断りのせりふ
――――――空が青いなぁ
あたしは、パックのフルーツオレをチュチュッと吸い込んだ。
「ちょっと、ウサコ!」
あたしの頭を叩くパンッと軽い音。
振り返ると、美紀が鬼のような形相で立っていた。
「さっきの何よ!?突然、教室飛び出していって――――――まさか、逢沢のところに」
「美紀もフルーツオレ、飲む?」
あたしがへらっと笑って、パックのフルーツオレを差し出すと、不承不承ながらも美紀はそれを受け取った。
「あんたねぇ、本気であいつに関わるのは止めたほうがいいわよ」
「うーん」
美紀の目が本気の色を映している。
わかっているんだ、本当は。
美紀は本気であたしを心配してくれている。
あたしは毎回、それを無視している。
こんなにあたしを想ってくれる親友なのに――――――
「ごめんね」
結局、あたしは弁解すらできない。
止めることもできないし、言い訳すらもできない。
ただ、謝るあたしに、美紀は目の前の席に座りながら深いため息をついた。
「さっき、聞いたけど、逢沢のやつ、また告白を断ったらしいわよ」
「えっ?」
「昨日、一緒にいたセフレらしいわ」
「あっ」
――――――なるほど。
昼休みのアルマジロくんの言葉が一気に繋がる。
セフレ役がちょうど、空いたから、あたしに声をかけたんだ。
「あのセフレの子、3ヶ月も持ったらしいの」
「へぇ――――――いつも一ヶ月ぐらいで交代なのにね」
「だから余計に期待したんでしょうね。でも、告白したら、いつもお決まりのせりふ」
「お決まりのせりふ?」
美紀が顔をしかめた。
「あんた、逢沢のお決まりの断りのせりふを知らないの?」
「うん」
「本当に、知りたい?」
美紀が冷たい表情を見せた。
あまり良い台詞じゃないんだって察して、あたしは覚悟を決める。
「アルマジロくんのことなら、何でも知りたい」
美紀は少し、傷ついたような表情を見せた。
でも、すぐに表情をガラリと変えて、あたしに指を突き出す。
「あんたと付き合って、俺に何のメリットがあるの?」
――――――メリット?
「あいつったら、何様のつもりだっつーの。っていうかねぇ、3ヶ月もセフレやってきた子に言うせりふかって」
「えーと、じゃぁ、アルマジロくんがその子を彼女にするメリットが見つかったら、彼女にしてくれるってこと?」
「はっ?えっ、そういうことかなぁ」
彼女のメリット――――――
「美紀!!!あたし、アルマジロくんの彼女になれるかも!!」
「はぁぁぁ?!」
美紀がぽかんっと口を大開きしている。
「アルマジロくんのところに行ってくる!!」
あたしは後先考えずに、教室を飛び出した。
美紀が叫んでいたかもしれないけれど、耳にはまったく入ってこなかった。




