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妹は俺を……やる気か!


「じゃあ、お兄ちゃん私行くからちゃんとお茶碗水に浸けて置いてね」


「ああ」


「もう、この間洗うの大変だったんだからね」


「わかったよ」


「じゃあ~~おっ先~~~アスタラビータベイベー」


「はいはい、またな。あと、ビスタな」

バク転しながらではないが勢い良くキッチンを出ていく妹を見送る。


 いつも朝食は妹と二人、両親は共働きで朝は早い、俺達が起きる頃にはもう出掛けている。


「普通なんだよな~~」

 俺を監視している……そんな感じがしているが、妹は特に何も言ってこない。

 いつも通りの朝、いつも通りの妹……いや厳密にはいつも通りじゃなかった事も……

 そう目をあまり合わせない……


「一体何なんだ?」

 あの時妹は俺を見ていた……監視じゃないとしたら一体何なんだ? 目を合わせようとしないのは何故だ?


「俺を覗く意味ってなんだ?」

 俺が妹物のエロ本を見てたから、身の危険を感じて俺を監視していたんじゃないのか?


 俺と一緒でも特に怯えている様子はなかった……いや、何かむしろこう、照れている様な、なんとも言えない熱い視線がって……おいおい何を考えてるんだ俺!


「バカな、兄妹物なんてファンタジーだ、実の妹となんてあり得ない」

 でも俺は興奮した。今まで毛嫌いしていたのに、確かに興奮した。

 あり得ない事が起きている。だとしたら妹が俺に……なんて事も全くあり得ない分けじゃ…………いやいや何を思ってるんだ俺は。


「瑞希先生……あんたやはり凄いぜ、凄すぎるよ……妹に全く興味の無かった俺をここまで考えさせるなんて、怖いぜ……」


 しかし……だとすると一体なんなんだ? 妹のあの態度は? 俺を監視する、目を合わせない、そして何か照れている様な仕草を時々する。


「これがクラスの女子とかだったら間違いなく、あ、こいつ俺に惚れてるなって思うんだが、まあ大方勘違いなんだけどな、何度騙された事か……」

 そう、ましてや相手は妹だ。それこそあり得ない……しかし俺の後ろにイケメンがいるわけでも、俺の顔に何か付いているのを言えないって分けでもない。今まではそうだったが今回は違う……畜生……、つまりはそう、妹は間違いなく何かを隠している。


 ただそれが一体何か検討もつかない。どうしても瑞希先生の漫画の影響で恋愛方向に考えが向いてしまう。


 妹が俺に恋愛感情を抱いていないのに、俺を監視する理由…………

 例えば妹のクラスに俺を好きだって言う友達がいる? とか?


そして妹はその友達を愛しているとか? 友達の目を覚まさせるべく俺を監視、さらには模写をして、俺のみっともな姿を描き写しそれを友達に見せてってなんで模写なんだよ! 写メで良いだろ!


 いや、でもこの推理ってまんざらでもないかも知れない、妹は誰かに恋をしている、そして俺が恋敵……


 つまりはこういう推理ができるんじゃないか?


 そう、妹は俺を殺ろうとしている! 監視をしてさらには俺の身体を描き写し何か弱点や隙を探っている……

 まさかあの照れている様に見えた顔は、恍惚とした表情なのか!!


 俺をもうすぐ抹殺して、思い人と結ばれる表情なのか!


「だから……俺の目を見れないのか……」

 そうか、そうなのか! 妹は……俺を…………そしてあいつは……百合……


「あああああ、下らねえ事を考えてたら時間がああああああ!!」

 妹が家を出てから既に20分は過ぎていた。ヤバい遅刻だ! 俺は慌てて茶碗を台所のシンクに入れ家を出って……


「ああああ、水にさらすの忘れたあああああ」

 妹に殺される~~、あ、いや違った、怒られる~~だ。

 シンクの中の入れ物に水を注ぎ入れ俺の分と妹の分の茶碗を浸ける。


 そして俺はさっき迄考えていた自分の下らない推理を振り払いながら家を出る。


 でも、正解がわからない以上完全に振り払えない……

 ひょっとしたら……という考えを少し残し俺は走って学校に向かった。



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