閑話 ゴールドマン
金色の髪は貴族に多いという
珍しい金色の髪は好きじゃなかった、容姿で寄って来るやつは男も女も蜜に群がる蟻みたいなもんだと思ってた
髪型だけじゃなく好きになってくれる人もいる、そんな仲間とパーティーを組んだ、金髪はトラブルの元にもなる為、色んな土地で冒険者をするうちにいつの間にかハーレムパーティーのような状態になっていた、今まで泣きながら出ていく子も居たし、笑いながら別れる事もあったが、俺の性格もあり最近は割とみんな仲良くやってこれた
けど、どっかで俺は満たされない気持ちでいた
酒を飲もうと、食堂に入った時だった
ひと目見て衝撃を受けた
この人に出会えた、生まれてからこの瞬間が来るのをずっと待っていた、そんな気持ちになっった
「あんた、名前は?いやそんなのはいい、今日は何時までいる?いつも働いてるのか、明日もいるのか」
女はびっくりした様子で
「はい、今日は最後まで働いてます、明日もこの時間は働いています」
女は俺の髪をみて、微笑んだこの時ほど自分の髪に感謝したことはないだろう
「私は待ってますから、大丈夫ですよ」
俺はすぐに宿屋に帰りパーティーの解散を伝えた
もちろん彼女達は大反対だ
赤い髪にシルバーの鎧、顔に傷のある女性、紛争地帯で奴隷だった彼女が言った
「どういう事だ説明しろ」
「どうもこうも無いパーティーは解散だ、嫌なら俺が抜けるから後は好きにしてくれ、金もいらない」
本を読んでいる魔法使いの女性、彼女とは一番付き合いが長い
「女か?」
「ああ、そうだ」
エプロン姿で料理を作ってくれていた、金持ち領主から助け出した彼女
「なんで、私達の事嫌いになっちゃったの」
「違う、全部俺が悪い」
一番若くて少し勝ち気、いつも自分が一番だと言っていた彼女
「今まで一緒に仲良くにやってきたじゃん!」
「これからは一緒に居られない」
商人の娘にはパーティーの財布の事で毎晩小言を言われる
「君だけを見てるって言ったじゃん!」
「もう、俺はその人の事しか見えないんだ」
魔族とのハーフでもある彼女は教会の地下で家畜以下の扱いをうけていた
「どうせまた戻って来るんだろう、振られたら身体で慰めてやるよ、あんたの事は私達が一番知ってるんだから」
「もう戻らない、たとえ振られたとしても、もうあいつ以外を想う事は出来ない」
猫の獣人の彼女は俺と風呂に入るのが一番の幸せだと言っていた
「そんなの嫌だよ会えなくなるなら死んでよ!それか私を殺してよ!」
「すまない」
普段は強がってばかりだが、二人きりになると傷つくのが嫌だと泣きながら身体をよせてきた彼女
「わかったよ、いつかくる日が今日だったって事だろう」
「ああ」
「最後に・・」
そういった彼女が口づけをしようとするが俺はそれを拒む
彼女は平手で俺の頬を打ち付けて振り返らずに出ていった、頬には涙が流れ落ちる
「俺はもうここには帰ってこない」
引き止める声や、引き止める子を止める声が扉の隙間から聞こえてくる
宿屋を出た俺は走って彼女の元に向かった
腰に着けていた剣を投げ捨てて
重い革の鎧を脱ぎ捨てて
彼女の元に今まで会えなかった時間を少しでも取り戻すように
店についた時彼女はまだ仕事をしていた、関係ない、俺はそう思って彼女の事を抱きしめた、持っていた食器が落ちて店が静まりかえる
息が乱れて言葉が出ない
「お水・・」
離れようとする彼女をキツく抱きしめる
「俺と一緒になってくれ」
「初めて会ったんですよ」
「関係ない」
「私他に好きな人がいるんです」
「関係ない」
「それに私エルフなんです」
そこで俺は初めて抱きしめてる女性の耳が尖ってる事に気づいた、けどもちろんそんなことかまわない
「そんなの関係ない」
彼女は俺の顔を真っ直ぐ見て震えながらこういった
「大事な事です、私を残して死んでしまうんですよ、残された私はどうしたら良いですか?」
彼女の目には涙が溜まってる
俺の言葉は決まってる
「待ってれば良い、俺がまた生まれ変わるのを、次お前が好きになるのが俺だ、だからそれを待ってればいい」
「はい、百年は待ってましたよ」
彼女は泣きながら、けど嬉しそうに俺に抱きついてきた・・・
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「だから彼女が好きだって人は、金色の髪で百年前に亡くなってて、その時に生まれ変わったら迎えに行くって言ったんですって、やっぱ運命ですよねー、あれ?お兄さん聞いてます?おーいお兄さーん」
「うるせーな!なんだよ!ハーレム!?そんなんあるの!?何処に売ってるのよ!悪魔に魂売っても手に入れるわ!しかも猫風呂やってるじゃん、猫風呂やってヤっちゃてるじゃん二重の意味で!ってかお前そんな馴れ馴れしい感じだっけ!?何余裕なの?達成者の成せる技なの!?あー、ムカつくわここを震源地にしてお前の髪を血で染め上げたいぜ」
「あら、昔の話しですか?いやだわ仲直りに私も入れてみんなでお風呂入った事なんて言わないで下さいよ、恥ずかしいですから」
「あれは最高の眺めだったぜ、なぁ兄さん・・あれ?・・・死んでる!!」
「死んでないわ!」
「いや、目と口から血出してたら死んでると思うから、ってか他の奴らまで何それ流行ってんの?はっはは面白いなどうやってんのそれ?」
「「「お前が、笑うなーーー」」」
ドーマンルー食堂に男たちの叫びが響いた
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時期的には1日目の夜の話です
バレンタインデー用に思いついた話です
ただバレンタインデー過ぎてからバレンタインデーがあった事に気づいたんで間に合いませんでした、理由?聞かないで下さい(血の涙)