われて戻ってきた次第です」


「つまり、私たちが蓮くんが目を覚まさなくて、もう起きないんじゃないかとかなり本気で心配していたあいだ、ずっと楽しんでたわけだよね?」


 そ、そんな目で見ないで……


「レン様、それは無いです」


「ふん、なによ、心配して損したわ」


「一度、冥界へ落ちた方がいい」


 み、みんなが辛辣だよぅ……


「す、すみませんでした!」


 僕は土下座してしっかりと頭を下げる。


「はぁ、すごく、すごくすごくすごく不満だけど、神様に頼まれちゃ蓮くんでも仕方ないか……」


 お? 許してくれる?!


「ねぇ、蓮くん、それよりちゃんとアニメもダウンロードしてきたよね!?」


 あ、そっちか……


「そりゃあ、もちろん! あたりまえだろう、華憐が知ったら絶対怒られると思ったし」


「よかろう、ならば許す!!」


 あ、簡単に許された……チョロいな。


「まぁ、カレンが許すなら私もいいわ、でも本当に目を覚まさなくて心配だったんだからね」


「そうですね、レン様! 無事で何よりです!」


「……………」


 クルアとミーナも許してくれた、よかったよかった。


 だけど、ルカだけは少し浮かない顔してる。


「ルカ? どうした??」


「レン……その、腕を完璧に治せなくてごめんなさい」


 ルカは少しうつむき加減に僕の腕のことを言ってくる。


 たぶん、治せなくて切断するしか無かったことを悔いてるんだろう。


「ルカ、大丈夫だよ! あれはたぶん、ルカよりも治癒魔法に優れた人でも治せなかったよ、それに片腕になったって義手とか付ければ問題ない」


「でも……」


「そんなに気負わないで! そこまで気にしてないし、こうシャ○クスの真似とかできるしね!」


 僕はルカの翡翠色の髪を撫でて宥める。


「それよりも、僕の怪我を直ぐに治してくれてありがとう!」


 お礼を言うと、ルカは顔を上げてギュッと僕に抱きついてきた。


「本当にひどい怪我と火傷だったんだよ……もう、あんなになるまで無茶しないで……」


「うん、わかったよ、ほんとにありがとう」


 僕もルカをギュッて抱きしめ返した。


 それから他のみんなからも、すごく心配したとか、あの時は神様みたいだったとか、やっと起きたのか、とか言われて、すごく心配かけてたんだなぁ……と改めて反省。


 アマちゃんに恨みのスタ爆を返して、オンラインゲームの邪魔をしてやった。


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