初デート
翌日は、デート日和といっても過言ではなかった。
太陽が空に輝き、気持ちのよい風が吹いていた。
待ち合わせ場所の駅には、30分も前に付いてしまった。
駅の壁に寄りかかって、彼を待つ。
アルマジロくんの私服を見るのが楽しみで、妙だと思われるだろうけれど、口元がにやにやしてしまう。
駅の壁で一人、ニヤニヤしている女なんて怖いだろ、って一人突っ込みを入れて、顔を両手で包んで隠す。
元に戻れ~~って念をこめるけれど、あたしの顔はいつまでたっても不気味な笑みが消えない。
「一人でニヤニヤされると、話しかけずらいからね」
呆れたようなアルマジロくんの声に、パッと顔を上げた。
「アルマジロくん!」
「っーか。今日も俺は、アルマジロなわけね」
なぜか妙に脱力しているアルマジロくん。
「駅でアルマジロなんて呼ばれると恥ずかしいだろう?」
「あ、そうだよね。小さい声で呼ぶね」
アルマジロくんは「ちげぇだろ」と、苦笑した。
からっと笑うアルマジロくんの後ろには、輝く太陽。
まるでライトを浴びているかのような彼は、周囲に比べてひときわ目立っている。
何をしているわけではない。ただ、立ってあたしの目の前に居るだけ。
でも、アルマジロくんは行き交うどんな男の子とも違う。
ラフなデニムパンツに、黒のTシャツ。
赤と紫の縦線の入ったシャツを上着代わりに羽織っている。
――――――やっぱり、カッコいい
あたしがアルマジロくんに見惚れていると、アルマジロくんの眉間に皺が寄った。
「何、固まってんの?」
見惚れてます、とは言えなくて、あたしは顔を真っ赤にして目を伏せた。
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「ウサコ、いつもと雰囲気が違うな」
アルマジロくんが先に歩き出して、あたしが彼を追いかける。
横に並んだあたしにアルマジロくんはちらっと視線を向ける。
あたしの今日の服装は、軽い薄紅色のスカート。黒
のアンサンブルを着ている。
上品なお嬢様系ファッションだ。
もちろん、あたしは普段からお嬢様系を目指しているわけではない。
ジーパンにTシャツのラフな格好のほうが大好き。
だけど、気合を入れないとあたしなんかじゃアルマジロくんにつりあわない。
――――――背伸びした服で彼の隣に並ぶけれど、やっぱり頑張りすぎたかな
あたしは視線を地面に落とした。
「似合わないよね――――――?」
「そ? 可愛いと思うよ」
「えっ?」
あたしがパッと顔を上げると、アルマジロくんの笑顔に出会った。
「俺は可愛いと思うよ」
わざわざ、繰り返してくれた言葉が、あたしの中で反芻される。
アルマジロくんに、可愛いって言われた――――――
「んで、俺らはどこに行くわけ?」
男前が首を傾げると、不思議と可愛い。
「遊覧公園」
「はっ?」
アルマジロくんは、ピタッと動きを止めた。




