ニ日目(1)パウセの宿屋
異世界二日目
嫌な汗で目が覚めた
「今日が二日目、オレに適当スキルからすると、良くてあと10日前後、最悪4・5日、今日起こるってのは考えたくもない」
夢にでてきた、昨日見せられた光景が頭を過る
子供に向かって襲いかかる棚、我が身を使って助けようとする母
煙の立ち込む中苦しむ老人
割れたポーションの中から、無事なものを必死に探す女性
「・・・ふぅ、焦ってもしかたない」
ルビーには予知のスキルは話さない方が良いと言われたし
知らない人にいきなり地震の話をされても怪しまれるだけだ
「昨日の店主も最初は警戒されてたしな、オレが金目当てじゃないって分かったから良いけど」
この世界の人は地震などの単語は不信感を仰ぐ
捕まったりしたら話にならない
まずは焦らないでも大丈夫、必ず伝わる。
汗をタオルで拭く、ベットの横の棚には本が数冊、ガラスの水差しにグラスが一つ、洗面器に水、その横にはタオルが置いてある。
ベットの横に棚、ガラスの水差しにグラス
ベットから落ちたら棚の下敷き、大丈夫でも棚が倒れたらドアが開かない、棚が倒れなくても、ガラスが割れる
「[注文]だけは昨日したけどまずは自助だな、話を聞いてもらえるかな」
そう言いながら、ベットの下にあるニッコリマークの箱をみる
1階に降りてカウンターにいるパウセさんに挨拶をする
「おはようございます」
「おはようございます、昨日は娘が本当に失礼しました」
宿屋の女将、パウセさんがお茶を渡しながら、申し訳なさそうな顔で頭を下げる。
顔を上げて目があって驚いた
昨日は気づかなかったが、この人は昨日の映像で今朝の夢でもみたばかりだ
[[ある家庭では子供の上に棚が落ちてくるのを親が抱きしめて守ろうとしていた]]
あの映像の子供が昨日の女の子・・・
大丈夫、絶対助ける
「それよりパウセさん、しばらくこの町に居ようと思うのですがお部屋は大丈夫ですか?」
「ええ、お部屋は空いてるので大丈夫ですよ、ただ長期の宿泊は前料金を頂いてますがよろしいですか?」
大丈夫だと言って昨日女の子に渡して、その後パウセに返してもらったコインを何枚か出す
「とりあえず10日分、いまいちこの硬化に慣れなくて見てもらっていいですか」
「そうですね、失礼します」
そういうとパウセは緑色に輝くトカゲのコインと、赤く色のついた鳥の絵の書いてあるコインを受け取った
「エメラルドトカゲと火喰い鳥を頂きますね、価値の目安は大きさや輝きですかね、私も料理用の火のコインが欲しかった所です」
***
ここの世界の通貨
硬貨と言うよりも聞いた感じだと、使用用途を聞くと物々交換とレアメタルを合わせた印象をうける
しかもモンスターの種類ごとに模様が変わって正確価値なんて把握してるのは、専門の交換所やコイン鑑定士、コインコレクター、そんな専門家たちぐらいだ
ほとんどの人がギルドカードについてる電子マネーのような機能を利用しているって話だ
今日はオレもギルドに行ってみようと思う
***
そうだ、ギルドに行く前に部屋の相談しなきゃな
「パウセさんお部屋について相談があるんですが」
「お部屋がどうかしましたか?」
「じつは私、防災コンサルタントという仕事をしてまして、災害予防の相談役のような事をしています」
地震と聞いて苦笑いをするパウセに更にお願いをする
「もちろん詐欺の話も知ってます、なので私の使ってる部屋だけで構いません、釘を使わないので家具も傷めませんしお代もいただきません」
「うーん、お客様が泊まってる間だけ、部屋と家具を傷つけないなら構いません、けど本当に釘も使わないで出来るんですか?」
「女性でも出来る簡単な作業で、傷あと一つ付けません!防災を売ってるのに自分の防災が出来なかったら笑えないですから助かります」
「ふふふ、それもそうですね」
「じゃー早速やってきちゃいますね」
そう言って、一度部屋に戻りベットの下から取り出した白い箱をあけると箱は光となって散っていき、中にはあった防災グッズが姿を表す
ものの数分で下に降りてきたのをみてパウセはビックリしている
「もう終わったんですか?本当に簡単なんですね」
「ええ、よかったら確認します?」
「良いですか?地震は私も怖いですし」
早速自分の部屋にパウセを連れて行く
「ん〜これはなんですか?」
「これは棚と天井お突っ張り棒で抑える道具です、そして棚の下には前に倒れないよう三角形の楔のような物を滑り込ませています」
実際に商品を見せてやり方を説明し、女性でも簡単にできる事を強調する
最後にはパウセに実際棚を横から揺すってもらいビクともしない事を体感してもらった、これが意外に大事だと思う
「床に敷いてあるのは?なんだかふにふにしてますね」
「衝撃吸収マットですねこれはスライムの革で衝撃を吸収してます」
そう、商品には異世界ならではの素材が使用されてるのだ、ただレア素材にはかなりの値がついてる
パウセの許可をもらいグラスを落しても割れない事を証明するとパウセはとても驚いていた
「部屋の窓には割れても飛び散らないように、スケルトンウッドの樹脂を伸ばした膜を貼ってます」
ガラスには何もないようにしか見えず不思議そうに見ている
パウセには棚が落ちた場合の話もした
部屋から出れなくなること、ガラスが割れること、それとパウセの部屋の棚は大丈夫か
「パウセさんのお部屋にも同じような棚はないですか?無理には勧めないです、けど小さなお子さんもいるのでお話させていただきました」
しっかりと目を見て伝えた
「そうですね」
パウセは悩むように小さく頷いた
「私はまだこの町に居るのでいつでも相談に乗りますよ、それが私の仕事ですから」
「ありがとうございます、少し考えてみますね」
その後オレはギルドの場所を聞いて宿屋を出た
外には昨日の小さな女将さんが掃除をしていた
「いってきます、頑張ってね」
頭をなでながらそう声をかけてギルドへと向かう
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勢いで書いてるので、誤字脱字多くあると思います御容赦下さい
読んでもらいありがとうございます。
補足
今日はルビーさんに補足をしてもらいます
”こんにちは本当の主人公ルビーです”
「え、ちょっとまって」
”え?だって僕のほうが主人公スキルっぽいでしょ、本編には出ないけど他にもいっぱいもってるよ、スキルの万博博覧会やぁ”
”そんなわけで使えない主人公の使えないスキルより使える[異世界補正]のはなしです”
「なんもいえねぇ」
”[異世界補正]タブレットにただ悔やまれるのは実は商品が地震防災グッズに限られている事、誰かさんのハズレスキルのハズレ補正なんだろうね、[異世界補正]は持ち主の能力の反映される事が多いんだ、あとは思いいれの強い物はより強力になったりね”
「ちくしょう召喚される時猫の写真集を持ってれば今頃夢に見た猫風呂が・・」
”いや流石に写真が実物にはならないから、しかも猫風呂って何?怖いよ”
「いやオレの思いなら猫に成るね、自信はある!(ドヤッ)」