99話 『神気解放:天照大神』
祝!! PV10万人突破〜〜!!
いぇーーい! どんどんどん!! ぱふぱふ!!
皆様のおかげでPV10万人突破し、ユニークも1万人を突破しました!
ありがたや〜、ありがたや〜
これからも頑張って書いていくので、これからよろしくお願いします!!
「蓮くんっ! ねぇ蓮くん!!」
「………カレン! また来る!!」
華憐とエリュシオンが叫んでる。
その様子を外から見ている僕。
華憐は僕の身体をゆさゆさ揺らしてるけど、今の僕はなんか幽体離脱状態だし、反応できないよ。
そこに〜わたしは〜いません〜って歌って上げたい。
ていうか、アマテラス様は僕は死んでないって言ってたけどほんとに大丈夫か?
僕の身体、目も当てられないくらい無残な状態なんだけど……とくに左腕とか真っ黒だし……
なんで、僕がこんな幽体離脱状態になってるかというと、アマテラス様が力を貸してくれるらしいんだけどそれの準備中みたい。
空の王者(笑)は上空で火炎弾の準備をしている。
アマテラス様そろそろ時間ないんだけど!! まだなの?!
「………カレン! 早く逃げて!!」
「でも……蓮くんが……」
「………エリュはレンにカレンを守るように言われたの! 言うことを聞いて!!」
「やだ……やだやだ!! 蓮くんを置いてくなんてできない!!」
華憐の目からは涙がポタポタと垂れる。
そして、空の王者(笑)が火炎弾をエリュシオンと華憐に向けて放った。
アマテラス様ーーー!!! はやくーーーー!!!
「………『神気解放』!! お願い、早く逃げて!!」
エリュシオンは残り少ない僕の神気で神気解放をして障壁を作って火炎弾を止めにかかる。
エリュシオンはたぶん僕より神気の細かい扱い方が上手い、球飛ばしてきたりするもん。
力はやや火炎弾のほうが強めで、ジリジリとエリュシオンが後退させられていく。
(蓮、準備できました! 本当に30秒しか持ちませんからね!)
やっと来たか! 遅いよ!!
(私だって、こんなことやるのは久しぶりで勝手が分からなかったんです! それじゃあ、頑張ってください!!)
そうして僕は、丸焦げの僕の身体に入れられた。
最初に感じたのは痛み、そしてジリジリとする熱さ、左腕は感覚がなかったし全身が痛くて痛くて仕方がない。
けれど、ジワジワと力が湧いてくるのもわかる。
「………カレン! もうもたない!! 早く、早く逃げてよ!!」
「エリュちゃん、ごめんね……私は蓮くんを見捨てるなんてできない、だからエリュちゃんの方こそ逃げて……」
まったく、せっかく助けられたんだから、僕のことなんてほっておいて逃げてくれればいいのに。
でも、すごく嬉しい。
「ばーーか、はやく逃げなきゃだめだろー」
「え………?」
僕はゆっくりと目を開ける。
華憐がポカンとしたアホ丸出しの顔をしていた。
僕は全身の痛みを歯を食いしばって我慢して、立ち上がり、エリュシオンが抑えてる火炎弾を感覚のない左腕に神気を集めて殴り飛ばす。
「エリュシオン、華憐を守ってくれてありがと!」
「………レンっ!!」
「今から、あいつを30秒で倒すから力を貸してくれる?」
「………もちろんっ! 私はレンの剣だから」
僕とエリュシオンは手を繋ぐと、エリュシオンがロングソードになる。
「華憐、僕のこと諦めないでくれてありがとう」
「蓮くん……」
「これが終わったらやらなきゃいけない事が沢山できたから、これから忙しくなるぞ!」
僕は華憐に笑いかけてから、空の王者(笑)を見据える。
空の王者(笑)はワールドツアーの最中で、また飛行火炎突進の予備動作に入ってた。
「エリュシオン、一撃で決めるよ」
(………わかった! あと、レンもエリュって呼んで)
まぁ、確かにちょっと呼びにくいなーとは思ってたからいいね!
「わかった! それじゃあ、いくぞエリュ!!」
(………うんっ!)
僕はアマテラス様がくれた力を使う。
「『神気解放:天照大神』!!」
僕が力を解放した瞬間、僕を中心に眩い七色に輝く光のオーラが広がっていく。
(………レン、なにこれ! すごい力……)
エリュは赤金色のロングソードからさらに大きくなって刀身3メートルくらいの七色に輝く燃えるような光の剣になってた。
エリュがこんな色になってるなら僕の髪も同じような感じなんだろうなぁ……もう慣れたよ。
空の王者(笑)は予想通り超スピードの低空飛行で炎を纏って突進してくる。
僕は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。
『神気解放:天照大神』は今の僕だと30秒しかもたないらしい、だから一撃で仕留めなきゃいけない。
神気を全身に巡らせ、最大の身体強化をして、エリュに神気を流してさらに威力をあげる。
「さぁ! 終わりだ!! 『天照の陽極斬』!!!」
僕は眩い虹色の焔を纏いながら突進してくる空の王者(笑)に正面から突っ込む。
そして、煉獄の赤い炎と閃光の虹色の焔が激突した。
拮抗は全くせず赤い炎が虹色の焔に飲み込まれる。
あたりまえだ、どれだけ熱い炎でも太陽の神の焔には勝てるわけが無い。
そして、全ての赤い炎が飲み込まれた瞬間、巨木な我が家を含み周囲一帯が眩い光に包まれた。
この瞬間を見ていた僕の仲間たちは口々に神の存在を感じたと言っていた。
まぁ、実際神様の力を使ってるんだしね。
そして、光が収まったあと、そこに立っていたのは僕とエリュシオンだった。
「………レン、変な髪」
「エリュだって同じようなもんだぞー」
エリュは自分の髪を見て、
「………ほんとだ、お揃い」
「だろ? それじゃあ、華憐のところに……」
戻ろうって言おうとした時、
「グオオォォォォオ!!」
地面にぶっ倒れてた、空の王者(笑)が再び起き上がった。
そして尻尾が切られて、鱗も翼もボロボロの状態なのに空に飛び上がって、逃げ出した。
「なっ……! まてっ!! 逃がさっ………ぐはっ………」
「………レン!!」
逃がさまいと再び力を使おうと思ったら全身に強烈な痛みが走って、身体に全く力が入らず地面に倒れてしまう。
ぐっ………そうか、もう30秒たって……くそ、これが反動か……
「………レン! レン!! 大丈夫?!」
エリュが僕を支えてくれるけど、正直全く大丈夫じゃない。
「蓮くん!!」
華憐もやってきたのか声が聞こえたけど、僕は再び今日何度目かの意識を無くした。
………………………………………………………………
この日、蓮が人ならざる力を持ち、それを最大限使ったことで世界の重鎮たちはその存在をしっかりと認識したのだった。
~ミーナサイド~
まず、一番最初に異変に気づいたのはルカだった。神気を感じ取ることの出来る天使族だからだろう。
クルアも見れば神気であることが分かるが、ルカのように感じることはできない。
「なに………これ……」
「ルカ? どうしたの?」
ルカはあまりの強大すぎる神気の気配に恐れおののいていた。
もちろん、この神気が蓮のものであることは分かっているが、少し違う気配も混じっていたため困惑しているということもある。
「クルアさん、ルカさん! あれ!!」
次にミーナが指さして、なにかがすごい光を発していることに気がついた。
「あれは、家の方向じゃない……一体何が……」
「すぐに戻りましょう!」
「そうね、ルカ! 行くわよ!」
ミーナとクルアはすぐに切り替えられたがルカは未だに衝撃を乗り越えられないでいる。
(こんな神気量、現大天使長10人全員の神気をたしても足りないじゃない……いったい、レンは何を……)
「ルカ! 早く来なさい!」
「う、うん!」
クルアに呼ばれてルカは一旦思考をやめて、とりあえずレンたちと合流しようと再び家に向かって走り出す。
~天使族の国~
天使族の国 『シュタイナ』にて現在、大天使長たちが集まり緊急会議が行われていた。
ちょうど、ルカが蓮の神気を感知したころ、天使族の国の頂点に立つ10人の天使たちにも感知されていた。
かなり離れているため、正確な距離は分からないが、方向は分かっていた。
10人いる大天使長の中でも一番の実力者、『正義の天使』のミシェルは蓮の神気がふざけた量であることを正確に理解し、緊急会議を開くことを決意したのだ。
「さて、みな、先程の神気は気づいているな?」
ミシェルの声に集まった9人の大天使長は頷く。
「初めて感じる神気でしたねぇー」
心情を司る『栄光の天使』のアナ
「そしてなかなか大きな神気だったぞ」
自然現象を司る『裁きの天使』のアンジェロ
「私は魔の気配も感じました、まさかと思いますが新たな魔王の誕生では?」
公正を司る『監視の天使』のスルヤン
「確かに魔の気配も感じたがそれより、神の気配も感じた矛盾した神気だった」
戦を司る『象徴の天使』のカミーユ
「お告げはなにかあったのかい?」
神の命令『断罪の天使』のセス
「いえ、なにも聞いてないわ」
神の力『神託の天使』のジブリール
「ただ確かなのはかなり遠くで何かが起きた、ということね」
治癒を司る『癒しの天使』のリオン
「警戒しておくべきかと」
夢を司る『夢幻の天使』のアウロラ
「調査もするべきではありませんか?」
制約を司る『願いの天使』のフォルネ
ここに、平和を司る『正義の天使』のミシェルを入れた10人が天使族の長達だ。
そして会議はつつがなく進んでいき、今後の方針が固まってきた時、会議室の扉が開いた。
「失礼します!!」
やってきたのは、天使族のなかで唯一、蓮の神気を知ってるマールだ。
「マール、今は会議中よ、後にしなさい」
「いえ、お母様、それにミシェル様、私は先程の神気を知ってます、そして私の姉であるルカはその神気の使い主と共におります、もしなにか接触を測るようなら私に任せてくれませんか?」
「ふむ、一考の余地ありか、もう一度、マールを含めて一から考え直そう」
そうして、再び会議が再開されていった。
~夜の国~
吸血鬼の国 『ナイトメア』でも、蓮の神気を感知した者がいた。
侯爵の貴族、スタッド家の家長であり吸血鬼の真祖のアブソリュート・フォン・スタッドだ。
「お爺様如何しましたか?」
アブソリュートの執務をこなす手が止まり、どうしたのかと声をかけるクルアの妹のルーシィ。
つまり、アブソリュートはクルアのおじいちゃんでもある。
「ああ、いやね、今どこからか強い神気を感じたのじゃ、ルーシィが心配するようなことは何も無いよ」
アブソリュートは齢1000歳越えである。
実に好々爺な笑顔をルーシィに向けるが、歳は1000オーバーでも見た目は高校生。
そう、見た目は高校生! 中身はおじいちゃん! その名は吸血鬼真祖アブソリュート!
「神気……あ、お姉様の」
「クルアか?!」
「え、ええ……そうですよ、お姉様がいる所に神気を使う方がいるんです」
「そ、それはどっちの方向じゃ?!」
「えーと……たしか向こうだったと」
ルーシィが蓮たちの方向を指さす、それをみたアブソリュートは、
「こうしちゃおれん!! 今すぐそこに向かうぞ!!」
「え?! お、お爺様、今すぐにですか?!」
「当たり前じゃあ!! クルアが帰ってこなくて夜も眠れないのに……居場所がわかったからには今すぐ向かいに行かねば!」
そう言うと、扉をすごい勢いで開けて執務室を出ていくアブソリュート。
アブソリュートは孫にぞっこんだ。
ルーシィは内心、「お爺様は眠る必要は無いはずなんですが」と、ごちりつつ、ちょっと余計なことを言っちゃったかもと思い、遠く離れた姉のことを思うのだった。
~人間族の国~
蓮たちに最も近い人間族の国、『ブリリアント』にて、その国の宮廷魔術師長ヘンリーは趣味の魔法で遠くを除き、女の子の下着見聞の最中、自分がどれだけ遠くまで見れるのか試したくなって、全力で魔法を使い山の方を見ていた。
「な、な、なんだあの光は?!」
そして、ちょうど蓮と空の王者(笑)の勝負が着いたところだった。
山の向こうで何かが起きている、そう思ったヘンリーは国王に今のことを伝えることにした。
「陛下! お伝えしたいことがあります! 先程、山の方を見ていたのですが……」
「はぁ?! 山だと?! この一大事の時に何をしているんだ! お前のその変態な趣味のたわもので早くミライアを探さんか!!」
国王は山の先で起きた爆発どころではなかった。
ブリリアント王国では今、王家存亡の危機にひんしていた。
つい最近、ブリリアント王国、国王アレクは無精子症だったことが判明。
そして、アレクは一人っ子であり、そういう場合王家の血を絶やさないよう分家に血筋を残しておくものだが、一昨年に内戦が起き、王家直下の血筋の貴族たちが皆殺しにされていた。
内戦は収めたものの王家の血筋はアレクのみになり、絶体絶命。
なんとか、まだ後継者がいないのかと国の資料という資料を漁りまくり、孤児になっている一人の少女が王家の血を継いでいることが判明。
アレクの父が浮気をして出来た子供で、物心着いた頃、その子を育てていた母親が死亡し孤児になっていた。
そこまで掴んだ日に、その子がいた孤児院が悪魔に襲われ孤児全員が行方不明になり現在、国家総力でミライアという孤児を探している最中だ。
そんな中、下着見聞をしていたヘンリーは実にこっぴどく国王に叱られることになったのだった。
(くそぅ……あれ? ミライアって子はたしか金髪だったよな? さっきそれっぽい人を見たような……まっ、気のせいか! はーぁ、仕事しよ……)
ヘンリーは魔術だけは超一流だった。
~竜人族~
世界の北方に位置する竜人族の住む場所でも、蓮の神気を感知した者がいた。
「くくっ、久方ぶりに面白く強大な力じゃのう」
竜人族のエンシャントドラゴンのジークフリートだ。
そんなジークフリートに飛んでくる竜がいた。
「じーーちゃーーん!」
「ん? どげんしたと、シャルティエラ」
「あんね、向こうん方でばいごい力ば感じたっちゃけど、行ってきてよか?」
「はっはっは! そっかそっか、ついに感じるごとなったんか」
ジークフリートは孫娘が自分と同じエンシャントドラゴンに近づいていることに嬉しくなりつい上機嫌になる。
「ねぇ、行ってきてよかと?」
「ああ、行ってきてよか、ワシがヴルムとナークには言うとくけん、そんかわり気おつけんしゃい」
ジークフリートがそう言うとシャルティエラという竜人族の少女は満面の笑顔をみせる。
「ありがとう! じーちゃん!! 行ってきます!!」
「行ってらっしゃい!」
そして、白銀の竜が蓮たちの方向に向かって飛び立って行った。
「あいらしか孫ん成長じゃ、あん子ん親にはワシが言うといたろう」
ジークフリートはこの後、息子と息子の嫁にガミガミと怒られたらしい。
~魔王城~
「魔王様」
「ザガンやはりお前も感じたか」
「はい、ここまでのものはなかなか……」
魔王城では魔王マーラ・パーピヤスと側近の『君主』の悪魔 『有翼の牡牛』の二つ名を持つザガンが感知していた。
「もしや、アラティと、なにか関係があったりするのか……?」
「魔王様、アラティ様は『触手』により誘拐されたのが分かっております」
「そんなことはわかっている、が『触手』は消滅したんだろう? なら、もしかしたら可能性はあるかもしれないな」
魔王マーラは少しの間考え、
「ザガン、勅命する、アラティが絡んでようとなかろうと一度調査するべきだろう、ここの調査を命じる」
「はっ!」
「どのようなものかが分かるまでは慎重に、敵対しないようなら友好的に接してくれ、なにか重要な事がわかり次第、密に連絡をするように」
「了解しました。では、早速準備をして行ってまいります」
ザガンはお辞儀をして部屋を出ていく。
残された魔王マーラは
「はぁ、アラティ……どうして家出なんて……無事でいてくれよ」
アラティがいなくなってからかなりたち、嫁のカーマは塞ぎ込んでしまい、姉妹のタンハーとラーガとも上手くいってなく、少し鬱気味になっていた。
「がんばれっ! パパっ!」
昔娘たちが作ってくれた自分の人形で、自分を鼓舞する魔王様の姿がそこにはあった。
~???~
原っぱの草原で木の幹に寄りかかって剣の手入れをしている少女がいた。
「ふんふんふーん♪」
少女は鼻歌を歌ってゆらゆらとご機嫌そうに揺れていて、肩くらいに揃えられた髪の毛もゆらゆらと揺れる。
「旅の準備が整いましたーー!!」
少女の仲間だろう数人の男女が少女に声をかける。
「はーーい、今行くよーー!」
少女は仲間に返事をして、「よいしょっ」って立ち上がり歩きはじめた時、
「あっ……」
少女はふと、なにかに気づいたように蓮たちがいる方向を向いた。
それはちょうど蓮が空の王者(笑)を倒した時で。
「やっときた!」
少女は、右耳に付けたピアスを軽く撫でて、愛おしそうに目を細める。
「蓮、もう少しで会えるからね」
ぽつりと呟くと、少女は再びご機嫌そうに歩き出した。




