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次の作品は……私と……


「いいわ~~凄くいい! さすが私が見込んだだけあるわ~~」


「あ、ありがとうございます……」


「本当絵は最高なのよね、凄くいやらしくて……でも、やっぱりもうちょっとこう、何て言うのかしら、リアリティーって言うの? せっかく女子高生なんだから、その辺をもう少し詳しく描ければ、もうちょっと長く続いたのにね~~」


「リアリティー……で、でも私……処……経験ないから……」


「うーーん、経験無くても描けるわよ、推理小説書いている人は人を殺しちゃう経験して無くても書いてるでしょ?」


「ひ……それは……まあ」


「とりあえずデビュー作としては評判良かったんだから、勝負は次ね」


「勝負……」


「編集長も貴女は逸材だって言ってるの! 私だってそうよ、だから掛け持ちで担当になったんだから」


「はい……」


 私のデビュー作『今時の女子高生は……』、最初は読み切りという事だったんだけど、中々評判が良かったと言うことでその後4回、月2回の隔週誌なので約2ヶ月間描かせて貰った。


 でもやはり元々短編の話しだったのを無理やり4回に引き伸ばした為か? それとも今言われた通り、リアリティーが無いって事が読者にバレたのか? この度打ちきりと相成った。


 今私は最後の原稿を渡す為、某ファミリーレストランで担当編集の阿部定世さんと会っていた。

 

 阿部定世さん、通称アベサダさんは派遣編集者として大手で働いている。


 私が阿部定世さんの働く大手出版社に持ち込みをすると、私の漫画はこっちで描くのがいいと、子会社の出版社に連れていかれた。

 そして、そこの編集長さんに、「じゃあ君が編集をやりなさい、話しは上に通しておくから」とその場で私のデビューと担当編集が決まった。

 


 そして2ヶ月……たった4回の連載にて私のデビュー作品はこの度打ちきりとなった。


「それで次の連載なんだけどね、3か月後迄に描いて欲しいの」


「3か月後……」


「今度は長期連載、単行本化目指して頑張ってみない?」


「単行本……私の本……ほ、本当ですか!」


「ええ、私も編集長も貴女なら行けると踏んでるのよ、ただ問題は次何を描くかよね」

 

「はい……」


「何か考えて来た?」


「えっとそれが中々……」

 次回作、期待されるのは凄く嬉しい、でもエッチな漫画を次々になんて、今回のだって大変だったのに……


「そうね、うーーん、やっぱりもっとリアリティーを出して欲しいし、そうね……貴女が主人公で相手は貴女の好きな人とかどうかな?」


「私の好きな人?」


「そう、貴女の好きな人とのエッチを想像して描けばリアリティーが増すでしょ? 『今時の女子高生は……』のモデルは友達なんだっけ?」


「私の友達にあんな次から次へなんて人はいません!……」

 そもそも私の友達はみんなおとなしい子ばかりで、あんな……あんな人……


「まあ、だからリアリティーが無かったのよね、次は貴女がヒロインとして貴女の好きな人との話しを描けばいいのよ!」


「私の好きな人……」



「いないの? 好きな人」


「いない……です」


「本当にいない?」


「…………はい!」


「今間があったわね?」


「間って……本当にいないんです!」


「うーーんそうか~~、じゃあ身近にいる人で気になる人っていないの?」


「身近に……」


「そうね~~今度は純愛じゃなく少しアブノーマルとか、そうそう禁断の恋なんてどうかしらね?」


「禁断の?」


「そうね、学校の先生、塾の先生、家庭教師の先生」


「先生……私あまり年上は……」

 そもそもうちの学校の男の先生ってお爺ちゃんばっかりだし。


「あら、じゃあ小学生とか?」


「私はショタじゃありません! 離れすぎてるのが嫌なんです、そもそも私に兄はいても弟は……」


「それだ!」


「それ?」


「そうよ、身近にいて年も離れすぎない、禁断の恋、貴女とお兄さんの恋の話しを描けば良いのよ」


「え? …………えええええええええええええええええええええええ!!」


「年はいくつ違い?」


「一つ……」


「格好いい?」


「少しオタクだけど……顔はそこそこなのかな?」


「いいじゃない、貴女とお兄さんのラブストーリー、どうかしら描いてみない?」


「…………………………私と…………お兄ちゃん……が……する物語……」


「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 こうして私の次の作品は兄妹物になった。





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